「各所に分散させておいた資金を一度に剥ぎ取るとは、いささか大人げないとは思うが?
駒場利徳は、低い声で静かに言う。
「こちらは破壊目標を確実に叩くだけ。活動資金のことなんか知ったことではないわ」
結標淡希は軍用の懐中電灯を構えながら言う。
「……
駒場が呟く。
座標移動。
「厄介程度で収まると思う?」
結標は挑発するように言う。だが、駒場は相手を睨むだけであった。
「……そうだな。厄介以上に憎らしい」
「眉間にぶち込んで終わらせてあげるわ」
彼女は懐中電灯を振ると、コルク抜きを転移させる。
駒場の体に、直接。
しかし、転移させる直前に駒場は大きく跳び上がった。その跳躍は、明らかにただの人間にできる動きを超えている。
「こちらだってまじめにやる」
彼は宙に浮かぶコルク抜きを、結標にめがけて蹴りだした。対し、彼女は近くにあった乗用車を転移させることで、それを盾にして防ぐ。だが、周囲の建物にあった鉄棒を蹴り放たれた。
いくつかは乗用車を避けて結標の体を切り裂く。そして、残りは乗用車に突き刺さり――爆発が起きた。
駒場は地面に着地すると、燃え盛る乗用車を間に挟みながら、結標と対峙する。
「……貴様のような化物と戦うには、このくらいのハンデがあってもいいだろう?」
彼女は改めて懐中電灯を構えた。
「その驚異的な身体能力。服の内側に
発条包帯……超音波伸縮性の軍用特殊テーピング。
「手に入れるのには苦労した」
学園都市で使われている駆動鎧の身体強化を行う部分のみを取り出したようなものであり、身体の各所に貼り付けることで、運動機能を飛躍的に増強することが出来る。
だが、それはそんなに都合の良いことばかりではない。
「そんな欠陥品を生身の体に使って、ただで済むと思うの?」
『発条包帯』は、駆動鎧と比較して分厚い装甲や巨体が無い分、小回りが利いてより機動力が増した事が利点だが、使用者を保護する身体的プロテクトが一切存在しないため、身体に対して甚大なる負担をもたらすという欠点も持ち合わせている。そのため、警備員の試験運用からも落ちた欠陥品なのだ。
「その程度の覚悟は決まっている。早急に決着をつけよう」
だが、それでも彼は戦う。
それは自分の目的のためでもあり――そして何より、もとから代償なくしては勝負ができないことを覚悟しているからでもあった。
彼の体が、膨張したように見えた。
「俺の前には、やるべきことが山積しているのでな!」
駒場は飛び出した。
対し、結標は2回懐中電灯を振るう。
彼との間に障害物が2つ配置される。だが、それを見ても駒場は笑っていた。
「薄いな」
彼はその強い脚力で地面を踏みしめ、一気に跳び上がる。
「その程度の膜では、俺を止めることはできない!」
分厚い金属の箱の包囲網が、人間の限界を超えるまでに強化された蹴りで粉砕された。直後、爆発によって破壊されていた鉄屑などがまとめて吹き飛ぶ。
「……あっけない」
駒場は、自分の戦果を確認すると呟いた。
そして、すぐに次の戦場へと向かう。すなわち、自分の仕事を順調にこなしている一方通行へと。
「さてさて、あっちのノルマも終わったみたいだし」
自分に刃向ってきた男たちを蹴散らした一方通行は、電極のスイッチを入れ替えると、歩みを進めた。
「1人で残業ってのも」
「それなら休ませてやろう」
しかし、そこに駒場利徳が現れる。
「
「駒場利徳か。一応理由を尋ねてやる」
自分の標的を見つけた一方通行は、駒場と対峙する。
「スキルアウトが能力者と戦う理由など、聞いても面白いものではない」
フン、と一方通行はその言葉を鼻で笑った。
「街を混乱させたうえで無差別攻撃ってことか?」
「無差別ではない。標的くらいはこちらで選ぶ」
無差別、という言葉が気に入らないのか、駒場はすぐに訂正する。
実際、彼らは無差別攻撃をしているわけではない。あくまでも、能力者が敵なのだ。無能力者ではなくて。
「中々余裕があるみたいだな。今の状況つかめているのか?」
