年が明けても中々ボケが抜けませぬ。
気がつけばこのシリーズ二度目の年越しでしたね。
若干個人的なお話があとがきにてありますのでご興味がある方は。
第2の山場前のお話です。
「…か、かよちん…凄いクマだよ…。」
「どうしたの…?」
朝の登校時、目の下にくっきりとクマを作りフラフラと歩く花陽が凛と真姫の前に現れた。
「ね、寝れてなかったら今日は休んだほうが…」
「そうよ!無理は禁物よ!」
花陽の姿を見るなり親友二人は心配の声を掛ける。
「だ、大丈夫だから…」
どうみても大丈夫には見えない花陽だが、心配無いとアピールする。
「今日も、頑張っていきましょう!」
引きつった笑顔で花陽は二人を先導するように歩き出した。
花陽が目の下にクマを作るには訳があった。
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「で!デートですか!!??!?!」
「そう!デート!」
穂乃果からのいきなりの提案に大声を上げて驚いてしまう花陽。
「なんでデートなの?!」
「だって、花陽ちゃんは伊達君が好きか嫌いか仲良くなりたいかよくわからないんでしょ?」
「…うん…。」
「じゃぁ、一回デートしてみて自分の気持ちがどうか確認してみようよ!!」
「…えっと…そうかなぁ…?」
的を射ているような射て無い様な穂乃果の提案に困惑する花陽。
「伊達君から逃げるのを克服できるかもしれないじゃん!」
「た、確かに…。」
穂乃果の提案に納得しかけたその瞬間思いついたようにことりが花陽に切り出す。
「あっ♪花陽ちゃん、携帯貸して貰っていいかな?」
「…?良いけどどうしたの?」
「良いから良いから♪」
ことりは笑顔で花陽の携帯を受け取り触りだす。
「花陽ちゃん!どうかな!?」
「う~…どうと言われても…。」
穂乃果がグイグイと迫る中、ことりはニコニコと花陽の携帯をいじり出す。
「こ、ことりちゃん…助けてぇ…。」
「…これでよし!っと」
穂乃果の圧力に押されまくっている花陽はことりに助けを求めるがことりは何かの作業が終わったようでようやく携帯から目を離し二人の方を向く。
「ことりちゃんも1度デートした方が良いと思うよね!?」
「…ことりちゃん…。」
お互いの言い分を通すためにことりに意見を求める二人。
「ことりも花陽ちゃんは1度デートした方が良いと思うな~」
「えぇ…。」
半泣き状態の花陽を見て少し苦笑いのことりは携帯を花陽に返しながら話し出す。
「だから…」
_______今、伊達君にデートのお誘い入れておきました♪
「………えっ?」
突然の言葉に花陽は固まってしまう。
「おぉ!!ことりちゃんナイス!」
「「イエーイ!」」
「……。」
修学旅行ぶりのハイタッチを交わす二人を他所に花陽はその衝撃から固まったままだった。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
「あ、やっと帰ってきた。」
毎度ながら急に冷静にツッコミを入れる穂乃果。
「どどどどどど、どうするのぉ!?!?」
「いや、伊達君がOKだったら日程合わせてデートに行けば良いんだよ。」
急に冷静に対応する穂乃果に若干の恐怖を覚えつつ花陽はうろたえまくる。
「そうじゃなくてぇぇぇぇ!!」
こうして、花陽は先輩二人のアドバイス?によって宏樹とデートすることになった。
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「花陽…」
「…はい?」
放課後、部室で花陽は死んだ魚のような目をしながら雑誌と携帯を交互に見ていたところを海未に声をかけられた。
「私はあまり人の夜更かしの理由に文句は言いたくないのですが…。花陽…あなたの状態はちょっと心配になるレベルです…。」
「心配かけてごめんね…花陽は全然大丈夫だから…。」
心配で話しかけても大丈夫と言い張る花陽を見て海未はため息を付く。
花陽が夜更かししている理由…それは宏樹とのデートの場所を決めきれず悩んでいた為だった。
