紅い翼と白い鎧【IS】   作:ディスティレーション

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ヒロインの件ですがいろいろ意見ありがとうございます。
一部は確定しましたが、まだ全てが決まったわけではありません。

更新履歴
2015.11.14:サブタイトル変更


第08話 クラス代表決定戦Ⅰ

「失礼します」

 

放課後、織斑一夏は職員室に呼び出されていた。

 

「来たか。これがお前の部屋の番号と鍵だ。

荷物は既に部屋に運んである。寮への行き方は分かるな」

 

そう言われて織斑先生から部屋の番号が書かれた紙と部屋の鍵を受け取る。

一夏は来週に試合をすることになってから、姉に頼みたいことがあった。

 

「千冬姉……じゃない織斑先生。頼みがあります」

 

「なんだ、言ってみろ」

 

「俺に……俺にISの使い方を教えてください!」

 

「ほう、やる気満々だな。だが、残念ながらそれはできない。

どっかの連中がお前の身柄を引き渡せと言ってきてな、そういった連中を納得させるのに忙しい。

訓練なら他を当たってくれ……それとアリーナや機体の利用申請は早めにしろよ」

 

「そっか、俺のせいで大変なんだな」

 

「お前が気にする事ではない。

それと例の参考書は明日取りに来い。まずはそれを全部読んで基礎知識をつける事だな」

 

今日の授業を思い出し、うなだれる。

用事も済んだので職員室を出て、これから生活する事になる寮へと向かう。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「ところでシンはどのくらいISに乗ってるんだ?」

 

一夏は荷物の整理をしながら同室になったシンに話しかける。

ちなみにシンが先に外側のベッドと机を使っていたため、一夏は強制的に内側である。

 

「半年」

 

「は、半年ってそんな前から! てっきりつい最近かと……

それにそんな前にIS動かしたのにニュースになってないよな!」

 

自分の時はあれだけ大騒ぎになったというのに……

荷物整理の手が止まり唖然としている一夏にシンが答えを言う。

 

「俺は動かしたISを持ってた企業に入る事になったけど、ずっと隠してきたからな。

お前のニュースがなかったらIS学園に来ることもなかったさ」

 

「そ、そうなのか」

 

つまりISを動かしてしまったところを誰に見られたかの差という訳か……

俺の事も黙っていてくれたらと思うも、今更どうしようもなかった。

 

「あ、半年ってことはもしかしてISの操縦とか完璧だったりする?」

 

「ああ、じゃなきゃセシリアとの勝負を受けたりしないさ」

 

「……」

 

「……晩飯食いに行こうぜ」

 

時間も頃合いなので2人は部屋を後にして寮の食堂へ向かう。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「箒、ここ良いか」

 

食堂で席を探していると、一夏が箒を見つけたので声をかけて正面に座る。

知り合いかと聞かれたので、一夏は幼馴染である箒をシンに紹介する。

 

「そう言えば一夏。来週の勝負どうする気だ」

 

「千冬姉に教えてくれって頼んだけど、忙しいからダメだってさ。

とにかく場所とIS借りて練習するつもり。1週間でやれるだけやるさ」

 

「な、なら私が教えてやる! 何も知らないまま1人でやるよりは良いだろう。

よし、そうと決まれば食べ終わったら剣道場へ行くぞ。

ISは身体能力も重要だからな、今日は操縦とか無理だろうから体を動かすぞ」

 

なぜか慌てたように早次で教えてやるという箒。心なしか顔が少し赤い気がする。

当然のように一夏は気付かず、シンはあまりの剣幕に少し引いてる。

 

「本当か、ありがとう箒! なあ、シンも一緒にやるか?」

 

「いや、俺はいいよ。剣道とかやったことないし」

 

一夏にISの事を教えるとなると基礎中の基礎からだろう。

俺は既に知っていることなので一緒になって教わる必要はない。

俺が一夏に教えるというのもありだが、せっかく箒が教えるというのだから任せよう。

 

食事を済ませると2人は剣道場へと向かっていった。

結局一夏は消灯時間ぎりぎりまで箒と剣道をしていた……。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

「さて、これが例の参考書だ。1週間で覚えろよ」

 

翌日、職員室で織斑先生から自分が捨ててしまった参考書を受け取る。

一度寮に戻ってISの事を教えてもらおうと箒の所へ行こうとするが、貰った参考書から何かがはみ出しているのが見えたのでそれを手に取る。

 

「なんだこれ、最初にもらった時こんなの付いてたっけ?」

 

それは1枚のディスクだった。一緒に「他言するなよ」と書かれた紙も挟まっていた。

今はちょうどシンもいない、それがなんだか気になったので中身を見る事にした。

 

 

 

……

 

 

 

…………

 

 

 

「イグニッション……ブースト?」

 

そこにはISの戦闘技術の1つである瞬時加速の内容と練習法が記されていた。

 

「千冬姉、ありがとう」

 

これができればシンやセシリアとも戦えるようになるだろう。

箒との剣道で体を慣らし、参考書を熟読して基礎知識を付け、打鉄で練習をする。

 

 

 

一夏はクラス代表決定戦までこれを繰り返した。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

「ではこれより、クラス代表決定戦を行う。時間が無いから勝負は2回。

アスカとオルコットが先に戦い、勝った方が織斑と戦う。異論はないな」

 