一方通行は言うが、駒場は1つの機械を相手の足下に向かって放り投げた。
「俺が殺した」
それは、結標が使用していた低周波治療器だ。
一方通行はそれを確認すると、思わぬ戦力に相手を見る。
「……聞いていた話と違うな。日陰者たちも普通ならここではためらわない」
「そォかい」
一方通行は、チョーカーのスイッチに手を当てた。
「知っているか? 俺の前に立ったクソ野郎は、普通ならミンチになるんだぜ」
その様子を見た駒場はすぐに判断した。
彼は自分の首筋を人差指で突く。
「その電極。何らかの電子情報を送受信しているな」
自分の弱点がばれた一方通行は、すぐにスイッチを切り替える。そして、風を起こしながら一気に跳躍した。
これで終わり。
あの奇妙な右手を持つ男でもない限り、自分の能力を知り尽くした木原数多でもない限り、自分の能力は突破されることはない。
……そう、
駒場は、1つの缶を取り出すと、その中身をぶちまける。そこからは光を反射してキラキラと光る金属粉があふれ出した。
それを見た一方通行の表情が変わる。
「何だこれは?」
「
竹とんぼ状の薄い金属膜を辺り一帯に無数散布し、電波を撹乱する。1つ1つはシャーペンの芯ケースほどの大きさであるが、フタバガキ科の植物の種子を参考にした構造をしているそれは、マイクロモーターを使って緩やかに回転、自律浮遊を行うことができる。
そう、
風を使った空中での制御を失った一方通行は、そのままビルの側に取り付けられた作業用の足場に落下する。
駒場の追撃に対して、銃で応戦する一方通行。しかし、それすらも弾道を見切られ、躱されてしまう。その一方で、駒場はその強化された脚力で足場を叩き曲げた。
そして、駒場が新たな武器を取り出す。
「真っ赤に弾けろ!」
一方通行はその大口径の銃を見て、迷わず空中へ身を投げる。その直後、引き金が引かれ足場が爆散した。
「ぐあああァァァ!」
左肩から落ちたため、そこに激痛が走る。駒場は地面に飛び降りると、迷わず一方通行に向かって再び引き金を引いた。
地面に寝転がったまま、一方通行は横に転がる。そして、そこに先ほどまではなかった落ちていた銃をつかむと、引き金を引いた。だが、それは駒場には当たらずに、路地裏でビルとビルとの間に張られた、人工衛星対策であろう、布を飛ばす。
「チェックメイトだ」
駒場が銃を突きつける。
(そうやって、何の罪もない人間から順番に、不幸にするつもりか)
一方通行は、
「ふざけんじゃねェぞ、クソ野郎がァァァ!」
銃声。
両者の弾丸は、互いの体にきちんと照準を定められていた。
「ばかな……」
しかし、血を流した人間は1人。
「なぜ、お前の『反射』が生きている」
「バカじゃねェの?」
チャフというのは、空気中に金属膜をばらまくことで、電波障害を引き起こすもの。だったら、換気をすればよいだけだ。
駒場利徳は上を見る。するとそこには、先ほど一方通行の銃によって1つの結び目を絶たれた布が、風によってはためいていた。
「さァてと」
一方通行は立ち上がる。
「
駒場は慌てて攪乱の羽を取り出すが、一方通行によって蹴りとばされた石が、音速を超えた速さでその缶を飛ばし、駒場の体に突き刺さる。
さらに、一方通行自身が彼に肉迫し、そのベクトルを操作してその巨体を壁に叩き付けた。
「チェックメイト、だよなァ」
一方通行は、地面に蹲る駒場の前に立つ。
「無能力者というだけじゃ悪にはならねェ。ああいう連中が邪魔者扱いされるのは、単にお前らみたいなスキルアウトがはしゃいでいるせいだ」
彼は糾弾する。
権利の獲得? 安全の保障? そのような行動こそが、無能力者自身の首を絞めていたのだ、と。
それに対し、駒場はやはり冷静だった。
「もしもの話をしようか」
能力の優劣に、人格的な問題は考慮されない。中には強大な力を振りかざすだけの醜い人間もいる。
そういった能力者が、抵抗する力を持たないスキルアウト以外の無能力者をゲーム感覚で襲い続けていたとしたら?
