μ’s MUSIC BOX   作:ぶりくすむ

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初めまして。ぶりくすむと申します。

初回ということで世界設定やら時間設定を
説明してるのがメインとなっておりますが
少しでも楽しんでいただければなと思います。




Break Through -プロローグ-
#00


「う~ん・・・っと。」

 

 終礼が終わり、音ノ木坂学院2年生の教室で伊達宏樹(だてひろき)は伸びをする。

 

 

「宏樹ー。今日暇か?暇ならどっか寄ろうぜ。」

 

 

 首をぐるぐる回してる宏樹に声をかけてくる人物がいた。

 

 

「ん?今日は何もないからいいぞ。どこ行くんだ?」

 

 

 宏樹に声をかけた人物は澤村拓哉(さわむらたくや)

 宏樹の中学生からの友人であり同じ音ノ木坂学院の同級生である。

 

 

「ついに俺のキャラが仕上がったからリベンジさせてくれる訳にはいかないか?」

 

 

 真剣な表情でお願いしてくる拓哉。

 

 

「え?あの戦いは10-2で完全決着でいいだろ?」

「あんなもんハメだろ!ウチのシマじゃノーカンだから!」

「どこで覚えたんだよそのセリフ・・・」

 

 

 苦笑しながらあまり乗り気ではない宏樹に対ししつこく拓哉は迫ってくる。

 

 

「しゃーないなー・・・付き合ってやるよ・・・。」

「よっしゃ!俺の挑戦を受けたことを後悔させてやるぜ!俺は先に行って常連ボコってくるわ!じゃーな!逃げずに来いよ!・・あっ!ことりさん!今日もお美しいですね!」

 

 

 挑戦を受けるとわかった途端、同級生南ことりに一声かけて笑顔で教室を出て行った。

 ことりへの一言を言うのが彼のポリシーのようだ。

 

 

「アイツも単純で実直だねぇ・・・南も嫌だったらちゃんと言えよ。言いづらかったら俺にでもいいから。」

「あはは・・嫌な気はしないから。・・・むしろ・・」

「むしろ?」

「な、なんでもない!」

 

 

 アタフタと慌てることりを見て疑問を浮かべつつ宏樹は帰りの支度を始める。

 

 

「ねぇ、伊達くん」

 

 

 声をする方を振り向くと同級生の高坂穂乃果(こうさかほのか)がいた。

 

 

「ん?どうしたんだ?高坂」

 

 

「さっきから完全決着とか挑戦とかボコるとか・・・喧嘩でもするの?」

 

 

 心配そうな顔で穂乃果は宏樹に問いかける。

 

 

「あーあれね。」

 

 

 宏樹は笑いながら説明しだす。

 

 

「拓哉とはお互い好きなゲームのことについて話してたんだよ。」

「ゲーム?」

「そう、ゲームの話。格闘ゲームのね。だから喧嘩なんてしないし仲良しだよ。」

「よかったぁ!・・二人共仲が良いのに喧嘩なんて嫌だから・・」

 

 

 心配そうな顔はいつもの笑顔に変わる。

 

 

「そんなことより、生徒会のお仕事は大丈夫なのか?新・生・徒・会・長・さ・ん♪」

「あ・・・」

 

 

 穂乃果の顔が笑顔から一転今度は焦った顔になる。

 

 

「今日、生徒会の仕事あったんだった!!どうしよう!!」

「俺に説明する前に生徒会室行ったら?・・・というかそろそろアイツが来そうだけどな」

 

 

 マズいという表情全開で宏樹に説明してくる穂乃果をみて宏樹は笑いながら冷静にツッコミを入れる。

 

 

 

「ほぉ~のぉ~かぁ~・・・・」

「ひぃぃ!!」

 

 

 怒気の混じった低い声が穂乃果の後ろから聞こえ穂乃果は怯える。

 穂乃果がゆっくりと振り返ると穂乃果と同じく同級生の園田海未(そのだうみ)の姿があった。

 

 

「終礼が終わったらすぐ生徒会室と言っていたでしょう!」

「だ・・だって伊達くんが完全決着とか挑戦とか言うから・・・」

「また人のせいにして!言い訳は認めません!」

「そ・・そんなぁ・・・」

 

 

 穂乃果は救いを求めるような顔で宏樹に訴えかけてくる。

 

 

「まぁまぁ、そこまでにしときなよ。」

「でも、穂乃果は遅れた理由をひ・・伊達くんのせいにして言い訳を・・」

「完全決着云々のくだりは嘘じゃないからさ・・ね?ソ・ノ・ダさん。」

「し・・仕方ないですね・・伊達くんもことりも穂乃果に甘すぎです!」

 

 

 そう言いながら海未はそっぽを向く。

 

 

「伊達くんありがとぉ~」

 

 

 オヨヨと半泣きの状態で穂乃果は宏樹にお礼を行ってくる。

 

 

「感謝の言葉は良いから生徒会の仕事をさっさとやってくる!行った行った!」

「はぁ~い・・・はぁ・・・」

 

 

