真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

5 / 91
鉄心の口調がいまいちわからない

これであっているのだろか?

そして、主人公のセリフが一言しかない・・・・ヤバくね?


少年と始まり

神奈川県川神市。未だに多くの武士の血筋が残る一種の人外魔境。

拳で乗り物を破壊でいる人間がいたり、手から男達の夢であるビームを出す人間もいたり、呆れるほどに人間のワクから外れた者達が多く住んでいる土地である。

そんな土地で、少年は生まれた...

 

◆◇◆◇

 

「うん、完全に折れてますね」

 

「やっぱり、そうですか」

 

葵紋病院小児科で、一人の母親と医師が何度目かわからない話をしている。

 

「やはり、こう何度も続く様でしたら、あそこ(・・・)へ入れるべきではないでしょうか?」

 

「あそこと言うのは、あの場所ですか?」

 

「ええこれ以上、我流でやり続けて取り返しのつかない怪我をする前に、プロがいる場所できちんとやった方が、彼の為にもなると思いますよ」

 

全く同じ患者が、四度も同じ事で医師の元を訪れたのだ。医者である彼がその言葉を言っても何ら不思議ではない。

 

「それが、やっぱり一番いいですかね」

 

そう言って母親は、右拳に処置をしてもらっている息子に、視線を向ける。

彼女の息子は、何度も拳を岩に叩き付け、拳を折って来た。

理由を聞いても何も言わない息子に、母親は寂しさを感じている。

恐らく、あの場所に連れていけば、息子はさらに自分から離れていくだろう。

それが母親には、耐えられない物だ。だが同時に、息子の夢を叶えてやりたいと言う、母親らしい想いも持ち合わせている。

だから...

 

「悠介」

 

一度視線を落とした後、母親は自分の息子の名を呼ぶ。

その声に反応し、悠介と呼ばれた少年は母親に視線を向ける。

 

「あなた、川神院で修行してみない?」

 

母親である彼女が選んだのは、自分の気持ちではなく息子の想いであった。

 

◆◇◆◇

 

川神院。日本の武の総本山とされる場所であり、その場所には、日本の最終兵器(リーサルウェポン)と称される総代川神鉄心がいる。

他にも、強者が多く属している川神の土地が人外魔境と言われる由縁とされる場所だ。

武を生業にする者達にとって、川神院とは聖地にも近い場所である。

その場所の門に悠介と母親はいる。

 

「すいません。お電話をさせて貰っていた、相楽ですが」

 

「おお、お待ちしておりました」

 

母親が門に向かって問いかけた瞬間、彼女の目の前に鉄心は現れる。

突然の事に驚く二人。そんな二人の反応を見ながら鉄心は、気さくに話しかける。

 

「驚かせてしまったようじゃな。まあ話は、聞き及んでおります。取り敢えずこちらへ」

 

「あ、はい」

 

鉄心の案内に従い、二人は一つの和室に通される。

 

「さて要件は、其方のご子息を川神院に入門させたいとのことじゃったな」

 

「はい」

 

鉄心の言葉に母親は強くうなずく。

 

「うむ、理由をお聞きしても?」

 

 

無言で黙っている悠介を一度見た後、鉄心は母親に問う。

 

「この子の悠介の為としか言えません」

 

「...なるほど」

 

しばしの間視線を逸らさずに、悠介の瞳を見ていた鉄心は、納得いったと言うようにつぶやく。

 

「わかりました。ご子息の入門を認めます」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

鉄心の言葉に母親は、喜びの声を上げる。心なしか悠介も喜んでいる様に思える。

 

「さてと坊主、お主の名前は何という」

 

鉄心は母親にではなく、悠介本人に名を問う。それはある意味で、少年を試しかのかもしれない

 

「相楽.......相楽悠介」

 

鉄心の問いに悠介は、まっすぐと鉄心を見つめながら自分の名前を口にする。

これが相楽悠介の武人として始まりの一ページ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。