真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

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お持たせしました!!
いよいよ、待ち望んでいた祭りが開幕です!!
熱い展開にしていこうと思いますので、最後までお付き合いの程お願いします

例の如くですが、違和感とかあったら教えて下さい


激闘開幕~若獅子タッグマッチトーナメント~
悠介と若獅子タッグマッチトーナメント 予選第1・2戦目


七浜スタジアム。本来ならば、一日で終わる筈だったのだが、予想以上の参加人数により、予選と本戦の二日間に分ける事となった、若獅子タッグマッチトーナメント。数百名を超える若き猪達がいる中で、本戦に進めるのは僅か十六組のみ。そのわずかなイスを争い若獅子達は戦う。

 

『さあ~って、熱い熱戦が繰り広げられております。此処七浜スタジアム。果たして、本選に勝ちあがるのは、一体どの組なのか~~!!』

 

実況であるアナウンサーの声がスタジアムに響く。解説として呼ばれた百代も仕事をこなしていく。しかし、ある組が出た瞬間、全ての事を投げ出し、その試合にのみ集中する。

 

――――さあ、お前は勝ち上がって来るか?悠介。

 

たった今、闘技場に上がったその姿を見て不敵に笑う百代。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、チーム『赤報隊』VSチーム『地獄殺法コンビ』試合開始」

 

審判の声と共に試合が開始される。

 

「はあ~~よりによって初っ端から兄貴と当たるとか、ツイてね~~」

 

試合が開始されると同時に、天は気落ちした声をこぼす。彼の強さをまじかで知っているのだから無理もないだろう。

しかし、一度自身の武器であるゴルフクラブを握れば、その表情は一端のモノとなる。

 

「天衣は、羽黒の相手を頼む。天は俺がやる」

 

「ああ、任せろ」

 

「はあ~~。相楽って、うちの事舐めてる系?」

 

「なわけあるかよ!!兄貴が勝負事で舐めることないって、師匠も言ってたし…うちもそう思う」

 

悠介の言葉にクラスメイトで悪役レスラーの娘羽黒は怒りを露わにするが、天の言葉に納得を見せる。そんな瞬間だった。風が吹いたと思った刹那、天衣の蹴りが羽黒を吹き飛ばす。

 

「ぐォ、強烈。でも平気だし!!」

 

確かに威力があるが堪えれないわけでは無い。だからこその言葉。しかしその姿を見た天衣は不敵に笑う。

そう自分の役目は、分断し勝負の邪魔をさせないこと。自身に意識が集中するなら、文句はない。

その時間で悠介が決めると信じているから。

 

「さて、行くぜ天!!」

 

「おうよ!!」

 

言葉と共に、二人は同時に地面を駆ける。片方は拳を握り、もう片方は武器であるゴルフクラブを振りかぶる。

 

「オラァっ!!」

 

「くらえ!!」

 

 

互いに本気の一撃がぶつかる。金属音と共に天が後方に吹き飛ばされる。一撃の中で悠介はその感触から、天の戦型を悟る。

 

――――受け流す、川神の流水の型を基礎にしてる。てことは、さっきのも俺の一撃を流して、くれてやる腹だったか。

 

――――痛って~~。やっぱ、兄貴の一撃は普通じゃねよ。ウチが流せないなんて。

 

相手の力量を知った者、相手の強さを再確認した者。そして二人は即座に次の手に出る。悠介はさらに加速し、天はその場でゴルフクラブを回転させ迎え撃つ構え。再び握られた悠介の拳が放たれようとした瞬間、悠介の視界の端に銀色が映りこんだ刹那、回転させ威力の上がった一撃が悠介にぶつかる。

 

「うっっし!!ストライクだぜ!!」

 

