真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
漸く本編の更新です
思った以上に会話を考えるの難しくて手間取ってしまいました
その為、違和感とあったら教えて下さい
燕が来るまでエントランスで待っていた悠介の前に現れたステイシーと李の二人。悠介は、ステイシーに連れられて、エントランスに置かれた机と椅子に座って話をしていた。
「つか、こんなとこでサボってていいのかよ?」
「問題ねーよ」
「先ほど、休息の時間を頂いています」
「そーゆーこと。お前も暇何だろ?だったら、この美女コンビとロックに会話といこーぜ」
「まあ、燕が来るまでの暇つぶしにはなるか。・・・あんたもいいのか?」
「ええ、私も貴方とは話をしてみたいと思っていたので、問題ありません」
「そうか。ならいいや」
李から確認を取った悠介は、二人が了承しているなら問題なしと判断。自分も燕が戻って来るまでの時間つぶしになると同意する。
そんな感じで会話が始まった訳だが、話題は当然、悠介の話となった。
「やっぱお前ロックな奴だぜ!!まさか
「あのヒューム卿に喧嘩を挑むとは・・・何て命知らず」
「そうか?・・つか、さっきから苦しんだが」
「うん?なんだよ、こんな美女にご奉仕されてるんだぜ?もっと喜べよな!!」
現在の悠介は、ステイシーの豊満な胸を押し付けらている。米国産の柔らかな感触が悠介の顔を包んでいる。普通ならば喜びだろうが、ある意味馴れてしまっている悠介からすれば
「いや、息苦しいんだけどよ」
ただ息苦しいだけのだ。
「何だよ、そんなノリがわりぃぞ!!もっと、ロックに行こうぜ!!」
「あんたの相方だろ?どうにかしてくんね」
悠介はステイシーに言っても無駄だと悟ると、傍で控えている李に助けを求める。
助けを求められた李は、ゆっくりとステイシーに話しかける。
「ステイシー。それでは話が出来ませんので、離してあげてください」
「お!それもそうだな。ほらよ、後でまた可愛がってやるぜ」
李の言葉を聞いたステイシーは、悠介を解放する。解放された悠介は、背筋を伸ばし縮こまっていた身体をほぐす。
「たっく、なんか最近似たような目に合いまくってる気がするぜ」
「・・・ステイシーも言っていましたが、そう言うのは男の子にとっては、大変喜ばしい事なのでは?」
悠介の呟きに李がふとした疑問を問いかける。
「あ?別に興味がねえ訳じゃねえぞ、俺だって男の子だからな。ただ、今はそれに興味が湧かねえほどの夢があるだけだぁ」
そう別段悠介にそう言った感情がないわけでは無いのだ。可愛いと思うし綺麗とも思う。しかしそう言った事は、小さきときからつるんでいた百代や燕のお蔭で、馴れただけだ。
何処か誇らしく儚げに、ただ真っ直ぐに告げる悠介の姿。だからだろうか、自然と李は興味が湧いた。恐らく、彼の生き方を聞いた者が問うであろう問いを口にする。
「そこまでして貴方が叶えたい夢とは一体何ですか?」
李の素朴な疑問。ステイシーも興味があるのか、悠介の言葉を待っている。
二人の視線を受けながら悠介は、静かにその背に刻まれた文字を指し示めし
「ただ、この文字を背負う。それだけだ」
告げる、己の夢を。
「この文字だぁ?」
「・・・・」
悠介の宣言と共に、二人の視線が羽織に刻まれた『惡』と言う文字に集まる。
「その文字。何を
「・・・・わりぃ、それは俺もよくわかんねえ」
「は?」
「マジか?」
李の質問に対し、悠介は困った様に言葉を発する。悠介の言葉に、二人は単純に驚きの声を上げる。
「自分でも理解出来ないモノを目指しているんですか?」
李の疑問も当然だ。元来、何かを目指すのには、確固たる理由が必要だ。たとえ最初が憧れだったとしても、追う内に理由が形成されるモノ。
だと言うのに、目の前の少年はまだそれが分からないと言うのだ。
それは霧の中を道もわからずに進むと同義なのだから。
「う~ん、どう説明していいのか、自分でもよくわかんねえだけどよ。そう言う物じゃ、ねえんだよな。示すんじゃなくて・・・・」
クリスにはああ言ったが、本当は自分でもよくわかっていない。この『惡』意味を、本当の意味では。
だって、自分の様に
それでも僅かに理解できたのが、クリスに言った言葉ともう一つ。
それは
「むしろ、自分を追い込んでいくもんだな」
「??」
「はあ?」
自分の弱さの・・無力さと非力の肯定。己の弱さゆえの悲劇を心に魂に縫い付ける為の言葉。
二人にはその言葉の真意は理解できない。
それでも数秒ののちに理解する。
(本当に見た通りの性格なのですね)
(ロックな奴だぜ。ますます気に入った!!!)
