更新履歴
2015.05.17:加筆
2015.11.14:サブタイトル変更
あるところに平凡な女子学生がいました。
ある日彼女は学校に遅刻しそうになり、道中見知らぬ男子学生とぶつかってしまいました。
その日、クラスに転校生がやって来ました。
そしてどういう訳かその転校生は登校中にぶつかった男子学生ではありませんか。
……
…………
「という運命的な出会いをまさかこの目で見れるとは思わなかった。
そして紆余曲折を経て2人は恋人同士に……。
隊長、恋愛に障害は付き物ですが頑張ってください」
自分の趣味である少女漫画の王道展開のような出会いをしたラウラとシンが、そのまま王道展開を経てハッピーエンドを向かえるまでを妄想しだす。
「クラリッサ、お前は何を言っているんだ?」
「い、いえ、なんでもありません!」
突然隊長に声をかけられて動揺してしまうクラリッサ。
そんなことはお構いなしに隊長ことラウラは話を始める。
「明日、アーベント社の研究所に出向する」
「ついに、再戦の申し込みですか」
「いや、あの機体を第3世代型ISにするための監修をするようにと上からの命令だ。
だが、その機体が完成すれば再戦もありえるだろう。
ふふ、楽しみだな。その頃にはAICも完全に機能するようになるだろう」
――――――――――
あの模擬戦から1か月
「先日、ドイツ軍の上層部から通達があった。
今まではパワードスーツということにして国際IS委員会への情報開示を回避してきた。
しかし、さすがにここまで来るとISである事を隠し通すことはできない。
そのための対応策として、その機体を第3世代型ISにするようにとの事だ。
新規開発の第3世代型ISとして情報を公開すれば、重要な部分を隠すことはできる。
でだ、ISのコンセプトとか武装とかを今から決める。
やはり男にも使えるISということで、見た目に独自性を出そうと思う。
そのためにシンの世界のMSを参考にISをデザインしようと思うのだがどうかな?」
シンはあれから自分が乗っていた機体とZAFTの一部MSをまとめた。
そのデータを見ながら皆は意見を交わす。
だがMSを参考にISの見た目を決めるつもりだったのに、意見を交わすうちにどのMSをいかにしてISで再現するかという話になっていった。
ISで変形機構は無理だとか、遠隔兵器は既にイギリスのBT兵器があるとか……。
「なあ、シンはISにするならどのMSがいいんだ?」
「ISにするなら俺はインパルスかな。
拡張領域を利用すれば戦闘中のシルエット換装が簡単にできるようになる」
シルエット換装によるどんな局面にも対応した万能機を目指したインパルス。
しかし専用母艦が必須だったり、シルエットで艦のスペースを圧迫したりと課題も多く、試験機だけで終わってしまった。
だがISなら拡張領域があるため、シルエットの換装に母艦は関係なく拡張領域の容量以外に圧迫する物もない。
「パッケージ換装による万能機か、これならISの特長を生かせるしいいんじゃないか?
流石に変形・合体機構は無理だけどな」
皆にも聞いてみると、全員賛成してくれた。決まれば皆の行動は早い。
やれ、拡張領域の容量をいかにして拡張するだとか、色はどうしようだとか……。
そこで初めてラウラが意見を述べる。
「うむ。コンセプトは決まったようだな。
だが、表向きは第3世代ということで特殊武装を付けてもらいたい。
まあ、パッケージの武装にそれを組み込むくらいでいいだろう」
「こちらが、ドイツで搭載が見送られた第3世代型IS用の特殊武装の一覧です」
そう言うとクラリッサはデータを表示する。
数が多い。今ここで全てを見ている時間はないので主任はデータをシンに渡す。
どの特殊武装を使うかシンが決めろとの事だ。面倒なので丸投げされたとも言う。
「さて、大方方針が決まったところで具体的に設計を始める。
換装用のパッケージは後回しにして、今はISの素体を作る。
さらに、現在使うことのできないISの機能を補う補助装置の設計と製作を行う。
シンは第3世代型ISとして搭載する特殊武装と初期状態の武装を決めてくれ」
こうして、第3世代型ISインパルスの開発が始まった。
――――――――――
――12月24日
搭載する特殊武装を決めたので、それを開発している軍の開発局に挨拶に行った主任とシン。
「いやあ、助かりますよ。これで私たちの研究も役に立つというものです。
それでは、また後日に打ち合わせをしましょう」
「はい、よろしくお願いします」
最初の打ち合わせは順調に終了した。
主任は家族との約束があるとシンにある物を渡して即座に帰宅した。
(レストランの割引券か……せっかくだし今晩はそこで食べてくか)
「おや、今夜はデートですか?あなたも隅におけませんね」
「うお! クラリッサか、いきなり脅かすなよ」
いきなり後ろから声をかけられてうろたえるシン。
軍の基地内にいるとはいえまさか遭遇するとは思わなかった。
「それで相手は誰ですか? もしかして隊長ですか?」
「いや、これはさっき主任がくれたんだ。
別に誰かを誘うつもりはないな、そもそもただの割引券だし」
「では、私たちもご一緒しても? ちょうど仕事も終わったところですし」
「ラウラもか? 別にかまわないけど……奢りはナシな」
シンの了承を得るとクラリッサはラウラに電話をかける。
ラウラから基地の入り口で落ち合う約束をする。
第3世代型ISの開発が始まってから彼女たちはちょくちょく研究所を訪れていた。
年が近いというよりも同じ軍人でありパイロットであることから、研究所の食堂でよく一緒に食事をしたりしていたが、プライベートで外食するのは初めてだった。
――――――――――
3人はレストランにやって来た。
高級ではないがかといって安っぽいわけではない綺麗にまとまっているレストラン。
料理が運ばれてきたのでグラスを取り、乾杯する。
「ソードはパッケージじゃなくて武器だけを拡張領域に入れることにしたよ」
「そうだな、MSだからこそ意味のある換装ではあるがISだとな……
それとシン、おまえはあの大剣を2本同時に使う気か?
ISはパイロットの動きに追従する。あんなの2本も振れるとは思えない」
「確かにな、大剣二刀流の技術なんて俺にはないし。
そうなるとエクスカリバーよりアロンダイトの方がいいな……
そもそもIS相手だとビーム刃の利点がないな、いっそのこと全部実体刃にするか」
近状報告から気付けばISの話ばかりしている。
酒が入ったせいか、いつも以上に議論に熱が入っている。
(せっかく、クリスマスにレストランで食事をしているというのにこの2人は……
ここは私が流れを変えなければ!)
クラリッサはそう思い会話に加わる。
「ISの武装を好き勝手決めることができるせっかくの機会なんですから、もっとロマンあふれる武装をしましょう。
大型の実体剣なら刀身にPIC仕込んで変速攻撃できるようにするとか!」
クラリッサも酔っていた。
結局3人は最後までMSとISの話しかしなかった。
――2月
クリスマスが過ぎ、年が明け、ついにインパルスは完成した。
せっかくのクリスマスに何やってんだこいつら……
それはともかくようやくインパルスが完成しました。
専用機完成まで5話か……IS学園or束の所に転移→機体が何故かISに!
という王道展開使えばここまで1話で終わった気がする。