長物特有の間合いの変化。その変幻自在な一撃は必中という確かな自信のある一振り。

その証拠に悠介の身体がグラついている(・・・・・・)。もう一撃と構える天、しかしその視界に自身が想像していたモノと全く違う光景が映りこむ。

グラついていたと思っていた悠介が身体を回転させ目の前に迫って来る。攻撃が当たると同時に、攻撃の方向に身体を回転させ、ダメージを流した。

 

「それって師匠がウチに」

 

天が何よりも驚いたのは、今悠介が見せた動きは、自分が師匠から目指すべきといわれた動きなのだから‥‥驚愕する天に悠介は告げる。

 

「忘れたか?一応、お前らの兄弟子だぜ、俺」

 

宣言と共に握られた拳が天を貫く。声を出す間もなく、天が地面に沈む。

その瞬間、悠介達『赤報隊』の勝利が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天との勝負からから約一時間後、再び悠介は闘技場に立っていた。

 

「天の次はお前か、竜」

 

「兄貴が相手とはツイてねぇ‥‥‥でもよぉ、例え兄貴でも敗ける気はねえぜ!!」

 

「ああ、それは俺もだ」

 

互いに獰猛に笑う悠介と竜兵。

 

「天衣、竜の相方は任せるぞ」

 

「ああ、了解した」

 

「ルディテメェは俺の後ろに居ろ、邪魔だ」

 

「ワカッタ」

 

互いに一対一(サシ)での状況を作れるようにすると同時

 

「チーム『赤報隊』VSチーム『ドラゴンヘッド』試合開始」

 

開始の合図がかかる。瞬間、二人は地面を蹴る。

 

「オラァァァァアアアア!!」

 

竜兵が雄叫びを上げながら力任せに拳を振るう。

本来の悠介ならば、簡単に避けれる一撃を前に悠介は、その一撃に己の拳をぶつける。

一瞬交差する視線の中で、悠介の真意を読み取った竜兵は嬉しさを堪えきれないという様に笑う。

 

「ハハハ。やっぱ、最高だぜ兄貴!!」

 

ただ力の限り振るわれる拳。そしてそれを全て受け止める様に放たれる拳。単純解明な我と力の押し付け合い。

 

「オラァ!!」

 

「ハァッ!!」

 

獣の雄叫びと共に放たれる右フックに鋭い拳がぶつかり合う。そしてぶつかり合った拳をそのままに二人は、腰を落とし力を籠める。

 

「オラァァァアアアアッ!!」

 

「おおおおぉぉぉぉぉッ!!」

 

互いに拳をぶつけ押し合う。骨と骨が軋む音が響く、それでも二人は力を緩めない。

そして、ぶつかり合いから三十秒弱拮抗が崩れる。徐々に悠介の拳が竜兵の拳を押し始め、そしてそのまま弾き飛ばす。

 

「やべッ!!」

 

「シィ」

 

体勢を崩した竜兵に腹に悠介の拳が放たれる。苦悶の声をこぼす竜兵だが、即座に体勢を戻し悠介に肉薄する。

 

「体勢がわりぃぞ!!」

 

悠介の言葉通り現状の竜兵の体勢からでは、拳は打てないだろう。

そう拳は…

 

「オラァッ!!」

 

咆哮と共に放たれたのは、頭突き。意表を突いた一撃を前に悠介は

 

「あめぇッ!!」

 

己も頭突きを繰り出す。乾いた音が響き、二人の動きが完全に止まる。

 

「マジかよ‥‥石頭すぎるぜ、兄貴」

 

額から血を流し、倒れ込む竜兵を悠介が支える。

 

「ああ、そこは釈迦堂のおっさんからも言われたよ」

 

決着を告げる宣言が成される。再び悠介達『赤報隊』の勝ちが決まる。竜兵を救護班に任せた悠介は、ゆっくりと控室に戻る。

ここまでは順調そのもの。されど悠介は、少しも油断なく次を見据える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠介と竜兵との勝負からさらに数時間経過し、次々に本戦へとコマを進める者達が増えてきた。番狂わせなしの組から完全にノーマークな組まで多種多様だ。

