【長期更新停止】やはり俺の人間関係は中学時代からどこか可笑しい   作:Mr,嶺上開花

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サブタイはそのままです。


2話 静かに比企谷八幡は計られる

 

普段の日常というのはいつも突然に消え散ってしまう。勿論それはいつも誰かの意思が介在していて、自分からどうこうするわけではない。というか俺がそんな事をするわけがない。ET、メンドイノ、キライ。

 

夏休みまで後2、3週間というところの日付を彷徨って居る今日この頃、なぜか俺は数学部という世にも奇妙な部活動に向かってた。当然そこまでの過程に俺の意思は全くない。

 

 

きっかけは担任の呼び出しだった。お前数学が破滅的にヤバイだろ?と言われ、思わず

 

「じゃあ世の中には毎回数学が出来る人間がどれだけ居るのか分からないですよ?そもそも数学的理念何てものは無事学生生活終えたらその瞬間に要らなくなってゴミ箱にポイです。しかし国語などの知識は世間でもコミュニケーションや報告書などの様々な場で使われ、とても大きな存在価値を発揮しています。つまりは寧ろ世間で役に立たない数学の方が学業の中で最も要らない知識だと言えませんか?」

 

という中学生の頭を捻りに捻って考え出した証明を

 

「だがお前にはまだ最低でも学生生活が2年残っている」

 

と見事な論破をされ、更には親にこの成績のことを先日話したらしく、ついては成績改善のため担任が数学部への入部許可を親に出したらあっさり認めたらしい。…このように俺の知らないところで知らない部活への入部が決定した訳である。自由権は俺には無いのかよ……。

 

そうした俺の知らぬ水面下の取り引きは無事終了し、この数学部なんていう訳の分からん部に俺は今歩かされている訳である。

 

 

 

「安心しろ、一応部員はもう3人居る」

 

「はっ、どうせアレですよね?全く喋らない根暗な奴とか内申点上げるための小細工してる奴とか、そういう奴らばかりだろ?だったら1人の方が気楽ですよ」

 

「…なんでお前はそんな捻くれた発想しか湧かないんだ?」

 

 

ため息を一つ溢す、担任である。…別にそんな捻くれた発想ではないと俺自身は思うんだがな。

 

 

 

「だって文化系の部活って何か引きこもってる感があるじゃないですか。それに高校と違って対した活動もやらないから、より一層根暗な雰囲気みたいのが漂ってる気がするんですよ」

 

 

「それは偏見だ。文化系でもうるさい奴は居るし、運動神経良い奴もいる。」

 

 

「そりゃ学校全体での全ての文化系の部活を見たらの話じゃないですか。俺が言ってるのはこの数学部だけにそんな人望ありそうなリア充街道まっしぐらな奴がいるかどうか何ですよ」

 

 

「…妬みか?比企谷?」

 

 

「違いますよ、これは謂わば状況調査、環境アセスメントですよ。石橋を叩いて渡るのとも全く同じです。例えばリア充ばかりの部活に入るの嫌じゃないすか」

 

 

そう俺が言い放つと、担任は少しばかり納得した表情した。そして、突然こんな爆弾発言をしてきた。

 

 

「…まあ、確かにそうだな。安心していいぞ、他3人は全員女子だ」

 

 

「………すいません、どこをどうすりゃ安心出来るのか俺には全く分からないんですけど」

 

 

「比企谷、喜べ、ハーレムだぞハーレム。お前の性格改善にもちょうど良いんじゃないか?」

 

 

何を言ってるんだこの教師は。そんな事で俺の根っこを変えることが出来ると思ってるのか?俺には的外れにしか思えん、てか寧ろこの部活から俺が弾き出されて終わりそう。あ、そうなりゃ別に俺なんの遺恨もなく部活辞めれんじゃん。全員女子サイコー。

 

 

「まあ後は本人たちを見て確かめろ。一応着いたぞ、ここが数学研究同好部、略して数学部だ」

 

 

なんつう略式名称、というか本名も酷いな。同好会なのか部活なのかはっきりしてほしい。

 

前を見るとドアノブで押し引きするタイプの扉がある。おそらく中は教室だろう、まあ当然だが。にしてもうちの中学はほとんどの扉が二枚でスライドさせて開閉させるタイプなのに、何で時々こんな感じの扉があるのだろうか?統一させないことが我が校のモットーみたいな感じか?

