【長期更新停止】やはり俺の人間関係は中学時代からどこか可笑しい 作:Mr,嶺上開花
「…まあそれはいいわ、とにかくある程度の内容は察しているようだしまずは自己紹介しときましょう」
俺があの担任を一発殴る…とまではいかなくとも何か嫌がらせくらいはしてやろうと決意を固めたその時、黒髪…もう黒でいいか。その黒の女子生徒がそう切り出した。
「じゃあまずは貴方からお願いして欲しいのだけど…」
そりゃ、もう三人いるコミュニティーに今から入るから、まあそうなるわな。
「さっき担任が言ってたとおり、2年4組比企谷八幡。前の部活は帰宅部。これでいいか?」
「…よろしく、とか無いのね」
「まだ宜しくするのかしないのか出来るのかは決まっとらんでしょ。そもそも俺自身無理矢理担任に押し込められたから、正直今後どうなるか分からん。だからそこは勘弁してくれ」
以上、俺の弁明である。本人の同意が無い状態で第三者が勝手に部活に放り込める訳が無いはずだ。幾ら保護者の同意があろうとも人権とかで引っ掛かるだろう。……多分。部活入ったことないから自信無いが。
「じゃあ、ここに所属してる限り宜しく…と言う形でいいのね?」
「ああ、その解釈で十分だ」
何か黄色と茶色は不満気な表情をしている。…博愛主義的なところでもあるのだろうか?それは関係無いか。
「じゃあ次は私ね。私は雪ノ下雪乃、趣味は読書…くらいかしら」
まさに見た目通り、もしこれが趣味はオカルトマニアですとかだったら驚愕していただろう。ちなみに俺はオカルトではないが、千葉マニアだ。千葉知識なら誰にも負けないという自負がある。レッツ千葉愛、さあ君も今日から千葉ラーだ!
「…何か?」
瞬間、雪ノ下から途轍もない威圧感が飛んできたのを感じる。まるで暗闇を一筋の閃光が飲み込むが如くの勢いで……って冷静に説明してるけど痛いって…!肌で実感するとホント痛いから反省しますから!
「…まあいいわ、じゃあ次は小坪さんでいいかしら?」
ふっと痛いほどの気圧が消える。何だアレ、ニュータイプ?それとも覚醒とかして能力増えたりするの?
「はいはーい!3年2組の小坪空です宜しくー!」
そう言ったのは茶髪の女子生徒だった。つまり最初に話しかけてきた人で合ってるだろう。まあ言動を見てもわかる通りにとても活発な雰囲気が出ている。てかショートカットの女子で性格が明るい殆どはリア充なんだよな、経験で分かる。
というかあそこの雪ノ下とカラフル二人(髪色的な意味で)は全く性格とかが違うのに良く噛み合うよな。毎回クラスではリア充の影に隠れてる俺的には結構関心する。あ、リア充の影じゃなくて教科書の影か。教科書立てて寝てるから。
「ああ、俺が退部するまで宜しくな」
あくまで説明しておくが、この宜しくというのは【俺は基本1人がいいからあまり干渉せずにして欲しい、なのでその辺宜しく】の略でもある。だが因みに全文言うとかなりの確率でめんどくさい事になる。ソースは俺。この前これ言ったらムキになった女子と論争になって泣かせてしまい、挙句の果てに教師に叱られた。…俺あんまり悪いことしてなくね?泣かせたのはやりすぎだと思うけど、自分の意見が論破されたから泣くとか完全に逃げだろ。某ロンパのモ◯クマとか自分の意見が崩れ去っても殆ど動揺してなかったぞ?…まあそうなるためには世界を混乱させるくらいの絶望が必要な為、一般人には実行不可能だが。
そんな脱線した思考を巡っていると、黄色がこんな事を言ってきた。
「何か感じ悪ー」
「別に感じは悪くないぞ、事実を言っただけだ」
そう事実論で反論すると、ぶーという声を上げ俺に反論する意思を見せて来た…が、それ以外言葉は発しなかった。なんでブーイングしたんだよ、てかブーイングあるならスタンディングオペーションもあるのか?ちょっと立ち上がって賞賛の拍手をしてくれ。
「そういやまだお前の名前だけ知らんのだけど、そろそろ自己紹介してくれないか?」
頭の中があまりに本筋から逸れてしまったので取り敢えず矯正するために話を進める。
「うん。私は2年2組、谷津美涼って名前ねー。谷に津田塾の津って書いて、やとって読むんだよー。苗字は間違われやすいから一応ねー」
「…すごい名字だな……」
不敬ながら少し感心してしまった。ここまで読みにくいのもそうそうないだろう。普通は『たにつ』、だとか『やつ』、とか読みそうなのに…。彼女は絶対病院で間違って読まれた経験があると俺は推測する。
自己紹介が終わってちょうど良い合間だと思ったのか、雪ノ下は、では、と間を一つ置いて話し始めた。
