魔法少女かずみ?ナノカ ~the Badend story~   作:唐揚ちきん

29 / 110
前回までの真面目なあらすじ

カオルを殺し、替え玉としてユウリを魔法で変身させ、かずみたちに差し向けようとするが、そこに突然、あやせたちが現れる。
そこには行方を眩ませていた獅子村三郎の姿もあり、あきらはそれにキレていた。



第二十七話 下水道のスフィンクス

 今の感情を表すなら、ムカ着火インフェルノオォォォォを超え、激オコスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム状態だった。

 捜していたサボり魔がのこのこ目の前に現れただけでも殺意マシマシなのに、さらに裏切り者として登場してくれやがった。これほど、俺を怒らせたのは今まで居なかった。多分、居なかった。仮に居たかもしれないけど、何だかんだ精神を追い込んで自殺させたと思う。

 まあ、過去のことは置いといて、さてはて、どうやってこの野郎を血祭りにあげてやろうか。

 俺はサブを睨み、暴虐の限りを尽くしてぶち殺そうかと値踏みをしていると、そのサブの隣に居た二人のポニーテール少女の内、片方が俺に語り掛けてくる。

 

「こんなに都合よく会えるなんて嬉しい。運命を感じるね」

 

 銀髪の方のポニーテール、ドイツから遥々やって来た殺人ジャンキーことフランちゃんが嬉しそうに舌なめずりをして笑った。

 以前、学校で殺し合った時に引き分けだったのが気に入らないらしく、まだ俺を殺そうと狙っている様子だ。正直、俺としては今こいつに構っている暇はないので関わりたくない。

 

「だぁめ。フラン、わたしたちが何のために来たのか忘れてない?」

 

 それを制するように黒髪のポニーテールの方の少女、あやせちゃんはポンとフランちゃんの頭に手を乗せた。

 

「でも、あやせ……」

 

「フラン。私、聞き分けのない子、スキくないなぁ?」

 

 フランちゃんは口を尖らせ、抗議を目で訴えるが笑みを(たた)えたあやせちゃんはそれを黙らせた。

 有無を言わせないその態度に、さしものフランちゃんも不本意ながら頷いた。

 あのキチガイの権化のような彼女が、ペットのように大人しくなるのは絶対的な力関係が結ばれているせいか、はたまた女同士の友情とか言ううすら寒いもののせいか。どっちにしろ、碌なモンじゃなさそうだ。

 

「と、言う訳で。私たちは『ジェム摘み(ピックジェム)』に来たの。あなたとやり合うつもりはないわ。だから、その後ろの魔法少女三人譲ってくれる?」

 

 俺の後ろに居るかずみちゃん、ニコちゃん、『カオル』ちゃんの三人を指さしてそう言う。

 サブはそれについては聞かされてなかったのか、「えっ?」と驚きの呟きを漏らした。裏切ったはいいが、相変わらず上司には説明されずに右往左往しているようだ。

 どうする?

 ここで俺は何もせずに、彼女たちを差し出せば俺には興味のないあやせちゃんは手を出して来ないだろう。だが、後ろの『カオル』ちゃんはユウリちゃんが魔法で化けているものだし、何より、ここでそれを許せば計画していた絶望の宴が全部オジャンになってしまう。

 かと言って、ここで俺がドラゴン形態になって戦闘しても、それは同じ結果になる。

 ここを切り抜けるのは第一として、魔物としての正体を明かさず、ユウリちゃんの変装を守り、裏切り者を抹殺する。この難題を解決しなければ俺のお楽しみがなくなっちまう。

 目の端で後ろの三人を見ると、かずみちゃんはともかくとしてニコちゃんが俺に疑わしげな目を向けているのが分かった。

 『なぜ、貴方は他の魔法少女らしき人物と面識があるのか』。そう視線が訴えている。

 これ以上、ここに居ても俺への信用が薄れる結果になる。そうすれば俺と共に一晩一緒に居た『カオル』ちゃんまでに疑問の目が当たる。

 そうなっちまえば、ユウリちゃんの魔法による変装も暴かれかねない。

 俺は覚悟を決め、かずみちゃんたちの方を振り返り、口を開いた。

 

