ご無沙汰してます。
気がつけばサンシャインの放送が一週間を切っているという(^q^)
取り敢えずは気にせずあんじゅ編進めていきますよー。
「これと……あと、アレも ♪ 」
「……。」
俺は今、手一杯の荷物を持たされている。いわゆる荷物持ちである。紳士たるもの従姉が買い物をすると言えば荷物持ちを買って出るものである。
それが仮に前日にいきなり電話で場所と時間だけ指定来ての呼びつけでも……だ。そんな事でキレるようじゃ紳士は務まらない。俺は至ってCOOLである。
「ありがとうございましたー。」
「また、来ますね ♪ 」
彼女は営業スマイル全開の笑顔で店員に愛想を振り撒き店を出て行く。出口まで向かえてくれた店員も彼女がかなりの数を買い物してくれたのが嬉しいのかホクホク顔である。なんだ、ここは優しい世界か……。
「次はこっちのお店ね~ ♪ 」
店を出るなり彼女は次の店を指し向かおうとする。
……うん、優しい世界はあそこだけだね。俺にとって優しい世界なんて無いね。
いや、落ち着け紳士な俺……ここでキレるような青二才で良いのか?彼女の前では紳士を通そうぜ……。
「あんじゅ……ちょっといいか?」
「何かしら ? 」
「買いすぎだろうがよぉぉぉぉぉ ! ! ! ! ! 」
やっぱり我慢出来ませんでした ♪
◆◆◆◆◆◆◆◆
「あ”~あ”~づガれだぁぁぁぁぁぁ ! ! 」
路上でのブチギレと必死の抗議により俺はカフェで休憩を貰えることになった。
「情けないわねぇ……それでも男なの ? 」
「こんなの男だろうが関係無いわ ! 買いすぎだろ ! 」
謎の上から目線の呆れ顔に少しイラっと来たので噛みつく。
「ごめんごめん。少しからかいすぎたわね。ここで奢ってあげるから許してよ。」
あんじゅはいつもの笑顔で俺をなだめてくる。
「奢ってくれるのは嬉しいけど金は大丈夫なのか ? 」
「あら ? 心配してくれるの ? 」
「まぁ、A-RISEでお金は若干貰ってるだろうし、モデル代もあるだろうから心配はしてないけど今日は相当買い物してるからな。」
いくらおごると言われてもあんだけ散財っぷりを見てると俺が奢られるのは大丈夫なのかは若干不安になる。
「大丈夫よ。予選通過したお祝いでパパがご褒美くれたから ♪ 」
「……叔父さんの金なら良いわ。」
溜息を付きながらマイペースな我が姉にツッコミを入れる。
「え~……買い物付き合ってくれてるし奢らしてよ~ ! 」
「あんじゅの稼いだ金なら兎も角、叔父さんの金で茶なんて飲めるか ! 」
「分かったわよ……。ここは私のお金でごちそうさせて。」
「ならOK。」
いつもの従姉弟の会話を交わすオレたち。
さっきの会話にもあったが、A-RISEは関東予選を無事勝ち上がり最終予選にコマを進めた。優勝候補と言われながら勝つのは並大抵のことではない。
俺の尊敬する人は『勝つことは簡単かもしれないが勝ち続けることは勝つことの比ではない』と言う。それだけ大変な状況を勝ち抜き順当な結果を出したということは称賛されるべきだろう。
手前ミソであるが我が学院、音ノ木坂学院スクールアイドルμ’sも無事勝ち上がりを決めている。
「……で、今日はどうしたの ? 」
少し落ち着いた後、俺は今日の目的を聞く。
「……別に。」
あんじゅが俺を呼びつける時は大概気持ちに何かが起きた時である。それがよく分かっているので俺はあんじゅにそう切り出す。正直何となく今回の理由はわかっている。
「俺がこんな感じで呼び出されるのは大体あんじゅに何かあるから。」
俺は笑顔であんじゅに迫る。
「別に ! ただ、宏樹と遊びたくなっただけ……。」
あんじゅはそっぽを向いてそう答える。
「取り敢えず、荷物持ちのパシリを❝一緒に遊ぶ❞と認識してるならそれはやめとけ。」
それは……ごめん。とあんじゅは答えてこの話は終わってしまった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……今日はありがとね。」
