冥界、そこではある事が起きていた。
何かの光が1つの大木に集まっているのだ。
さらにチャックの様なので出来た入口、クラックから伸びた蔦が大木に巻きついてそこから蔦を伝ってエネルギーが大木に送り込まれていた。
そんな大木を純と幽々子は見ていた。
純「もうすぐだね」
幽々子「そうね~ありがとうね純君」
呟く純に幽々子は同意した後に礼を言う。
純「いやいや…あ、妖夢ちゃんストップ!」
妖夢「はう!?」
笑った後にクラック付近に生えていた果実に手を伸ばそうとしていた妖夢に純は止める。
純「その果実を食べたらダメだよ。下手すると理性のない奴になるから」
妖夢「は、はい。分かりました」
注意する純に妖夢は慌てて離れる。
幽々子「いよいよね」
純「そうだね」
苦笑した後に木を見て言う幽々子に純は頷く。
ふと、何かに気付いてちょっとごめんねと離れて人気のない場所へ着くと鋭い顔になる。
純「…居るんだろ蛇。出てきなよ」
???「おやおや、ばれていたかい。流石は【違反者】だな」
茶化す様にどこからともなく声がした後に民族衣装な服を着た男が現れる。
その者は鎧武の世界でDJサガラと名乗っていたがその正体はヘルヘイムの森そのものである。
純や他のオーバーロード達は彼を彼の名の一つである蛇と呼んでいる。
純「うるさい。それよりも何故君がここにいるんだい?まさかこの世界に…」
サガラ「いや、この世界を侵略しようとはまだ思ってないぜ」
純「どうだか…」
身構える純にサガラは肩を竦めて言うが純はまだと言う部分にそう返す。
彼は色々と読めない所がある。
だからこそ警戒をするのだ。
サガラ「それにしてもあの二人の女…お前さんがかつて失った二人とそっくりじゃないか」
純「…何が言いたい」
するといきなりそう切り出すサガラに純は問う。
サガラ「お前さんの力ならあの二人をオーバーロードに変えることだってできるだろ?もしくは記憶も…」
その言葉と共に純は怪人の姿、デェバリャではなく伝説上の生物である麒麟を感じさせる黄金に輝く肉体と琥珀色の角を持った和風のオーバーロードインベス、シャロシュになるとサガラの喉元に自分の武器のハルバード、シェベリャムを突き付ける。
シャロシュ「それ以上喋るな蛇。それ以上喋ると僕は君を殺すよ?」
サガラ「お~怖い怖い。まぁどうなるか楽しみに見ているぜ。じゃあな」
殺気と怒気を纏わせて忠告するシャロシュにサガラは両手を上げて首を竦めた後にそう残して消える。
しばらくじっとしていたシャロシュは右手を握りしめると地面に叩き付ける。
それにより少し地面が凹む。
シャロシュ「そんな事を出来る訳ないだろ…」
怒りもあるが悲しみも籠った声でシャロシュは呟く。
これがまた異変の始まりを告げるのであった。
一方、博麗神社では…
博麗神社~母屋~
鬼矢「あ~さみぃ」
霊夢『こういう時はお鍋が良いですよね~』
チルノ「うまうま~」
そんな事が起こっているのを知らずに鬼矢と霊夢はコタツに入って遊びに来たチルノを入れて3人で鍋をつついていた。
なお、チルノは怪人少女になってからだろうか熱い物が平気になり、鍋も平気なのである。
魔理沙「大変だ霊夢!!呑気に鍋を食べてる場合じゃないぜ!」
鬼矢「お、魔理沙。頼んどいた猪の肉は持ってきたか?」
そこに慌てて来る魔理沙に鬼矢はそう聞く。
魔理沙「そりゃあ持って来た…じゃねえよ!これは異変だぜ!!もう春が来ても良いのに全然春が来ないのはおかしいんだぜ!!」
