機動戦士ガンダム00AGE 【劇場版ガンダム00×ガンダムAGE(四世代目)】   作:山葵豆腐

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その7

「第三ブロック、電磁結界突破されました!」

 

 

 オペレーターのアレイナの焦燥に駆られた声とともに、艦内が大きく揺れた。バクトのビームスパイクとはいえ、戦艦の横腹に直撃してしまえば、かなりのダメージになる。電磁結界に頼っているプリマドンナは、結界さえ破られれば大きな的でしかなくなるのだ。

 それなりに場数をこなしてきたジェイナスでさえ、艦長という役割がなければ、帽子を投げ捨てて狼狽してもいいと思える。そんな危機的状況であった。まさか相手がXラウンダー部隊の生き残りであったなど、既存の戦術データからは大きく外れている。一本取られた、ということか。

 

 

「慌てたところで戦況は変わらねーぞ! 第三ブロックの作業員を対比させ、左翼エンジンの出力を二十%減! 電磁結界の残りエネルギーを艦橋と居住区に回せ! エンジンを囮にするんだ!」

「しかし、それでは推力が……ッ!」

「人の命と推力、どっちが大事だ? それに航行する必要もない。耐えるんだよ」

 

 

 ただ今は、〝一本取られた〟などと、悠長なことを考えられる時ではない。ジェイナスは危機的状況ながらも、慌てることなく冷静に各部所に指示を送る。チョコバーを素早く喉の奥に放り込むと、次の指示を出す。名将、とまではいかないものの、並の艦長とは違う何かが、彼にもあった。

 純白の戦艦に、無数の光が突き刺さる。ビットによるオールレンジ攻撃だ。狙いも正確。黒煙が吹き出し、各所の電磁結界発生装置を破壊していく。

 艦橋付近に収束させられた発生装置が一つ、また一つと破壊されていく。プリマドンナ隊の到着が先か、それとも撃沈が先か。そのような状況であった。

 

 

「敵機急速接近! ゼダスタイプです!」

「なッ!?」

 次の瞬間、艦橋の眼前に漆黒のMSが取り付いた。それはMSが戦艦を沈める時の〝お決まりの光景〟だ。ビームバルカンを備えた左手が伸びる。ビーム粒子が収束し始める。死の光が迫ってくる。

 

 

 ドラマならば、ここで恋人なり友人なり家族なり、誰かに向けて言葉を発する猶予が与えられるだろう。

 映画ならば、ここで横から味方艦の砲撃がきて、眼前のゼダスを溶解させるだろう。

 アニメならば、艦橋とゼダスの間にスーパーロボットが割り込んできて、ジェイナスたちを助けるだろう。

 

 

 しかしこれは現実だ。現実では、このようなシュチュエーションが五万と繰り返されてきて、その殆どに空想とはかけ離れた〝即死〟を与えられているのだ。コンマ一秒前までは生きることを感じていたクルーたちの瞳に、一瞬の絶望が煌く。

戦場にはエースパイロットやスーパーパイロットはいても、ヒーローはいない。誰も―――助けてはくれないのだ。

「みんな、すま……」

 

 

 はたして、そうだろうか?

 全クルーへと謝罪をしようとしたジェイナスだったが、次の瞬間に死は訪れなかった。皆が生きている。眼前にいたゼダスは左手を失い、後退していた。

 何があったのか。

 

 

 味方の砲撃か、違う。

 Xラウンダーの異能か、違う。

 敵ゼダスのパイロットが、トチ狂ってお友達にでもなろうとしたのか、違う。

 

 

 奇跡が起きたのだ。これは奇跡を約束されたようなアニメじゃない、本当のことだ。

 そこにあったのは深い蒼のMS。海のように蒼く、空のように蒼く、彗星のように蒼く。胸部には宝玉の如く緑色に輝く半透明の装甲が。突き出した両肩、左右対称だ。そこから伸びる細い腕、関節部にも見慣れない機構がある。

「所属不明機……回線チャンネル、特定不可能!」

「なんだと!?」

「連邦のMSの回線形式ではないようです!」

 

 