 

変な事を勘ぐっている間に担任はコンコンと二回ノックをすると、返事を待たずにドアを開けた。

 

 

「お前ら。突然だが、新入部員を紹介するぞー」

 

雑だなオイ。

 

 

「ほら比企谷早く前でろ新しい仲間だぞ」

 

そんな、アンパ◯マーン、新しい顔よー、みたいなノリで言われてもな。…ちょっと違うか。うん、違う。

 

 

「へー、君が新しい部員?」

 

すると唐突に奥から声をかけられる。黄色い髪のショートカットの子だ。…中学で染め毛とか、俺そんなキャラとあんまり関わりたくないんだが…。

 

 

「…そうらしいな」

 

取り敢えず見知らなぬ人に質問されたからには返さないのは気分が悪いので返事はしておく。…と言っても返事と言えるほど満足な物ではないだろうが。

 

教室の中を見渡すと、確かに3人の女子生徒が手頃な椅子を持って来て座っていた。彼女らの前には机もある、まあ数学を勉強するという内容くらいは分かってるから予想も出来るが。

 

 

「紹介しよう、こいつは2年4組の比企谷八幡。成績一部優秀で数学は破滅的、それに加えて性格がひん曲がってる。後、そろそろ目が腐りそうだ」

 

「おい何で俺のことを初対面の人に向かってナチュラルに悪口言ってんの?大体成績一部優秀って…、俺はな、やりたい勉強はやるし、やらない勉強はやらないんだよ。だから、自分で言っちゃなんだが得意教科は伸びてるし、不得意教科も取り敢えず大きい隙間はない。ある意味万能型なんだぞ」

 

 

奥の女子生徒の手が上がる。…さっきの黄色の髪の毛でショートだ、と言っても全く分からないだろうがまだ名前分からないからそれしか説明しようが無いんだよな。思わぬところで名前の重要性を知った気がする。まあ黄色の髪の毛というだけでかなりの特徴だから千葉の道端で見かけたら多分こいつだと思うぞ。…名前知らないから呼びかけられないけどな。

 

 

「ちなみにさっきの数学のテスト何点だったの?」

 

「……………29点、だったような気がしなくもない…」

 

「それ結構ダメじゃないのー?」

 

 

いやお前、逆に考えろよ?29点ってことはほぼ30点に等しい、つまり100%中の30%取っていることになる。つまり10問に3問確実に合っている確証があるわけだ。それ即ちサイコロの目を一個指定してを一回振るの33%とほぼ同程度、このくらいならギャンブルでは日常茶飯判事だ。むしろ今回は勝った方と言っても良いんだぞ?

 

 

……という言い訳をしようと思ったが、流石にそれは醜いんじゃないかと考え直す。

まあ、別に数学だけが人生じゃないからな。

 

 

そんな事を思っていると、またもや突然担任がこんな事を言い出す。

 

「そうだな、ついでに後でお前らも自己紹介しとけ。俺はまだ職員室でやることあるから、まあまた後で来るわ………多分」

 

じゃ、と言って素早くフェードアウトする担任。その速度に全くついて来れなかった俺は瞬きを数回し、そうしてやっと女子の中に放置された事実に気づいた。

 

 

「それで、比企谷君」

 

唐突に黒髪の長髪の女子がそんな言葉を発する。清楚感があるが、ただ一見すると同時に厳しさ兼ね備えているようにみえる。後、何か威厳みたいのも背後に見える。一言コメントするなら、怖いで集約されるだろう。

 

「貴方はこの部の事をどれくらい知っているのかしら?」

 

 

…まあ当然だな、部活に入るんだからそのくらいの質問はされてもおかしくない、とさっき廊下で頭の隅で考えていた。まあ実際のところ名前しか知らんが。

 

「そうだな、ここが数学研究同好部って名前からまあ数学の勉強をするんじゃないか?数検とか定期試験とか入試に向けて」

 

「何それ?貴方巫山戯てるのかしら?」

 

 

へっ?

何か間違ったこと言ったか?

 

 

黒髪の女子生徒が言う前に、この場で始めて発言する茶色の髪の女子生徒が先に答えた。

 

「ここの名前は数学研きゅう…なんとかじゃくて!シンプルに数学部だよ!」

 

 

その言葉を聞いて、俺は一瞬で理解した。

 

………あの担任、嘘吹きやがったな……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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