 穂乃果はため息を付きながら海未、ことりと一緒に教室を出て行った。

 

 

「さてさて、俺は帰りますかね。」

 

 

 

 

 

 

❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏

 

 

 

 

 

 

「だぁぁぁ!なんで勝てねぇんだよ!!!」

「店の中で大声出すなよ。追い出されるだろ。」

 

 

 拓哉がファーストフード店でイキナリ叫びだすので宏樹がなだめる。

 

 

「俺の血の滲むような対策は何だったんだ・・・」

 

 

 放課後二人はゲーセンで約束通り対戦をしたが結果は10-1で宏樹の圧勝と前回より酷い結果となってしまった。

 

 

「対策の対策ネタ準備してるからな。」

「そんなの反則だろぉ・・・」

「隠れて俺も努力してるの。Do you understand?」

「No I don't!」

「なんでやねん」

 

 

 笑いながらとりとめのない話をしていると拓哉が少し真剣なトーンで喋りだす。

 

 

「そーいや。俺達が音ノ木坂に入ってもう1年半なんだよな。」

「そうだな。長いようであっという間だったな。」

 

 

 ちょうど2年ほど前、音ノ木坂学院は入学希望数の減少を理由に共学化が発表された。家が近い、学力的に適当であるという判断で試験を受け1年半前、宏樹と拓哉は音ノ木坂学院に入学した。栄えある音ノ木坂共学化男子生徒1期生である。宏樹達のほかにも10数名男子生徒は入学しており、音ノ木坂学院は共学の第1歩を歩み始めた。

 

 

「にしても色々ありすぎただろう・・この1年半で」

 

 

 拓哉は苦笑しながら話す。

 

 

「そうだな・・・スクールアイドルμ’sさん達には感謝しきれないな。」

 

 

 少し感慨深げな顔で宏樹は答える。

 

 

 

 1年半前、共学化した音ノ木坂学院だったが生徒の入学者数は思わしくなく

 生徒の中では廃校の噂が立った。しかし、結果来年も生徒の募集をするとの連絡が流れ宏樹たちは安堵した。

 

 

 

「後輩が入ってこないってやっぱり悲しいからな。」

 

 

 宏樹はまだ同じ表情でポツリと呟いた。

 

 

 

 

 半年前の4月音ノ木坂学院は共学化2年目を迎える。

 入学生徒数は去年より減少。その情報は見れば分かるレベルで宏樹たちを不安にさせた。

 

 

 

 そして理事長から廃校計画が発表された。

 

 

 

「あの時廃校計画の話を聞いた時宏樹はどう思った?」

「頭が真っ白になったよ。」

 

 

 拓也の質問に苦笑しながら宏樹は答えた。

 

 

「でも、どうにか廃校にならないで欲しいなって思ったかな?」

「あらかっこいい。」

「申し訳ないけどゲイの方はNGでお願いします。」

「折角、かっこいい雰囲気だったのによぉ」

 

 

 二人で笑い合って拓哉は話を元に戻す。

 

 

「廃校話が出てきて今やわが校の救世主μ’sが現れたわけだ。」

「最初海未からスクールアイドルやるって聞いた時は明日メテオが降ると思ったよ」

 

 

 μ’s誕生を海未から説明を受けた時の衝撃を冗談交じりに宏樹は話す。

 

 

「あの当時から頑張ってるの知ってたから一番最初のLIVEの現実は辛かった。」

 

 

 しみじみとμ’sの初LIVEを宏樹は振り返る。

 

 

「宏樹はこっそり見に行ってたんだろ?」

「俺が見に行くって言ったら海未は多分LIVEしてくれないだろうからな。」

「俺はあの日用事で行けなかったんだよなぁ・・見たかったなぁことりさん・・。」

「今、好きなだけ見れてるだろうが」

「分かってないなぁ・・初LIVEのことりさんをこの目に焼き付けたかったんだよ!」

 

 

 いつかコイツ捕まるな。と思いながら宏樹は話を戻す。

 

 

「まぁ、3人で散々なLIVEだったわけだ」

「えらく辛辣だな。」

「でもまぁ、それで高坂も海未も南も折れなかった。」

「むしろやる気になってたな。」

 

 

 μ’sの初LIVEの客入りはごく少数だったが穂乃果は歌やダンスを人前で行うことへのやりがいと誇りを感じ、ライブで感じた楽しさをより大勢に伝えたいという気持ちはその時芽生えたようで活動を加速させて行った。その気持に感化されたメンバーが今のμ’sである。

 

 

「気がつけば9人になって、かっこいい歌とダンスで踊る立派なスクールアイドルになってたなぁ」

「俺達が知らないだけで9人になるまでもきっとドラマがあっただろうし曲1曲1曲にもダンスの振付一つにも練習にもドラマがあったと思うぞ。」

「そこは俺達”1ファン”が踏み入れられないところだなー」

 

 

 少しだけ遠い存在に感じてしまうクラスメイトに複雑な表情を浮かべてしまう二人

 

 

「そんなわけで9人になってオープンスクールがあったわけですが・・」

 

