真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

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お待たせしました!?

えーっと、最後の学年末テストがあって、更新が止まってしまっていました
報告も出来ずにすみませんでした!!
でも、これで学校にもほとんど行かなくて済むので、今後は執筆を頑張っていこうと思います(でもあんまり期待せずにしていてください)

まあ、そんな話は置いといて、今回、悠介の七・八人目のヒロイン?候補が二人が登場します
本格的な会話は次回に持ち越しですが(因みにすでに一回登場しています)

そして今回、燕のあるルートをぶっ壊します

例のごとく、違和感とかがあったら、教えて下さい


悠介と九鬼 その1

清楚と話した翌日。いつも通りに、学校に登校する。悠介が教室の扉を開けようと手をかける。しかし、悠介の手はそこで一旦止まる。

 

 

「・・・・」

 

 

扉越しから伝わる殺気。本来ならば、全く関係ないはずだが

 

 

「やっぱ、昨日ことだよな・・?」

 

 

前回の件を踏まえると、悠介には心当たりがあった。今思えば、あの場所には多くの生徒が居たのだ、直ぐに広まってもおかしくはない。

本音を言えば、めんどくさいし今すぐにでも帰りたいが、そんな事を思っても始まらないので

 

 

「仕方ねえか」

 

 

めんどくせえとため息をこぼしながら、悠介は教室の扉を開けた。

 

ガラと教室の扉を開け、一歩踏み込んだ瞬間

 

 

「俺様達モテない男達の恨みを思い知れぇぇぇええええええッ!!!」

 

 

悠介の耳にある意味悲しい想いが籠ったの言葉が届く。それと同時に、声の主であるガクトの拳が悠介の視界に飛び込む。

何とも予想通りの光景。迫りくる拳だが、悠介はあえて避けずに、その一撃を受ける。

 

確かな手ごたえを感じたガクトは笑みを浮かべる。だが、ガクトは失念していた。今自分が殴りかかった相手がどう言う人物だったのかを。

 

直撃を喰らった悠介だが、実際は大したダメージにはなっていなかった。悠介は、小さく拳を握る。向こうの想いを受け止めたのだ、ならば今度は自分が想いの丈をぶちまけても構わない筈だ。

 

 

「俺が・・・」

 

 

拳を引きながら、呟く悠介。

そして

 

 

「知るかぁぁぁぁあああああああああッ!!!」

 

 

「ぐへぇ!!」

 

 

自分の想いを拳に乗せて打ち抜く。その一撃にガクトは、潰れたカエルの様な声を出しながら、地面に倒れた。

その姿を確認した悠介は、かったりぃと呟きながら自分の席に向かう。誰一人としてガクトの心配をしていない。

むしろ

 

 

「あ~あ、だからそうなるって言ってるのに」

 

 

「全くもって学ばん奴だ」

 

 

「しょーもない」

 

 

「ガクト・・・お前の犠牲は無駄にしねえ!!必ず、相楽の奴を討つと誓うぜ」

 

 

「いやいや、まだ死んでないからねッ!!」

 

 

呆れの言葉が辺りに飛び交っていた。

 

 

 

「よお、朝から災難だったな」

 

 

席に着いた悠介をねぎらう言葉をかけたのは、席が近いゲンだった。

ゲンの言葉を聞いた悠介は、苦笑をこぼす。

 

 

「ああ、全くだぜ。あの手のバカは嫌いじゃねえが、あそこまで絡まれると、ただめんどくせえ」

 

 

「確かにな・・」

 

 

悠介の言葉にゲンは、考え深そうに頷いた。

 

 

「大丈夫?はいこれ、ストレスが溜まった時は甘い物が一番だよ」

 

 

「おお、助かるぜクマちゃん。ゲンも一緒に食おうぜ」

 

 

「ああ、構わねえ」

 

 

「それじゃあ、はい」

 

 

「サンキュウ」

 

 

恐らく川神学園一の食通 熊飼満(あだ名はクマちゃん)一押しのデザートを受け取る、悠介とゲン。

結局、授業が始まるまでの間、悠介とゲンそしてクマちゃんを交えて話し合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、またもや男子たちの襲撃を受けた悠介だが、問題なく撃墜したのち、燕と合流し、二人はある場所に来ていた。

 

 

「おっきいね」

 

 

「確かにデカいな」

 

 

二人が見上げる建物の名前は九鬼極東本部。悠介と燕の二人は、依頼主である紋白に呼ばれて、ここまで来たのだ。

 

 

「う~ん、此処に松永納豆を置いてもらえないかな?」

 

 

「下らねえ事言ってねえで、さっさと行くぞ」

 

 

「あっ!待ってよ、悠介君」

 

 

燕に一声かけた後、先を行く悠介。その後を慌てて追う燕。

そして、そのまま本部の玄関まで行くと、すでに其処に迎えがいた。

 

