話は全く変わりますが、皆さんは艦これ改買いました? 自分ドハマりなんですけど、レビューは微妙なものが多いですよね。
これって、艦これには興味あるけど、ブラウザ版をするのは何となく怖いって言うチキンハート(作者)提督向けのゲームって事でOKかにゃ?
特典のケースも外出時にはとても役に立ています!
「こんなものでいいのか、シャルル」
「うん。後は少しずつ片付けていくよ。ありがとう、一夏」
シャルルが転入して来た初日の放課後の事である。
同じ男性という事もあり、シャルルは一夏と相部屋という事になっていた。当然、彼の荷物整理があるのだが、一夏はそれを手伝っていたのだ。
「ごめんね、一夏。昨日は篠ノ之さんの手伝いもしたんでしょ?」
「はは、気にすんなよ。今日から同じ部屋で過ごす仲間だろ」
「う、うん」
一夏のそんな暖かな言葉にシャルルは少し歯切れ悪く答えるのであった。それを見て一夏は……。
「(きっと、日本にまだ慣れないんだな。俺がフォローしてやらないとな!)」
そう自己解釈を行い、色々気にする事にしたのであった。
「ふぅ、しかし流石にあれだけの荷物を運ぶと汗かくな」
「うん、早くシャワーを浴びたいかも」
そう言いながら、シャルルはパタパタと手で自分を仰ぐのであった。その仕草が妙に色っぽく感じるのだが……一夏は当然スルーである。ここで何か違和感を覚えれば、シャルルのヒミツに辿り着いたのかもしれないが。
「そっか。じゃ、先にシャワー浴びちまえよ。俺は後から良いから」
「え? いいの?」
「あぁ。流石に自室のシャワーに二人は無理だろうしな」
そうあっけらかんと言う一夏。彼に当然他意はない。しかし、その言葉にシャルルは何故か顔を赤くして、どもりながら返事をする。
「そ、そそそそ、そうだね!! じゃぁ、僕が先に使わせてもらうよ!!」
「お、おう……」
そんなシャルルの様子に一夏は目を白黒させながら答えるのであった。
自室なのに小走りしながらシャワー室へと向かうシャルルを見て一夏は首を傾げるしかなかった。
「(何慌ててんだ、アイツ?)」
そう考えつつも一夏は箪笥からタオルを取り出す。せめて汗くらいは拭いておきたいからだ。
しかし、そこである事を思い出したのであった。
「(あ、そう言えばボディ・ソープ切れてたな)」
一夏は、予備のボディ・ソープを取り出すと、シャワー室へと向かう。
「お~い、シャルル。ボディ・ソー……」
そう言いながら、ドアノブを廻そうとした……その時だ。SAO時代のある出来事が脳裏を横切ったのであった。
「うぐぅ……もう、我慢出来ん!!」
「あ! チンクちゃん!!?」
それはとある層の温泉エリアでの出来事だ。男女しっかりと別れて温泉に皆で入っていた時の事。男湯でのんびりと湯に浸かっていた一夏こと、チナツはチンクの叫び声を聞いて不審な顔をしていた。
「どうしたんだ、アイツ?」
彼は、チンクの事が心配になり一緒にいた仲間達に一言いうと、外に出た。そこには顔を真っ赤にして、うずくまりながらコーヒー牛乳を飲むチンクの姿があった。
「ええい、あいつ等め! 人を玩具にしおって!!」
「(なんだ、いつものか)」
これは正直見慣れた姿であった。世間知らずなチンクが皆に可愛がられ過ぎて最後にはチンクが逃げ出す。お約束のパターンになっていたのである。
「つーか、女の子同士なんだし、そんな気にしなくても……」
「ドイツには日本のように皆で裸になって風呂に入る習慣はない!! 少しは外国の人間の気持ちも考えろ!!」
※そんなことないです。むしろドイツはヌーディズム先進国なんて異名もあり、公認のヌーディストエリアもあります。ドイツ、未来に進んでるなぁ……。
「お、おう……(始めの頃、下着姿で寝ていたの誰だっての)」
と言うか、チンク自身も初めて会った頃は下着姿で寝ていてチナツを困らせていた。
と、まぁこう言った事が過去にあったのだ。正直チンクの発言には信憑性に欠けるが、全てが嘘という事はないだろう。シャルルも国は違えど同じヨーロッパだし、不用心に開けるのはやめた方がいい。
そう考えた一夏は徐にシャワー室のシャルルに向かって声を掛けるのであった。
「お~い、シャルル。ちょっといいか~?」
「ひゃぁ!? い、一夏!!?」
一夏が急に声を掛けてきた事によって、シャルルは慌てた様子でそれに答えるのであった。
「悪い、驚かせたか?」
「だ、だだだだ!! 大丈夫!! な、なに!?」
「(すげー驚いてるじゃねーか。やっぱり、初めての日本で緊張しっぱなしだったんだな)」
全くの勘違いだが、一夏は当然その事には気付いていなかったのであった。
「いや、ボディソープが切れてたと思うから予備を出したんだけどさ」
