FAIRY TAIL転生記~炎の魔王の冒険譚~   作:えんとつそうじ

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どうも、最近ドラゴンボールとコナンの映画を見てきたえんとつそうじです。

いやーやっぱりコナンの映画は安定したおもしろさがありますね。まあ正直不満な点も少しありますがやはり夏はコナンの映画はかかせません。(今は夏かどうか置いておいて)

ネタばれになるのであまりくわしくはいえませんが、やはり蘭姉ちゃんの拳はすごかったといっておこう。

ただ、その映画を見ていた時一つだけ思いついたことがあって、実は最近無料の動画サイトでクトゥルフのTRGP動画を見るのにハマっているのですが、蘭姉ちゃんこのTRGPの世界で探索者になっても充分生きていけんじゃね?と考えました。

……いつかコナンとクトゥルフのクロス物を書くのもおもしろいかもしれないですね。だれか書いてくれないかな(黒笑)

まあ冗談はさておき、今回の話は前回最後に登場したシャルバについての説明会となります。説明会なので短いですが、それでもよろしければ暇つぶしにでもお読みください。


第十九話 ”貴賊”のシャルバ

 ”貴賊”のシャルバ。男が名乗ったその名を聞き、俺は思わず眉をひそめる。俺はその名に聞き覚えがあったからだ。

 

 確かここより少し離れた場所にある孤島を本拠地としている海賊たちの首領の名で、確か一度評議委員会の軍隊がその殲滅に送り込まれたはずだが、それを単独で返り討ちにした凄腕の魔導師だと聞いた覚えがある。

 

 なんでも元々はどこかの国の貴族だったらしく、天才的な若き魔導師として将来を嘱望されていたらしいが、裏で悪どいことをやっていたことが国にばれて国を追われ、海賊にその身を堕としたのだという。

 

 海賊に堕ちたとはいえかつては天才と謳われた魔導師。この男が率いる海賊団は、自然とその名が知れていくこととなる。

 

 だが、この辺りは近くに有名な魔法使いのギルドである幽鬼の支配者(ファントムロード)の本拠地が置いてあるオークの街が近くにあるために、今までやつらどころか他の海賊からも殆ど受けたことがないはずだが……。

 

「(まあ、今はそんなことどうでもいいか。とりあえず今はこいつをなんとかしないと)」

 

 そう思いながらも、俺は先ほどから笑みを浮かべながらも微動だにしていないシャルバへと視線を戻す。

 

「なるほど、このチンピラどもはあんたの手下か」

「いかにも。――――最も、所詮私以外は多少魔法が使えるだけのただのチンピラ。ただの数合わせだが」

 

 そういって、シャルバは俺とシドウさんが縛って放置していた、未だ気絶している自分の手下たちに蔑んだ視線を向ける。

 

「しかし、相手が失われた魔法(ロスト・マジック)の使い手とはいえ、このような子供にここまでこっぴどくやられるとは。少しもっと質を求めたほうがいいかもしれんな」

 

 ちなみに「ロスト・マジック」とはその威力や術者への副作用から使用者が限られていき、利用が禁じられ、次第に失われていった魔法のことで、一応俺の使う悪滅魔法(デビルスレイヤー)もこのロスト・マジックの1つに入る。……尤もこれはサーゼクスが創り上げた彼オリジナルの魔法なので、あくまで『一応』入るだけなのだが。

 

「しかしまさかハートフィリア財閥の令嬢の身柄を確保するために使っていたやつらまで敵わないとはな。あっちにはそれなりに腕っ節の強いやつを送っていたのだが」

「ッ!?じゃあ、ルーシィを攫ったのは」

「ああ、私の手の者だ。何せ世界有数の財閥の1人娘なんだ。たんまり身代金も手に入るだろうからな」

「(こいつ……ッ)」

 

 なんでもないように答えるシャルバのその様子に内心憤るが、ここで不用意に激昂して隙を見せるわけにはいかなかったのが、それを押し殺す。

 

「で、あんたが俺の前に出てきた理由はなんだ?まさかあのチンピラどもの責任をとってとっ捕まりにきたわけじゃあるまい?」

「それこそまさかだ。私がこの街に来た理由は二つ。一つは先ほどもいったようにハートフィリア財閥夫人、そしてその娘の身柄の確保。元々はこれが本来の目的だったのだが、実はもう一つ目的ができてな。――――それが貴様のスカウトだよ」

「スカウトだと?」

 

 訝しげに首を傾げる俺に、しかしシャルバはこれといって様子を変えずに話を続ける。

 

「ああ、私の目的のためには大勢の駒が必要であるが、あのような無能だけではなくそれなりに有能な駒もいる。だからこそ私には貴様が必要なのだ」

「目的?それはいったい……」

 

 俺のその言葉に、シャルバはその口元に楽しげに笑みを浮かべる。

 

「簡単だ――――復讐だよ」

 

 そしてシャルバは語る。かつての自分の生活を。

 

「俺はこの大陸の西方に位置するナツメグ皇国のベルゼブル公爵家の次男として生まれ将来を嘱望されていた。次男では家を継ぐことはできないが、公爵家の身分なら他の貴族家に養子に入るか婿養子に入るかで継ぐことはできるだろうし、俺には魔法の才能があったから宮廷魔導師を目指すという手もあった」

 

 ちなみに宮廷魔導師とは、前世のファンタジー物の小説や漫画などでよく登場する国に使える魔導師たちのことで、このリオの街が所属するフィオーレ王国にも名前は違うがそのような役職が存在する。

 

 将来の栄達を約束されていたシャルバであったが、しかしこの男は結局それだけでは我慢ができず、仲間を集めクーデターにより王の座を狙い、しかしそれが失敗してしまい命からがら国から逃げ出したのだ。

 

 そのことがよほど不本意だったのか、シャルバは先ほどまでの自信に満ちた笑みから一転、憤怒の表情で言葉を続ける。

 

「だからこそ私には駒が必要なのだよ!やつらをこの手で潰し、あの国を私の手中にするために」

 

 どこか恍惚としたようにそう語るシャルバの様子に、しかし俺は心の中で沸きあがる侮蔑の念を抑えることができなかった。

 

「ハッ。くだらないな」

「……なんだと?」

「ようはただの自業自得じゃねえか。そんな相手についていくなんてまっぴらごめんだよ」

 

 そう、こいつのいっていることは全てただの自業自得。その国の決まりがどうなっているかは知らないが、こいつが国を追われる原因を作ったのは自分自身だ。でなければ仮にも公爵家の地位にいる者が、宮廷魔導師にもなれるであろうほどの才能を持つ魔導師を簡単に手放すはずがない。

 

 そんな俺の言葉に、シャルバは目に見えて激昂する。

 

「貴様……ッ!?……いいだろう、少々惜しいが仕方ない。その命狩らせてもらう!!」

「上等だ、さっさとかかってきやがれ!」

 

 

 

 

 

 

 ――――そして、俺とシャルバの戦いは始まった。




どうでしたでしょうか?モデルが旧魔王派の一員だったから元貴族っていう設定にしてみたのですが。

それでは誤字脱字の報告や感想。アドバイスなどありましたらよろしくお願いします。

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