真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

37 / 91
今回は、前回が結構真面目な話だったので、ちょっと阿保らしい話にしてみました
何つうか、こう言った話の方が簡単に肉付け出来るんだよね
真面目な戦闘とかは、結構悩む癖に・・・・

今回は、初めて集団戦にチャレンジしてみました
その為、違和感とかあったらお願いします


悠介と嫉妬

釈迦堂と板垣一家との出会いから翌日の月曜日。悠介はいつも通り登校し、いつも通りに授業を受けた。

休み時間には、クリスや一子などと武について話し合いをしたり、昼休みにはだらけ部で弁慶と一緒に川神水を飲みながら、時間一杯まで昼寝をしたりした。

悠介自身、そこそこに楽しい学園生活を送っている。

 

そして時間は放課後に至る。

 

 

「おい、相楽」

 

 

「あん?」

 

 

HRも終わり教室から出ていこうとした悠介の耳に、自分を呼ぶ声が届く。声のした方に振り向くと、悠介程でないにしろ面構えが悪そうな少年が立っている。

 

 

「確か、源だっけ?」

 

 

「おう。源忠勝だ。ゲンでいい」

 

 

「じゃあ、ゲン。何の用だよ?」

 

 

何かしたっけ?言わんばかりの声音にゲンは、手で頭を抑えながら

 

 

「何の用も何も、明日はお前が日直だろうが。だから、日誌の書き方が分かんねえんじゃねえかと思ってな」

 

 

ぶっきらぼうだが、何処か気遣う様な声で悠介に日誌を突きつける。その言葉を聞いた悠介は、メール話で聞いた通りだなと小さく笑みを作る。

 

 

「そらぁ助かるわ。最悪甘粕にでも聞こうと思ってたんだが、何つうか頼るのは嫌だったんだよな」

 

 

「確かにな」

 

 

悠介の言葉にクッと笑みをこぼすゲン。それを見た悠介も再び笑みをこぼす。小さい体で背伸びして一生懸命に頑張る甘粕にあまり負担をかけたくないのだ。

一度席についた二人は、日誌を開きながら仕事の内容などを話している。

 

 

「まあ、大体こんなもんだ。わかったか?」

 

 

「ああ。まあ、大抵は向こうと一緒だったしな」

 

 

一通り離し終えたのか、二人は席を立つ。

 

 

「今日は助かったぜ。さんきゅうな、ゲン」

 

 

「別に。俺はただ、もしもお前が仕事をミスして、小島先生の機嫌を損ねるとめんどくせえと思っただけだ」

 

 

「そうかい」

 

 

告げられた感謝の言葉に、ゲンは顔を逸らしながらぶっきらぼうに言葉を返す。

その姿は何と言うか、大したことをした訳じゃねえのに褒めてんじゃねえよと、感謝されるのに戸惑っている様にも見える。

だからこそ悠介は、それ以上何も言わなかった。

 

 

 

「まあ、これからも迷惑かけるかもしれねえが、そん時はまた助けてくれると助かるんだが?」

 

 

「・・・・俺に迷惑が掛からん程度になら、助けてやる」

 

 

「ありがとよ」

 

 

悠介の言葉に仕方ねえなと言うように頷くゲン。彼は恐らく助けてくれるだろう。その不器用な優しさを持って。

だからだろうか

 

 

(ある意味初めてかも)

 

 

源忠勝と友になりたいと思ったのは?対等な敵ではなく、友でありたいと願ったのは初めてだった。

何か上手く言葉に出来なのだが、なぜかとても気が合う様な気がするのだ。

 

そのまま二人は教室を後にする。しかし、気分が良かった悠介は気がつかなかった。

教室を出た自分を監視する影に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲンと共に教室を出た悠介は、グランドの中央辺りで立ち止まっていた。

 

 

「はあ」

 

 

頭を掻きながら悠介は視線を下に向けながら、大きくため息をついている。そう言えば、今日の晩飯って何だったけな~?と空を仰ぎながらそんな事を考える。

まあ、燕が居るし納豆料理は確定出だろ。しかも、昨日新しい料理を編み出したとか言ってたし、今日は納豆料理オンリーだな。

そう言えば、今日は久信さんの帰りが遅いとか言ってたし、燕と二人で晩飯だな~。

 

 

「はあ」

 

 

二度目の溜息。メシを食う前に川神山にでも寄って汗でも流すかなと、今後の予定を組み立てる悠介。

 

 

「あ~」

 

 

とても疲れたような何処かめんどくさそうに声を発した悠介。本音を言えば、ものすご~くめんどくさいし、関わりたくもないのだが、そうもいきそうにない。

 

よし!そろそろ現実を見よう。

 

 

 

「一応聞くけど、何の用だ?」

 

 

呆れたように周りを見渡しながら悠介は、そう言い放った。そう言った彼の視界には、修羅たちがいた。

否、断じて誤字ではない。グラウンドを埋め尽くさんばかりに、大量の血走った眼をした男子たちが悠介を睨んでいるのだ。

 

悠介の言葉に一人の男子が一歩前に出る。

 

 

(福本だよな)

 

 

現れたのは、悠介のクラスメイト。確かあだ名は、ヨンパチだったけ?