「そ、そうなんだ!! じゃぁ、ドアから手を出すから渡してくれると助かるかな!?」
シャルル、キョドりすぎであった。
シャルルは焦りながらもドアから片手だけを出す。そして、一夏がボディソープを手渡すとサッと引っ込めるのであった。
「(う~ん。やっぱり、外国の人間との交流は難しいな)」
一夏はそう思いながら、部屋へと戻り時間つぶしにテレビを見るのであった。こうして、他の可能性軸ならば発覚してしまっていたシャルルのとある秘密は暴かれずにすんだのであった。
これが後々にどのような出来事を引き起こしてしまうのか、まだ誰にも分からなかった。
……余談だが、この日の事を振り返る一夏にシャルルが『鈍感すぎるよ!? 正直この時点で気付かれかけたと思ったのに!?』と言われるが、それはまた未来の話である。
「最近、筋トレしていないような気がする」
「いきなり何言ってるの、一夏?」
次の日の朝、シャルルと一夏は同室という事もあり一緒に登校していた。色々な話をしている中、急に思い出したかのように一夏はその言葉を口にしてた。
「いや、俺さ。もっと筋肉つけたくてさ……。シャルルも同じ男なら分かるだろ?」
「あ、あはは。ごめんね。ちょっとよく分からないな」
「何!? ガチムチは外人の象徴ではなかったのか!?」
「それは、どっちかって言うとアメリカ人のイメージじゃないかな?」
そんなくだらない話をしながら、一夏達は教室の扉を開くのであった。彼らよりも先に来ていたクラスメイト達は何かの話題で盛り上がっており、一夏とシャルルは不思議そうに顔を見合わせるのであった。
「む、一夏か。おはよう」
「おう、箒。ちゃんと歯は磨いてるぜ」
「当たり前だ、馬鹿者!!」
箒がいなくても歯磨きはしてるぜー。というよく分からないアピールをしながら、一夏は自分の席に座るのであった。
「てか、騒がしいな。何があったんだよ」
「あぁ。どうやら今日も転入生が来るらしい」
「は? 昨日シャルルが来たばっかりだろ?」
「あぁ、しかもドイツの代表候補生らしい」
その言葉に、一夏は困惑する。昨日転入してきたシャルルも男性でありながらフランスの代表候補生。それが転入してきただけでも驚きなのに、続けざまにドイツの代表候補生がこのクラスに転入してくるというのだ。
「(鈴の奴は2組だったのに……)」
くしゅんと可愛らしいくしゃみが聞こえたような気がしたが、一夏はふとある事を思い箒に尋ねるのであった。
「なぁ、ひょっとしてそいつも男性だったり……」
「いや、私も直に見たわけではないが、見た者の話によると銀髪で小柄な少女らしい」
「銀髪で、小柄……?」
なんかその外見的特徴にすごく覚えが一夏にはあった。具体的に言うと、2年近く同棲していた相手のような気が……。
「チャイム前だが、全員揃っているな。少し早いがHRをはじめる」
一夏がある少女の姿を思い浮かべていると、今だチャイム前だというのに真耶を伴って千冬が教室へと入ってきたのであった。
「(あ、千冬姉がいる。帰ってきてたんだ。日帰りの出張だったのか?)」
一言くらい戻ってきたと言えよなー、と思いつつも一夏は姉をボーっと見ていた。そんな一夏の様子を知ってか知らずか、千冬は話を進めるのであった。
「さて。一部話が早い生徒がいるので知っていると思うが、今日も転入生が一人我がクラスに入る事になった。続けての転入で皆も思う所があるかもしれないが、今日からは同じクラスメイトだ。余計な詮索はするなよ」
若干ストレスが溜まっているのか、いつも以上にぶっきらぼうに言う千冬に苦笑いしながら、真耶は続けて口を開いたのであった。
「あ、あはは。それでは、ボーデヴィッヒさん。入ってきてください」
「失礼する」
箒のような口調であるが、雰囲気が違っていた。箒が凛とした声であるのなら、彼女の声は固い厳格な声。違いをより分かりやすく言うのであれば侍と軍人……と言った所か。
しかし、その声の主を見た瞬間、一夏は言葉をなくした。
「……え?」
「今日からこのクラスで世話になる、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。堅苦しい印象を持つかもしれないが、こう見えて日本のVRゲームに興味がある。気軽に話しかけてくれると助かる」
「ラウラさんは、ドイツの代表候補生です。専用機も持っていますので知識も豊富です。皆さん、仲良くして下さいね~」
「(ワ、ワタクシも代表候補生ですのに!?)」
セシリアは内心ガビーンとショックを受ける。しかし、入学当初のセシリアはプライドが高すぎて、勢いに任せて言葉を出す傾向があったので仕方のない話でもあった。その事を自覚していたのか、すぐに入学したての頃の言動を思い出してしまい、一人暗い雰囲気を醸し出していた。
