真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

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お待たせしました!!

題名でわかる通り彼らとの絡みです
全くと言っていいほど絡んでなかったので、そろそろ絡ませないとと思いまして

そして今回、悠介の武が語られます

違和感とかあったら、教えて下さい


悠介と風間ファミリー

昼休み。悠介は、ゲンと共に食堂で昼飯を食べていた。

 

 

「その弁当すげえよな。もしかして手作りか?」

 

 

「おう、まぁな」

 

 

ゲンの弁当を見た悠介の言葉に、本人は気にした風もなく答える。それを聞いた悠介は、すげえなと感動した様な声を漏らす。

 

 

「それにしてもやっぱ、食堂は賑やかだな」

 

 

「そらそうだろ。つか、弁当食うのに何で食堂で食べようなんて言ってんだよお前は」

 

 

ゲンの指摘に悠介は、わりぃ、見てみたかったんだからいいだろ? とに答える。その答えを聞いたゲンも、まあ仕方ねえか とそれ以上追及しない。

はた目にも仲が良さそうに食事をしている二人。

そんな雰囲気の中に

 

 

「プレミアムに見つけたッ!!」

 

 

「あわわ~、まっ待ってください~~」

 

 

二つの声が届いた。自然と二人の視線は、声のする方に向けられる。

 

 

「黛と…誰だ?」

 

 

悠介が振り向いた先にいたのは、自分の悪友と同じグループに所属する黛と体操服であるブルマに身を包んだ気の強そうな少女。

 

 

「一年S組のクラス代表の武蔵小杉だ」

 

 

(さんきゅうー)

 

 

名前が出ずに困っている悠介に、ゲンがこっそりと名を教える。

 

 

「相楽先輩。このプレミアムな私と勝負して下さい」

 

 

二人がそんなやり取りをしてると知らない小杉は、真っ先に目的を告げる。瞬間、悠介の瞳が鋭くなる。

 

 

「本気なんだな?」

 

 

「当然です」

 

 

確認するような悠介の問いに小杉は力強く頷く。

 

 

「わあったよ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

そう言って二人がワッペンを重ねた直後

 

 

「では、これより決闘の儀を始めるとするかの。恐らくそんなに時間もかからんじゃろ」

 

 

鉄心が現れる。鉄心の言葉を聞いた悠介は頷き、グラウンド向けて歩いて行く。

 

 

(よし!第一段階成功。今話題の彼をプレミアムに倒せば、私の名は一躍上がる。うふふ…プレミアムに踏み台になって貰いますよ)

 

 

そんな怪しい笑みを浮かべる小杉を黛は心配そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラウンドに既に多くの生徒たちが集まっていた。

 

 

「相変わらず、祭りごとが好きだな」

 

 

辺りを見渡した悠介は、面白そうにそう言う。

 

 

「それでは双方準備はいいか」

 

 

「当然」

 

 

「問題ありません」

 

 

「それでは……始めッ!!」

 

 

鉄心の合図と共に小杉が駆け出す。

 

 

「先手必勝、喰らえプレミア~ムキック」

 

 

放たれた蹴りに対して悠介は動かずに、そのまま直撃を喰らう。

 

 

(勝った!!)

 

 

自分の攻撃に絶対の自信があるが故の確信。だが、単純に相手が悪すぎた。

 

 

「やっぱ、合わねえわ」

 

 

「え!!?」

 

 

横腹に蹴りが直撃したにもかかわらず、何事無く平然としている悠介。

 

 

「俺に喧嘩吹っかけて来るから、どんなもんかと思って受けて(・・・)みたが、やっぱ性に合わねえわ。やっぱ、こういうのは攻めてなんぼじゃん?」

 

 

「え‥え?」

 

 

未だに戸惑う小杉の軸足を悠介が踏みつけ、動きを止める。

 

 

「お前もそう言う口だろ?しっかり、堪えろよ」

 

 

「え”?」

 

 

そう言って振り込まれた拳。足を止められている小杉に躱せる訳もなく

 

 

「ぐえぇ~~」

 

 

潰されたような悲鳴を上げながら地面に沈んだ。

 

 

「まあ、筋は悪くねえよ。これから頑張れや」

 

 

「勝者 相楽悠介」

 

 

地面に沈んだ小杉を見ながら告げる悠介。それが終了の合図となった。

誰もが当然かと思うなか

 

 

