「・・・・・おかしい。」
ズズとジュースを飲みながらジト目全開の真姫はそう呟く。
「おかしい?」
「絵里ちゃんが?」
幼馴染1年生コンビは真姫の言葉に疑問を投げかける。
「そんなジト目でジュース飲んで・・・可愛い顔が台無しだぞー」
「か、可愛いとか!意味分かんない!」
「相変わらず、真姫ちゃんはちょろいにゃ。」
「ウルサイ!」
「まぁまぁ、真姫ちゃん・・・・。」
1年生トリオ+宏樹という珍しい組み合わせで4人はコーヒー店のオープン席で話を繰り広げている。
「わりぃ、話が横道にそれたな。」
「変じゃない?絵里があそこまで率先してラブソングにこだわるなんて」
「俺もそれは少し違和感感じたな。」
真姫が宏樹に声をかけて相談を持ちかけたのはこの事だった。
「それだけラブライブ!に出たいんじゃないかな?」
「だったら逆に止めるべきよ!どう考えたって今までの曲をやったほうが完成度は高いんだし・・」
「希ちゃんの言葉を信じてるとか?」
「まぁ、確かに提案したのは珍しく東條先輩だったし何となく信じるのも分かるが・・。」
ある程度は納得できるが絵里があそこまでこだわっている理由が宏樹には見えないでいた。
「あんなにこだわるとこ・・今まで見たことある?」
「じゃあ・・・なんで・・・。」
「それは分からないけど・・・。」
3人も理由が見えず沈黙が流れる。
「はっ!?もしかして・・・」
ふと、閃いた様に凛はイスに乗って立ち上がる。
「悪かったわねぇ・・・今まで騙して!」
凛は絵里『っぽい』真似をしてA-RIZEの一員になった絵里を表現していた。凛は絵里が『スパイ』じゃないかと思ったようだ。
「は・・・ハラショー・・・。」
花陽は凛の推理に感嘆を上げる。
「あの3人に絵里ちゃんが加わったら絶対かてないにゃー!」
再びイスに座り、絶望に似た泣き発言を二人にあげる凛。
「よっこいしょ。」
「イタっ!!・・・いきなり酷いにゃ!!!」
宏樹は一人で騒ぐ凛にチョップを入れて黙らせる。
「大事な仲間を疑ってんじゃねーよ。全く・・あんだけ廃校阻止のために頑張ってた先輩がいきなり裏切るわけねーだろが。」
「だってぇ・・・。」
口を尖らして文句を言う凛。
「なに想像してるのよ?ありえないでしょ?」
そう言って真姫はジュースを飲む。
「じゃぁ・・・?」
花陽は再び真姫を見る。
「分からないけど何か理由があるような気がする。」
「今、答えを急いでも仕方ないんじゃないか?」
「そうだけど・・・。練習の時間も限られてるし・・。」
真姫は今から新曲を作るという考えよりも現状の曲で最高のパフォーマンスが予選突破の近道と感じていた。
「はいはい、俺達で考えてもしゃーない。この話題は終わり!」
「チョット!!」
湿っぽい空気になったので宏樹は無理やりこの話題を終わらせる。
「それよりどうだった?俺の先輩を骨抜きにした告白!」
ドヤ顔全開で宏樹は話を振る。
「アレはびっくりしました!先輩のキャラじゃないから見てるこっちもドキッとしちゃって!」
「絶対先輩あんなこと出来ないと思ったから驚きだったにゃ」
「・・・あれ?これ、俺褒められてないよね?」
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「今日は希の面白い場面が見れて楽しかったわー」
「えりち・・思い出させんといて・・・。」
元生徒会コンビ二人は告白イメトレの話で盛り上がっていた。
「そもそも、伊達くんはヘタレって相場が決まってるやん・・。なのにあんな感じで来られたら・・そらびっくりして腰も抜けるよ。」
「ときめいた?」
絵里はニヤニヤと希に質問する。
「ときめいたとか分からんけど、男の人にあんなに近づかれたの多分初めてだったから・・・。」
「ドキドキしたんだ?」
「もぉ~!!えりち!」
「青春してる希さんの余韻のために私は帰るわ~」
絵里はそう言って走って行ってしまった。
「はぁ・・・・。」
希は深く溜息を付く。
「明日から普通に喋れるかな・・・・?」
今日の出来事に若干の憂鬱さを感じつつ希も家路へ向かった。
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回はキリがいいので短めで!次は長くなるかも?
そもそも2000超えた辺りから集中力が切れることに定評があるのでどうなることやら(^q^)