「それでは、席は……」
真耶が用意された席にラウラを案内しようとする。しかし、それよりも早くラウラは歩き始めるのであった。
「ボ、ボーデヴィッヒさん?」
不審にラウラに声を掛ける真耶。しかし、そんな事気にも留めず真っ直ぐ一夏に向かって歩いていった。
「……ぁ」
一方一夏も今一現実と認識できていないのか。ただ、呆然とラウラを見るのであった。
次第にラウラは一夏の目の前へと辿り着く。両者の間に沈黙の空気が流れる。そして―――。
「お、おい―――」
「貴様―――ッ!!」
一夏が口を開きかけた瞬間、パーンという爽快な音が教室に響いた。
「な!?」
箒が反射的に席を立ち、クラス中が目を見開いた。ラウラが一夏の頬を勢い良く叩いたのだ。
「許さんぞ、私はお前を許さない!!」
そう言うと、ラウラは踵を返して席へと戻ろうとする。しかし、それに異を唱えるものがいた。
「お待ちなさい!!」
箒も声を出そうとした。しかし、それよりも先にセシリアが声を上げたのであった。彼女の行動が、かつての自分にどこか重なったように感じたからだ。
「どのような事情があるかはございませんが、行き成り平手打ちとは少々不躾ではありません事」
「なんだ、お前は。お前には関係なかろう」
「いいえ、関係ありますわ!! 一夏さんは大切なご友人ですもの!!」
「ほう」
その言葉に、ラウラは感心した様な、呆れたような表情を浮かべる。
「(まったく、少し目を離すとこれだ。これでキリトの奴の事をとやかく言えるものだな)」
ラウラは内心、頭を悩ませるが、それがセシリアの癪に触ったようであった。
「なんですの、その態度は! 一夏さんに謝罪なさいな!!」
「ふん、それがお前の望みか」
ラウラはずいっとセシリアに近づき、ラウラが小柄という事もあり睨みつけるかのように見上げた。
「いいのか?」
「なんですって?」
「だから、謝って良いのかと聞いている」
「は?」
その言葉に、一瞬セシリアの理解が遅れた。平手打ちをした人間が、その場で謝ると言っているのだ。理解が遅れて当然であった。
むしろ、何か裏があると勘繰るのが妥当だ。
「こちらも謝れと言われたのであれば、謝るのは吝かではない」
セシリアはその言葉に固まってしまう。全く目の前の少女の真意が読めないのだ。どう答えようか言い淀む彼女であったが、それよりも早くラウラが動き始めた。
「な!?」
それは風が流れるようなしなやかさであった。ラウラはいつの間にかセシリアを通り過ぎ一夏の前に躍り出ていたのであった。そのままラウラは一夏をじっと見つめていた。
「お、お待ちなさい!!」
セシリアはラウラを止めようと声を上げる。仮にも今し方一夏を平手打ちした相手だ。本当に謝るとか考えられる訳もない。
だが、セシリアが止めるよりも早くラウラが動いたのであった。
「す、すまんチナツ!! 思ったよりも勢いがついた、大丈夫かッ!!?」
「……は?」
なんとびっくり。ラウラは一夏に素直に謝罪をしていたのであった。それよりも、問題は……。
「チナツ、だと?」
箒がその名に反応した。何度か聞いた事のある名……一夏のSAOでの名である事に気付いたのだ。
「(まさか……)」
もはや何度同じ事があったか。箒は何となくこの少女と一夏との繋がりを理解してしまったのであった。
ま た S A O か。
今後は一夏に近づく女性は全てSAO関連だと思うべきかと頭を悩ませる箒であった。
一方一夏はと言うと……。
「お、おい? チナツ? お前聞いて……」
ラウラは必死に一夏に呼びかけるが。ふと一夏の様子に気が付いた。そう、彼は―――。
「…………(ツーン)」
「滅茶苦茶拗ねてるだとぉーーー!!?」
拗ねて、そっぽを向いていたのであった。
「(拗ねてる一夏さん。可愛いですわぁ)」
因みにセシリアはチョローンとしていたのであった。
「それで、会長。シャルル・デュノアの件はいかがされますか?」
「そうねぇ……とりあえず……ッ!!?」
「? いかがされましたか?」
「いま、日本政府の情報が届いたわ……。か、簪ちゃんが……」
「どうされましたか?」
「雑誌取材の話が上がっているのよ!!? 更識家の財を持って、雑誌の買い占めよ!! ヒャッハー!!! え? デュノア君の件? 静観でOK、OK!」
「(……あぁ、とうとう頭が)」
『え~? 取材? んふ、忙しいからパス。ああッ! けど、織斑君と一緒なら考えちゃうかも~♪』
「それは、織斑先生のガードが固くて無理だと思うよ、かんちゃん~」
『え~? じゃぁ、やっぱりパ~ス!!』
「(ク~ちゃんモードのかんちゃんは、自分に正直だなぁ~)」