 

「お待ちしていました」

 

 

「えーと確かアンタは、あの時いた」

 

 

「確か(リー)さんでしたよね」

 

 

「はい。九鬼家従者部隊序列第十六位 李静初(リー・ジンチェー)です。紋様の命を受けて、お迎えに上がりました」

 

 

自己紹介をしたのは、かつて紋白が悠介たちに依頼をしたときに、付き添っていたメイドの一人だ。

彼女の挨拶が終わると、まるでそれを見計らった様に、もう一人のメイドが姿を現した。

 

 

「わりぃ、リー。遅れちまった」

 

 

「またですか、ステイシー。何度も言っているでしょう、集合は五分前が基本だと何度も言っているでしょう」

 

 

「ファック。おめえもうちっと、肩の力抜けよな」

 

 

現れたのは、物静かな李とは対照的な活発な碧眼金髪の美女だ。彼女の名前は、九鬼家従者部隊序列十五位 ステイシー・コナー。李とは、対照的だが年も序列も近く何かと気が合うので、よくコンビを組んで活動している。そして、あの時悠介たちの元にいたもう一人のメイドだ。

 

 

「はあ、もういいでしょう。とにかく、仕事が先です」

 

 

「おうよ。うんじゃまあ、ちゃちゃっとやりますか」

 

 

そう言って悠介と燕の案内をはじめる二人。そんな姿を見ながら、悠介と燕はその後を追う。

 

 

 

「おお。高さそうな物がそこらかしこに」

 

 

内部に入った燕は、その豪華さに圧倒される。悠介も口には出さないが燕の意見と同じだ。

 

 

「付かぬ事お聞きしますが、そこに在るツボのお値段は?」

 

 

「確か二億だったけ?」

 

 

「正確には二億四千万です」

 

 

「うわーじゃあ、あそこにある絵は?」

 

 

「四億六千万ですね」

 

 

「飛んでもねえな、おい」

 

 

次々に告げられる値段に悠介は、若干引き気味になりながらも驚愕の声を上げる。

 

 

「これだけあるんだから一個ぐらい、盗ったって気がつかないよね?」

 

 

「おいおい」

 

 

「やめろ、バカ」

 

 

危ない発言をし始めた燕をステイシーがジト目で睨み、悠介がその頭にチョップを叩き込む。

 

 

「あう。冗談だよ、悠介君。・・あ!じゃあ、最後の質問ね、此処で一番価値があるモノって何かな?」

 

 

「うんそらあ、大広間の巨大絵画か・・・いや、やっぱ九鬼家が集めた重要機密が詰まったパンドラメモリじゃんねえか?見た事ねえけど」

 

 

「ステイシー。それ以上は、機密事項です」

 

 

「わあってるって」

 

 

ステイシーの口から告げられた言葉。それを聞いた燕はフーンと興味がない様な素振りを見せる。いや、実際には既に興味を失っているのだ。

 

 

(やっぱり、噂は真実なんだ・・・まあ、関係ないけどね)

 

 

確かにもしも自分が悠介と出会っていなかったならば、その噂を信じただろう。今の状況ならば、尚更だ。

でも、知ってしまったし、憧れてしまった。彼の相楽悠介の生き方に。ならば、自分もそれを奪うなどと言った行為は出来ない。してしまえば、恐らく自分は彼の隣に居る事が出来なくなるだろう。

 

勿論、家族が再び揃うのが今の自分の目標だが、それ以上に彼の隣に居ると言うのが燕にとっては何よりも大切なことだった。

だから、その居場所を失う様な危険で愚かな行為などする気もなければ、考える気にすらなれない。

 

 

(あ~あこう言うのを、染められるって言うんだろうな)

 

 

横目に悠介を見ながら燕はそう自分の状態を評した。

 

 

「こちらです」

 

 

そうこうしている間に、紋白が居る場所に着いたのか、李が扉の前で止まっている。

そして、二人はゆっくりと部屋の中に入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでな」

 

 

「ふむふむ」

 

 

「・・・」

 

 

どうしてこうなった?自分の目の前で展開される女子トークとでも言えばいいのか?それを見ながら悠介は、何度も自問自答を繰り返す。

最初は、間違いなく契約の内容やらを話していたはずだ。眠いながらも必死に意識を保っていたから断言できる。

しかし、ある程度話が纏まったあたりから家族の話に移り変わった。・・たぶん、そこだろう、話が大きくずれたのは。

話を聞く限り、どうやら紋白は隠し子だったらしく、他のきょうだいと半分血が繋がっていない。しかも、本妻とも言える九鬼局(つぼね)に良い感情を持たれていない事に気がついている。だからこそ、認めて貰いたいのだと。恐らく川神百代の討伐も姉を想っての事なんだろう。

 

そしてその話に、ある意味似た状況とも言える燕が食いついた。そうなったら後は早かった、あれよあれよと意気投合してしまったのだ。

 

