恥ずかしながら帰ってまいりました。
試験は終わりましたが、仕事の多忙さは相変わらずでヒィヒィです(^q^)
そんなこんなでことり編クライマックスでございます。
___南に『仕返しする』とだけ伝え宏樹は部室を出て行った。
「…宏樹。」
部室を出るとそこには海未が居た。
「今までシカトぶっこいてたのに自分から声をかけるなんて何の風の吹き回しだ?」
「…その件に関しては…ごめんなさい…。」
「まぁ、なんでこういう事してたのは色々調べて分かったし…。」
「あの…宏樹。」
聞きづらそうに海未は言葉を選びながら話を切り出そうとする。
「南の事だろ?」
「…はい。」
「盗み聞きしてまでお前はどうしたかったんだ?」
ことりとの会話と同じように表情を崩さず宏樹は淡々と質問をする。
「…その…ことりに夢を追いかけさせて上げて下さい!一度は潰えた夢なんです!だからこれ以上引き留めるのは…」
宏樹は海未の言葉を最後まで聞こうとせず踵を返し歩き出そうとする。
「宏樹!待って下さい!」
「…別に引き留めるとかどうとか考えてねぇよ。」
海未の言葉に足を止め宏樹はポツリと呟く。
「え?」
「『仕返し』するんだよ。あのバカとどうしようもないHEELさんがお互い納得できる形に持って行く…お前も協力しろカタブツ。」
「…はい!」
宏樹の言葉に海未は顔を明るくし、そう答える。
「何だかんだ、貴方もお人好しですね…」
「うるへー。美談義や偽善が冷水ぶっかけたいくらい大っ嫌いなんだよ。」
「はいはい。」
「んだよ!その”分かった分かった”みたいな対応は!」
❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏
ことりさんへの告白から数日俺は『抜け殻』状態だった。
告白は勿論うまくいくとは思っていなかった。けど、まさか今までの関係を終わらされるとは思っても居なかった。
正直、何も手につかない。傷心してから暫くは宏樹がフォローしてくれていたけど、最近はそれも無くなった…。
遂に愛想を尽かされたか…。
好きな人に振られ、友達には愛想尽かされて…どうしようもないな…。
そんなことを考えながら俺は放課後の教室で理由も無く椅子に腰掛け途方に暮れていた。
もうそろそろ完全下校時間かと思いふと時計を見上げた瞬間…
___ドガッ!ガシャン!!
天地がひっくり返り俺は吹き飛ばされていた。どうやら椅子と机ごと蹴飛ばされていたようだ。
「…ってぇ…。」
「よう、相棒。」
後ろを振り返るとそこには宏樹の姿があった。その表情には若干の怒気が含まれているようだった。
「相変わらずシケた顔してんなぁ…元々大したこと無いくせに。余計しょうもねぇ顔になってんぞ。」
そう言いながら宏樹は俺にツカツカと迫ってくる。
「女に振られてウジウジ乙女チックに傷心か?」
宏樹は倒れてる俺に腰を曲げて顔を近づけて睨みを効かせてくる。
「…のかよ」
「あ?聞こえねぇ。」
「お前に分かんのかよ!!俺のキモチが!!」
そう叫んで俺は宏樹の胸ぐらを掴み立ち上がった。
「…分かんねぇよ。お前の辛さも悲しさも…。」
「えっ」
今までの睨みを効かせた表情とは打って変わり悲しげな表情になり俺は驚いてしまった。
「けどな…」
「おわっ!!?」
驚いて胸ぐらを掴む手が緩んだ瞬間、俺は宏樹に投げ飛ばされていた。
「お前の協力はいくらでもしてやる。友達として相棒として出来る限りはな」
投げられ背中の痛みに苦しむ俺の先には睨んでいるわけでもなく悲しげでもなくいつものスカした表情の宏樹が居た。パンパンと手をハタいて宏樹は俺に話しかけてくる。
「南に仕返しするぞ。」
「…はぁ!?」
宏樹の意味の分からない言葉に目を点にしていると宏樹はカバンをひっくり返しバサバサと本らしきものを俺の目の前に落としてくる。
「澤村君。」
「うぉわぁ!?!?園田さん!?!いつの間に!?」
「実は最初から居ました。」
あんな熱い友情シーンみたいなのを全部見られてしまっていたのか…。でも、最初から居ましたエヘッって表情の園田さんが見れたからよし。
「いきなりですが、ことりは卒業と同時に海外へ留学します。」
「はぁ!??!!??!!?!」
全く脳の処理が追いつかない。相棒に投げられ、好きな人が留学しますとかもう風吹いて桶屋がなんちゃらかんちゃらもビックリだろ。
「澤村君の今の扱いもこれに影響してると思います。」
「は、はぁ…。」
取り敢えず、整理するとことりさんは留学が決まって俺を振ったって事?よく分からん。
「正直、私はことりのこの選択には納得出来ていなくて宏樹と協力して考えた『仕返しが』コレなんです。」
そう言いながら園田さんはバサバサとばら撒かれる本を一冊拾い上げ俺に見せてくる。
「…コレは…参考書??」
『???』な状態の俺を見て宏樹は首を鳴らしつつ喋り出す。
「俺のやることもう終わりでいいよな?」
「はい。説明は私がやっておきますよ。」