休憩からまた買い物地獄を経由し俺は荷物を持って死にかけであんじゅの家の前に来ていた。
_____ドンッ!!
俺は持たされていた今日買った全ての荷物を置くと脱力感で口から魂が抜けていきそうな状態だった。
買い過ぎだろ!と言うツッコミすら口に出すのすら億劫である。荷物を置くと同時に俺はその場に座り込む。
「今日は助かったわ ♪ 買いたいと思った物は大方買えたし、久々に宏樹と買い物出来て楽しかったわ ♪ 」
この宛ら『地獄ツアー』とも言っていい買い物地獄を無事帰還できた俺なぞお構いなしにあんじゅはニコニコと今日のお礼を言ってくる。
全く呑気なもんである……表向きは。
「今日なんで俺は呼びつけられて買い物に付き合わされたか……俺の予想言って良いか?」
俺はへたり込んだ状態であんじゅを見上げながら淡々と話し出す。
「だから、理由なんて無いから……」
俺はあんじゅの言葉を無視して話し出す。
「ラブライブ!の予選のA-RISEのパフォーマンスは完璧だった。文句の付けようがない、他を寄せ付けないクオリティーでのパフォーマンスでした。」
ナレーター風にふざけた感じで喋りだしたがこの言葉にウソはない。
「勿論、❝天才❞優木あんじゅのパフォーマンスも文句なしでした。予選を勝ち上がるのは当然。二連覇が自分の使命だと言い切る程の仕上がりでした。」
「しかし、あんじゅは予選を勝ち上がった1組のパフォーマンスを見て気持ちの変化が起きます。」
「今はまだ自分たちが勝っているけど、このグループは自分達を……自分を脅かすグループになると……。」
正直、μ’sに肩入れしなくてもμ’sが今大会何かしでかしそうな雰囲気を俺は感じた。それと同じくしてメディアやファンも騒ぎ出している。そして、あの『ユメノトビラ』のパフォーマンスはその『何か』を尚更期待させるような内容だった。
「❝天才❞あんじゅではない中の人はたちまち不安になり練習に打ち込みたくなりましたが、大会終わりで週末は完全オフなので従弟も練習を許してくれる訳がありません。」
「そうだ!……従弟を買い物に誘ってこのモヤモヤを晴らそう!あんじゅはそう考えたのでした……。なーんてところかな ? 」
どこか違う部分があるかもしれないが、大方はこの予想であってるはずだ。
「……分かってたならなんで練習させてくれなかったの ? 」
少し怒気の混じったトーンであんじゅは俺に質問をぶつけてくる。概ね予想は当たっていたようであんじゅは練習したくて仕方なかったようだ。
「そうだなぁ……言える言葉があるとしたら……。」
俺は喋りながら立ち上がりあんじゅの目の前に立つ。
「 tranquilo <トランキーロ>……焦んなよ。」
あんじゅの口のあたりに人差し指を当てドヤ顔でそう告げる。
「別に焦ってない ! 私は…… ! ! 」
_____ギュッ
「ちょっ ! ? 宏樹 ! ? 」
俺はあんじゅの言い訳をいう間を与えず抱きしめた。
「い、いきなり抱きつくなんて聞いてない……」
「いつも俺のことなんかお構いなしで抱きついてくるくせに……。」
あんじゅの文句などお構いなしに俺はそのままの態勢を続ける。
「落ち着いた ? 」
「お、落ち着くわけ無いでしょ ! ……抱きつくの抱きつかれるのだと…‥全然……違うのよ……」
あんじゅはどんどん顔が真っ赤になりしおらしくなっていく。
「……から。」
「えっ ? 」
「……今のあんじゅ達だったら間違いなく優勝だから……。今までの努力は絶対裏切らないから……。自信持って。」
暗示をかけるような口調であんじゅに俺は優しく語りける。
「……うん。ありがと。」
抱きしめられて縮こまっている我が姉は力なく返事をする。
「……………。」
「っ ! ? 」