 両脚は人間の女性のように細く、白く、美しく。宇宙を優雅に舞う踊り子のように、その機体はプリマドンナの艦橋前に〝屹立〟している。背中からはシグルブレードを彷彿とさせる鋭い刃の翼―――にしては小さすぎる。推進器としては使えなさそうだ―――が生えており、中央にある反応炉らしき装置からは緑色の粒子が、この世界には存在しない輝きを散布していた。各部、装甲の隙間に銀色のラインが入っており、神々しい光沢を放っている。

 艦橋のモニターが切り替わり、その機体を正面から捉える。左右に伸びたブレードアンテナ、双眼……それはまるで―――。

「AGE‐Vではない……ならば、これは!?」

 

 

 このような美しすぎるMSは、マッドーナ工房でも造られないであろう。両手に武器を一切持たず、兵器というよりかは、パフォーマンス用のものにしか見えない。

 しかしその姿は確かに、永い歴史の中で、幾度となく人々を救うために舞い降りた救世主。

 

 

 それは銃少女(ガン・ガール)。

 

 

 それは自由戦士(フリーダム・ファイター)。

 

 

 天から舞い降りた、蒼い鎧の戦乙女。

 

 

 機動戦士ガンダム!

 

 

 

 

 

 

 ザムド・ファルシアのパイロット―――レイシャもまた驚愕を隠しきれていない様子だった。それもそのはず。今現在、彼女らの目の前にいるのは、正真正銘モビルスーツ・ガンダムなのだから。

 それもAGEタイプではない。

「どこの所属なの、こいつは! ガンダムは一機のはずだ」

『わ、わからん……だが、これはAGE‐Vではない!』

「そんなことは分かっている!」

 

 

 ガンダムは一機だけだと思い込んでいた自分に対する苛立ちを、レイシャはつい味方にぶつけてしまった。このままだと、母艦がこちらに来る前に全滅してしまう。

 目の前のMSの機体性能がいかほどのものかは分からない。ただ、そこに屹立しているものは〝ハイパーなプレッシャー〟に他ならなかった。弱いはずがない、そう思うことができた。

 それはガンダムのせいか、レイシャの強力なXラウンダー能力のもたらした直感か。

(この感覚は、あの時の小娘……!?)

 

 

 

 

 

 

「やれる……今の私と……ガンダムなら!」

 

 

 セツナはコックピット内で荒れる息を整える。オーバースペックの機体だからこそ、その桁外れな性能に追従できるぐらいにならなければならない。

 アナザークアンタの背部から、ビーム粒子とも、リフューザーの光とも違う、緑色の粒子―――GN粒子が吹き荒れる。この機体の反応炉から出ているものなのだろうか、今のセツナには分からない。ただ今は、目の前にある世界の歪みを断ち斬るのみ。

 

 

 先に動いたのは、ゼダスと同じく艦橋に取り付いていたバクトだった。

『戦場で武器一つ持たないとは……気取っているだけなら、死ぬぞ!』

「くる!?」

 すかさずセツナは反応し、両肩に備えられたGNビームサーベルを抜き出して、胸部のビームスパイクを受け止め―――いや、斬った。ビームサーベルでありながら、ビーム粒子を斬るほどの鋭さを持っているとでもいうのか。

『な、ッ!?』

 

 

 バクトのパイロットも驚きを禁じ得なかった。次の瞬間には、バクトの胴体は両断されており、コックピットのある頭部が〝見えない何か〟によって切断されて、本体から遠ざけられている。

 一瞬の出来事だった。

「これがガンダムの力……」

 

 

 残るはドラド二機、ゼダス一機、ファルシア一機。それでも、余裕だ、と感じられたのは当然か。

 蒼い彗星となって、アナザークアンタが舞う。現行の高機動MSに使われている最新鋭【SPALLOW SYSTEM(スパローシステム)】を以てしても追いつけないほどの速度。何らかのエネルギーフィールドを展開させて、擬似斥力を得ている他に、何か別の推進システムがあるとしか思えなかった。

 二機のドラドの両腕に備えられた三連ミサイルランチャーが一斉射される。灰色の軌跡が一斉にアナザークアンタに殺到。アナザークアンタはさらなる加速を行い、まるでサーカスの如く華麗な挙動で、ミサイルを全回避。両手を広げて、背中のシグルブレイドらしき翼を展開する。