「おっけー。あーマジねみー2時間しか寝てないわー辛いわー」
よく聞くセリフを吐きつつ宏樹は教室を出て行った。
「あんな感じですけど、この『仕返し』の為に睡眠削って調べ事してたんですよ。」
「え?もしかして最近付き合いが悪いのは…」
「この件に関して色々しなきゃいけないことがあったので…。」
自分の為に友達が睡眠削って頑張ってくれたってだけで俺、既に感動なんですけど…。
「これから『仕返し』の説明をします。ただ、注意点というか一言だけ言わせて下さい。」
「はい。」
急に緊張感の漂う雰囲気になる。
「私達が出来るのは協力という名の手助けまでです。この『仕返し』に賛同して努力するのは澤村君次第です。いいですか?」
「…はい。」
友人二人の協力を無碍に出来ない。俺は心して『仕返し』の全貌を聞き。
___ことりさんへ『仕返し』することを決心した。
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❏❏
「その紙切れがことりへの”仕返し”?」
用紙を見せてドヤ顔をする拓哉君を見て私は失笑してしまう。
「まぁまぁ、内容を聞いても良いんじゃないですか?」
「そうだね。その紙切れでどれだけことりを驚かせてくれるのかな?」
紙切れ一つで私へ仕返しなんて出来るわけ無い。私は半ば確信めいたものがあった。
「そう言えば、ことりさんは卒業後に海外へ留学だそうで。」
「そうだよ…それも伊達君情報?」
「そうですね…」
「___しかも、いい大学にも留学だそうで…」
「えっ?」
新たなリーク情報に私は少し動揺する。
でも…これくらいでは私はもう顔色を変えるつもりは無い。
「ホントに誰にも伝えてない情報知ってるとか気持ち悪いなぁ…。ストーカーだよ?」
「ことりさん…淡々とそういうこと言われるとホントに辛いです。」
___ホントハ ワタシ ダッテ ツライヨ
「まぁ、マジえんじぇーことりさんのニュー情報は置いといてこちらの用紙なんだと思います?」
「興味無いんだけど…」
「あふん…いけず…こちらは俺が希望していた大学の『合格通知』となっています!」
「へぇ…」
彼は彼なりに道を選んだのか…少し安堵した気持ちを持ちつつ私は興味の無いフリを続けた。
「いや!褒めてくださいよ!ココ俺の学力だとギリ行けるか行けない学科だったんですって!」
「知らないよ。」
彼は何が伝いたいか全く分からない。最後の思い出に私と話すのが『仕返し』なの?
「まぁ、なんでこの学科を受かりたかったというとこの学科特殊なんですよ。」
「へぇ…」
「何が特殊かといいますと基礎の部分を終えると色んな選択が出来るんです。」
「よくある話だよね。」
「その中にあるんですよ”姉妹校に留学~”なんてセールスポイントが…」
”留学”という言葉に私の心臓は高鳴る。
「____例えばことりさんが通う予定の大学とか留学出来たり…ね?」
思いもしていなかった言葉に私は言葉を失う。
「…嘘でしょ…?」
「嘘を言う必要どこにあるんですか?」
私は彼に言葉を返されてから何も言い返せなかった。
「ことりさん…もう1度言わせて下さい。入学した時からずっと好きでした。」
彼は真っ直ぐな目で私を見つめてそう告げてくる。
「…どうして?
…どうしてそこまでするの?」
私は蚊の鳴くような声で彼に聞く。
「う~ん…この話を聞いた時、色々考えたんです。」
彼は苦笑しながら話しだす。
「俺はことりさんのどこが好きでなんで諦めたくないんだろう?…って。で、思ったことがあったんですよ。」
____俺は”ありのまま”笑って、怒って、泣いて、楽しむことりさんが好きなんだって。
「じゃぁ、今のことりさんは”ありのまま”なのか?って考えたんです。」
「ことりさんが何も作らない自分でいれる為に壁をぶっ壊してホントに”ありのまま”になった時フラれたら諦めようって」
「ことりさんが俺をフッた理由がこの件なら…そういう理由をなくしてみてダメだったらそれでいいかな?って」
「ホント、ストーカーですね。でもまぁ…しょうがないかなと」
彼は顔を指で掻きつつまた、苦笑する。
「ホントに…拓哉君はバカだね…。」
「そうですねー…自分でも本気でそう思います。でも、一度きりの人生を後悔したくなかったんですよ。”大馬鹿野郎の相棒”を見てたりすると。」
彼は少し誇らしげな顔をする。
「ホントに…バカだよ…ホントに…人生って1度きりなんだよ?」
「そうですね…だからこそですかね?」
彼はそう言いながら私を真っ直ぐ見つめてくる。
___私は…
_______ことりは!!!!!
最後までご覧いただきありがとうございます!
時系列の飛び方の収束がムズすぎて無事死亡。
ありのまま~なんていうと某レリゴーおばさん的なサムシングを
想像してしまうわけですが、ちゃんとタイトルの曲にインスパされたものですのでw
あと1話くらいでことり編は終わりかな?
さてさて明日は皆様、劇場版を観に行きましょう!
ワイ将も朝一に行きまっせ!