望んでないのに救世主(メシア)!?   作:カラカラ

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テンポが遅くて申し訳ありません。


第06話:ファーストコンタクト(序)

―尾北と駒木はWILLに乗艦後、眼前に着陸したMHオージェを見上げながら機械生命体の類ではないかと思い、名乗りを上げることにした。

 

「カイエン総司令、お初にお目にかかる。私は日本帝国軍の帝国連合艦隊第一戦隊中将の尾北 十蔵、そしてこちらは同じく日本帝国軍の帝都防衛軍第一戦術機甲連隊中尉の駒木 咲代子。お見知りおきを願う。」

「駒木です。よろしくお願いいたします。」

 

―尾北達が名乗りを終えた頃にオージェのコクピットハッチとファティマシェルハッチが開いてカイエンとアトロポスが姿を現し、甲板に降りた。気まずい雰囲気があたりを漂う。

 

 あ、やっちまった。外に出るタイミングを外してしまったなぁ。まあしょうがないか。

しっかし、目つきの鋭いメガネ美人(駒木)と小柄な軍帽をかぶったヒゲおやじ(尾北)が迎えか。実質ヒゲおやじ(尾北)が案内人でメガネ美人(駒木)が補佐ってところか。

 

「……オレが航宙艦WILL総司令のダグラス・カイエンだ。で、こっちがパートナーのアトロポス・ライム。」

「アトロポス・ライムです。よろしくお願いいたします。」

 

―尾北達が固まっていたのは登場のタイミングでなく、現れた人物が地球人と同様の身体的特徴を有しており、長身ながら若々しいカイエンと非常に可愛らしいアトロポスの姿を確認し、異常に若い人物が総司令を名乗っている事が悪戯の類ではないかと疑ったからである。

※注 この時点のカイエンは身長約2m、年齢50歳です。地球人換算だとだいたい14~15歳になります。

 

「カイエン総司令官殿、小官は会談の案内人としてこの場に参上しました。僭越ながら1つ確認させていただきたいのですが、総司令官殿はどこの国出身なのですか?」

 

 うん?どこの国出身って言っても国になど所属していないぞ。生まれも育ちもWILLだからな、敢えて言うならばWILL出身ってとこか?

 

「国に所属しているわけではなかったからな。敢えて言うならばこの航宙艦WILLが出身だな。」

「そういえば航宙艦とおっしゃられていますが、このメガフロートが航宙艦なのですかな?」

「これは宇宙から地球に降下した航宙艦だ。そのへんの浮島と一緒にしないでいただきたい。」

「しかし、ここ数日中大気圏に降下した宇宙船は観測されていません。これが航宙艦である証などないでしょう?」

「自分達の技術を過信しないことだな、観測できなかった=降下できないでは無い。観測できないように降下することができただけだ。それよりも、会談場所まで案内をしてくれ。」

「・・・そうですな、言い争ってもあまり建設的な話になりませんな。駒木中尉、出航の準備にかかるように小鯛艦長に連絡してくれたまえ。」

「はっ!」

 

―尾北中将の一声で駒木中尉は切り替える様に姿勢を正し、教科書的な敬礼の後に連絡船に戻っていった。

 

「では、この航宙艦に比べればかなり手狭ですが、連絡船ゆきかぜにご案内いたします。」

「わかった。アトロポスはオージェと共にWILLで待機だ。会談が終わったら連絡するから迎えに来てくれよ。」

「マスター、単独行動は控えてください。」

「いや、留守の間に侵入者が来る可能性がある。大丈夫だ、いざとなったらスクランブルをかけるから、その時に迎えに来てくれればいいさ。40年に渡る君の教えを受けた俺はそんなに頼りないかい?」

「マスター、私の監視を逃れてナンパしようとしていません?」

「…そんな訳ないだろ。」

「駒木中尉って少々余裕を持てない様子でしたが、頼りになる年上にはデレそうですよね?」

「そうそう、包容力を見せつけるのがポイント高そ……イ、イヤナニヲイッテイルノカネアトロポス君?」

 

 ヤバイ。見抜かれている。だが、WILLの守りの件は一応本当の事だ。これは押し切るしかない。

 

「はぁ、わかりました。くれぐれもやりすぎにご注意ください。彼らと私達が持っている常識の尺度が同一とはとても思えません。些細なことで誤解を招いて戦いにならないようにしてください。それがマスターの基本方針でしたよね?」

 

 その笑顔、ものゴッツウ恐ろしいんですが…。

 

「…嫉妬ですか?」

「もとより私はマスターに多くの配偶者ができることは賛成しております。純粋に優先順位を確認しただけです。それにあの子達もじきに目覚めるはずです。知識面は問題なくとも情緒面でトラウマになるかもしれませんので、あの子達の前では見本となる行動を取るようにお願いします。」

「もちろんわかっているさ。」

 

 そうか、アイツ等がもうじき目覚めるか。将来が楽しみだな。

 

「じゃあ行ってくる。留守を頼むよ。」

「イエスマスター、くれぐれもお気をつけて。」

 

―こうしてカイエンは尾北達と共に会場へ向かった。




補足ですが、本作のアトロポスは十本線です。(私の捏造設定です)
モーターヘッドマイトとしてのレベルは高いですが、天照帝ほどでは無いのでLEDやKOG級のイレーザーエンジンは製作不能です。但し、ファティママイトとしては星団最高級です。

WILLをメガフロート扱いしていることについては次話以降に説明が入る予定です。

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