真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~ 作:スペル
タイトルでわかると思いますが、悠介と彼女の会合です
漸くリアルも落ち着いて本当は修正をしないといけないんですが・・・時間が出来るとどうしても書きたくなってしまうんです・・・修正した方が良いって感想を貰ってるのに、マジでどうしよう
悠介とクリスの決闘の次の日、さして変化が起こる訳もなく悠介は、いつも通りに過ごしている。悠介自身は、その事に対して若干拍子抜けの様に感じたが、即座に納得もしている。
――――それだけ、話題に欠かねえ場所って事だよな
ある意味無理矢理に納得させ、今受けている授業の方に意識を向ける。意外かも知れないが悠介自身、勉強自体をそこまで嫌っていない。
むしろ新たな知見を得られる事を好んでいる。これは悠介元来の性格と燕や両親の存在が大きいだろう。
集中しながら片隅には今朝の出来事が思い出される。
――――それにしても…クリスがああも変わるとはな。真面目と言うか…一直線と言うかだな
クリスは、変態橋付近を歩いていた自分の元に、勢いよく突っ込んできてたと思ったら、『昨日の言葉を受けて、如何に自分が未熟か知った。それで、自分なりに考えてみたんだ!!』と、自分に思いの丈を述べはじめる。
クリスの勢いに気圧されている悠介に気が付かず、クリスは悠介に話し続ける。
余りに真っ直ぐな瞳と言葉を受けて、無理やり終わらせる事が自分では無理だと悟った悠介は、クリスと共に登校していた百代達に助けを求めたが…
――――あの野郎どもは~!!
今思い出しても、怒りがこみあがってきた。
大和達男性陣は、困りきった悠介の姿を見ながら『諦めてくれ』と目で告げ、一子は『二人とも仲良くなったのね、良かったわ』と少し場違いな喜びに包まれていた。
悠介の助けに対しても、椎名は『しょーもな』と一言告げ視線を逸らされ、黛は『え~っと、え~っと』と困惑の声を漏らしながら手に持った人形に話しかけようとしていた。要約すると、誰も助けてくれなかったのである。
しかし、その中で悠介が疑問を持ったのは、最も古い付き合いの悪友と言える彼女の事だった。
――――それにしてもどうしたんだモモの奴?俺が目線を向けたら逸らすしよお
百代は悠介が助けを求めてもからかう事もせず、慌てて顔を逸らした。それなりに古い付き合いであるが、あんな反応は見たことが無い。
それが故に頭を捻る。
――――まあ、うだうだ考えんのも性じゃねえし、今度見つけたら話しかけてみっか
ある程度考えるが答えは出ない。結果的に悠介の出した答えは力尽くという答えだ。そうやって考えを無理矢理まとめ終えたと同時に、授業の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。
◆◇◆◇◆◇◆
昼休み。早速百代の元に向かうために廊下を歩いていると、前方から悠介の前に三人組が現れる。
「初めまして、貴方が悠介君ですね」
「あ、誰だ?」
三人組の内、優しげな雰囲気を持ったイケメンが声を掛けてくる。身に覚えの無い相手かの急に話しかけられ悠介は若干、警戒しながら答える。
「私は二年S組の葵冬馬と申します。こちらが…」
「榊原小雪。略して、ゆっきーなのだ~」
「井上準だ。若やユキ共々よろしくな」
「ハゲでいいよ~」
「こらッ!!初対面の人に、そんな悪意のあるあだ名を教えてないッ!!」
「やあ~い、ハゲ~」
「随分と賑やかなメンツだな」
「ええ、大切な家族です」
「そうかい」
冬馬の自己紹介に続くように、白い肌と赤い瞳の美少女ユキとスキンヘッドの井上が悠介に自己紹介をする。
そうして繰り広げられる井上とユキのやり取りを見ていた悠介の素直な感想に、冬馬は笑みを浮かべながら何処か誇らしそうにそう言葉を零す。
その姿を見た悠介は、冬馬にとってこの光景はとても大切なモノだと理解する。
「それでおれに何か用があったんだろ?どう言った要件だ」
「いえ、今回はただの顔合わせが目的ですよ」
「
「ええ、
悠介と冬馬の二人は、互いに『今回』と強く意識しながら意味深な笑みを浮かべ合う。二人は数秒間、互いに腹のそこを読み合うかの様に笑う。
「それでは、悠介君」
「ああ、またな」
「ええ。行きますよ、準 ユキ」
「ほぉーい」
「…………」
「?。どうしたんだ井上」
「…いや、何でもねえよ。じゃあな」
「おう」
腹の探りあいは終わり、時間を取らせてすみませんと言うように冬馬が会釈をしながらその場を離れる。そんな冬馬の後を追うようにユキと井上も続くが、井上だけが再び足を止め悠介を見ていたが。「遅いぞ~ハゲ」というユキの言葉に漸く二人を追いかける。