「かずみちゃん、ニコちゃん、『カオル』ちゃん。あちらの彼女たちは魔法少女でなおかつ、アンタらのソウルジェムを狙ってる。だから……」

 

 すっと、しゃがんで足元にある『ソレ』の隙間に指を入れる。

 両方の指で『ソレ』をがっちりと掴むと、力を入れて持ち上げた。

 

「早く逃げろっ‼」

 

 叫びながら振り返り、あやせちゃんの方の持ち上げた『ソレ』……マンホールの蓋をぶん投げた。

 遠心力を込めて投げたマンホールの蓋はフリスビーのよう回り、あやせちゃん目掛けて飛んでいく。

 それに対し、あやせちゃんは冷めた瞳で見つめるだけで、動こうともしなかった。

 そして、鈍い音を立て、マンホールの蓋は地面に落ちた。――真っ二つに切り落とされて。

 彼女の脇には銀色の刃の翼を持った巨大な鷹が一羽、存在していた。

 フランちゃんの魔物形態……鋼の鷹だ。

 

「……あなた、スキくないなぁ」

 

 怒気を込めて呟くあやせちゃんは白のドレス姿になっていた。左肩が露出 ソウルジェムは左胸の肌が出てるとこについていてヒョウタンみたいな形をしている。

 

「なっ、魔物!?」

 

「驚いている暇なんてないぞ、いいから早く逃げろ!」

 

「普通の人間の貴方を置いていける訳が……」

 

「いいから! もう、俺は誰かが死ぬところなんか見たくないんだよ! 『カオル』ちゃん、二人を連れて早く遠くへ」

 

「あきら……あなた……」

 

 『カオル』ちゃんも知らない魔物の出現に驚いて声を上げるが、俺は善人ロールをしながらも三人を逃げるよう叫ぶ。俺を嫌っていたかずみちゃんや、若干の疑いの目を向けていたニコちゃんまでも俺を本気で心配しているのがちょっと笑えた。

 事情を知っている『カオル』ちゃんだけは、「何言ってんだ、お前」と言う目で見ていたが、すぐに二人の手を引き、走って行った。

 

 ふっ。行ったか。どーよ、この俺の機転の利かし振り。これで熱い熱血少年を演じることで、なぜか他の魔法少女との面識があることをうやむやにしつつ、三人をここから退場させることに成功した訳だ。

 そして、残された俺は魔法少女の衣装になったあやせちゃんに睨み付けられるという状況。

 

「……何のつもり? 私と敵対してまで何がしたいの?」

 

「いやねぇ。俺が先に目を付けた獲物に手を出すのはご法度だろって話だよ」

 

「そう。あなたもあの子たちのジェムが欲しいってことね」

 

「まあ、それもあるんだが、一番欲しいのは絶望に満ちた悲痛な女の子の顔さ」

 

 ソウルジェムなんぞ、手段にしか過ぎない。目的は信頼を裏切られ、絶望し、ゴミのように死んでいくあの子たちの表情。それを想像するだけで歓喜が止まらない。

 あやせちゃんは蔑むような瞳を俺に向けると、腰に付けた鞘に収められている剣を抜いた。

 西洋風のサーベル状の剣が俺に切っ先を向く。

 

「『アヴィーソ・デルスティオーネ!』」

 

 イタリア語と共に剣先から炎の塊が数個現れ、俺に向かって飛んで来る。

 

「わぁお! 危ねぇな、おいっと……」

 

 それを足元のマンホールの穴に飛び込むことでかわし、その代償に俺は下水道へと落ちていく。

 足だけを魔物化させて、難なく着地し、上を見上げるとあやせちゃんの不愉快そうな表情が見えた。

 

「どうする? その綺麗なドレスを汚してまで汚い下水道まで降りてきて、追いかけっこでもするかい?」

 

