μ’s MUSIC BOX   作:ぶりくすむ

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どうも、本当に本当にご無沙汰しております。

今までの創作史上最高に間を空けての投稿ホントに申し訳ありません。

何があったかはtwitter等などでお話しております。



そんな訳でここから急展開な第4話です。


# 04 コンフリット

「音ノ木から見る景色ってこんな綺麗なんだなぁ……。」

 

「……。」

 

「……。」

 

 

宏樹は屋上から外を眺めながら隣にいる拓哉と海未に話しかける。

 

 

「……ここから飛び降りたら楽になれるかなぁ……。」

 

「……楽にはなれんわな。」

 

「……飛び降りて楽になれれば皆しています。」

 

 

今にも飛び降りそうなセリフを吐く宏樹を他所に二人は淡々と返答をする。

 

 

「もうだめだぁぁぁぁ!!」

 

 

宏樹は頭を抱えて項垂れる。

 

 

「拓哉ぁぁぁ……一緒に飛び降りよぉぉぉ……」

 

 

そう話すと宏樹はヨロヨロと拓哉に近づいて行く。

 

 

「なんでやねん ! ! 」

 

 

____ ガスッ ! ! !

 

 

「ブヘッ ! ? 」

 

 

拓哉は抱きついてこようとする宏樹に的確なツッコミと共に綺麗な逆水平チョップを決めすっ飛ばした。

 

 

 

「喉元近くはやめろぉ……」

 

 

すっ飛んだ宏樹は力なく転がりながらツッコミを入れる。

 

 

「園田さん……このポンコツはどうやったらいつも通りになるんスか?」

 

「……かれこれ3日ですか……治る気配が無いですね……。」

 

 

喉元を抑えながらダウンしている宏樹を見て二人は頭を抱える。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆

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◆◆

 

 

 

 

 

 

 

学園の屋上で情けない姿を晒す数日前……

 

 

 

 

 

 

俺はアキバのハロウィンイベント会場控室の前に居た。

 

正直、今の気分は不機嫌だ。なぜかって?

μ’sのパフォーマンスが納得行かないものだった?

 

そんなこと無い。μ’sらしさを見つめ直して改めてハロウィンイベントで見せてもらった『Dancing stars on me』は過去最高のパフォーマンスだったと思う。

 

というか、パフォーマンスの良し悪しなんて俺がとやかく言う立場ではない。

 

そういうわけで別の理由である。

 

俺は控室の前にいる……だが、いるのはμ’sの控室前ではない。

 

 

______ A-RISEの控室前だ。

 

 

俺の不機嫌はこの部屋の中にいる人物にある。

 

 

……はっきり言おう。

 

 

我が従姉、優木あんじゅが原因である。

 

 

 

 

イベントも終わりミーティングも終わったようでツバサさんと英玲奈さんが控室から出てくる。

 

 

「あら、伊達君。あんじゅなら中にいるわよ。」

 

「どもっす。」

 

「いちゃつくなら程々にね。」

 

 

控室前で待っていた俺にツバサさんは笑顔で釘を刺してくる。毎度の事である。

 

________ だが、今回はそんなイチャついた展開にはならないだろう。

 

『気をつけます』と苦笑しながら答えて俺は控室へ入った。

 

 

 

「伊達の様子……少しおかしくなかったか ? 」

 

「そう?私はいつも通りだと思ったけど ? 」

 

「なんというか……少し不貞腐れていたというか怒ってたというか……。」

 

「よく気がついたわね……にしても伊達君もそんな時あるのね……」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「あ、やっと来た~……遅いぞ~宏樹~。」

 

「……。」

 

 

俺はいつものように会話してくるあんじゅに対して無言になる。

 

 

「入ってきて無言って……何かあった ? 」

 

 

あくまでも『普通』であるというあんじゅのリアクション。

その態度に俺は不機嫌さを募らしていく。

 

 

「……3回。」

 

「えっ?」

 

 

俺のポツリとした呟きが聞き取れなかったようであんじゅは聞き返してくる。

 

 

「今日のパフォーマンスのステップのミスの回数……。」

 

「あー……そんなにミスってた ? でもまぁ、私も人間だし本番で緊張するしミスもするわ。」

 

「……それは優木あんじゅとしてのコメントか ? 『天才・優木あんじゅ』としてのコメント ? 」

 

 

俺は突き放すように吐き捨てる。

 

 