「だだだだから、一撃入れたら離れて下さいと言ったのに~~」

 

 

「ムサッコスの奴、まゆっちのアドバイス全無視かYO」

 

 

黛と松風が呆れと心配?の声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小杉との決闘が終わり、放課後。帰り支度をしている悠介に風間達が近づいてくる。

 

 

「よう、相楽」

 

 

「うん?どうしたんだ」

 

 

悠介の問い。風間の後ろには、なぜか嬉しそうな百代と戸惑っている黛もいて、さらに若干の殺気も感じるからこその問い。

しかし、風間の言葉はよりいっそうに悠介を混乱させる。

 

 

「喜べ!!お前も今から風間ファミリーの新入り候補だ!!」

 

 

「はあ?」

 

 

何言ってんだ?と言わんばかりに顔をしかめる。

そんな悠介の反応を見た大和がゆっくりと事の詳細を話し始める。

 

事は昨日の秘密基地での出来事。

 

『よおし、全員揃ったな』

 

『急にみんなを集めて何をしようってんだよ、キャップ』

 

ガクトの問いに対して風間は高らかに告げる。

 

『前々から検討していた、相楽をメンバーとして向かい入れるかに決まってんだろ」

 

『いや、今初めて聞いたよ!!』

 

風間の言葉にモロがツッコミを入れる。

 

『またキャップの悪い癖が出たな』

 

『えーいいじゃねえか。あいつ面白そうだしよ、何よりかっけえし』

 

そう言って若干不貞腐れたような表情を見せる風間。

 

『私は反対。これ以上増えるべきじゃない』

 

風間の言葉に京が真っ先に否定の言葉を述べる。そしてそれに続く様に

 

『うんまあ、僕も反対かな。確かに良い人ポイけど、此処に連れて来るのは全くの別問題なわけだし』

 

『俺様も勿論反対だぜ。あいつは、俺様達の敵だ』

 

モロとガクトも否定を述べる。

 

『俺はもちろん賛成な。モモ先輩とかはどうよ?』

 

『私も賛成だぞキャップ。むしろ私も推薦する』

 

風間の言葉に百代は嬉しそうに賛成を述べる。

 

『私も賛成。悠介君ならここでもやっていけると思うわ』

 

『自分も賛成だな。相楽の奴とは、互いの正義についてもっと話してみたいと思っていたんだ』

 

百代に続き一子とクリスも悠介を仲間とするのに賛成の意を告げる。

 

『今んとこ、賛成が四で反対が三か。大和ーお前はどうだ?』

 

風間の問い。問われた大和に視線が集まる。大和の脳内であらゆる事が思考される。そんな中で、一瞬大和の脳裏に、嬉しそうな百代の姿が浮かび上がった。

 

『……俺は、反対だ』

 

『さすがわかってる大和ぉ。結婚して』

 

『お友達で』

 

『賛成が四で反対が四の五分か。まゆっちは中立だろ?』

 

『ははい。私はよくわからないので』

 

『まゆっち、どもらなく答えられてきてるぜ。この調子でクラスのみんなに話しかけるんだーーー』

 

全ての意見が出た。それを踏まえてリーダーである風間は決断を下す。

 

『よし。クリスと同じくお試し期間で見極めるか。無理そうだったら、速切り捨てるで。それでいいか京?』

 

『みんなが決めたら、それに従う』

 

そこで議題は終わりいつも通りの彼らの日常が流れる。しかし、そこでも悠介の話題が上がり始める。

 

『それにしてもよ~相楽の奴ってカッコイイよな。こう、真正面からの全力での正面突破とか‥くぅ~憧れるぜ』

 

『確かにな。それに悠介のタフさ、あれは異常だ。一体どんな訓練をしたらああなるんだ?』

 

『お姉さまは、何か知ってる?』

 

一子の問いに百代は昔を思い出すように語り始める。

 

『悠介のタフさは、天性の物じゃない。むしろ環境とあいつの根性が生み出したものだ』

 

『どう言う事だ?』

 

『昔川神院で悠介の修行を見ていたのは釈迦堂って言う師範代でな。私と同じ壁越えのマスタークラスだ。そんな人にずっと殴られたり技を受けたりしていたからな、後たまにルーさんやジジイも混じっていたからな。あいつ曰く「タフにならなきゃ死んでた」って言ってたぞ』

 

『それは、確かにあれだけ頑丈になるわね』

 