 にやりと笑って彼女を挑発する。

 俺が下水道まで逃げた理由は三つある。一つは当然、攻撃を避けるため。

 二つ目はここでなら魔物化しても人目に付かないため。

 そして、三つ目がこれだ。

 

「そんな汚いところ、頼まれたっていく訳ないじゃない。服が汚れちゃう」

 

 さして知り合って長くはないが、あやせちゃんの性格上、わざわざこんなところに降りて来ないと踏んだ。そして、上からの攻撃なら来る向きが把握できる上に見えない位置に逃げることは容易だ。

 

「私とフランはあなたなんかと遊んであげるほど暇じゃないの。……三郎、追いかけっこがしたいみたいだから、あなたが相手をしてあげて」

 

『な、彼の相手なら私が!』

 

「下水道の中ではあなたは満足に翼は活かせない。……それを狙って下に逃げたみたいだし」

 

 忌々しそうに穴の上から俺を見下ろすあやせちゃん。流石にフランちゃんを差し向けるほど馬鹿ではないようで安心した。

 そう、これで三体一という不利な状況を一気に一対一にまで戻すのが真の目的だ。

 あやせちゃんとフランちゃんは再び、かずみちゃんたちを追うことになるが、それはまあどうでもいい。

 今頃は残りの魔法少女と連絡を取ってるだろうし、追いつかれてもニコちゃんあたりがどうにかするだろう。

 今一番しなければならないこと、それはもちろん……。

 

「降りて来いよ、サブ。先輩がきつーいきつーいお灸を据えてやるよ」

 

 引きつった顔で穴を覗き込む裏切り者の粛清に他ならないのだから。

 奴は逡巡していた様子だったが、女子二人の剣幕に気圧され、下水道へと飛び降りる。

 それを見届けたあやせちゃんはフランちゃんに乗って、『ジェム摘み(ピックジェム)』を再開するために去って行った。

 邪魔者は消えた。後はもう思うがままに暴れるだけだな。

 

「えーと、あきらさん。こうなったのにはそれなりに深い訳がありまして……」

 

 言い訳と言う名の命乞いを始めかけたサブを俺は遮って、話し出す。

 

「いやー。うん、サブ。お前が誰について、何を企んでとかはもうぶっちゃけどうでもいいんだよ。ただ、ムカついただけで。そんで俺をムカつかせた奴は基本的に死ぬか、死ぬより酷い目に合うんだ」

 

 こいつの裏切り行為に涙ちょちょぎれるような理由があろうとそんなものは知らない。

 俺を裏切るという行為が純粋に気に喰わなかった。

 だから、殺す。そこにこれ以上の会話は要らない。

 本格的に俺が殺意の波動に目覚めていることを理解したサブは媚びたような笑みを消して、俺に言った。

 

「そうですか。まあ、そうだろうとは思いましたけど……でもいいんですか? この狭い下水道で戦うのが不利なのは巨大な竜の魔物のあきらさんの方ですよ」

 

 言葉を言い終わるや否や、サブは姿を緑のライオンへと変貌させる。

 

『まさか、人間ままで僕に勝てるとは思ってないですよね?』

 

 若干、自分が有利な状況だから調子に乗ってやがる。

 グリンピースみてぇな色してるくせに、俺のことを舐めて掛かるとはいい度胸だ。

 

「サブ、お前さ……自分があと僅かな命だって理解してる?」

 

 俺の言葉にサブは答えなかった。その代わり、下水道の足場の上を俺目掛け、まっすぐに突進してくる。

 数秒で距離を詰め、その大きな顎を開き、鋭く並んだ牙を俺に振り立てようとする、その瞬間。

 俺は肉体を変質させ、身体の部位を魔物化し、上に僅かに跳ねた。

 

『は、ここで竜になれば翼のせいで身動きが……』

 

『ああ、だから竜にはならねぇよ、()にはな』

 

 滞空したまま、真下に居る緑のライオンへと体重を掛けた踵落としを喰らわせた。

 竜の姿よりも軽く、人間よりは頑強な黒い鱗に覆われた足はサブの頭蓋に重たい一撃をかます。

 