はたから見ればA-RISEのパフォーマンスは文句なしだった。

たが、嫌というほど見せられた俺からすればあんじゅの動きは練習と違和感を感じるようなものだらけだった。

最初は緊張からのミスかと思ったが、それが2回、3回……と続くのを見て明らかに問題があるとしか思えなかった。

普段『天才・優木あんじゅ』として立ち振る舞う人物はこんな妥協は勿論しないし当日までに完璧に仕上げてくる。

それが、この日のパフォーマンスには全く感じられなかった。

 

 

 

「天才だって人間よ……。」

 

「そうか……。」

 

 

 

あんじゅは目を逸らしの力ない反論をする。俺はそれを見て言葉を強める。

 

 

 

 

「……パフォーマンス中に顔を歪めること5回。」

 

 

 

「……あんた、相当気持ち悪いこと言ってるの気がついてる??」

 

 

 

確かに相当気持ち悪いことを言ってると思う。ただ、違和感を感じてから注目したあんじゅはダンスをこなすことが精一杯で俺が知っている『天才・優木あんじゅ』はそこには居なかったのは確かだった。

 

 

 

「確かに気持ち悪いな……自分でも思うよ。」

 

 

俺はそう言いながらあんじゅに歩み寄り確信に迫る。

 

 

「お姉ちゃんはアンタをそんな変態に育てたつもりは無いけど ? 」

 

「変態は別に否定しないよ。」

 

 

あんじゅの説教などお構いなしに俺は座っているあんじゅの前で屈む。

 

 

「あ~らお姉ちゃんの御御足触りたくなった ? 」

 

 

あんじゅの前に屈み俺の目線はあんじゅの左足があった。

 

 

 

 

 

 

 

______ ……左足……いつから痛めてた ?

 

 

 

 

 

 

俺は不機嫌な理由の原因の核心に迫った。

あんじゅの今日のパフォーマンスは明らかに左足をかばうような動きになってた。

俺はそれを見て左足を痛めていると推測した。

 

 

「べ、別に私は至って健康よ。」

 

 

明らかに焦っている表情で俺の言葉を否定する。

 

 

「……病院に行こう。」

 

 

俺は半ばあんじゅの言葉を無視してあんじゅの手を取る。

 

 

「……。」

 

 

 

______ パシッ !

 

 

 

「……病院には行かない……私は健康よ。」

 

 

あんじゅはそう答えて俺の手を叩く。

 

 

「……はぁ ! ? 」

 

 

あんじゅの思わぬ返答と行動に俺は怒気の混じった声を出す。

 

恐らく練習のし過ぎで怪我をしてしまった事、その怪我を隠し通してイベントに出た事、色々な俺にとって許せない事が起きて最後に言われた言葉がその言葉である。

 

俺は怒らずには居られなかった。

 

 

 

「……ふざけるのはいい加減にしろ。今ちゃんと治療すれば大会には多分間にあう……」

 

 

 

______ パンッ ! ! !

 

 

 

 

もう一度手を取ろうとした瞬間、俺はあんじゅに頬を張られていた。

 

 

「……病院には行かない……。」

 

 

あまりに起きた突然の出来事に頭が真っ白になる。

 

俺なんで引っ叩かれたんだ ? ?

 

思考が停止して何も考えられない。

 

 

「心配してくれてありがとう……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめん。」

 

 

 

 

 

 

 

そう言ってあんじゅは控室を飛び出して行った……。

 

 

 

俺はただただ呆然とその場に立ち尽くした……。

 

 

 

 

 

______ 俺が、あんじゅと過ごしてきて初めて受けた❝拒絶❞だったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆◆◆

◆◆◆◆

◆◆

 

 

 

 

 

「何があったが知らねぇが、ハロウィンイベントのあった週末が明けたらコレだよ。」

 

「否が応でも原因はあんじゅでしょうね……。」

 

 

週末とは変わり果てた姿の宏樹に拓哉と海未はまた溜息を付く。

 

 

「宏樹はあんじゅさんと喧嘩したとは言ってたけど……」

 

「ただの喧嘩でこうなるとは考えにくいですし、そもそも宏樹達は喧嘩したことあるんですかね?」

 

「確かに……気がついたらべったりだったしなぁ……喧嘩の『け』の字も浮かばない。」

 

 

❝ただの喧嘩❞ではないと感じつつ原因を探ろうかと二人は考える。

 

 