宏樹とのメールでのやり取りで日程の話はしていたが1番最初に送ったことりのメールはファッションショーでのアドバイスのお礼ということになっており場所は花陽が決めることになっていた。
情報誌を読み携帯で調べているうちにどれが良いか?どこだと喜んでもらえるか?など考えているうちに睡眠時間はみるみる削られていき今日の朝に至ったわけである。
「あまり詮索するべきでは無いと思っていましたが、週末に宏樹とお昼を食べに行くそうですね?」
「海未ちゃん知ってたの?!」
「えぇ、たまたま話の流れで宏樹から聞きました。」
「そうなんだ…。」
「(嬉しそうに、ニヤつきながら説明されたとは言わないほうが良いでしょう。)」
我が幼馴染の情けない話を割愛して海未は更に話していく。
「予想ですが、その場所をどうしようかと悩んでこのような状況になったのでは?」
「うっ…。」
ズバリ正解を言われて花陽はうろたえる。
「(まぁ、宏樹は当日着る服を今から悩んで寝不足ともっと情けない話なのですが。)」
「やっぱり、先輩とご飯食べるから喜んでもらえる方が良いかな?って…。」
元気の無い笑顔を見てまた海未はため息を吐く。
「花陽…確かに相手に楽しんでもらうことを第一に考えることは良い事です。」
____…ですが、あなたが楽しまなければ意味が無いんですよ?
「えっ?」
「今、貴方は楽しいですか?」
「…えっと…。」
「当日、楽しめそうですか?」
「…その…。」
矢継ぎ早にでてくる答えづらい質問に花陽は黙りこんでしまう。
「一緒にいる人が楽しくないと自分も楽しくない。そんな事を考えるのが伊達宏樹と言う人間です。ですから花陽の行きたいと思った場所で楽しむようにするのが1番だと思いますよ。」
海未はそう笑顔で花陽に話しかける。
「海未ちゃん、ありがとう。」
「えっ?」
渋々説得に応じてくれると思っていた海未は花陽が笑顔でお礼を言われて少し驚いてしまう。
「確かに、花陽が楽しいと思えるところじゃないと行けないね。」
「そうです。宏樹もそう思ってるはずなので。」
「それじゃ、花陽が気になっていたお店に行きたいかなぁ…。」
「どんなところか是非教えて下さい。私にアドバイスできることがアレばしますので…。」
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「海未、まだ残ってたの?」
「はい。もう少ししたら帰りますよ。」
絵里は部室に残っている海未を見つけそう声を掛ける。
「あら?もう一人いたのね。」
「どちらかと言うと私より先約でしたよ。」
海未はクスリと笑いながら絵里と隣で眠っている花陽を見つめる。
「上手く行ったの?」
「はい。なんとか」
ふぅと溜息を付いて海未は絵里と話し出す。
「花陽のフラフラな状態を見て穂乃果とことりに事情を知らないか聞いてみたらまさかこんなことになってたなんてねぇ…。」
「なんとか当日の場所は決まりましたよ。今日以降はぐっすり眠ってくれるはずです。」
「もしかして場所が決まって安心して寝てしまったの?」
「多分そうでしょうね。予約の電話をして少し席を外してたらもう寝ていましたよ。」
海未はその時の状況を思い出したようでまたクスリと笑う。
「まぁ、あとここからは当人たちの問題ですし二人に任せましょう。」
「そうね。あ、そう言えば…。」
ふと思い出したように絵里が海未へ質問をする。
「伊達君って女の子とデートしたことあるの?」
「デートですか…。多分私が聞く限りでは聞いたこと無いですね…」
「そうなのね。」
「あっ…デートでは無いでしょうが……やっぱり、この話はやめておきましょう。」
「えっ?なにか言いかけて止めるなんて気になるじゃない!」
海未は絵里の言葉に耳を貸さずに花陽を起こした。
会話をぶった切られた絵里は少し不貞腐れた顔で席を立った。
こうして先輩2人のフォローによって花陽は何とかデートの当日を迎えつつあった。
最後までご覧頂きありがとうございます!
次回がデート回でございます(^q^)
あと3話位と言いましたがもう少し話数は増えそうです(^q^)
あと至極個人的なお話なのですが、twitterアカウント作りました。
詳細はプロフィール、活動報告にて。