とりあえず何だかんだで前回の倍ぐらいの文字数で草生える。
「・・・好きだ!愛してる!!」
穂乃果宅でラブソング作りのため集まっているμ'sのメンバーの前で穂乃果は告白のセリフを発する。
「・・・あぁぁん!!こんなんじゃないよねぇぇぇ!!」
イメージ通りに行かないのか頭を抱えて叫ぶ穂乃果。
「まぁ・・・間違っては無いわね・・。」
「はぁ・・・ラブソングって難しいんだねぇ・・・。」
絵里の発案で皆で意見を交換してラブソング作りをしているメンバーだがいい案は一向に浮かぶ様子はなかった。
「・・・じゃあ参考に恋愛映画でも見てみない?」
行き詰まるメンバーを見たことりが恋愛映画からヒントを得れないか提案をする。
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「じゃぁ・・もう一度皆で言葉を出しあって・・」
「待って!!」
映画鑑賞が終わり(海未が無理矢理中断させた)絵里が改めて意見を交換をしようとした時、真姫が遮る。
「・・・もう、諦めたほうがいいんじゃない?」
「今から曲を作って・・・振付も歌の練習もこれからなんて完成度が低くなるだけよ!」
「でも・・・」
「実は私も・・」
絵里が説得しようとする言葉の前に海未が喋り出す。
「実は私も思っていました・・・。ラブソングに頼らなくても私達には私達の歌がある・・・。」
「そうだよね・・。」
「相手はA-RIZE。下手な小細工は通用しないわよ。」
穂乃果とにこは海未に賛成する。
「でも!」
「確かに皆の言うとおりや。今までの曲で全力を注いで頑張ろう!」
「希・・・。」
絵里が反論する間を与えず希も真姫と海未の意見に賛同する。
「今見たら、カードがそれが良いって・・。」
「待って希・・・あなた・・・」
「ええんや、一番大切なのはμ'sやろ?」
二人にしかわからない空気が少し流れる。
「どうかしたの?」
「ううん。なんでもない。」
穂乃果が希に声をかけるが希は軽く受け答えそのまま会話を続ける。
「じゃあ今日はこれで解散して、明日から皆で練習やね!」
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Piriririri・・・・
「ん?」
何も予定のない日曜日の夕方に宏樹の電話が鳴る。
「真姫ちゃん?確か今日はラブソング作りで高坂のとこだったような・・。」
などとぼやきつつ電話を取る。
「真姫ちゃんどうした?」
『今から穂むらまで来て。家近いんでしょ?』
「はぁ?!確かにそうだけど・・・。なんで急に・・。」
『いいから早く!説明はあとでするから!!』
「おい!ちょっと!」
真姫は要件だけ伝えて電話を切る。
「・・・ったく・・・。何なんだよ!!」
宏樹は部屋着から大急ぎで着替え家を飛び出した。
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「凛・・・花陽・・・。先帰ってて」
真姫は全力ダッシュで飛んできた宏樹を引き連れ凛たちとは違う方向へ向かっていった。二人はぽかんとした顔で真姫たちを見送った。
「はぁ・・・はぁ・・・で、ラブソング作りはどうなったんだ?」
「・・・却下されたわ。明日から既存曲の練習が始まる。」
「結局そうなったのか。んで、なんで俺達は先輩たちをツケてるんだ?流石にまずくないか?こんなこと。」
宏樹の心配を他所に真姫はズカズカと歩を進める。
「・・・・気になる事があるの。」
「それは先輩たちをストーキングしないとダメなこと?」
「そうでもしないと分からないでしょ?あの二人のことなんて。」
「はぁ・・・しゃーねぇな。。。付き合ってやる。なんか怒られることがアレば全部俺のせいにしろよ・・・。ったくもぉ・・。」
宏樹は真姫の言葉に妙に納得してしまったこと、自分もこのラブソング作りの経緯を知りたいなどなど色々な思いもあり真姫に賛同することにした。取り敢えず、二人は後ろを追いかけつつ会話に聞き耳を立てることにした。
そんな二人のことは露知らず元生徒会コンビは帰り道を歩いていた。
「希・・・本当にいいの?」