『があ……っ!?』

 

 翼は要らない。邪魔なだけだ。

 鉤爪も要らない。長さは余計だ。

 大きさも要らない。人間サイズで十分過ぎる。

 俺は竜の姿にはならなかった。全身を魔力で変質させたが、身体の大きさはほとんど変えず、強化した。

 身体の一部だけを魔物化させる方法の応用だ。今の俺は魔物形態と人間形態の中間、いわば『魔人形態』となっていた。

 サブを蹴りつけた反動をうまく利用し、後ろへと着地を決める。

 

『どうしたよ、サブ。まだ一発蹴り、入れただけだぜ?』

 

『っ……油断してましたよ、抜け目ないですね』

 

 頭を振るって、サブはすぐに態勢を整えると先ほど用心深く俺を見据える。

 この魔人形態では、当然ながら魔物の時よりも威力が出ない。移動力の代わりに体重や筋力、その多諸々ものが竜の姿よりも劣っているから仕方ないことだが、一撃で仕留めるのは無理そうだ。

 だが、問題はない。なぶり殺しが俺の趣味だ!

 先に駆けたのは俺の方、それに反応し、サブは頑丈な爪の生えた前足を振り上げた。

 

 ――かかった!

 

 俺はその振り上げた前足を両手で掴むと、前へ引っ張りながら合気道の要領でライオンの巨体をひっくり返す。

 まさか、技術で来るとは思わなかったようで目玉を丸くさせ、あっさりとサブは足場の上で腹を見せることとなった。

 鱗で覆われた足でその無防備な腹を踏んだ。力を込め、思い切り、何度も何度も踏みつける。

 肉体の強度が遥かに強靭になった魔物とはいえ、身体の部位による弱点はある。そこを魔力で筋力が強化した足で思い切り踏めば無傷ではいられはしない。

 

『がうっ‼』

 

『あはっあはははははははははははっ! ざまあねぇな、おい。腹見せて服従のポーズの練習かなぁ?』

 

『くっ、この……!』

 

 挑発的に顔を歪めると、サブは身体を捻り、俺を弾くようにして起き上がる。体重差は五倍以上あるだろうから、当たれば痛かったろうが、俺は身体が触れる前にさっと身を引いて避けた。

 サブは俺へ鋭い眼光を向けて、喋り出した。

 怒りに身を任せて、飛び掛かって来るかと身構えていたが、意外に冷静さを保っているようだ。

 

『あきらさん。あなたは確かに、いい役者だ。恵まれた血筋のおかげか、さっきの上での演技もとても上手だった……』

 

『は? どうしたんだよ、また命乞いか?』

 

 急に場違いな賞賛に俺は疑問を抱いた。反撃の糸口を探っている可能性もあるが、それにしては落ち着き払っているのが妙だった。

 

『いいや違います。これから、オレがそのあきらさんを演じて見せると言ったらどうします?』

 

 意味が分からん。俺を演じる? サブが?

 発言の意味が理解できずに俺は、サブを見返していると、ライオンの顔がぐにゃりと歪んだ。

 そして、次の瞬間そこにあったのは俺の顔だった。

 鬣の中央にこの俺そっくりの顔が出来の悪いコラージュ画像のように鎮座している。

 それは人面の獅子。それはエジプトに伝わる怪物、スフィンクスのように俺の目には映った。

 

『これがオレの魔物としての能力。もちろん、ただ顔を真似ただけじゃありません。オレの力は模した相手の心の闇を読むことができるんです!』

 

 俺と同じ顔をしたスフィンクスが笑みを浮かべる。それは俺が獲物を眺める時にするものと非常に似ていた。

 なるほどな。こいつ、今まで自分の力を俺に隠してやがったってことか。そして、それが相手の隠していたことや弱みを暴き立てる能力だと。

 なかなかにえげつない能力だ。精神攻撃に特化した力と言えるだろう。

 

『それで?』

 