チルノ「そう言えば、リリーホワイトが告げても良いのにね」
見せた後にそう言う魔理沙にそう言えば…と霊夢とチルノも気付いて言う。
鬼矢「春が来るのが遅れるなんてたまにあることだぞ?」
魔理沙「そうかもしれねえけど此処じゃあリリーホワイトが告げて知らせるから絶対に狂いなんてないんだよ」
霊夢『何かあったのでしょうか?』
咲夜「その予感大当たりよ」
頭を掻いて言う鬼矢へ魔理沙はそう言い、霊夢が書いて見せると何時の間にか魔理沙の後ろにいたマフラーを巻いた咲夜が言う。
そのマフラーの先端には咲夜ちゃん用とハートマークを付けて刺繍されている。
鬼矢「お、咲夜」
咲夜「どうも…それでパチュリー様が調べた所、どうやら何者かが春をどこかに集めてるそうよ」
乃亞「んで、霊夢達と合流して調べる様にだってよ」
説明する咲夜の後に現れた乃亞がそうつけ加える。
鬼矢「ふーん…なるほどな」
霊夢『それじゃあ調べに行きましょう!』
魔理沙「おお!霊夢やる気満々だな!」
納得してる鬼矢の隣で食べ終えた霊夢がふんすと気合を入れ、魔理沙は笑って言う。
乃亞「鬼矢はどうする?」
鬼矢「んー、どうしようかねぇ」
乃亞の問いに鬼矢は考える。
魔理沙「うーん、私としてはもしかしたらこの先怪人の力を持つ奴が出て来るだろうし付いて来て欲しいな」
チルノ「確かにそうだね。いてくれたら頼もしいよね」
その言葉を聞いてしばし考えた鬼矢は口を開く。
鬼矢「じゃあ俺も行くとするか…面倒だが」
魔理沙「ようし!早速出発だぜ!!」
その言葉の後にそれぞれ身支度して異変解決に乗り出した。
なお、乃亞はアッシュとなってハスターの能力で風を使って浮かんで付いて来ている。
鬼矢「でとりあえず最初はどこに行くんだ?」
魔理沙「そこなんだよな…」
咲夜「パチュリー様の話なら春がどこかに集まって行ってる話しだけど…それがどんな形でなのかね…」
意気揚々と飛びだしたは良いがそう聞くフェニックスファントムとなった鬼矢に箒に乗った魔理沙は頭を掻き、咲夜がそう返す。
アッシュ「とりあえず冬が長引いて得する奴のとこ行けばいいんじゃないか?」
チルノ「得か…うーん…」
アッシュが言った事にチルノが突然唸り始める。
それにフェニックスファントムは聞こうとして…
???「あら?チルノじゃない。神社に出かけてたんじゃなかったの?」
前から話しかけて来る声に誰もが向くとチルノは顔を輝かせる。
そこにいたのは冬服を来た女性でチルノは飛んで行く。
チルノ「レティ~」
レティ「あら~もうこの子は~」
抱き付くチルノにレティはあらあらと苦笑して頭を撫でる。
鬼矢「チルノ、誰だそいつ」
チルノ「レティだよ!」
レティ「チルノそれじゃあ分からないでしょ。レティ・ホワイトロック、冬の間でこの子達の母親な事をしてる者よ」
聞く鬼矢へそう言うチルノにレティは苦笑した後に自己紹介する。
鬼矢「と言うと冬が長引いて得する奴ってことか?」
レティ「あら?色々と心外ね。私は冬にしか活動しないけど季節を大事にしてるのよ…まぁこれのお蔭で冬以外で活動出来る様になるけど」
言うフェニックスファントムにレティはそう言った後に何かを取り出す。
それは手に平サイズの人形の様だったがレティは人形の下半身を上に上げると鍵へとなる。
鬼矢「それは…」
レティ「変身」
距離を取った後にレティはそう言うと目の前に現れた鍵穴に鍵となった人形を挿し込んで回す。
デーボ!ヒョーガッキ!!
