μ’s MUSIC BOX   作:ぶりくすむ

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ご無沙汰しています。

えー…なんで途中の物をすっ飛ばしていきなり花陽編なのかという説明は活動報告にて。








取り敢えずは内容を楽しんで貰えれば…。どうぞ。



Overdrive - 小泉 花陽 編 -
# 01


 

 

 

「『ファッションショーでのμ'sにご期待ください!』…っと」

 

 

__音ノ木坂学院2年 伊達宏樹はアイドル研究部の部室で独り言を呟きつつカタカタとキーボードを叩く。

 

 

 

「伊達まだ残ってたの?」

 

「あ、矢澤先輩。」

 

 

ガチャリと扉が開いた音の方を見た宏樹の視点の先にはが少し驚いた顔をしていた先輩矢澤にこが居た。

 

 

「いやー、新曲の振り付け決まって皆の練習見てたらテンション上って…。」

 

「…にしても残りすぎよ。もうすぐ下校時間よ。」

 

 

放課後の下校時間も近くなった時間になっても部室で作業をしていた宏樹ににこは呆れ気味にツッコミを入れる。

 

 

「頑張ってくれることはありがたいけど無理して何かあったら大変でしょ。」

 

「まぁ、確かに…。」

 

 

説教モードになっているにこに宏樹は苦笑しながら返答をする。

 

 

「時間はまだあるんだから今日はこの辺にしときなさい。」

 

「…。」

 

「どうしたのよ?急に無言になって。」

 

 

 

 

説教を急にこんこんと聞くようになった宏樹を見てにこは若干不思議な顔になる。

 

 

 

 

「矢澤先輩が優しい…明日は槍が振る…」

 

 

そう言いながら宏樹は怯えた顔になっていた。

 

 

 

 

「アンタがそういう余計なこと言わなきゃにこは優しいわよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…先輩、冗談なのにあんなに怒らなくてもいいじゃん…。」

 

 

 

 

宏樹はにこに怒鳴られた後、こっぴどく説教をされ部室の戸締まりまで押し付けられトボトボと部室の鍵を職員室に届け終え愚痴りながら下駄箱へ向かっていた。

 

 

「今日はこの理不尽な怒りをゲームで発散せねば……ん?」

 

 

下駄箱へ向かう途中物音がしてその方向を向く。

 

 

「…屋上?」

 

 

その物音は確かに屋上から聞こえてるようだった。

 

 

「幽霊がでるには、ちょっと早ぇよなぁ…」

 

 

夕暮れになりつつ有るものの暗くなるにはまだ早い。そんな時間帯でおかしな物音がした方向を見ながら宏樹は顎に手を当て首を傾げる。

 

 

「…行って見るか。」

 

 

宏樹は屋上へ向かうことを決心した。

 

 

__タン…タン…

 

 

歩を進める度に物音は大きくなる。

 

屋上から物音がしていることは間違いない。

 

宏樹は恐る恐る屋上に出る扉を開け外を覗いてみた。

 

 

 

 

 

 

「ハッ!…ハッ!」

 

 

 

 

 

 

宏樹が見つめる先には黙々とダンスの練習をしてる小泉花陽が居た。

 

 

 

 

 

「(居残り?まだそんな追い込む時期じゃないよな…。)」

 

 

自分がにこに言われた事など棚に上げ花陽が練習してる姿を見て宏樹は首を傾げる。

 

 

 

 

「あっ!?」

 

 

 

 

__ドサッ!

 

 

 

 

ステップの途中で足を踏み外し花陽は転んでいた。

 

 

 

「っつぅ…。」

 

 

苦悶の表情に一瞬歪むがすぐ立ち上がり練習を再開する。

 

 

「…凄い。」

 

 

黙々と振り付けの練習をしてる花陽の姿を見て少し見とれてしまう。

 

いつも皆の前で見せるおっとりとした彼女はおらず、アイドルとしてダンスに向き合う姿がそこにはあった。

 

そして、いつもの彼女とは決定的に違う『悲壮感』のような物が漂っていた。

 

 

 

 

「あっ!?」

 

 

 

 

__ドサッ!

 

 

 

 

 

また、さっきと同じステップの部分で花陽は転んでしまう。

 

今度は痛がる素振りも見せず立ち上がり練習を再開する。

 

 

 

何度も同じ部分で転び、立ち上がり練習を再開し…。

 

 

 

 

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 -

 

 

 

 

「ハッ!…ハッ!」

 

 

__ダン!

 

 

 

何度も失敗していたステップを無事成功させ花陽は最後のポーズを決める。

 

無事完走できたことで花陽の表情もいつもの優しい笑顔になる。

 

 

宏樹は一段落着いたようなのでコソコソ覗くのも性に合わないので屋上へ出ることにする。

 

 

「お疲れさん。」

 

 

「ええっ!!?!?先輩!?!」

 

 

花陽は扉を開けて出てきた宏樹に驚く。

 

 

「まさか、花陽ちゃんがコソ練してたとはねぇ…」

 

「先輩…いつから居たんですか!?」

 

「カレコレ30分前くらいかねぇ…」

 

 

花陽は宏樹の言葉を聞いて固まる。

 

 

「先輩!!」

 

 

固まったと思ったらものすごい剣幕で花陽は宏樹に迫る。

 

 

「ど…どした?」

 

「この練習のことは内緒にして下さい!」

 

「へ?」

 

 

意外なお願いに拍子抜けした返事をしてしまう。

 

 

「なんでまた?」

 

「この事を言うと多分μ'sの皆が花陽の練習に付き合ってくれるから…。」

 

「いいじゃんソッチのほうが…。」

 

「ダメなんです…皆には皆の時間があるのに花陽の練習に時間を使わせたら!」

 

 

何やら必死に抗議する花陽だが、宏樹はどうにも納得いっていない。

 

 

「仮に一緒練習してくれたとしてもそれはその人達の意思だから問題ないと思うけどなぁ…。」

 

「いや!これは花陽の問題なんです!」

 

 

何時になく強い意志でお願いしてくる花陽に宏樹は押されてしまう。

 

 

「お、オッケー…。内緒にしとくよ…。」

 

「ありがとうございます!!」

 

 

花陽は安堵したような表情で笑顔になる。

 

 

「それにしても、なんでまた居残り練習なんて?」

 

「今回の振り付け今までにないステップとか色々あって…。」

 

「今までの練習では上手く出来ない部分が多い感じ?」

 

「…はい。」

 

 

花陽は少し暗い表情になる。

 

 

「明日もコソ練する感じ?」

 

「はい。皆に迷惑が掛からないようになるまでは…。」

 

 

宏樹は少し腕を組んで考えている様子。

 

 

「よし!決めた!!」

 

「は、はいぃ!?」

 

 

急に大声を出した宏樹に花陽は驚く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花陽ちゃん、俺も練習手伝うよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後までご覧頂きありがとうございます。

時間軸的には凛ちゃん回こと第2期5話の前の部分として考えています。

実はこの話を思いついてこのMUSIC BOXを始めようと思った自分的にも
思い入れのあるお話なので頑張っていきます。

今後の方針と途中のお話の展開などなどは活動報告にて連絡しています。

出来ればこちらも合わせて読んで頂きたく。

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