【長期更新停止】やはり俺の人間関係は中学時代からどこか可笑しい   作:Mr,嶺上開花

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更新遅くなりました!申し訳ない!
まだリアルの方が忙しくなりそうで、また更に懲りずに新しい小説を書いているためにまた次の更新は遅くなります!
申し訳ない!(2度目)

…本編、どうぞ。。


6話 比企谷八幡は決意する

 

 

 

いつもなら家へ帰る時はコンビニにも寄れる超万能な東口から下校しているのだが、今日は少し事情が違った。

 

 

なんと、雪ノ下が【少し相談したいことがあるのだけれど、良いかしら?】と声を掛けてきたのだ。

小坪と谷津には内密にと言われたので俺はその二人が帰るのをトイレから隠れて見送った後に数分経って雪ノ下が鍵を職員室に返し終わるのを見計らって、下駄箱で待機していた。あれ、職員室じゃなくて教員室だったっけか?…まあいいか。

 

 

そうして3分ほど立ち尽くしていると当の本人である雪ノ下が姿を現した。

 

「少し待たせてしまったかしら?」

 

 

「…まあ、そうだな。気にする必要は無いぞ?」

 

 

「そこは嘘でも全く待ってないよ、とか言うところじゃないかしら」

 

 

お前はアレか、メルヘン志望なのか?少女漫画読みすぎて頭の中お花畑なのか?

 

とかそんな本人に聞かれたら即罵倒されるレベルの事を考えつつも、冷静に言い返す。

 

 

「そもそもさっきのミーティング終わってからずっと待ってたんだから流石にその台詞はキツイだろうが」

 

 

 

その事に言われて気付いたのか、ハッとした顔をする雪ノ下。…こいつ意外に表情分かりやすいな。

 

 

 

「確かにその貴方の主張も一理あるわね。…まあそれは良いわ、とにかくそろそろ行きましょうか」

 

 

 

明らかな逃げをしたな、おい。しかも他人の発言を認めつつも華麗に躱すとか、何かロンパに出たら強そうだぞ。学◯裁判で無双しそう。

 

 

 

雪ノ下は俺のことはあまり視野に入っていないのか、下駄箱を出てからキビキビ進んでいく。俺もその後をちょこちょことしながら影武者のように着いていく。

 

そうして俺の家と反対方向の南門から学校を出ると、ちょうど大通りに差し掛かった。信号を待って雪ノ下が直進したので俺もそれに着いて行く。

 

 

 

 

「……なあ、どこ行くんだ?」

 

数分経っても全く状況にに変化が無いのでついに言葉が漏れてしまう。

 

 

「この先のファミレスよ。そこで話そうと思うのだけれど…」

 

 

「そうか」

 

 

これきり会話が途切れてしまう。…超気まずい。そもそもこいつと会ってまだ1日だぞ。それも24時間もまだ経ってないくらいだ。それで順調に会話が弾むはずが無い。と言うかぼっちの俺がそんな相手に合わせて話題を振るなんていう上級テクが出来るはずがない。

 

まあだがこのくらいの沈黙ならまだ俺の許容圏範囲内だ。射程距離と言っても良い。なぜなら互いに嫌いな奴とかと出会わせて同じ空間に居ると最早気まずいのレベルを越して早く明日になって欲しいとさえ思ってしまうからだ。ソースは俺、この前駅で偶然俺を嫌いな奴と居合わせて、電車に乗るまでの10分間に30回くらい舌打ちされた。

 

 

「ついたわ、ここよ」

 

 

雪ノ下が歩いていく先には値段がとてもチープなことで学生から絶大な人気を博している某ファミレスがあった。中に入ると、いらっしゃいませーと言うアルバイトらしき店員の声があちらこちらで聞こえる。

 

俺は何名様ですか?と言う質問を二人で、と返すと空いている席に案内された。俺と雪ノ下は対面で座る。男女の学生で向かい合うその光景はさながらカップルのようだ…あり得ないが。

 

 

 

 

「……初めて来たのだけれど、意外とずいぶん綺麗なのね。安いからその点が少し不安だったわ」

 

 

「いやどこもこんなもんだろ?むしろ今時汚いファミレスの方が珍しいぞ?」

 

 

「そんなもんかしら…」

 

 

流石雪ノ下、見た目にそぐわぬ経験である。つかファミレス来たことないってどこのお嬢様だよ。…まさか本物のお嬢様か?じゃあ俺は多額の払いきれない借金抱えてそのお嬢様に執事として働けば良いのか?

 

……借金は勘弁……。

 

 

 

 

呼び鈴を押し、出てきた店員に取り敢えずクリームパスタを二つ頼む。

店員がかしこまりましたと言って厨房の方へ戻っていくのを見届けてから俺は発言する。

 

 

「それでどうしたんだよ。自分で言うのもなんだが、あんまり俺は相談役として不向きだと思うんだが」

 

 

「そうね、確かに私でもそう思う。だけれど、今日は相談と言うよりお願いしたいの」

 

 

「……意外だな、お前はお願いとかしないタチだと思ってた」

 

 

「そうね、確かにそうだわ。自分でも何で貴方に相談しているのか分からないもの」

 

 

そう語る雪ノ下の内心はきっと複雑なのだろう。

 

 

俺にとって雪ノ下雪乃という人間は完璧、という表現が一番当てはまる。いつも毅然としていて、何事も淀みなくこなしてしまう。

まだ1日しか観察してないが授業中の質疑応答も日常生活も、仕草も礼儀も中学生にして完成されたものであった。

 

 

だが、俺はそんな雪ノ下雪乃でも悩みや弱みがあるのだと思うと、意外性もあったが、それを超す勢いで安心感があった。

 

