ある可能性の劇場   作:シュレディンガーの熊

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そこは異世界ですか?~YES!ウサギさんに呼ばれました~

早速ですが、皆さんは異世界というものを信じたことがあるでしょうか?俺はあります。というか、現在進行形で異世界にいます

 

どうも、相川歩です。さて、どうしてそんなことを聞いたのかというのは、ほんの数時間前に遡ります

 

 

――――――

 ――――

  ――

 

 

 

 

 

まだ外出に手袋やマフラーが手放せない寒い冬の季節。その日は、いつものリビングを賑わす彼女たちは珍しく家におらず、自分ただ一人ちゃぶ台に腰を下ろしていた。昨日確か、三人共ショッピングに行くと言っていたっけ

 

ちゃぶ台の上に用意したお茶で一服した俺は、雨戸の先の穏やかな庭の様子を眺める。乾いた風に舞い散る枯葉、葉が散っていない色褪せた木々。太陽の光が弱い曇り空から察するにそろそろ雪も降りそうだ

 

・・・毎日彼女たちによって騒がしくも愉快で非日常な日常を送っているが、極偶には、一人になるというのも悪くないな

 

なんて一人和んでいると、ヒラリと頭上に何かが降ってきた

 

「手紙?」

 

頭上から手に掴んだのは、天井から突然降りてきた、一通の手紙。宛先は【相川歩様】・・・俺?しかも差出人はない

 

はたして誰からだろうか?自分なりに考えてみた

 

頭領や彩香様、吸血忍者か?・・・いや、彼等吸血忍者ならセラやサラスとか他の吸血忍者を介してちゃんと手渡ししてくるはず

なら大先生や京子、ヴィリエの魔装少女か?魔装少女=奇妙奇抜というのはハルナでいやというほど結びつく。・・・しかし魔装少女であればもっとぶっ飛んだ郵便方法が為される気がする、矢文とかミサイルとか・・・たぶん

となると、デューバイスやネネさん、冥界人か?魔装少女同様、冥界人ならこういった趣向もやりそうだ。だが、冥界人、特にあの王様は基本自由奔放、何をするにも唐突だから、手紙なんか送らず直接用件を伝えにくるだろう

 

兎にも角にも、中身を拝見するしかないか。俺は封を切り中の手紙を開いた。そこには一文―――

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを投げ捨て、我ら“箱庭”に来られたし』

 

 

・・・?なんだこれ?数度読み返すがさっぱり意味が解らない

 

異才、才能、箱庭・・・何かの暗号だろうか?それともただのいたずら?

 

手紙を読み終えた次の瞬間、俺は異様な浮遊感に襲われた

 

いつの間にかはるか上空にいた

 

 

「ええええええええええええええええええええええ!?」

 

 

 

周りを見ると自分以外にも落下している人が三人と猫が一匹。なぜに猫?

 

一通り驚いても未だ落下し続けている。どんだけ高いところなんだ

 

少し遠くを見ると森ばかり、真下には大きめの水溜り―――たぶん湖か何かだろう

 

ここはどこだ?地球か?ヴィリエか?冥界か?全く見当がつかない!

 

GYAAAAAAAAAAAAAAHHH!!!

 

落下しながら推測してると、遠くからこの世ならざる生き物の叫び声が聞こえた

 

後ろを見ると異様に巨大な鳥。蛇のような長い尾をもった鶏のような、そんな怪鳥が飛んできた

 

全長15mほどだろうか。とにかくデカい。そんな巨大な鳥がこっちに迫ってきている!?

 

「!」

 

「大きい・・」

 

「ギニ゛ャ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!!!(ば、化け鳥やぁ!!)」

 

「ヤハハハハハ!」

 

化け物目の当たりにして一人驚き、一人高笑い、一人無反応。唯一叫んでいるんのは猫だけ

 

ってか、これ全員吹き飛ばされるぞ!?だが変身もできない今、空中では身動きが取れない

 

 

【避けなさい!】

 

 

万事休すか?と思っていたら、一人が怪鳥に向かって命令する様に叫んだ。すると怪鳥は俺たちの間を縫う様に飛んで行った。言葉を理解できたのかあの鳥

 

取り敢えず誰も被害に合わなくて良かった―――と思ったその時、怪鳥の長い尾の先が俺の顔に当たった

 

「嘘だろっ!!?」グルグルグルン

 

弾かれた勢いで俺の体は古代怪獣ガ○ラのように大回転した

 

弾かれた俺は回転しながら三人から離れていく。さらに運の悪いことに、回転の勢いでシャツ、ズボン、パンツと剥き出されていった。いくらなんでもそれはヤバい!

 

回る視界の中、下に見えるのは木々が生い茂る森。これ無事で済まないな・・・たぶん無事だろうけど

 

と、達観していると大地が見えてきた。もう間もなくで到着するのか・・・着地したらこの姿をどうにかしないと―――

 

「・・・ん?」

 

「へ・・・?」

 

その時、落下予測地の茂みにウサ耳を付けた女の子がいることに気が付いた

 

気配に気づいたのか彼女は上を見上げると、迫りくる変態と目があった

 

あ~・・・うん。その程度()で済むわけないですよね~

 

 

 

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!??」

 

 

「い~やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

 

 

 

 

ドチャっと酷い音を立てて、ウサ耳を付けた女の子は、大回転しながら産まれたままの姿で突っ込んできた変態(ゾンビ)と激突した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《そこは異世界ですか?~YES!ウサギさんに呼ばれました~》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、俺ゾンビっす。あと、魔装少女で、此の度異世界人にもなりました

 

 

 

 

 

 

 

 


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