離れていく三人を見送りながら、悠介は先ほどの葵冬馬の事を思い出していた。あれは、間違いなく燕と同じクセが強いタイプ。だからこそ思う。
――――あいつと戦うのは、骨が折れそうだな
あの顔は明らかに敵情視察に近い顔見せだったのだろう。一子から聞いた話ではFとSは犬猿の仲で、良くもめ事を起こしているという。
そういう意味では何処かで戦う機会があるだろう。あの自分とは全く違う
――――あっ!モモの所行くの忘れてた
冬馬達の事と此からの事を考え、面倒くさそうにしながらも何処か楽しそうな笑みか浮かべていた悠介だが、鳴り響いたチャイムの音に結局昼休みに百代の場所にいく事を忘れてしまった。
◆◇◆◇◆◇◆
昼休みの葵達とあいさつから時間は過ぎて放課後、悠介は今度こそ百代に会いに行くために三年生のいる階に向かっている。
そんな悠介を足を止める出来事がまた一つ。
「待ちなさい」
歩いている悠介の耳に規律正しい凛とした声が届く。声を聞いた悠介は、今日は達止まることが多いなと思いながら、声がした後方を振り返る。
「何か用か?」
悠介が振り返った先に居たのは、赤い髪と眼帯を付け、軍服に身を包んだマルギッテが佇んでいる。
明らかに高校生と見えない人物が堂々と高校生に混じって学生生活を送っていると言う事実に、悠介は知ってはいたが改めて自分が通っている学園の出鱈目さに呆れてしまう。
そんな事を片隅で考えながら悠介はマルギッテト向き合う。
「ええ、用があるから引き留めたと知りなさい」
「まあ、そうだわな。それで要件は何だ?」
ちょうどSとFクラスの廊下でのやり取りの為、多くの生徒が二人の事に注目している。しかし、二人ともそんな視線など気にせずに、お互いの目だけをじっと見ている。
「では、単刀直入に言います。相楽悠介、私と戦いなさい。これは命令です」
マルギッテの宣言。それを聞いた悠介の表情が変化する。先程までの疑惑的な表情は消え、見せる顔は正しく武士のそれだ。
その変化を目の当たりしたマルギッテは、自身が判断が決して間違っていなかった事を再確認する。
「戦うのは別に構わねえがよ、理由は何だ?
俺とアンタには、接点はねえと思うだがよ。
せめて
「接点ならば、クリスお嬢様があると知りなさい」
「クリス…。ああ、お前がモモの言っていた、なかなかに強いって言う軍人か」
「ええ、その通りです。私は強いです」
戦う理由を聞いた悠介の問いに答えたマルギッテの返答は、答えたり得たのか悠介の顔から疑問が消える。
そうして悠介の言葉を肯定するように頷いたマルギッテを見て、彼女が百代の言っていた通り、本当に自信家だと察する。
ここまでくれば否定する理由は無い。
「と言う訳だが、構わねえか?ジジイ」
悠介は誰も居ないはずの場所に向かって呟く。それはある意味であの出鱈目な存在を信じてのこと。
「無論じゃ。互いに戦う意思があるのなら、止める理由などないからの」
そんな悠介の信頼に応えるように、二人の中間点に鉄心が出現し、悠介の問いに答えた。因みに、鉄心が何処からともかく現れた事に対して、誰一人ツッコミを入れない。
「それでどうするんじゃ?受けるのか受けないのか、ハッキリと示して貰おうか」
鉄心からの悠介への最後の意思確認。それを聞いた悠介の口が弧を描く。
「武人が売られた喧嘩から逃げる訳がねえだろが!!」
制服のポケットからワッペンを取り出し、地面に叩き付けた。マルギッテもそれに続いて、自身のワッペンを悠介のワッペンに重ねる。
此処に二人の決闘が決まった。
◆◇◆◇◆◇◆
悠介とマルギッテの二人が決闘をすると言う話は、瞬く間に学校中に広がり、多くのギャラリーたちが今か今かと待ちわびている。
「それにしても転校してから連続で決闘とはな」
「ある意味凄いよね」
それは大和達風間ファミリーも例外でなく、ギャラリーとして決闘を見に来ていた。その中で、大和がある種の感嘆の声をこぼす。転校初日には、武神である川神百代と、そして義妹川神一子との決闘。
その翌日には、クリスとの決闘。そして興奮冷めない内の本日、マルギッテとの決闘だ。
モロの言う通り、如何に血気盛んな川神学園の生徒とはいえ、此処まで連続して決闘している生徒など稀だろう。
「クリはどっちが勝ちと思う?」
「う~ん、モモ先輩と打ち合った悠介が有利と思うが、マルさんもそう簡単にはやられないだろうし、なかなか読めないぞ」
決闘の始まるのを待つ最中、悠介と戦った事のある二人は、どちらが勝つかを予想している。その表情は、二人の決闘がとても楽しみと言った感じだ。
そんな中、悠介は静かにマルギッテを待っている。
「マルギッテさん、敵は強敵です。くれぐれも油断の無い様に頑張って下さい」
「頑張れ~」
