クライマックス直前!?
___3月の初日…卒業式を無事終え、私は教室で渡された卒業アルバムを見ていた。
「修学旅行か…」
呟いて目を落としたページには私、穂乃果ちゃん、海未ちゃん、伊達君…そして拓哉君が笑顔で写っていた。
沖縄の海で遊んでいた私達を先生が撮ってくれた写真だ。皆、笑顔が眩しくて凄く楽しそうだ。
___もう、この時には戻れない。
私がこの5人の楽しい関係を壊してしまった。
三年になって私は進路を考えた時にやっぱりデザイナーの道を諦められなかった…。元より諦めるつもりなど無かった。そんな最中、また私に留学の話が舞い込んできた。
冷静に考えれば留学を直前で辞めてドタキャンするような私にまた声をかけてくれるなんて思っても居なかった。向こうは『学生生活が中途半端な状態でこっちに来る方が無理があった』と私のドタキャンに不満を抱く事無く優しく受け入れてくれた。
トントン拍子で事は進み卒業を機に留学するというで話はまとまり私は保留していた夢を追いかける権利を掴もうとしていた。
勿論、今回は幼馴染二人にも相談した。
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相談すると二人は私の背中を押してくれた。穂乃果ちゃんは
「ことりちゃんの夢を全力で応援したい」と言ってくれて同時に夢を一度ストップさせてしまったことを詫びられた。私はあの時夢をストップさせた事を後悔したことは無い。だから笑顔で「謝らないで」と答えた。
大体の留学の話を終えた後、海未ちゃんは厳しい表情で私に質問をしてきた。
「ことり…澤村君や宏樹にはこの事を言うのですか?」
友達を大切にする海未ちゃんらしい質問だった。このことに関して私の答えは決まっていた。
「…言わないよ。だから二人に協力して欲しい。」
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そこからは伊達君の推理通り。
伊達君が私の個人情報を抜き取ってまでこのことを調べてくるなんて思っても居なかった。ただ、それをしたとことで私のキモチは変わらない。留学までに未練を残さずにここを去る。それだけだ…。
正直、拓哉君に告白された時は驚いた。
彼はファンとして私の事が好きで恋愛感情なんて無いと思っていた。だから、告白された瞬間一瞬だけ迷いが出た。でも、迷いは振り切れた。今日を過ごして色々な感情からさよならだ。
思いに更けてしまったなと感じながら私は卒業アルバムを閉じる。
「ホントにことりは最低…」
いつも彼が座ってる席を見て自嘲気味に私は呟いた瞬間、教室の扉が開く音がした。
扉を開けて入ってきた人物は拓哉君だった。
「…ことりさん。少しお話したいんですが。」
正直、今一番会いたくない人だった。今日を我慢すれば全て終わる。そんな中の彼との対面は辛い。
「馴れ馴れしく下の名前呼ばないでくれないかな?あと、ことりも暇じゃないの。」
「…。」
彼は私の辛辣な言葉に天井を仰ぐ。
「正直、そんな言葉浴びせられると心が折れそうになりますね…。」
出来れば折れて二度と話さないと思って欲しい。
「でも、まぁ、コレが『作られたことりさん』なら全然我慢できますけどね!」
そう言い放ち彼はいつもの笑顔で私に答える。
半年前に見慣れた混じりっけのない真っ直ぐな笑顔で。なぜ、彼の笑顔を見ることがこんなに辛いのだろうか。
「伊達君の訳の分からない”推理ごっこ”を信じたの?ホントに下らないね。」
___カラッポノ ココロニ シバシ ウソヲツク
「話は聞いてもらえるんですかね?」
「別にいいよ。手短にね。」
突き放すように私は彼に言い放つ。
「ありがとうございます。」
彼はニコニコとお礼をし、用紙を私に見せこう告げる。
___コレが”俺達”の”仕返し”です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
ボリューム的にはかなり薄い内容ですみません。
次回は嫌でも長くなると思いますw