『納得だ』

 

百代の言葉を聞いたクリスと一子は若干引き気味に納得したと頷く。

 

『じゃあさ。モモ先輩は、相楽の強さの秘訣とか知っての?』

 

興味津々に問う風間。百代は僅かに視線を一子に向けて答え始める。

 

『前にも言ったが、悠介はハッキリ言って才能はない。それでもあそこまでの強さを持っているのは鍛錬によるものだ』

 

『!!』

 

『例えばだが、ワン子とクリスならわかると思うが、あいつの拳はとにかく重い』

 

『ああ確かに。あれは自分が知る限り一番だったな』

 

『私もそう思ったわ』

 

百代の問いに経験ある二人は頷く。

 

『だがそれは決して筋力だけじゃあない。あいつの筋力はたぶんガクトと同じかそれ以下だろ』

 

『だったら何で、俺様は吹き飛ばされたり、モモ先輩に押し勝てるんだよ?』

 

『簡単だ。あいつは力積や中国拳法の(けい)を使って内部に自分の力を伝えてるんだ。他にも合気道で相手の重心を崩したりしてな』

 

『『『??』』』

 

『まあ分かりやすく言うと、あいつの打った拳は内部の筋肉や臓器にモロに来るんだ。重いと感じたのは、その衝撃のせいだ』

 

『ではモモ先輩に競り勝ったのも、頸と言うモノなのか?』

 

『いいや。それだけなら私も負けない。だが、悠介はそこに合気道とかを色々な武術を組み合わせてるんだよ』

 

現に単純な力比べなら私は勝ってるしな。と自慢げに胸を張る百代。

 

『つまり悠介の奴は‥』

 

『ああ、あらゆる武から自分に合った技術を取り込んで、正真正銘の「相楽悠介の武」を完成させたんだ』

 

『つまり自分専用って事かよ。くぅ~~~~やっぱりカッコイイぜ!!』

 

『うん?でもよ、それでモモ先輩と戦えるなら、何でみんなやんねえんだ?』

 

ガクトの感じた疑問。それに答えたのは、百代ではなく黛だった。

 

『それは凄く危険な賭けでもあるからです』

 

『どう言う事だよ、まゆっち』

 

『合わせると口で言うのは簡単ですが、本来完成された二つの技を重ね合わせると言う事は、互いの良さを打ち消しかねないんです。本来の武術同士ならともかく、全く違う武術となると重心の運びや技の入りまで全く違います。下手をしたら互いの技がお互いに相殺しあって、本来以下の技となってしまいます』

 

『分かりやすい例は、マルギッテとの最後の戦闘で見せた拳だな。あれは大雑把にいうと、二つの技の合わせ技だ』

 

『いったい何なのだ?』

 

『一つは先ほどから言っている「頸」そして最後の一つは川神流「蠍打ち」だな。止まって勢いを伝える頸と筋力を動かし放つ蠍打ち。他の技術でカバーはしてるだろうが、これだけでもどれだけ難しいかわかるんじゃないか』

 

『確かにな。全くの正反対とまではいかないが、相反しているな』

 

『うん。私も蠍打ちを使うからよくわかるわ』

 

一子とクリスは、黛が言った事の難しさを完全に理解し、僅かに汗を流す。ガクト達も百代の説明と二人の反応から、それがどれだけ難しいモノかを理解する。

 

『悠介の武は、文字通り切磋琢磨して完成された…いや、あいつの努力の果てに勝ち取った強さと言う訳だ』

 

勿論、それをなす為の土台をキッチリと作ってくれた人達が居る訳だがな。と百代が締めくくる。

 

『やっぱ、相楽ってカッコイイぜ』

 

全てを聞き終えて発せられた風間の言葉は、ある意味全員の気持ちを代弁したものだったのかもしれない。

 

 

 

 

「と言う訳だ」

 

 

「なるほどな」

 

 

大和からの説明を聞いた悠介は合点がいったと、改めて風間達を見る。

 

 

「なあ、入ろうぜ。絶対に楽しいからよ」

 

 

風間にそう言われ悠介は、しばし思考する。

確かに面白いだろう。そう言ったメンツが揃っている。そしてそれは自分の拠り所になるだろう。

だからこそ

 

 

「わりぃな。ガラじゃねえし、止めとくわ。普通のダチ枠でよろしく」

 

 