人間誰しも必ず一つは悩みや苦しみ、あるいは罪と言った形で自分自身の負の感情と対面し向き合う。だが雪ノ下はそのような表情を何一つせずに淡々と自分で考え出した最良の結論に従って動いて見えた。まるで長い間ずっと同じルーチンワークをしてきた機械のように。

 

人間から感情を除いたらもう機械と同類だ。それは既に人間と呼ぶには相応しくない。完成された機械という方が正しいとさえ思う。

 

 

だからだろうか、雪ノ下に悩みがあると聞いた時に俺は逆に安心してしまった。

 

別に完璧か悪いとは言わない、いや言えない。学生社会ではテストを完璧に答案するのは大切なことであるし、社会でも完璧に物事をこなす人材はとても貴重がられる。つまりは完璧とは人間真理における最終到達点でもあるのだ。

 

 

だが雪ノ下の場合、成績や態度などAとかCとか評価が付く事柄どころか身の回りの日常全てで欠点がない様に感じた。

それははっきり言って万能と言うよりは異常だ。

 

どうやっても出来ないことは誰だってあるし、逆に何故か呆気なく出来てしまうこともある。適材適所、という言葉もそこから来ているのだから。

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、クリームパスタです」

 

 

少し考えすぎていたのか、気づいたら既に頼んだものが運ばれてきていた。腕時計を確認してもまだ5分して経ってない。流石ファミレス、仕事が早い。

 

 

ガタッ、という音を立てて料理が乗った皿を二つ置く。そして伝票を透明な伝票用に立っている筒の中に丸めて押し込むと店員は、それではごゆっくりと言って厨房へ去る。

…凄く熟練された技術だ、この間5秒掛かってない。アルバイトを始めたらここまで技術を上げなければ行けないのか、キツイな。

 

 

「すごい早いわね………、ただこれだけ早いと逆に不安になるわ」

 

 

これはファミレス初体験の雪ノ下には驚きだろう。…てかファミレスからこの料理の速さを取ったら何も残らんが。

 

 

「まあ冷凍パスタを解凍してるだけだしな。手間が掛かって美味い、本物のパスタ屋には負けるだろ」

 

 

ファミレスの強い点は安い、早い、味安定の三つだ。美味しくもないが不味くは無い年中金欠である学生にはとても優しいお店である。

 

 

「…そろそろ話題を変えて良いかしら?良い時間だし、早く相談がしたいのだけど」

 

 

「そだな、時間も勿体無いしな」

 

 

そうして俺は雪ノ下雪乃の相談に耳を傾ける。

 

 

 

「貴方クラスの雰囲気とか風潮とか覚えているかしら?」

 

「何だ藪から棒に。…まあ俺は基本ぼっちだからクラスの全体とか集団とか分からんが、ただ最近の体育の授業とか少し嫌なムードな気がするな。何つーか、敢えて言うなら弱い者を挫く感じか?」

 

 

…そういや先週の体育の時間、いつも俺はぼっちで練習するのだが、何か人口密度が多い方がそん時は少し騒がしかった気がするな。金切り声とかが聞こえた気がする。無視したが。

 

 

雪ノ下はその中心…に居るわけないか、あいつも俺同様、殆どぼっちだからな。ただ人望は全然俺よりあるが。

 

 

「そうね、そんな感じで合ってるわ。それで私はそのグループと本当に僅かな、ナノ単位で付き合いがあるのだけれども今度は私が標的にされてるらしいの」

 

 

「ちなみに聞くが何の標的だ?」

 

 

「分かりやすく言えばイジメ…かしら」

 

「オーケー、よく分かった」

 

 

まあ確かに、中途半端に馴れ合いがあって、かつ付き合いが悪い奴ほど省かれる。俺とかは全く関わっていないし話したこともないからそのような事態になることは無いのだが、雪ノ下は多分授業のグループとかで他の生徒と組んでいるのだろう。だがあいつのことだ、プライベートな事には全く踏み越えさせてないのだろう。

 

そこまで行き着いたところで俺は一つ疑問が浮かんだ。

 

 

 

「…なあ雪ノ下、何で会ってまだ24時間くらいの見知らぬ奴にこんな重い質問するんだ?正直俺には全く理由が分からないんだけど」

 

 

雪ノ下はそんな俺の本心を汲み取ったのか、俺の目を見据えてこう言った。

 

 

「それは私にも分からないわ、けれども直感…かしら?貴方とは上手くやっていけそうだと思ったのよ。ただここまでの行動力を発揮したのは自分でも驚きだけれど……。」

 

 

上手く…か………。

 

上手くやっていける、と言うのが何に対してだが俺には分からなかった。部活仲間としてかもしれないし、あるいは友達としてかもしれない。流石に恋人とか好きな人としてなんて勘違いはしない、そんなのは既に捨てている。

 

 

少し抽象的な理由ではあったが、雪ノ下雪乃は俺の事を肯定した。会ってただの1日だから俺の本質全てを垣間見たわけではないと思うが、それでも今まで見てきた俺を認めた。

 

なら、俺も雪ノ下のことを肯定しなければいけないのであろう。今まで、たった1日、しかも学校にいる間という短い期間で俺が見てきた雪ノ下を認め、信頼する。

 

そしてもう一つ、そこから派生してやらなければいけない事も発生する。

 

 

 

 

 

ーーーー雪ノ下雪乃は比企谷八幡を信頼した。その逆も然りである。

ならその信頼に答えなければ、比企谷八幡は雪ノ下雪乃を信頼することも、されることも不可能だ。

 

 

 

…仕方ない、解消でもなく論点のすり替えでもなく、しっかりまるっと解決をしてやる。覚悟してろ雪ノ下。




最近自分の(執筆)能力に限界を感じてきたこの頃

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