「いいって言ったやろ?」
「ちゃんと言うべきよ。希が言えば皆絶対協力してくれる。」
「ウチにはこれがあれば十分なんよ。」
希はそう言いながらカードを取り出す。
「・・・意地っ張り・・・。」
「エリチに言われたくないなぁ・・・。」
「どういうこと?」
「なんか状況が掴めんが今回のこの一件、絢瀬先輩だけの話じゃなさそうだな・・・って真姫ちゃん!?」
宏樹の言葉を全部聞きるか聞ききらないか辺りで真姫は飛び出していた。
「それじゃぁ・・・また明日。」
「希・・・。」
「待って!!!」
元生徒会コンビが後ろを振り向くと真姫そしてどうもすみませんとペコペコ頭を下げている宏樹がいた。
「真姫ちゃん・・伊達くん・・・?」
「前に私に言ったわよね!面倒くさい人間だって!」
「・・・そうやったけ?」
真剣な真姫とは対照的にスカす様な態度の希。しかし、若干苦笑いになっていることを宏樹は見逃さなかった。
「自分の方がよっぽど面倒くさいじゃない・・・。」
「真姫ちゃんそれはちょっと言い過ぎ・・・」
「気が合うわね・・・。同意見よ。」
宏樹がフォローを入れる必要もなかったようで絵里が助け舟を出す。思わぬ言葉だったのか希は絵里の方を振り返っていた。
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「・・・お邪魔します。」
「遠慮せんと入って。」
4人は希の家に来ていた。
「・・・・。」
「伊達くん?どうしたん?」
「いや、女の子の家に行くのとか滅多に無いもんで・・・。」
「緊張してるん?」
希の顔が悪そうな笑顔に変わる。
「まぁ、それ相応に緊張してますね・・・。」
「真面目やなぁ・・・あっ。」
「どうしました?」
「そう言えばこの家に男の人呼んだのお父さん以外初めてやわ。」
茶目っ気たっぷりの笑顔に宏樹は血の気が引く。
「宏樹?」
「べ、別にビビってねぇし!」
「自分からビビってるって認めてるようなもんね。」
「ていうか、二人きりならともかく私達居るんだからそんな意識しなくていいでしょ?」
「ソウデスネ」
宏樹は既に死にかけの状態になっていた。
死にかけの宏樹を他所に希はキッチンに立ちヤカンに火をかける。
「お茶でええ?」
「あ、うん・・・・一人暮らしなの?」
真姫は家族の生活が見えない状況を見て希に質問する。
「うん・・・子供の頃から両親の都合で転校が多くてね。」
「そう・・・。」
「あー真姫ちゃんは知らなかったんだな。」
「宏樹は知ってたの?」
「最近な。」
「最近伊達くんとは仲良しで喋ってるからね。」
背中越しに何時もの希のトーンが聞けて少し宏樹は安心する。
「引っ越しが多くて音ノ木坂に来てやっと居場所が出来たって」
「その話はやめてよ・・・こんな時に話すことじゃないよ・・・おっとっと。」
少し恥ずかしそうにしていた希だが、ヤカンが沸騰したことに気がつき急いで火を止める。
「・・・・ちゃんと話してよ・・・もうここまで来たんだから。」
「そうよ、隠しておいても仕方ないでしょ?」
真姫は核心を突きたいようで若干この空気に焦れてきている。
「別に隠していた訳じゃないんよ?エリチが大事にしただけやん?」
「嘘、μ's結成した時からずっと楽しみにしていたでしょ?」
「そんなことない・・・。」
「希!」
「ウチがちょっとした希望を持っていただけよ」
二人にしか分からない会話で宏樹は首を傾げる。
「いい加減にして!何時までたっても話が見えない!・・・・どういうこと?」
「真姫ちゃん。叫んだら余計に話が拗れるから。」
「うっ・・・そうだけど・・・。」
しびれを切らした真姫は叫んでしまったが宏樹になだめられ落ち着きを取り戻す。
「先輩・・・話してもらえますか?」
「・・・・」
宏樹の一言に希は無言になる。
「簡単に言うとね・・・・夢だったのよ・・・希の・・・。」
「エリチ・・・。」
希の代わりに絵里が話しだす。
「ここまで来て何も教えないわけにも行かないわ。」
「夢?ラブソングが?」
「ううん・・・大事なのはラブソングかどうかじゃない・・・9人皆で曲を作りたいって・・・。
