真剣で私に恋しなさい~その背に背負う「悪一文字」~   作:スペル

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お待たせしました?

短期のバイトのせいで、更新が止まってましたが漸く再開です

久しぶりなので、短く話はさほど進んでいませんが、楽しんでくれたら嬉しいです





悠介と東西交流戦 その4

戦場各地で、西方十勇士と川神学園の武士娘達らを筆頭に、戦闘を開始した事で、戦の流れが再び変わり始める。

その恩恵を特に受けているのが、川神学園だ。強敵である西方十勇士の動きを止めた。

それだけで、彼らに討たれる確率は減り、天神館本陣に近づく事が出来ている。

しかし彼らはまだ、十勇士が半数近く残っていると言う意味を理解してない。

 

「よし!マルさんと京のお蔭で、大部分が進軍出来たぞ!!」

 

ある程度、安全な距離まで進んだクリスは、自分達を進ませてくれた仲間である、マルギッテと椎名への感謝の言葉が自然とこぼれる。

 

「おいおい。まだ感謝すべきときじゃねえだろ?感謝するのは、敵大将を討ち取った時。違うか?」

 

そう言ってクリスを諌めたのは、井上準。S組の良心とも言われている人物であり、葵冬馬の幼馴染であり、右腕である。

しかも、なかなかの実力者であり、男子の中では間違いなく、五本の指には入るほどだ。

優しく気配りも出来る人物な訳だが、欠点が一つ 重度のロリコンなのだ。

しかし腕は確かなので、今回の進軍の副将としてクリスを支えている。

 

「む!確かにその通りだな。済まなかった。以後、気を付けよう」

 

「いやいや。わかってくれたなら、問題ない(こいつ...マジで将としての資質があるな。流石は中将の娘って所か)」

 

そう言いつつ準は、今までの進軍を思い出し、クリスの非凡な指揮能力の高さを認めていた。

事実、クリスは、大友の砲撃や毛利の狙撃に怯える、面々を落ち着かせ、無事に突破したのである。

 

「よし!此処までくれば、恐れる者はない!!一気に、敵本陣に進撃する」

 

「ああ、異論はないぜ。大将」

 

そう言って、クリス達は、再び進軍を開始する。

しかし、数メートル進んで直ぐに、その動きは停止する。その理由は、至極単純なモノだ。

 

「おい、クリス」

 

「ああ。この先に、誰かいるな」

 

クリスと準の二人が、自分達が進む先から発せられる、闘気に気が付いた事に他ならない。

 

「普通に考えると、十勇士の誰かだな。それで?どうするよ。迂回するか」

 

「いや。それだと、マルさんや京の負担が大きくなる。このまま進む」

 

「...わかった」

 

 

準は、クリスの意思を尊重した。それが、将としての言葉ではなく、私情の言葉である事を理解していながら、止める事はしなかった。

その決断が、果たして正しいのかどうか、誰にも分からない。それでも彼らは、進むしか出来ないのだ。

大将である、クリスの言葉をただ信じて。

そうやって、慎重に歩を進め、前進していくクリス達の前に、

 

「ゴホッ!川神には、俺よりも優れた技術者がいるのか!!」

 

咳き込みながら、手に持ったパソコンを落とし、愕然と呟く大村の姿が映った。

 

◆◇◆◇

 

クリスたちが、大村と相対した時と同じくして、川神本陣。

 

「!。英雄様」

 

「うん?どうした、あずみよ」

 

「しばし、この場から離れさせて貰います」

 

「何かあったのか」

 

「いえ。英雄様がお気になされる事では、ありません。私一人で、十分対処できますので」

 

「よかろう。ならば、何も言うまい。頼んだぞ、あずみ」

 

「きゅるるるるん。はい、英雄様!!」

 

そう言って英雄と話してたのは、九鬼のメイドであり、英雄専属である忍足あずみ。

英雄に心酔する元風魔の忍びである。

 

「と言う訳だ。てめえも来い」

 

「どう言う訳なのじゃ!!」

 

因みに、英雄の前では猫を被っている。

 