悠介がそんな事を思い出しているのと同時に、ヨンパチが話始める。

 

 

「諸君!!私はリア充どもが嫌いだ」

 

 

「はあっ?」

 

 

突然何の脈絡のない言葉に悠介は、素っ頓狂な声を上げる。しかし、悠介の反応など関係がないと言わんばかりに、ヨンパチは話し続ける。

 

 

「我々が、一人寂しくしている時を同じくイチャイチャしているカップルどもが憎い。ましてや、ラブコメの様に女子を取り換える野郎など、我らの宿敵と言ってもいい」

 

 

ヨンパチが言葉を発するたびに、悠介の周りを囲う男達の殺気が跳ね上がる。

 

 

「つまり、何が言いたいんだ?」

 

 

今一要領のえない言葉を聞いた悠介は、単刀直入に彼らの目的を問う。

 

 

「決まってんだろ!!初日のモモ先輩とのラブコメの主人公の様なラッキースケベに始まり、先週の土曜日に川神の地に舞い降りたアイドル燕先輩とデートしていたと言う情報が上がってんだよ!!しかもその後河川敷で、モモ先輩といい感じの雰囲気で居たって言う情報も上がってるんだよ!!!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

悠介の言葉に答えたのは怒りに表情のガクトだった。ガクトの言葉を聞いた悠介は、余りの理由に唖然としている。

 

 

「つまりそう言う事だ。我らは、美女を独占する貴様と言う敵を打ちに来た。そうだろ?同志たちよ!!」

 

 

「「「「「「「然り!!然り!!然り!!」」」」」」」」」

 

 

「よろしい。行くぞ、同志たちよ」

 

 

ヨンパチの言葉と共に男達が駆け出そうとする直前

 

 

「あれ?どうしたの悠介君」

 

 

可愛らしい声がグラウンドに届いた。その場にいた全員が、声のした方向に視線を向けると

 

 

「これはこれは、もしや・・・」

 

 

 

「燕」

 

 

人差し指を顎に当てながら、首をコクンと傾げる燕の姿があった。その姿を見た悠介は、助かったぜと安堵の息を吐く。

 

 

「こいつらがよ。俺とお前が、デートしてたとか意味の解らん事を言ってんだよ」

 

 

「なるほどなるほど。ふ~ん、そうかそうかぁ~」

 

 

悠介の言葉を聞いた燕が、二ヤリといやらしい笑みを見せる。その笑みを見た悠介は、直感と経験からヤバイ!と思い、即座に動こうとするが、それよりも燕の言葉の方が早かった。

 

 

「何でもいいけど悠介君、早く帰って来てね?今日はおとんもいないから、二人で楽しく晩御飯食べたいんだから、ね?」

 

 

「おまっ!!」

 

 

何言ってんだ!!と吠えるよりも先に、燕はそのまま悠介たちの元から去っていく。その姿を見送った悠介は、再び現実逃避しようとするが、それよりも早く

 

 

「一緒にだとッ!!!!」

 

 

「まさかすでに嫁だとッ!!」

 

 

「親の公認だとぉッ!!」

 

 

男達が壊れた。慌てて悠介が誤解を解こうと話しかけるが、男達は聞く耳を持たずに

 

 

「諸君!!我らのアイドルを、あの糞野郎の手から解放するぞ!!」

 

 

「「「「「「「■■■■■■■■■■■■■■」」」」」」」」」

 

 

「せめて、わかる様に話してくれよ」

 

 

悠介に向かって駆けだす。

それを見た悠介は、対話を諦めて静かに拳を握る。

そして、男達が襲いくるよりも早く

 

 

「らあぁ!!」

 

 

駆け出す。

 

 

「「な、ごふぅッ!!!」」

 

 

 

悠介の前方から襲い掛かってきた二人を、加速した勢いのままに吹き飛ばす。吹き飛ばされた二人は後方を巻き込んで倒れ込む。それによって、前方の敵の動きが止まった事を確認した悠介は、大きく身体を左に回転させ

 

 

「オラァ!!」

 

 

「ごふぅ」

 

 

左から襲い掛かって来る面々に向かって拳を打ち込む。横に大きく吹き飛ばされた男は、そのまま隣の男も巻き込んで転倒。

左に回転させた力をそのまま利用し、後方から襲い掛かる面々を殴り飛ばす。

 

 

「「怯むな!!いくらモモ先輩と戦えるとは言え、数では圧倒してるんだ!!囲えーーーーーー!!!」」

 

 

 

ヨンパチとガクトの言葉を受けた男達は、即座に悠介の周りを囲みだす。その姿を見た悠介は

 

 

(やっぱ、あの二人が頭か)

 

 

敵の大将の姿を確認した。そしてそのまま、拳を二人に突き出し

 