そして燕も危なげなく本戦に勝ち進んでいる。

 

「長げぇ」

 

「無理もないだろう。前半の内に二試合終わらせたんだ。三勝すれば、本戦行きを決めるからな。仕方ないんじゃないか?」

 

「でもよ‥‥長すぎねえか?この分だと、俺ら最後の試合じゃねえか」

 

愚痴を言いながら適度な緊張感を保ち続ける二人。そんな二人を本戦行きを決めたペアは、感心した様に見つめる。緊張を張り詰め過ぎれば、いざという時に精神的な疲労が大きくなる。逆に緊張を張らねば即座に肉体を戦闘へと動かせない。

そういう意味で最初に二試合し最後の最後に三試合目が行なわれるのは、不利でハンデの筈だが二人はそれを全く感じさせない。

 

「悠介」

 

「クリスか」

 

そんな中で先に本戦に進んだクリスが悠介に激励言葉を掛けに来る。

 

「そこまで気張る必要はないのではないのか?悠介程の実力ならば、本戦行きは確実だろう。自分やマルさん…他のメンバーもそう思っているぞ」

 

絶対的な確信を含んだ言葉に悠介は薄く笑う。

 

「そう言って貰えるのは、嬉しいが…‥ならあいつ(・・・)もそれにあたるからな。油断も慢心も出来はしねえよ」

 

「あいつ?」

 

悠介の言葉に首をかしげるクリス。自分の知る限り少なくと残っているメンツの中で、悠介と対等に戦える様な者はいなかったと思うのだが。

 

「ああ、そうか。お前確か、そん時(・・・)気絶してた(・・・・・)んだよな。だったら、知らなくて当然か」

 

悠介の言葉にクリスは「一体誰を言っているんだ?」と問おうとした、その時

 

『そこまで!!さあ、既に十五組が本戦行きを決め、残すイスはただ一つ。先んじて二勝を挙げているチーム『赤報隊』の最後の対戦者が決まったぞ――――ッ!』

 

アナウンサーの声が控室に届く。それを聞いた瞬間、悠介はクリスとの話を切り上げ、獰猛な笑みを浮かべながら闘技場へと歩き出す。その後を天衣が追う。

既に十五組のペアの名前は覚えている。その中にヤツ(・・)の名前が無かった時点で、悠介はその対決を確信していた。

 

悠介に声を掛けようとしたクリスだが、燕の手がそれを静止させる。

 

「松永先輩…?」

 

「ごめんねクリスちゃん。でも声を掛けちゃダメだよ。ライバル(・・・・)と戦えるってご機嫌だから」

 

「え?」

 

燕の言葉にクリスは呆けた声を出す。悠介のライバルは百代ではなかったのか?そんな疑問を感じたのか、燕は笑みを浮かべながら答える。

 

「悠介君とモモちゃんは、宿命って感じのライバル。で、悠介君と()は同じ道を目指すライバルって感じかな」

 

「一体誰なのですか?あの悠介が、ライバルとする者は」

 

クリスの興味津々な質問。周りを見渡せば、本戦出場を決めたほとんどの者達が興味深くその話に耳を傾けている。

それを見て燕は画面に視線を向けながらその者の名を告げる。と同時、アナウンサーが最後のカードを発表する。

 

『本戦出場を賭け、最後に激突するのは―――――チーム『赤報隊』とチーム『出世街道チーム』だッ!!」

 

「彼の名前は石田三郎(いしださぶろう)。悠介君と同じ道を征くライバルだよ」

 

燕の視線のテレビ画面には、ほぼ一瞬で敵を切り裂く石田の姿が映っていた。




いかがでしたでしょうか?
この対決は、この小説を書いて行くうちに実現させたかったので、自分的にとても嬉しいです!!

そして次回、たぶん皆様が全く想像していない様な展開になると思います・・・・・いろんな意味でですが

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