閑章~冥界の君主~
時は鬼矢が博麗神社に、乃亞が紅魔館でそれぞれ出会いをしていた頃に遡る。
冥界~白玉楼・階段下~
ほとんど幽霊や魂以外あんまり存在しないこの場所にある人物がいた。
ヴィン、ドゴッ
純「イテテテ…何処だ此処?」
地面に落ちた際に打った所を抑えながら純は周りを見る。
そして階段を見つけ、その長さに驚く。
純「うわぁ~長いな」
思わず呟いた後にこの先に何かあるのか気になって登る事を決めて純は階段へ足を向ける。
しかしこの後純はちょっと後悔する事になる。
数十分後
純「はぁ…はぁ…」
まさか予想してたより長い階段に純は肩を上下させる。
このままだともしかしたら夜になるかもしれないと考える。
流石にこう長いとこのままではきついと感じた純はしょうがないと感じてその姿を変える。
人の姿からチベット仏教に登場する神聖な動物である
デェバリャ「よっと」
先ほどとは違いサクサクと進むデェバリャは怪人の姿で最初から登った方が良かったなと考えながら階段を上がる。
しばらくすると門の様なのが見えて来た。
デェバリャ「ん?門?」
気づいたデェバリャは丁度良いから此処がどこなのか聞こうと近づき…
???「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
デェバリャ「うぉ?!」
いきなりの声と共に自分に斬りかかる存在に気付いたデェバリャは武器である棍を取り出して防ぐ。
そして襲撃者の顔を見て驚愕する。
その人物の顔が自分の記憶のある人物の顔とそっくりなのである。
デェバリャ「(ディジュ…フォ…!?)」
目の前の背中に幽霊の様なのを従えて刀を構えた銀髪の少女に思わずデェバリャは驚く。
少女→妖夢「何者だ?もし幽々子様に害を仇名す者ならこの魂魄妖夢、お前を斬る!」
それを知らずに少女、妖夢は刀を構えて今にも斬りかかりそうでそれに驚いていたデェバリャは慌てて言う。
デェバリャ「ぼ、僕は純。ここに迷い込んできた者だ」
敵意はないと見せる様にデェバリャの姿から純へと戻る。
妖夢「っ」
すると妖夢は突如頭を抑える。
純「?どうしたの?」
それに純は声をかけて聞く。
妖夢「ええい!とにかく斬れば分かる!!」
それに妖夢は頭を振った後に純へと斬りかかる。
純「うぉ?!」
それに純は慌てて避ける。
妖夢「逃さん!【
すると妖夢は周囲に浮遊させている霊を素早く飛ばし、それが攻撃だと分かって純は避ける。
妖夢「【
続けざまに純の上に来た霊が5方向に弾を飛ばす。
純「うわわ!」
妖夢「まだまだ!【
それに避けた純へ妖夢は二刀を左右に開くようにして払うと前方に翠色のクロス状の剣気を飛ばす。
純「まだ来るの!?」
妖夢「この!剣伎【桜花閃々】!!」
叫んだ後に避けた純に向けて妖夢は姿勢を低くすると高速で突進する。
それに純は慌てて避けようとして妖夢の通った場所から桜色をしたエネルギーがほとばしるのに気付いて慌てて横に避けた後に後ろにジャンプする。
妖夢「ならば!高速【二百由旬の一閃】!!」
避け続ける純に妖夢は宣言すると素早い動きで純を翻弄しようとし、純はなんとか当たらない程度に同じ様に動いて避けて行く。
純「ふぅ…危ないな;」
流石にこのままではやばいと感じて純は正当防衛だと考えてもう一度なろうとして…
???「あらあら~騒がしいと思ったら見かねない人が来たのね~」
するとその声と共に門が開くとそこからの桜の模様が描かれた着物を着た桃色の髪の女性が現れる。
その女性を見て純はまた驚く。
女性の顔もまた自分の知る者のと似ているのだ。
純「(姉さんそっくりだ…)」
妖夢「幽々子様!」
すると妖夢がその女性に頭を下げる。
幽々子と呼ばれた女性は純を見ると微笑む。
女性→幽々子「初めまして、私は西行寺幽々子。此処白玉楼の主を務めてるわ。その子は庭師の魂魄妖夢よ」
挨拶する女性、幽々子に純は慌てて名乗る。
純「僕は白麟黄純。ここにいつの間にか迷い込んできた者だ」
幽々子「純君ね…良い名前ね」
うふふと笑う幽々子に純はこそばゆい思いをする。
微笑んだまま幽々子は妖夢へ顔を向ける。
幽々子「妖夢、彼は客人として出迎えるわよ」
妖夢「えあ、はい!」
指示を出す幽々子に妖夢は頷いた後にこちらへと純を促す。
それに純は妖夢の後に続く。
冥界~白玉楼~
幽々子「成程ね…紫の仕業かもね」
出されたお茶を飲みながら事情を話した純に黙っていた幽々子は口を開いて言う。
純「紫さん?誰だいそれは」
幽々子「私の古い友人よ。きっと他の子も同じね」
問いに返された事に純は成程と納得する。
純「んで此処は何処なんだい?」
幽々子「此処は幻想郷にある冥界に建てられた白玉楼よ」
純の問いに幽々子はそう答える。
冥界と聞いてどおりでなんか霊がふよふよしてるのかと考える。
純「なるほどね…」
幽々子「ねえ、純君、もし良かったら此処にいない?」
納得する純に幽々子は何時の間にか傍に寄っていてそう聞く。
純「おや、いいのかい?」
幽々子「ええ、此処で会ったのも縁だもの。妖夢、彼を空いてる客室に案内して」
妖夢「あ、はい…」
こっちですと妖夢に案内された純が出て言った後にニコニコだった幽々子は頭を抑える。
幽々子「はぁ…なんなのかしら…あの子を見てると起こるこの頭痛は…」
ほとんど最初に純に会ってから発生した。
それと共に自分の記憶にない筈の映像が脳裏を流れた。
ノイズの様なので全然分からなかったがなぜか懐かしさを感じさせた。
生前の記憶なのかと考えたがどうも違うと確信していた。
幽々子「うーん、ホントになんなのかしら…」
これは妖夢に後でご飯を大量に用意して貰って紛らわそうと幽々子は決める。
…この時幽々子や純達も知らなかった。
まさか後に自分達が起こす異変で意外な事が分かると言う事に…
純「次回、第九章!第2の異変の始まり、氷河期の冬妖怪をお楽しみに~」