「これから比企谷君は我が数学部唯一の男子部員としてこの部屋をメインにして活動していくのだけれど、この部について何か質問はあるかしら?」
そりゃもちろん
「あるに決まってるだろ。まだ自己紹介以外は何一つやってないんだぞ」
「じゃあどうぞ比企谷君」
この際なので、今まで思っていたこと全部質問する事にした
「まず一つ目、活動日と活動時間が知りたい」
「…浅浦先生は何か言ってなかったかしら?」
その疑問に俺は少し眉を潜めて考える。
……浅浦あさうらアサウラasaura…。
「…浅浦先生って誰だ?」
思考がループを始めて進まなくなったせいか、つい言葉に出してしまった。…あっ、そういやそんなラノベを書いてる作者の名前もあったような……。
そんな俺の答えに雪ノ下は軽くため息ついたかと思うと、直ぐに言い直した。
「…あなたのクラスの担任よ?それくらいも覚えてないのかしら」
「ああ、自慢じゃないが人の名前を忘れるのは俺の108の特技の一つだ」
「本当に自慢出来ないわね。それに特技の数が煩悩の数と同じなんて気持ち悪い」
「どこが気持ち悪いんだ?煩悩の数は昔から除夜の鐘の鳴らす回数にもなっている、つまりとてもポピュラーな区分だ」
「そういう事を真顔で言う辺りがすでに気持ち悪いわ」
そう語る雪ノ下の顔はどこか晴れ晴れとしていた。多分俺を貶してスッキリとしたのだろう。俺的にはもやっとボールでも投げつけたい所存である。…古いか。
「それで結局比企谷は何が聞きたいのー?」
谷津にそう言われ、やっと話が脇道へ大きく逸れていたのに思い出す。
「…で、どうなんだ雪ノ下。日時を早く教えてくれ」
「毎週月曜と水曜と木曜、後土曜よ。時間は平日は放課後、土曜日は全日ね」
「まじかよ…」
何それ、超オーバーワークな気がするんだけど…。しかも土曜は全日?朝から夕方まで?
…本当にここ文化系の部活か?実は朝はランニングとか言わないよね。
……俺がそんな無意味な詮索をしてしまうのも無理はないと思う。だって今まで帰宅部だったんだもん☆
………………………無いな。
「他に質問は?」
そうしてちょうど会話が切れてしまったのを雪ノ下が繋いでくれた。ので、俺もそれに乗っかることにする。別名では絨毯爆撃とも言う。
「ここの顧問は?」
「浅浦先生よ」
「この部は今何に向けて勉強してる?」
「そうね、まあ当然次の定期試験ね」
「ここの教室は放課後鍵はかかってるか?」
「いいえ、空き教室ではなくここは中学3年の英語の少人数授業を行う教室だから殆どの場合空いてるわ」
「閉まってた場合は俺はどうすれば良い?」
「浅浦先生を職員室で探して呼んで、鍵を貰って来てくれれば大丈夫よ」
「じゃあ次にこの部は夏も活動するのか?」
「ええ、浅浦先生によると今年は合宿もやるとの事よ。楽しみにしてると良いわ」
「後、部活を休む場合は?」
「基本的に私たちのいずれか、あるいは浅浦先生に伝えてくれないかしら?後ついでに言っとくのだけれど、学校を休む場合は別に部活の誰かに電話しなくとも学校に電話してくれれば浅浦先生に伝わるから問題ないわ」
「……雪乃凄過ぎ…、聞かれてからほぼノータイムで答えてるよ…」
「それ言ったら比企谷も次から次へと良くあんな質問出来るよねー…。雪ノ下さんの返答の後にすぐ質問してるけど、あんな弾幕みたいに間を空けず普通に出来るとか少しおかしいー…」
「サンキュー、取り敢えず粗方は理解した」
俺の思いつく質問は殆ど終わったので雪ノ下に礼を言う。
「そう、なら貴方の馬鹿みたいな速度の悪意見え見えな質問に答えたかいもあったわね」
………流石にばれたか。これくらいすればさしもの雪ノ下でも答えに詰まると思ったんだが……すみません違います、ただ雪ノ下の答えに詰まった表情を見たかっただけなんです殴らないで…!
「…で、今日も部活するのか?」
そう俺が聞くと雪ノ下は俺だけではなく小坪や谷津の方にも顔を向けてこう話した。
「ええ、と言っても今日は少し時間を使い過ぎたから自習で良いかしら?」
「うん!おっけー!何の問題もないよ!」
「私も別に大丈夫、問題なんか無い」
「なら良いわね、各自自習で」
……やっぱり部活っていう集団に集まる人間はみんな仲良いのか?まだ俺にはよく分からんが、この部活の人間関係はとても良好なものに見える。
…まあそれは本質的なものではなく、俺主観の見た目だけだが。だからこそと言うべきか、これから過ごす場所だからせめてドロドロは勘弁して欲しい限りである。