「まぁ、正直ただの喧嘩であろうが大揉めの喧嘩であろうが私たちには関係無いですね。」

 

「そうっすね……このポンコツはいつも通りになってもらわないと困るわけですから。」

 

 

探ることを止め、決心したかのように二人は顔を合わせる。

 

 

「高校生にもなって手荒なマネはしたくないのですが……」

 

「それ、つい数カ月前に幼馴染引っ叩いた人が言います ? 」

 

「そ、それとこれは別です ! ! 」

 

「にしても、このパターンは数年ぶりですな……昔はよく見たけど。」

 

 

 

 

 

拓哉の言葉を背中で聞きながら海未は大の字で寝そべってる宏樹の前に立つ。

 

 

「宏樹……いつまでこんな事続けるんですか ? 」

 

「……。」

 

 

宏樹は海未の質問には無言を貫く……。

 

 

「そうですか……私達の言葉を無視してウジウジしてる訳ですね。」

 

 

 

 

______ ドンッ ! ! ! ! ! ! 

 

 

 

 

激しい地面を叩く音と共に宏樹の顔の隣には海未の足があった。

寝そべる宏樹の顔を踏み潰さんとストンピングした海未だったが宏樹は寸前のところを避けていた。

 

海未の殺意の込められたストンピングで宏樹は眼の色を変えて起き上がろうとする。

 

 

「ちょ……海未洒落にならないk……」

 

 

 

______ ガスッ ! ! ! ! !

 

 

 

「ブヘェ ! ? 」

 

 

起き上がりながら海未をなだめようとした宏樹に容赦無いヒザ蹴りが待っていた。

 

 

「ワァオ……キンシャサー……何年経っても色褪せないねぇ……。」

 

 

見事な海未のヒザ蹴りを見て拓哉は感嘆の声を上げ、

宏樹は改めて大の字になる。

 

 

 

 

「喧嘩をしたなら謝れば良いではないですか……」

 

 

 

 

「謝っても許してくれないのなら理由を聞けば良いではないですか……」

 

 

 

 

「このままウジウジしていても何も始まりません ! !」

 

 

 

 

「もし、仲直り出来なかったら……」

 

 

 

 

 

 

 

______ 私達が慰めてあげますから……とっとと仲直りしてきなさい。貴方が元気が無いと調子が狂うんです。

 

 

 

 

海未は笑顔で宏樹にそう問いかけた。

 

 

 

 

「海未……拓哉……。」

 

 

宏樹はムクリと起き上がる。

 

 

「目が覚めたわ……サンキューな。」

 

「……そうですか。」

 

「関係悪化させんじゃねーぞ。」

 

 

海未と拓哉の言葉を背に受け、宏樹は立ち上がり屋上から出ようと扉に手をかける。

 

 

「あ、そうだ。」

 

「どうしました ? 」

 

 

宏樹はふと思い出したかのように二人の方へ振り返る。

 

 

 

 

 

 

「海未~……ヒザ蹴り食らった時思ったけど、もう少し大人っぽい下着穿いたほうが良いと思うぞ。」

 

 

 

 

 

 

「……は ? 」

 

 

 

「そんじゃ、今日は部室には行かないから宜しく~。」

 

 

 

 

宏樹は言いたい事を言えたようようで笑顔で手を振り学園内へ戻っていった。

 

 

 

 

「……せん。」

 

「園田さん ? 」

 

 

拓哉が海未の方を向くと顔を真っ赤にしている友人の姿があった。

 

 

「許しません ! 記憶が無くなるまで膝蹴りします ! ! 最悪殺します ! ! ! 」

 

「ちょ ! ? 園田さん ! ? 落ち着いて ! ! 」

 

「離してください ! 宏樹の為を思ってしてあげたのにアイツときたら助平な事を ! ! 」

 

 

 

 

 

 

 

数分後、激怒し宏樹を追いかけようとする海未を必死に羽交い締めにしてなだめる拓哉の姿が目撃されたそうな。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、なんだかんだ普通に戻ったかなぁ~……。」

 

 

 

 

 

 

拓哉は苦笑いしながら海未をなだめるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




最後までご覧頂きありがとうございます。


こんだけ待たせておいて内容が薄くてすみません(^q^)


色々な案件終わったのでペースはボチボチで投稿したいと思います。

今回も切りどころをすごい悩んだというかなんというか…。

まぁ、精進致します(^q^)

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