「うるせえな。黙って付いてきやがれ!!」

 

「ぬわぁぁ!は、離すのじゃ!そもそも、お主は一人で十分と言っておったでは無いか」

 

「うるせえ!!英雄様の前だから、かっこつけただけだ。一人で、十分だと思うが、英雄様の信頼を、裏切る訳にはいかねえ。だから、保険の意味でお前を連れて行く」

 

「全て、お主の勝手ではないか!!」

 

「それにな、あたいも誰でもいいって訳じゃない。お前の実力を買っているからこそ、連れて行くんだよ」

 

そのあずみの言葉を聞いた、不死川の機嫌がみるみると変わっていく。

 

「そうか、そうか。此方の実力を認めているか。よかろう!此方が、力になってやろうではないか」

 

不機嫌だったモノが、上機嫌なモノに変わっていく。その姿を確認したあずみは、笑みを浮かべながら、

 

 

「(やっぱ、こいつは、ちょろいな)ああ、よろしく頼む」

 

「勿論なのじゃ」

 

不死川を引き連れ、本陣の裏側に向かっていく。そうやって、ある程度進んだ場所で、彼女たちは激突する。

 

「なんや、敵が目の前に居るで」

 

「気づかれたか」

 

あずみと不死川の目の前に、部隊を率いた尼子と宇喜多が現れる。

 

「ちぃ。思ってたよりも多い」

 

「ふん。何人いても、此方らの敵ではないわ」

 

敵の多さに舌打ちするあずみと、余裕の姿を崩さない不死川の姿に、尼子と宇喜田も武器を構える。

 

「なんや、えらい、不思議な敵やな」

 

「ああ、メイドと着物とはな」

 

「それにしても、あの着物なかなかに高そうやな」

 

「お前もブレないな」

 

敵の姿を納めても、全く緊張を見せずに、話し合う二人。その姿を見ていたあずみは、静かに警戒心を露わにする。

 

「厄介だな」

 

静かに、クナイを構えるあずみの姿を確認した尼子が、面白いと言わんばかりにあずみに告げる。

 

「お前の相手は、西方十勇士の一人 尼子晴がしてやろう」

 

宣言と共に、自分の武器である鉤爪を構える。

 

「はん。一人で、あたいを相手どるってか?随分、舐められたもんだぜ」

 

「だれが、ひとりといった?」

 

尼子の言葉に反応する様に、後ろにいた兵達も武器を構える。

 

「自慢の尼子隊も当然参加だ」

 

「まあ、当然か」

 

二人が、武器を構え間合いを測り始めたころ。

 

「つう事はや、うちの相手は、そこの高そうな着物着たあんたか」

 

「にょほほほ、其方如きが、此方の敵を名乗るとは、愚かじゃの」

 

「ほぉ、言ってくれるやんけ」

 

不死川の挑発にとれる言葉に、宇喜多は怒りに顔を歪めながら、武器であるハンマーを構える。

そのまま、突っ込んでいこうとした宇喜多だが、

 

「!。あかんあかん。冷静に確実にや」

 

何かを思い出したのか、頭を振り足を止めて、自分の感情を鎮める。

 

「さて、仕切りなおしていこか」

 

そう言って、自分の武器を改めて構える。

 

「何じゃ、攻めて来ぬか」

 

「そらそうやろ。見たとこ自分、柔術を使う見たいやし。うちとの相性最悪やん。そんな相手に、バカ正直に攻めたりはせんで」

 

「無駄な事なのじゃ。何をしても、此方の勝ちは決まっておる」

 

「それは、戦ってみなわからんやろ?」

 

不死川の言葉に宇喜多は、不敵な笑みを浮かべながら返す。

その笑みは、不死川に恐怖心を与える程に、意味深なモノであった。

 

「ふん、口だけは、達者の様じゃな」

 

不死川は、自分が感じた恐怖心を隠すために、あえて言葉に出して話す。

しかし、宇喜多は答えず、静かに間合いを測り始める。

二人の戦いは、宇喜多が先手を取る形で、始まった。

 




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