ついにクラス代表決定戦の日が訪れた。

一夏はなぜ自分がそのポジションなのか疑問に思ったが、次の山田先生の言葉で納得する。

 

「織斑君の専用機も届いています。

ですがフィッティングがまだですのでアスカ君たちの試合中にやっておきます。

決着が早く着いた場合はフィッティングが終わってなくてもそのまま試合を始めます」

 

「よし、アスカとオルコットはすぐにアリーナに出ろ、すぐにでも始める」

 

織斑先生の言葉を聞き準備に取り掛かる2人、一夏は箒と一緒に専用機の元へと向かう。

 

「これが、俺の専用機……」

 

「はい、日本で開発されたISで、名前は白式です。

搭乗すればフィッティングが開始されますのでそのまま乗っててくださいね。

アスカ君たちの試合は正面のモニターで見られます」

 

一夏に一通り説明すると山田先生は通信室へと走っていった。

残った一夏と箒はフィッティング完了を待ちながら試合を観戦する。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

<<戦闘開始>>

 

「ついにこの時が来ましたわね。

このわたくしの実力を、身をもって教えて差し上げますわ!」

 

アリーナの空中で向かい合いながらセシリアはシンに話しかける。

対してシンは実際に見たブルー・ティアーズに驚いていた。

 

(データでは知ってたけど、ほんとにストライクフリーダムに似てるな。

あの先端にあるのがドラ……BT兵器か)

 

「あら、ブルー・ティアーズが怖いのかしら?

せっかくの舞台なんですから、がっかりさせないでください!」

 

「ちょっと似ている物を思い出しただけさ。

あんたこそ俺をがっかりさせないでくれよ。せっかくそれ(BT)持ってるんだから」

 

シンの言葉と合わせて両者が動き出す。

互いに手に持ったライフルで相手を撃ちながら、距離を開ける。

 

「あら、よく勉強なさっているのね。でしたらお望み通りに使って差し上げますわ。

踊りなさい! わたくしと、ブルー・ティアーズの奏でるワルツを!」

 

そういうとセシリアはBTを4基切り離し、シンを囲うように移動させる。

そしてそれぞれからランダムにレーザーが発射される。

 

シンは攻撃をやめてレーザーを避けながらBTの動きを見る。

 

(的確に相手の反応が遅れる位置に置いてくる。移動と射撃の精度も良い)

 

青いビット兵器を避けているとCE――ストライクフリーダムの事を思い出す。

ヤマト隊と行った合同訓練で、決着がつかなかった模擬戦の事を……。

 

「あら、なかなか良い反応ですわ。

わたくしのBTをここまで避け続けるなんて……しかし、いつまでももちませんわ!」

 

セシリアはBTに命令し攻撃頻度を上げるが、シンは気にせず回避し続ける。

 

それを見てセシリアは驚愕する。これでもまだ1発もBTを当てていないからだ。

 

デブリもなければ乱戦でもない、この何もない空間においてビット4基の位置と射線を把握する事など、数で劣る戦いをしてきたシンにとっては造作も無かった。

 

(これだけ避けてるのにセシリア自身からの攻撃が無いな……

もしかして、操作に集中して動けないのか)

 

セシリアの表情から少し焦っているのが読み取れる。

シンはライフルを左手に持ち右手でサーベルを抜き、BTの包囲から抜けてセシリアに接近する。

 

(振り切られた……BTを、こんな簡単に!)

 

BTが引き離され、加速して接近してくるシンに、BTに集中しすぎた思考は判断に迷う。

BTで後ろから攻撃するか、BTを捨てミサイル? それともスターライト?

 

「え?」

 

シンの行動にセシリアは思わず疑問の声を出す。

真っ直ぐ接近してきたはずのシンが突然大きく軌道を外す、そして次の瞬間……

 

 

 

 

 

腹をビームサーベルで抉られていた。

 

 

 

 

 

目の前で一瞬視界から外れる軌道……それでもハイパーセンサーのおかげで常に相手を見る事は出来ていたが、セシリアの思考は機能しなかった。

気付けばシンが正面にいて、振り抜いたサーベルと目減りしていくシールドエネルギーで攻撃されたことに気付く。

BTもセシリアの制御から外れ、自動操作で機体に向かって飛んでいる。

 

シンは即座に次の行動に移り、左手に持ったライフルを腹に押し当て連射する。

 

これでセシリアは少し冷静さを取り戻し、エネルギーが残っているのを確認して後退をかけるが、時は既に遅かった。

 

後退で距離を開けるより先に、シンが振り下ろしたサーベルが直撃する。

 

 

 

<<戦闘終了>>

 

 

 

最後の一撃でブルー・ティアーズのエネルギーが0になり試合は終了した。

 

「すぐに次を始める。オルコットは戻って、織斑はアリーナに入れ!」

 

織斑先生のアナウンスを聞き、セシリアはピットに戻っていく。

そこには最初の時のような自信に満ちた顔はなかった。

 

 

 

 




機体がストフリに似てるせいでシン相手だとフルボッコ確定なセシリアさん……
さらにこの小説だと、ラウラの方がBT適性高そうだとか言ってはいけない。
IS強化も考えてるけどブルー・ティアーズの強化案が浮かばなかったりするけど……

めげるなセシリア、がんばれセシリア、きっとそのうち輝かしい出番が来るさ(たぶん)。

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