 

「来いよ」

 

 

戦意を示す。と同時に駆け出す。

悠介が駆け出したことを確認した男達も駆ける。

 

 

「「「「「おりゃぁぁぁああああああああああ!!!」」」」」」

 

 

三百六十度全てを覆うように襲いくる男達が悠介をがっちりと捕まえる。

 

 

「よしッ!!つかまえたっ!?」

 

 

悠介の動きを止めたと確信した一人の男子が声を上げるが、その顔を悠介の手が掴む。

ギイギイィと油の切れた歯車の様な音がするかのように、悠介が固定されているにも拘らず

 

 

「おらあぁぁぁぁぁああああああ!!!」

 

 

無理やり拘束を外し、そのまま投げ飛ばす。そしてそのままに前進を開始。

 

 

「死ねぇッ!!」

 

 

一人の男子が放った拳を身体を回転する事で躱し、そのままに裏拳を放つ。

ぐへぇと倒れる男子。しかし、悠介の脚は止まらない。

 

それは何故か?

理由は簡単。自分が不利にならない為だ。一対多を相手取る時の鉄則は、自分の死角に敵を入れない様に全てを視界に納め続ける必要がある。

では逆に、囲まれた場合はどうするか?それはとにかく脚を止めずに走る続ける事。

止まってしまえば、敵に袋叩きされるのは目に見えている。だからこそ、動き続ける事で、的を絞らせない様にする必要がある。

 

だからこそ、悠介は止まらない。

 

 

「オラァア!!」

 

 

走りながら、左右から来る敵を殴り沈め、前方から来る敵の足を思いっ切り蹴りつける事で、問答無用に転倒させる。

 

 

「此処は俺に任せろぉ!!」

 

 

「おお、行けぇッ!!相撲部主将」

 

 

悠介の前方を覆う巨漢。その姿を見ても悠介の脚は止まらない。二人が激突する直前、悠介の姿が消える。

 

 

「なっ!!何処に!!?」

 

 

突然の事に慌てる相撲部の主将。全員が辺りを見渡す中、彼の頭上に影が生まれる。

相撲部の主将が上を見上げると、そこには

 

 

「なっ!!」

 

 

「らあぁ!!」

 

 

頭上から悠介が拳を構えながら、落下してきていた。そのまま悠介は、落下する勢いも上乗せした拳が、ドッゴオォン!と激音をたてながら真下にいた相撲部の主将を沈める。

落下し終えた悠介は、その場に倒れている二人の男子を掴み、そのまま投げ飛ばす。

 

 

「おら、来いよ!!まだ終わらねえだろ?」

 

 

唖然とする男達を挑発する悠介。今の彼はすでに、このやっかみを集団戦の修行ととらえている。

だからこそ、悠介は此処で終わってもらう訳には行かなかった。

 

 

「俺達、モテない男の執念を舐めるなぁぁああ!!」

 

 

悠介の言葉にヨンパチがガクトが男達が吠える。

その姿を見た悠介は

 

 

「そうこなくちゃよぉ」

 

 

薄く笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから数十分が経過。

グラウンドには、多くの男達が沈んでいた。その中でも悠介は、若干息を切らしながらも悠然と立っている。

 

 

「漸く、半分って所かぁ」

 

 

辺りを見渡しす悠介が、自分の敵の数を確認する。

此処までくれば、ヨンパチ達の敗北は必至だろう。

 

 

「まだやれるよなあ?」

 

 

「ったりめえだろ!!おめえは、俺達の想いを甘く見るなよ!!」

 

 

悠介の言葉にヨンパチが返す。その言葉を聞いた悠介は、威張るものかぁ?と疑問を持つ。

その時

 

――――ぇぇ

 

 

「うん?」

 

 

悠介の耳が何かを捉えた。

気のせいかと思い、もう一度よく耳を凝らせば

 

―――――ぇぇぇえ

 

 

やっぱり聞こえる。しかも、気のせいか気かづいているような気がする。

悠介の動きが止まった事を見たヨンパチたちは、チャンスと言わんばかりに駆け出す。

 

 

「行くぞぉ!!野郎どもッ!!」

 

 

「「「「「「「おおッ!!!」」」」」」」」」

 

 

迫りくる中、それでも悠介は、自分の耳に届く音から意識を外せないでいる。

 

 

――――ぇぇええええッ!!

 

 

やっぱり近づいてきている。

 

 

―――――けぇぇええええッ!!

 

 

(うん?この声は・・)

 

 

近づいてくるにつれ、その声は自分の聞き覚えのある声だと気がつく。

そして

 

 

「悠介ぇぇえええええッ!!」

 

 

ドォン!と轟音をたてながら、一人の少女が落下して来た。

 

此処からさらに、この件は混沌を歩む。

 




どうだったでしょうか?
良かったら、感想をお願いします

ゲンさんとは、いい感じの友達にしたいなぁ~
皆さんは、どう思いますかね?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。