そこに縋る訳にはいかない。そこに今縋ればきっと自分は……

 

 

「え~~何でだよ~~」

 

 

「そうだぞ悠介。こんな美少女達と仲良くなれるんだぞ!!」

 

 

「なぜそこで、その口説き文句が出たかは、めんどくせぇから聞かねえわ」

 

 

「でも本当に楽しいぞ」

 

 

「クリの言う通りよ。ね?一回だけでいいから入ってみましょ。きっと気に入りわよ」

 

 

風間や百代そして一子とクリスが誘い掛ける。ただでは引き下がらないと察した悠介はある言葉を投げかける。

 

 

「リーダーって確か風間だったよな?」

 

 

「おうよ」

 

 

「だったらよ、示してくれよ。俺がお前の下に入ってもいいと思えるモノを。お前らの中に入りたいと思えるモノをよ」

 

 

早い話が俺を惚れさせてみろってことだな。と告げる悠介。一瞬、呆けた風間だが次の瞬間には笑みを浮かべながら

 

 

「何だよ~めちゃくちゃ面白そうじゃねえかッ!!良いぜ、その勝負受けた!!絶対にうちに入れてやるからな覚悟してろ」

 

 

承諾の意を伝える。その瞳は燃えている。

 

 

「おう。そん時は、俺の方からお願いするぜ」

 

 

そう言って二人は拳をコツンとぶつけ合う。百代達も何も言わずに黙っている。それは信頼。キャップならば必ずと言う信頼からの沈黙。

 

それが終わると、風間達は教室から出ていく。そんな中で悠介は、京を呼び止める。

 

 

「なあ、椎名」

 

 

「なに‥」

 

 

「お節介になるかもしれねえが、一応言っておきたくてな」

 

 

「だからなに?」

 

 

僅かに間をあけ、悠介は京に告げる。

 

 

「変わらないのは、全員(・・)が変わり続ける(・・・)からだ。それだけは忘れるなよ」

 

 

そう言って悠介は、教室から退室する。悠介の発言を聞いた京は、訳が分からんと言った表情で

 

 

「意味が分かんない」

 

 

ただそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を出た悠介は、そのままに下足で靴を履きかえていた。

 

 

「おう。さっきぶりじゃねえか、直江。どうした?」

 

 

そこへ現れた大和。

 

 

「相楽は…何でそんな非効率的な事をしてるんだ?」

 

 

「あ?」

 

 

突然の問い。意味が分からずに、呆けた声を出す悠介。

 

 

「何で勝てないってわかってる姉さんに挑むんだよ。何で敵を多くつくるんだよ。どれもこれも利益がないじゃないか」

 

 

そんな悠介の反応を見て大和は、自分が思っている事を詳しく告げる。

大和の言葉を聞いた悠介は、納得がいったと頷き、告げる。

 

 

「まあお前からしたらそう思っても不思議じゃねえわな。でもまあ、俺はたぶんガキ何だろうな。単純な話、お前みたいに器用に生きる事が出来ないってだけだ。もし、器用に生きれてたら、俺はこの文字を背負ってねえよ」

 

 

そんだけだ。と言って再び歩き出す悠介。大和はただ黙っている。

 

 

「うんじゃあ、また明日な」

 

 

手をブラブラと振りながら去る悠介の後ろ姿を見ながら大和は

 

 

「だったら何で、お前は姉さんにあんな顔をさせられるんだよ」

 

 

小さく胸の内をこぼした。

自分の知る限りでは、一番の笑み。対等な戦いが出来ないと危うげだった彼女は、悠介が来てから嬉しそうに笑うようになった。それは自分がどれだけ手を尽くしても得るとこが出来なかった笑み。それなのに、悠介がいると言うだけで彼女は、嬉しそうな笑みを常に浮かべている。

 

これじゃ俺がバカみたいじゃないか。強く拳を握りしめ、大和は小さく呟いた。




いかがでしたでしょうか?
実はパワータイプに見えた悠介は、テクニックタイプでした!!
足りない要素を他で補い、自分だけのモノに研磨していったゆえの完成系です
少しは、悠介が努力していたと言う事が伝わればいいのですが

そして京と大和との会話
大和の方はともかくとして、京に伝えた言葉…この伏線?みたいなのを自分は回収できるか?(オイ)

大和の方は、決着付けないとな…(こんな感じで行っていって大丈夫かな?)


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