「いずれこのような結末になることは分かっていたが」
駒場は地面に落ちた自分の携帯電話を見る。
そこには、金髪の幼い少女と共に写っている、駒場の姿があった。
「この野郎……」
一方通行がその言葉を漏らすのを聞いて、駒場は少し笑った。
「どうやら、今のお前は俺と似たような境遇にあるらしいな」
駒場は銃を構える。しかしその照準は先ほどとは違い、『反射』が有効である一方通行だ。
「手土産だ。この無様な光景を、胸に刻んでおけ」
銃声が鳴り響いた。
駒場の死を見届けた一方通行は、路地裏から出る。
『ご苦労様です』
電話で海原と話す。
『死体の搬送、及び証拠の隠滅はこちらで行います』
一方通行は収集車には乗らず、自分で歩く。
忠告を無視して通話を切ると、後ろに向かって声をかけた。
「生きてンだろ、結標淡希」
すると、路地裏の暗がりから少女が姿を現した。
「途中から見ていたけど、どこで気づいたのかしら?」
「バレバレなンだよ。鬱陶しい真似しやがって」
先ほど一方通行が地面に落とされた際に落ちていた銃。それは、彼女が転移させたものだったのだ。
「命の恩人に対して、そんな言葉づかいでいいのかしら?」
「命の恩人、ね。死ぬまで言ってろ」
そう言うと一方通行は歩き出した。
駒場の携帯電話を取り出すと、電話帳を探す。
「残業だよ、サービス残業」
だが、その帰りに彼は出会った。
「コンビニでコーヒーでも買っていくか」
そう決めてコンビニに向かった一方通行だったが、その途中でポストを抱きしめている女性に出会った。
そのまま通り過ぎようとした一方通行は、その顔を見ると思わず立ち止まる。
(どこかで見たような)
そう、彼女はかつて殺し続けたクローンと、そのオリジナルである御坂美琴にそっくりなのである。
「はいはーい、御坂美鈴さんですよー」
美鈴は一方通行の方へ振り返ると、そのまま押し倒した。
「て、テメエ……」
「趣味は数論のお勉強、特技は水泳、おっぱいは91センチでーす。……いけね、私結婚していたんだった」
美鈴はそこから起き上がる。
「あれ、断崖大学のデータベースセンターってどこだっけ?」
彼女に関わると、ろくなことにならない。
それを感じ取った一方通行は、無視して歩き出した……が、やはり彼女に足首をつかまれ倒された。
「知るか、タクシーでも捕まえろ!」
イライラですぐにでも殴り飛ばしたいのを抑えながら、一方通行は乱暴に叫ぶ。
その後、彼は彼女を乱暴にタクシーにぶち込んだ。
「それを言ったら、コロッケだって鍋の1つだと思う訳よ」
当麻は歩きながら言った。
すき焼き屋で解散した後、土御門は何かしら用事があるらしくどこかへと行ってしまい、駿斗たち3人は寮への道を歩いて帰っていた。
「それは極論過ぎると思うけどな。確かに、油という液体の中に具材を放り込むという点ではあっているが」
「作り立ての方がおいしいっていうのはその通りかも。あ、それならいっそ、私の前で当麻と駿斗が料理を作って、それを私が全部食べちゃうってほうが――」
そう話をしながら、寮に向かって夜の学園都市を歩いていると、突然「あ、あーっ!」という声がした。
駿斗たちがそちらの方を見ると、近くに泊まっていたタクシーの中から倒れるように女の人が出てきた。御坂美鈴である。
「御坂さん?」
「美鈴さんはもう何もいりませーん、むにゃ……いけね。ストレッチしてないし乳液も塗ってないじゃん。よいしょ」
何というか、完璧に泥酔している様子である。
2人は彼女を何とかしようと近づくが、
「おっしゃー、年下の坊やゲットー!」
当麻が押し倒された。
「こんな時間にぶらぶらしちゃってー、美琴ちゃんはどうしたのよーぐわっ!?」
駿斗は彼女の襟首を後ろから掴むと当麻から引きはがし、一度
「ねえねえ、断崖大学のデータベースセンターってどこだっけ?」
酔っ払い(美鈴)は、地面に拘束されたまま勝手に話を進める。
「レポートを書くための資料が学園都市にしかねーっつうもんだから、わざわざここにやってくるしかなかったんです」
「はあ」
「そうだ、電話番号とアドレス交換しよ?」
「唐突!?」
アドレス交換を済ませたことで満足したのか、彼女はタクシーに乗って目的地である断崖大学のデータベースセンターへと向かって行った。
一方通行は、夜道を歩いていた。
気になるのは、先ほど絡まれた、やっかいな酔っ払いの女性のことだ。
(御坂……偶然?)