 

これは長くなりそうだなと感じた悠介は、燕に一声かける。

 

 

「燕。エントランスで待ってるわ」

 

 

「りょーかい。もうちょっとしたら、私も行くね」

 

 

「いいから、ちゃんと付きやってやれよ」

 

 

そう言って悠介は紋白の部屋から退室した。

 

 

 

 

 

 

エントランスで燕を待っている悠介。椅子に座り、ただぼーっと時間が燕が来るのを待っていた。が、何もせずに待つと言うのはなかなか辛いのか、暫らくして悠介の意識は夢の中に沈んだ。

 

 

『助太刀ありがとうよ。だけどこいつは俺の相手だ』

 

そう言いながら男は、剣客の方を見据え

 

『わりぃけど、此処は仕切りなおさせて貰うぜ』

 

そう宣言した。その言葉に剣客は、静かにその場を任せる。

 

『補充完了。バカな男よ。ノコノコ火葬されに来るとは』

 

『バカはおめえだ。タネの割れた手品が何度も通用するかよ』

 

男のセリフに火男(ひょっとこ)と名乗る男は怒りを露わにし

 

『俺様自慢の技が手品などと言うやつは、全員火葬してやる!!』

 

口から大量の炎を吐き出した。迫るは、圧倒的な熱量。誰もが回避を優先しようと考える最中、男は

 

『しゃらくせえ!!』

 

あえて炎の中に飛び込み、そして男の口から油袋を取り出す。

 

『もうお前に勝機はねえ。大人しく降参しな』

 

『バカめ』

 

『あ?』

 

『勝機がないのは貴様だ。その火傷した拳では先ほどの拳打は打て・・ま”い”!!?』

 

勝利を確信した火男は、大きく拳を振り抜こうとするが、それよりも早く男の蹴りが顎を打ち抜いた。

倒れた火男を見据えた後、男は後ろに控える剣客の方を向き

 

『楽勝!!』

 

勝利宣言を告げた。

 

そこまで映像を見ていた悠介だが、突如意識が現実に持っていかれる。

その理由は・・

 

 

「フハハハ!!我の帰還である!!」

 

 

「ハイ、お帰りなさいませ英雄様ぁ!!」

 

 

この二人である。

 

 

「るせぇ」

 

 

「うん、貴様は一子殿のクラスに転入した庶民ではないか」

 

 

ふとこぼした悠介の呟きを聞き取った英雄が近づいてくる。

 

 

「なぜ、此処に居るのだ?」

 

 

英雄の問いかけ、しかし悠介は答えずにその姿を見て

 

 

(何だよ、よく似てんじゃねえか)

 

 

紋白の心配が悠介には憂鬱に思えた。

 

 

「はぁーい、そこのあなた。英雄様が問いかけてるんだから、しっかりきっちり答えて下さい。さもないと~はらわた抉りますよ~」

 

 

ずっと黙っていた悠介にあずみがキレた。英雄から見えない角度から短刀を悠介に突き付ける。

 

 

「あ~悪い。此処居る訳は、まあ連れを待ってんだよ」

 

 

(こいつッ、あたいの脅迫に欠片も動じてねえ。ヒュームの爺さんとやりかけたってのは、どうやら本当らしいな)

 

 

あずみの短刀を気にすることなく話す悠介。その姿にあずみは、小さく警戒の色を見せる。

 

 

「連れとな?一体誰だ?」

 

 

「燕」

 

 

「おお、紋が気に入ったと言っておった者だな。ふむ、紋の奴も頑張ってるでないか」

 

 

紋白関係の話になった瞬間、英雄のテンションがより上がる。それを見た悠介は

 

 

(ホント、愛されてるじゃねえか)

 

 

紋白に向けられる愛情の深さに笑みを浮かべる。

 

 

「英雄様、そろそろお時間が」

 

 

「おお、そうであった。ではまたな庶民」

 

 

高笑いをしながら、颯爽とその場を離れる二人。去っていく二人を見ながら悠介は、嵐みたいな奴らだったなと、ある意味場違いな感想を抱いていた。

 

 

 

英雄との嵐の様な会話から数分、再び悠介はエントランスで燕を待っていた。

 

 

「やっぱ、ただ待つのも暇だな・・・もう一回ねるか?」

 

 

悠介がそう考えていると

 

 

「おっ!そこにいるのは、ロックな坊主じゃん」

 

 

「どうしてこんなところに?」

 

 

ステイシーと李のメイドコンビが現れた。




いかがでしたでしょうか?
因みに、七人目のヒロイン?候補がステイシー・コナー
    八人目のヒロイン?候補が李・静初です
年上キラー悠介君の毒牙に、美女がまた・・・・・

三人の会話は、次回をお楽しみください
出来るだけ、期待に添えれるように頑張っていく心算です


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