俺はあんじゅにいつもの『魔法の言葉』を囁きかけてあんじゅから離れる。囁かれたあんじゅはとてつもなく驚いた顔をして放心状態になる。
「元気出た ? 」
俺は笑顔であんじゅにそう告げる。
「……あんたの不意打ち、ホントに威力が凄いから止めてって言ってるでしょ……。」
「やられっ放しは嫌いだからそれは無理だな。」
もうっ ! ! と一叫びしてあんじゅは今日買った荷物を全部持ち家に入ろうとする。
「……宏樹。」
あんじゅは荷物を持って急いで家に駆け込むと思いきや家の扉の前で止まり俺に声をかけてきた。
「……ありがと。 元気出たわ。 明日からまた頑張る……。」
「おう、無理しない程度にな ? 」
真面目にお礼を言ってくるあんじゅを軽くいなすような返事をして俺はあんじゅと別れた。
◆◆◆◆◆◆◆◆
宏樹との買い物を終え、シャワーを浴びた私はベットに突っ伏した。
「……。」
なんだかんだ色々な買い物をして疲れてしまった。また、明日から学校や練習が始まると思うと少し憂鬱な気持ちになる。
「……はっ ! ! 」
ボーッとしてると不意に宏樹に言われた言葉を思い出して恥ずかしくなる。
毎度毎度私からはよく言っているがアイツはほとんど言うことがない。
私が調子に乗っていたり元気が無いとこの言葉を掛けてくれる。
アイツにとっては一種の手段みたいなものだと分かっているけど、その言葉が嬉しかったり嬉しいという感情が悔しかったり、恥ずかしかったり……
我ながら面倒な性格である。
「もぉ~ ! ! 」
____パシ!パシ!
ニヤけているであろう自分の顔に張り手を入れ気合を入れる。
ここで喜んでやる気が出たらアイツの思う壺なのだ。私はここで姉として威厳を保たないと行けない訳で……。
「……。」
ふと、鏡を見るとテレビには見せれないとんでもないニヤけ顔でベットに寝転ぶ自分の姿があった……。
もう、今日のところは素直に喜ぼう ! !
……こうやって姉は幾度と無く弟に手のひらで踊らされ敗北を喫して居るわけである。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「ふ~……。」
あんじゅが家の中に入ったのを確認し、俺は胸に手を当てて深呼吸をする。
寿命が5年は縮んだのではなかろうか?
従姉とは言え美人な女子高生に抱きついて例の『魔法の言葉』を囁いた訳だが、その最中は心臓が飛び出そうな位ドキドキだった。
まぁ、これで我が姉が元気になってくれれば問題なかろう。
____……好きだよ。
いくら元気になる言葉でも中々言うのは勇気がいる。
しかも、アイツいい匂いだし柔らかいしこっちがおかしくなるわ !
……コレ、ファンの人に見られたら間違いなく引き回しの刑だな……。
俺はそんなことを考えながら帰宅路を歩いた……。
呑気に明日の事など考えながら歩く俺は知らなかった……。
数日後、俺とあんじゅの間で起きる❝大事件❞の事を……
最後までご覧頂きありがとうございます!
題名はぶっちゃけプロレスネタです。
ここでぶっこむのかとw
しかも翌々調べると女性に向かって言うのと男性に向かって言うのだと
若干変わるっていうww
調べといて良かった\(^o^)/
そんな感じで砂糖吐くのはここまでで次回からは何となくシリアスになるかも??
追記:ご指摘などなどありましたので修正いたしました。
お金にまつわるお話は追記しております。
トランキーロの件ですが、スペイン語では「落ち着いて」を
男性に対しては tranquilo(トランキーロ)
女性に対しては tranquila(トランキーラ)
と使うようになっており一応正しい使い方の意味で使ったのですが、日本に浸透してる意味と
タイトルに付けてしまってるのもあり誤字と勘違いされてしまう表現になってしまいました。その点も含めてトランキーロで統一して修正しています。