自分が殺し続けたクローンとそっくりな容姿に、その
単なる偶然とは思えない。
一方通行は携帯電話を取り出すと、電話をかける。
『一方通行。何か御用ですか』
だが、そこから聞こえた言葉は予想していた物とは異なっていた。
「(チッ、割り込まれたか)悪趣味な野郎だなァ。お前が『グループ』の上か」
『質問の内容を承ります』
「何もねェよ。こっちのことはこっちでやる」
一方通行は不機嫌そうな様子で言葉を返す。
『お耳に入れておきたい案件があったのですが、ちょうどよかった。今始まったところですよ』
何? と彼が眉をひそめた時、鈍い音が響いているのが聞こえた。そちらを見ると、離れた場所にある1つのドーム状の建物から煙が出ているのが確認できる。
『かの御坂美鈴様より、断崖大学のデータベースセンターの利用申請が出されていたものですから、そちらを襲撃させていただきました』
襲撃?
「その御坂美鈴ってのは何者だ」
『御坂美鈴様は、御坂美琴嬢の母親にあたります』
その言葉で、一方通行は納得がいった。先ほどあった女性が恐らく御坂美鈴なのだろう。それならば、今までに見たことがあったような気がするのも頷ける。
何しろ、一方通行はその娘と同じ顔をした少女に1万人以上会っているのだから。
『回収運動、という言葉はご存知ですか?』
この間の『〇九三〇事件』によって、学園都市とローマ正教との摩擦は表面化した。そのために学園都市が戦場になる事を恐れた保護者が、子供を安全な地方に移そうと運動を始めたのだ。
その運動の中で、御坂美鈴は保護者代表の様な立場に居るらしい。
『多くの学生が学園都市を離れてしまうと、いろいろと困るのですよ。ですから、ここで摘んでおくことにしました。あなたも参加しますか、一方通行』
「何だと?」
『今回の件はスキルアウトに依頼したのですが、いやあ、手際が悪い。アシストしていただけるのであれば――』
その言葉を遮って、一方通行ははっきりと言った。
「お断りだ」
その上で告げる。
「俺の人生は俺のもんだ。そっちにどンな思惑があるのかは関係ねェ」
『そうですか』
通話先の相手は、さほど落胆している様子もなく言った。
『なら早く帰宅してください。それまであなたの能力はこちらで預かっておきますね』
そのとたんに、チョーカーの電極の様子が変わる。
彼は表情を変えて叫んだ。
「お前、電極に細工を」
『では失礼させていただきます。おやすみなさい、一方通行』
通話が切れる。
一方通行は舌打ちしたが、不敵な笑みを浮かべた。
「御坂美鈴、だったか」
高揚すら感じさせるような声で呟く。
「こいつを助けりゃ、上は歯ぎしりするんだよなァ」
体の向きを変えて、歩き出した。
その直後。
かつて自分を倒したツンツン頭の男と、もう1人その後ろから援護していた男が、目の前を横切って行った。
(あの野郎……いや、今はそれじゃねェ)
一方通行は余計な雑念を振り払う。
「さァてと、最も救いから遠い方法で、何もかも血まみどろに救ってやる」
「そいつらは多分スキルアウトだ!」
当麻は駿斗と共に走りながら、電話で美鈴と話していた。
『スキルアウト?』
「無能力者が武装して集まった、ギャングみたいなもん」
『私を狙うのはなぜ?』
その質問に、当麻は駿斗の方へと顔を向ける。駿斗は頷くと、当麻から電話を受け取った。