「ええ、そんな事は言われるまでもなく理解していると知りなさい」
「ええ、わかってはいますが、一応クラスの軍師として忠告しないといけませんので」
「葵君は、心配性じゃの。F組の野蛮な猿にマルギッテが負けるとは思えんがの」
「我にその雄姿を見せよ、マルギッテ!!我がこの目に納めてやる」
「そう言う事なので頑張って下さい(英雄様が応援して下さってんだ、負けたら殺すぞ)」
「言われるまでもありません」
クラスメイトの応援を受けてマルギッテは、悠介と相対すようにフィールドに立つ。
二人が準備が出来た事を確認した鉄心が二人の中間あたりに立って、その手を掲げ・・
「今から川神決闘の儀を始める。
西方、相楽悠介。東方マルギッテ・エーベルバッハ。
共に準備は良いな」
「勿論」
「問題ねぇ」
「宜しい。それでは――――始めッ!!」
両者に最後の確認を取った後、開戦の合図を告げる。鉄心が腕を振り下ろしたと同時に、二人は地面を蹴って駆ける。
「いくぜ」
「狩る」
互いに己の意思を口のこぼしながら、拳とトンファーが交差する。ズゥン!と手に持ったトンファーから伝わる鈍い衝撃に顔をしかめながらも、マルギッテは即座にもう一方のトンファーで、悠介の脇腹を正確に打ち抜く。
ズン!と鈍い音が響く。間違いなく内臓に入った一撃、武人ですら息が止まり行動が制限される。いかに武神の攻撃に耐えたとはいえ、動きが止まるのは必然。それがマルギッテの考えだった。しかし、悠介の
「何だぁ?こんなもんじゃ、止まらねえぞッ!!」
脇腹にトンファーを叩きつけられた次の瞬間、悠介の左拳がマルギッテに直撃する。苦悶の声を漏らしながら、数メートル後退したマルギッテに向かって、悠介は地面を蹴って接近する。
「止まんなよl!」
「ッ!!。なめるなッ!!」
自身へ肉薄する悠介に向かってトンファーを持ち替え、リーチを長くして横薙ぎの一閃を放つ。
前方に重心が乗っている悠介では躱せない一撃。勿論、悠介は躱せずにドゴン!と頭に直撃するが…。
「おらぁあッ!!」
攻撃を受けて尚、悠介は止まらない。否、止まってやらない。繰り出された拳。しかし、今回は空を切る。悠介の拳が届くよりも早く、マルギッテは間合いを取る。
トンファーから伝わった感覚は、間違いなく直撃だった。しかし、マルギッテは即座に感じた悪寒に従い、その場を離れたのだ。
互いに五メートルほどの間を開けて、二人は一度間を取り合う。
「まさか、あの一撃まで耐えるとは、予想外もいいところです」
僅かな沈黙のち、マルギッテの口から発せられたのは素直な賞賛。基本的に相手を見下す彼女にしては珍しい言葉だった。それは、彼女が本心から悠介を認めた証拠に他ならない。
「伊達にガキの頃に地獄は見てねえよ。
あれぐらいで倒れてたら、俺は今頃生きていねよ」
マルギッテの言葉に若干顔色を青くした悠介が答える。気のせいかその視線は、マルギッテではなく、鉄心の方に向けられている。そしてなぜか、鉄心は悠介の方を見ようとしていない。
しかし、それもほんの僅かな時間だけ、次に見せた悠介の表情はさっきまでと真逆だった。
「それで、てめえは何時まで手を抜いてるつもりだ?」
発せられた悠介の声には、明らかな苛立ちが含まれている。
「ッ!?
どう言う事ですか?」
「ぬかせよ。てめえの動きからは、抜きが見えた。
ワザとって感じはなかったが、何か自分に制限を掛けてんだろ?」
悠介の言葉にマルギッテは答えない。彼女のしている眼帯が正にそうなのだから。
「なめられるのは、敗けるよりも嫌なんだよ」
そう発せられた悠介の声音には、言いようの信念と言える思いが込められている。悠介の言葉を聞いたマルギッテは静かに己を恥じる。
何故だかはわからない。しかし認めていたはずだ。なのに自分は、手を抜いたと思われても仕方がない事をしている。それは、間違いなく侮辱ではないか。
彼の戦いぶりを見て、純粋に戦いたいと思ったこの気持ちに自分は嘘をついたも同然だ。
「素直に謝罪の言葉を述べます相楽悠介。
すみませんでした。
そして、これが正真正銘の私の全力です」
謝罪の言葉を口にした後、マルギッテは自らに課していた
纏う闘気が、より強烈にそして獰猛に変化する。
その姿を見た悠介もまた、拳を握り直して、マルギッテを視界に納める。
此処からが両者の決闘の本番だ。
大学受験と言う大きな問題が終わってからの更新、何時もよりもグダグダ感が満載のような気が・・・・・違和感とかおかしいと思ったところがあったら教えて下さい
因みに、マルさんは悠介のヒロインの一人?に考えています
どうなるかは、まだわかりませんが
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