一人ひとりの言葉を紡いで、思いを紡いで、本当に全員で作り上げた曲・・・そんな曲を作りたい・・・。
そんな曲でラブライブ!に出たい・・・それが希の夢だったの・・・だからラブソングを提案したのよ・・・。
上手く行かなかったけどね・・。皆でアイデアを出し合って一つの曲を作れたらって・・・」
絵里の一つ一つの言葉はとても重たく思いの乗った言葉であることが宏樹、真姫にも十分に分かった。
「言ったやろ?・・・ウチが言ってたのは夢なんて大それたものじゃないって」
「じゃぁなんなの?」
「・・・何やろうね?・・・・ただ、曲じゃなくてもいい9人が集まって、力を合わせて、何かを生み出せればそれでよかったんよ・・・。ウチにとってこの9人は奇跡だったから・・・。」
「奇跡・・・ですか。」
希の言葉に少し反応しつつ宏樹は話を聞く。
「そう・・・ウチにとってμ'sは奇跡。」
そう言って希は笑顔でティーセットを運んできた。
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「確かに歌という形になれば良かったのかもしれない・・・。けど、そうじゃなくてもμ'sは何かもう大きなものをとっくに生み出してる。ウチはそれで十分・・・・夢はとっくに・・・・1番の夢はとっくに・・・」
「だから・・・この話はおしまい。それでええやろ?」
「って希は言うんだけれど・・・どう思う?二人は。」
絵里は笑顔で二人に話を投げかける。
「この話で既存曲でやることに納得する奴なんて東條先輩だけですよ。」
「そうね。んふふ。」
「えへへ」
真姫と絵里はそう笑いながら携帯電話を取り出す。
「まさか?!皆をここに集めるの?」
「いいでしょ?一度くらい招待したって・・・友達・・なんだから。」
真姫が笑顔で希にウィンクをする。
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「よし、あと15分もすれば全員揃いそうね。」
一通りメンバーへ連絡した二人は一息つく。
「そしたら邪魔者は退散しますかね。」
そう言って立ち上がる宏樹に希は驚く。
「えっ?伊達くん帰るん?」
「俺はμ'sじゃないですからね。ここからはμ'sの仕事です。」
「・・・それじゃぁ、送って行くわ。」
「えっ?いいですよ。そんなことしなくても。」
「それぐらいはさせてよ。」
「・・・分かりました。」
苦笑しながら二人は外を出る。
無言でマンションの外まで出てきた時宏樹がふと話しだす。
「先輩・・・ラブソングを諦めようってなった時『自分の声を殺した』でしょ?」
「えっ?」
「ここで自分の声を殺したらμ'sが上手く回るって思って急に『他人みたいなフリ』してませんでした?」
「どうかな?」
真姫に『私の事を面倒くさいと言った』と言われた時と同じ苦笑をする希。
「図星ですね・・・。」
「ハハハ・・・。」
「過ぎたことは言っても仕方ないんで、この後に皆がそろった時『何も演じてない先輩』で曲作り頑張ってください。」
「何も演じてない・・・?」
希の頭に『μ'sのため』の東條希
と夢の中で言われた事がフラッシュバックする。
「先輩の『夢』と『願い』と素直な気持ちがあればラブソングなんてきっとラクショーですよ!」
「ふふ、伊達くんに駄目だし食らわんよう頑張るわぁ。」
「それじゃ、そろそろ皆来ると思うんでホントに帰ります!また明日学院で!」
「うん、バイバイ。」
そう言って宏樹は帰って行った。
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宏樹が家に着き、扉を開けようとした時ふと空を見上げる。
「おっ、雪だ・・・・。」
この雪もきっと曲作りにいい影響を与えてくれる筈。無駄に確信めいた気持ちを抱いて宏樹は家へ入る。
「・・・ヘックション!!!」
薄手の格好で走り回された宏樹が風邪を引いたのはまた別の話。
最後までご覧いただき有り難うございます。
ちょこちょこ今回やりたかったテーマというか縛りが出せてきました。
次回以降はもっと出せたらなと思ったんですが次回は多分箸休め回になりますw