音声の後にレティは氷に包まれ、その後に弾け飛ぶと彼女の服装が変わっていた。
服が胸元を露出した半そでに長ズボンへと変わり、両腕にヒョーガッキのツラランチャーを装着している。
鬼矢「お~戦隊怪人か」
魔理沙「なんだそれ?私等のとは違うのか?」
関心する様にレティを見て言うフェニックスファントムに魔理沙は聞く。
鬼矢「魔理沙たちのはライダー怪人って言ってまぁそうだな…種類は同じだが戦う相手がそれぞれ違うんだ」
霊夢『そうなんですか?』
咲夜「一口に怪人と言っても種類もあるのね」
簡単に説明するフェニックスファントムに誰もが納得する。
レティ「さてどうする?私はちょっとこの姿での弾幕ごっこをやりたいんだけど」
鬼矢「別にいいが…どうする?」
そう言うレティからメンバーへ顔を向けるフェニックスファントムへチルノが手をあげる。
チルノ「あたいがやる!レティとやりたいと思ってたし!」
レティ「あら?なら負けられないわね」
くすくす笑うレティに言ったなと言ってチルノはサジタリウスホロスコープスイッチを取り出して押すと怪人少女となる。
レティ「さあ、行くわよ!氷柱符【アイスニードルレイン】」
そう宣言すると共にツラランチャーから氷柱を雨の様に放つ。
チルノ「おっと、矢符【フレイムアロー・レイン】!」
それに対しチルノは宣言すると髪が赤く染まり、羽の色も赤く染まると炎の矢を放って相殺する。
レティ「あら?チルノ、炎を使える様になったの?」
チルノ「うん!この怪人の力のおかげでね!」
驚く表情をするレティにチルノは笑って返す。
どうやらサジタリウスゾディアーツの力によりチルノは炎も扱える様になったのだ。
その証拠に髪も赤く染まっている。
レティ「なら、楽しくなるわね!氷塊符【ヒョーガッキ・アイスボム】」
そう言うとレティは巨大な氷塊を作り出してから撃ち出す。
チルノ「火炎【バーニングアロー】!!」
向かって来る氷塊にチルノは先ほどより強い熱を放つ矢を放って氷塊を融かす。
レティ「あらら、色々と強い力の持ち主なのねその怪人さんは」
鬼矢「そりゃぁラスボス怪人だからなサジタリウスは」
思わずそう洩らすレティに見ていたフェニックスファントムはそう洩らす。
魔理沙「なあなあ鬼矢、レティのなってる怪人ってどう言う奴なんだ?」
鬼矢「あれはデーボ・ヒョーガッキって言って、かつて恐竜を絶滅させた怪人の一体だ」
咲夜「恐竜、確かパチュリー様の書庫にあったのによると人間が誕生する前に存在していた生物だったかしら?」
聞く魔理沙にフェニックスファントムが説明した中にあった単語に咲夜は呟く。
鬼矢「あぁ、あの怪人はその恐竜を凍死させて絶滅させたんだ」
魔理沙「ちなみに聞くとそのデーボ・ヒョーガッキとサジタリウスゾディアーツだっけ?鬼矢の基準で言うとどっちが強いんだ?」
そんな咲夜のに答えたフェニックスファントムへ弾幕ごっこしてる2人を見ながら魔理沙は聞く。
鬼矢「サジタリウスだな」
霊夢『それは属性的にですか?』
そう答えるフェニックスファントムに霊夢は聞く。
鬼矢「それもあるが…ヒョーガッキはある戦隊の最初の怪人として登場したんだ」
咲夜「最初……あ」
魔理沙「パチュリーに許可を貰って読んだ本でそう言うのがあったような…」
フェニックスファントムの言葉に咲夜と魔理沙は察する。
鬼矢「対してサジタリウスはある仮面ライダーの最期の敵、いわゆるラスボスだ」
霊夢『つまり?』
まだ分かってない霊夢にフェニックスファントムはまとめを言う。
鬼矢「強さにとても違いがあるってことだ」
チルノ「熱脚!【シューティングキック】!!」
その言葉の後にサジタリウス・ノヴァとなったチルノの繰り出した蹴りにレティは吹っ飛ぶ。
レティ「あたた…あー…まさか此処までとはね…」
チルノ「イェイ!」
頭を押さえて言うレティを前にチルノはピースする。
少しして今起きてる事を詳しく聞いたレティは口を開く
レティ「そう言えばあっちで変わった桜の花びらが飛んで行くのを見たわね」
鬼矢「あっちって何があるんだ?」
そう言うレティにフェニックスファントムは聞く。
レティ「そこまでは分からないわ。だけど飛んで行ったのは確かね」
魔理沙「行かなきゃわかんねえって訳か」
肩を竦めるレティに魔理沙はレティの言う方向を見て言う。
鬼矢「んじゃ行ってみるか」
レティ「頑張ってね~~~」
それにフェニックスファントム達はレティに見送られながら彼女の言う方向へ飛んで行く。
始まった第2の異変、待ち受けているのは…
レティ「次回、迷い家の猫妖怪。お楽しみにね♪」