「色々考えられます。例えば、娘さんは学園都市に7人しかいない超能力者です。最近は保護者の人たちが学園都市から自分の子供を、戦争が起こる前に出そうとしているそうですね」
『ええ、そうよ。私はその運動で代表みたいなものをしているから』
その言葉を聞いた駿斗の表情が変わる。
「恐らく、それが原因です」
『え?』
「あなたの娘さんは1人で外の軍隊1つと戦えるほどの力を持っています。例え戦争に駆り出されることはないとしても、その戦力をアピールするだけで大抵の国は尻込みしてしまいます」
つまり、情報戦においては貴重な『戦力』となる。だから、手元に残しておきたいのではないか。
「それに、実際に回収運動が始まったら、それに倣って他の保護者達も動き出します。ですから、最初の1人を出さないようにしたい」
『……この街が不良に依頼したって言うの?』
美鈴の声が震える。
「この街が依頼したのか、それともマッドサイエンティストみたいな研究者が『被検体』を学園都市の外に出さないように依頼したのか……正確なところは分かりません。とりあえず、貴女が今はこの学園都市の将来、その一部分に大きく関わる可能性がある、ということは頭に入れておいてください」
駿斗は必要なことを伝えていった。
「御坂さん、アンタの娘には連絡したのか?」
当麻が叫ぶ。
「もしもまだ……」
『待って、美琴ちゃんはパス!』
電話口から、慌てたような声が聞こえてくる。
『私の問題にあの子を巻き込んだら……もう、あの子に顔をあわせられないわ』
「分かった」
駿斗は当麻に電話を返した。
「それなら俺たちが行く!」
『ええ!? 君たちにそこまでは頼んではいな』
彼女の言葉を最後まで聞かずに、当麻は電話を切った。
2人は目的地である断崖大学のデータベースセンターに向かって走る。
「当麻」
その手前で、駿斗は声をかけた。
「相手がスキルアウトだということは、お前の右手は通用しない。
「ああ。途中で防弾ガラスか何かを拝借する必要があるな」
駿斗の言葉に、当麻は頷く。
彼らは建物の中に入ると、まずは周囲の索敵から始めた。
(AIM拡散力場による感知から、もっとも効率よく美鈴さんを助けだすルートを考えないと……)
その時、駿斗は見覚えのあるものを感じ取る。
(……一方通行?)
それは間違いなく、夏に親友や幼馴染と戦った最強の超能力者のものだった。
(どうしてここにいるのかは知らないが、あいつが無能力者に加担しているとは考えにくい。目的が分からない以上は保留ってとこか)
そして、彼らは美鈴のいる場所を突き止めた。
扉を開く前に、小声で話し合う。
「(当麻、相手の数は5人。全員が銃を所持。俺が最初に武器を無効化するから、その後に続け)」
「(おう!)」
駿斗は
「何者だ!」
スキルアウトが発砲する。だが、駿斗はガラスを盾にすることもなく、やすやすと近づいた。
そして、ガラスを構えると念動鎧を解除し、銃に狙いを定めてその金属結合を分解していく。
「銃が!」
「こいつ、能力者か!」
その直後、後ろの扉から銃声が鳴り響き、スキルアウトが倒された。
「(一方通行!) 当麻! 御坂さんを連れて行け!」
駿斗は周囲のスキルアウトをなぎ倒すと、後ろからの銃に気を配りながら当麻の援護を始めた。