 

 さっきの暗い表情が嘘のように拓哉がニヤニヤし出す。

 

 

「何か?ゲームに勝てなかったから心の傷口エグっていくのか?」

 

 

 少しムスッとして宏樹は答える。

 

 

「オープンスクールに向けて何をしたんでしたっけ?伊達くんは」

 

 

 攻撃を止めない拓哉にピキピキと怒りの効果音が聞こえてきそうな表情で答える

 

 

「音ノ木坂学院のアピールになると思って学院内の風景写真撮って!パンフレットに採用してもらって!学院HPの写真も頑張って更新して!結局話題になったのはμ’sでした!!これでいいか!!」

「店の中で大声出すなよ。追い出されるだろ。」

「ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 見事にやり返された宏樹は暴れ出さんばかりに大声をだす。

 

 

「まぁまぁ、落ち着けよ。宏樹の写真の才能あると思うし。」

「完全に適当に言ってるようにしか聞こえん。」

「いつかHPとかパンフレットの写真見て音ノ木坂学院入りたいって思う人が一人でもいれば御の字じゃん」

「確かにな・・そんな写真見て入学決める人なんて中々居ないしな。」

 

 

 ようやく冷静さを取り戻した宏樹をみて拓哉はホッとする。

 

 

「つーか俺には写真ぐらいしか無いし、これで音ノ木坂学院の役に立つことなんて早々無いし・・・」

「怒ったと思ったら拗ねるんかい。趣味が写真とか中々無いからアピールできるぞ?」

 

 

 口を尖らして愚痴りだす宏樹を見て拓哉は若干呆れる。

 

 

「だってお前は今μ’sの衣装作りの手伝いしてるんだろ?!」

「あれはたまたまだから!裁縫が得意なのが俺くらいしか居なかったの!」

「音ノ木坂学院の為に頑張るμ'sのお手伝いとかやり甲斐過ごそうじゃん・・」

「あんまりその辺頑張ろうとするなよ、学生のメインは勉強なんだから・・」

 

 

 宏樹をなだめるのに苦労しつつ拓哉は話を戻す。

 

 

「そんな訳でオープンスクールの影響もあって音ノ木坂学院は来年も生徒の募集をするってなった訳だ」

「その前に高坂が体調崩したりラブライブ結局出れなかったりしてたけどな」

「なんかツッコミ厳しくない?」

「別に。」

 

 

 あからさまに不機嫌そうなテンションで宏樹は会話を続ける。

 

 

「あと南の留学騒動な。」

「本当に実現してたら俺はこの世に居ないわ。」

「それマジで南に迷惑かかるからやめろ。」

 

 

 またお互いに笑い合って宏樹は話しだす。

 

 

「なんだかんだで今μ’sは9人で音ノ木坂学院を代表するスクールアイドルなわけだ。」

「そのスクールアイドルのリーダーと同じクラスなんて鼻高々だな。」

「そのリーダーさんが今日生徒会長就任挨拶をしたわけなんだが・・・。」

 

 

 微妙な表情で宏樹は拓哉に話題を振る。

 

 

「もし、宏樹さんが点数を付けるなr「30点」

「食い気味に答えんなよ」

「自己紹介は良く出来ました。って感じ。アレは絶対あの後海未に説教されてるわ。」

「こ・・今後に期待だな・・」

 

 

 拓哉は苦笑しながらこの会話を終わらした。

 

 

「さてさて長々と喋ったなー帰るかー」

「そうだなぁー今日は拓哉のおごりだし」

「え?」

「敗者は問答無用で勝者を奢るルールだろ?」

「そうだった・・・」

 

 

 

 ゲームのペナルティーを思い出して拓哉はぐったりと項垂れた。

 

 

 

❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏❏

 

 

 

 

 宏樹と拓哉はお店を出て二人でいつもの帰り道を歩き出し、拓哉が喋り出す。

 

 

「さーて長いようで短いであろう残り1年半が始まるぞー」

「なんか変な区切りだな。」

「しゃーねーじゃん今から卒業まで頑張るってなったらそうなるんだから」

「確かにそうだどさ」

 

 

 笑いながら拓哉は話し続ける

 

 

「この1年半色々あったんだあと1年半ももっと色々ありそうじゃん!」

「そうだな・・それを楽しまないと損だよな」

「そうそう!そんな訳であと1年半も頑張るぞー」

「おーって言いづらいわ」

 

 

 的確なツッコミ入れて宏樹は笑顔で前を向く

 

 

「でもまぁ・・あと1年半全力で楽しみますか!」

「おーっ!・・・って俺のセリフ取るなよ!」

 

 

 二人はまたいつものように他愛のない話をして家に向かう。

 

 

 

 これから宏樹にとって大きな分岐点が待っているのはまた別のお話。

 

 

 

 

 




最後までご覧になってくださってありがとうございます。

μ’sのメンバー殆ど出てないぃぃ!
説明回ですのでお許しを!!

オリジナルキャラの見てくれイメージ等などは暇が出来た時に
活動報告にでも・・・。

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