『それで、って? これからあきらさんはオレに心の奥底に隠していたものを演じられるんですよ?』

 

『やってみろよ。採点してやる』

 

 サブはそれを挑発と受け取ったのか、僅かに怒りを見せた後、俺の演技へと入った。

 

「俺は一樹あきら。俺は前の学校で十数名のクラスメイトを精神的に追い詰めて、自殺させた」

 

 声や表情においても完璧に俺をトレースしている。緑のライオンの身体にくっ付いているのが若干シュールだが、それさえ除けば立体映像でも見ている気分にさせられる。

 

「この街に引っ越してきて、今度は直接を手を下した。化け物になり、何人も人を食い殺してきた。今も女の子たちを騙し、取り入り、絶望させ、殺そうとしている」

 

『ほうほう。それでそれで』

 

「だから俺は……!?」

 

 滑らかに声の抑揚の付け方まで完璧だったサブが突然、硬直したように動きを止めた。

 俺は咎めるように、先を促す。

 

『ほら、続きを言えよ』

 

「……俺はまったく罪悪感なんて、感じていない。世界は俺のために回っている。いや、俺が世界を回している。俺を楽しませるために壊れて、喜ばせるのは当然だ。全人類は俺の玩具なんだから……潰れろ、砕けろ、音を立てて楽しませろ」

 

『ほう。なかなか精度の高い能力だな、そこまで見えるのか』

 

 僅かばかり、サブの能力の精度に感心すると、目の前の顔が再び、ライオンのそれへと戻っていく。

 震える声で、ぽつりとライオンは呟いた。

 

『狂ってる……ここまでの事をしておいて本当に心の底から罪の意識も感じていないなんて……オレだって演技のために犯罪をした事があった。でも、ここまで何も感じなかった訳じゃない……邪悪なんてものじゃないこれはもうただの……』

 

『失礼な言われようだな』

 

 俺ほど正常な人間がこの世に居る訳がない。俺こそがこの狂った世界の中で光り輝く真の光なのだ。

 狂っているとか、おはようとこんにちはの次くらいによく言われる気が、それは俺を理解できない矮小な奴らが悪い。

 だが、もういい。こいつの演技は上手いが、それだけだ。情熱がない。人を騙したいという情熱が足りない。

 

『もういいわ。お前……』

 

 呆然としているサブに俺は即座に近付き、身体の下の潜り込むように屈み、指先の爪を鋭く伸ばした。

 魔力により、伸びた鉤爪はライオンの筋肉を抉り、骨の隙間を通り抜け、心臓を一突きする。

 くぐもった声と共にライオンは赤い液体を口から漏らす。

 

『スフィンクスの次はマーライオンかよ。多彩だな、役者さん』

 

 生卵を橋で潰して、広げるように、爪の先に触れている中身(・・)をぐちゃぐちゃに掻き混ぜる。

 緑のマーライオンの吐き出す赤い水が量を増した。

 ぐらりとその重心が崩れたかと思うと、サブは人間の姿へと戻っていた。そのすぐ近くにはイーブルナッツが落ちている。

 俺はそれを拾ってしまうと、残ったサブの遺体を持ち上げた。

 

『おやまあ、死体の演技は上手じゃないか。死体男優賞があればノミネートされるぞ?』

 

 賞の代わりに栄えある獅子村三郎君を讃えるために俺は最大の名誉を与えることにした。

 最大の名誉、それは俺の血肉となって、この一樹あきら君の一部になること。

 

『よかったなぁ、サブ。本当におめでとさん』

 

 血抜きをしておいたお肉は今までよりもおいしくなっていた。役者としては二流だったが、お肉としては一流だったのがせめてもの救いだろう。

 




ようやく、続きを掛けました。
サブ君の能力は相手の心の闇を暴き出し、それを演じて見せる事で精神を抉る能力だったのですが、あきらが闇しかない人格だったので効果はゼロでした。
魔法少女相手だったら、かなり強力だったのですが、やっぱりキチガイって強いですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。