ただ、悠介のその顔をその目を見れば、自分達には理解出来た。彼が言わんとする事が、そして悠介が歩まんとする道を進む覚悟を。
李は、その儚さゆえに何処か見守る様に ステイシーは、その覚悟故に楽しそうな笑みを浮かべる。
二人がそんな表情をしている中、悠介がふとした疑問を口にする。
「そう言えばよ、アンタらは何で九鬼で働いてんだ?」
悠介が見た感じ、二人からはマルギッテと同じ雰囲気を感じる。上手く説明できないが、何となく真っ当な形で九鬼で働いている様に思えない。
悠介の疑問を聞いた二人は、自分達だけが聞くのも悪いと思い話始める。
「私はよ、同じ傭兵で同僚だったあずみの奴がメイドとして働き出したって聞いてよ、ばか笑いしに会いに行ったのよ。そしたら、運悪くヒュームのジジイに見つかってよ、メイドを笑うとはいい度胸だ的な事を言われて無理やりな・・・あ~糞、今思い出してもファックな気分だぜだぜ」
「私は、元々は帝様を暗殺を依頼されたアサシンだったのですが、クラウディオ様に阻止されまして、自殺をしようとした所で逆にスカウトされたと言う訳です」
「いろんな意味ですげえな」
二人の話を聞いた悠介は、驚きと呆れを込めてそう言う。何と言うか、色々と規格外すぎる。
そんな悠介の反応に、李はまあその通りですと呟く。そしてステイシーはと言いうと
「だからよ、お前がヒュームのジジイのに喧嘩を売ったって聞いた時から、会ってみてえと思ってたのよ!!しかも今の話を聞く限り、お前もなかなかロックな奴だかな、気に入ったぜ!!」
再び悠介を抱き寄せていた。悠介は、最早抵抗するのも諦めて成されるがままにされている。そんな二人の姿を李は、若干微笑ましそうに見ている。
「・・・いい加減に離せよ」
米国産の豊満なそれを顔に押し付けられ続けた悠介は、我慢の限界と言った感じで反論を口にする。
「おいおい、何ってんだよ!この私が直々にこんなことする機会なんて、普通はねえぞ」
「何だ。誰彼構わずにするんじゃねえのか?」
「ファック。私はそんなに軽い女じゃねえぞ。昔の仲間でもやった事はねえからな。・・・そう言えばジムの奴、次の戦場から生きて帰って来れたら、あたいの胸を触らせてくれって・・」
「あん?」
突如雰囲気の変わったステイシー。頭を押さえ、何かに耐える様な表情をしている。その様子に疑問を持つ悠介。
そんな悠介の反応を見た、事情を知っている李はゆっくりと口を開く。
「ステイシーは偶に傭兵時代の思い出をフラッシュバックして、憂鬱になる事があるんです」
「なるほど」
李の説明を聞いた悠介は納得したと言わんばかりに頷く。そして納得したが故に再びステイシーに視線を戻す。戻した視線の先には、未だに憂鬱そうに顔を下に向けるステイシーがいた。
「・・・・」
彼女は恐らく前を今を見ていない。過去に囚われている様に、少なくとも悠介には見えた。そして悠介はそう言う奴らを知っている。
それは、他でもない己が憧れる男。時代が変わり彼が剣士に会うその時まで、彼はずっと過去に囚われていた。
だからこそ、悠介は考えるよりも先に体が動いた。
悠介は優しくステイシーの髪を撫でる。突然の行為に驚くステイシーだが、それよりも早く悠介の言葉が紡がれた。
「前を見ろよ」
「ッ!!?」
「そんな
そこで悠介はいったん言葉を切る。
「過去を糧に前へ。ロックに生きようじゃねえか。それが生き残ったアンタの務めじゃんねえのか?」
伝えたい事を告げる。悠介の言葉を聞いたステイシーは、ゆっくりと手を上げて頭を撫でる手を払いのける。
「うん?」
「何時までも撫でてんじゃねえよ。あたいは年上だぞ」
悠介の鼻先に指を押し付けながら怒るステイシー。そこには先ほどまでの憂鬱な姿など感じない。
「少しは前は向けたか?」
「ファック。そう簡単に変われたら苦労しねえぜ」
「そらそうだな」
ステイシーの言葉に悠介も同意する様に頷く。そんな悠介を見なながらステイシーは意を決したように
「でもまあ、ありがとな」
ガシガシと頭を掻きながら、照れくさそうにステイシーは礼を述べた。
礼の言葉を聞いた悠介は、気にすんなと一言で返した。
そんな相方の姿を李は面白そうに見ている
「そう言えばよ、アンタって何つうか笑わねえと言うか、感情が表に出てねえよな」
「ええ、暗殺者だったころの影響で感情を殺すの基本となっていますので。どうしても
「・・・」
ふとした疑問の答えを聞いた悠介は、どう反応して良いのか分からずに沈黙する。そんな悠介の反応を見た李は「お気になさらずに」と簡潔に告げる。
苦し紛れだった。何か言わなければならないと、思って出た言葉だった。
「過去をなかった事にすんなよ」
「え?」
「いや、上手く言えねえけどさ。過去を切り捨てて、新しい自分を作るんじゃなくてよ今を基礎に出来るんだからよ。無理に人をマネて笑おうなんて考えんなよな」
一度口に出してしまったセリフ。だが不思議と、後が続いた。
李も悠介の言葉に自然と耳を傾ける。
「きっと、アンタには
言われた言葉。それがあまりにも優しく温かくて
「そうですね」
クスッと微笑みがこぼれた。
「おっ!今、笑えたじゃねえか」
「私も初めて見たぜ」
「え?」
「何だ無意識か。でもまあ、これなら笑える日は近けえかもな」
悠介にそう言われた李は、確認するように手を顔に当てる。意識していたわけでは無いそれでも確かに口角が僅かに上がっている。
「気長にとはいかねえけど、自分のペースで頑張れや」
悠介の背を押すような言葉。それを聞いた李は、再び意識する訳でもなく
「はい」
僅かだが、李・静初らしい笑みで答えた。
それを見た悠介も笑みを向けて返した。
その後二人は、僅かにスッキリした様な表情で、悠介に別れを告げて去っていった。
二人が去って暫らくしたのち、エントランスに燕が現れた。
それを確認した悠介は、立ち上がりその場を後にした。
いかがでしたでしょうか?
マジ恋の世界においてあの二人は、一番るろ剣の題に合ってると思って考えた結果ああなりましたが、どうでしたでしょうか?
良かったら、感想をお願います