「ソードビット……いっけぇえええぇええッ!」

 

 

 この世界で云う〝Cファンネル〟を巨大化させたようなビット兵器、GNソードビットが射出。二筋の光が、同時に二機のドラドの頭部を狩る。そこには爆発も何もない。空間自体が斬られたかのように、一寸の狂いもなく両断されたのだ。

 Cファンネルとて、これほどの正確な攻撃は行えないだろう(これほど正確に行う必要がない、というのもあるが)。

「脳波がこんなにすんなりと。すごい!」

 

 

 セツナを守る鉄の子宮は、他のどのMSよりも温かみを感じさせるものであった。脳に入り込んでくる、というよりかは、自分の脳波を受け止めてくれる、という表現のほうが正しいであろう。故に、セツナはアナザークアンタの四肢を、武装を、まるで自らの体のように操ることができたのだ。

 それは機体の全身に、自らの神経が張り巡らされているような感覚。

「思い通りに動いてくれる!」

 

 

 アナザークアンタの加速は留まることを知らない。流星のごとく、ゼダスとファルシアを―――二人のXラウンダーを翻弄する。急速旋回し、ゼダスの右手をビームサーベルで切り裂く。刹那、三百メートルほど先にいたファルシアの眼前に現れる。ビットによる攻撃も行っていたはずだが、全てかわされていた。

『私たちXラウンダーを弄んでいるとでも言うのかッ!』

 

 

 レイシャが反応した頃には、ファルシアの両腕は切断されており、視界をGN粒子の緑色が支配していた。先読み能力を以てしても、反応すらろくにできなかった。これが、ガンダムの力である。

「私の体が……宇宙(そら)を感じている!」

 

 

 それはセツナ自身が、アナザークアンタと一体化しているような感覚。

 意識そのものが、宇宙へと飛翔しているのだ。

「私が、ガンダムになってるッ!」

『な、速……ッ!??』

 

 

 真空を切り裂き、両腕を失ったゼダスの両脚がビームサーベルによって、そして頭部がソードビットによって切り落とされる。爆散したゼダス本体から吹き出す黒煙、その中からアナザークアンタは現れた。

『この機体……化物かッ!』

 

 

 いくら旧式であっても、こちらはXラウンダー専用機。ビット持ちの機体を、AGE‐Vの初期状態に匹敵する速度を出せる機体を、二体相手にしてもなお、この機体からは余裕が感じられた。

 気づくと、ファルシアはアナザークアンタの蹴りを受けて、コロニーの外壁部まで吹っ飛ばされていた。何度もバウンドし、ようやく停止する。機体から黒煙が上がっているが、まだ戦える状態だ。ビットは全て健在。ここで一気に勝負を仕掛けなければ、圧倒されたままで終わってしまう。

「もうやめてください」

 

 

 声が聞こえた。自分の持つ脳波とは全く違うはずなのに、何故だか聞こえた。精神に直接語りかけているのか。ならば、この不快感にも納得がいく。とレイシャは頭痛に耐えながらも、返答した。

『まだねぇ……終わっていないんだよ!』

「戦う必要なんてない……!」

『まだ言うか!』

 

 

 意識のやり取りが、レイシャによってかき消された。セツナはうつむきながらも、自分の成し遂げなければならないことを考える。

 アリサのようになりたい、というのは今でも変わらない。

 だが、アリサのやっていること全てを真似しているだけじゃ、ダメだと気づいたのだ。

 自分を殺して、憧れの人になるのが正しいとは思わない。

 

 

 アリサが救世主なら、セツナはガンダムだ。

 

 

 それでいい、とセツナは割り切ることにした。

 ガンダムか、上等じゃないか。

 人の魂を受け入れるマシーンと一体化できるのならば、これほど嬉しいことはないだろう。

『あたしはねぇ……これで戦うことが最後だって、覚悟している女だよ!』

「ええ、もう戦わなくていいもの!」

『そうじゃない。あたしは、連邦の腐った奴らを道連れにして……自分の魂を浄化させようとしているんだよ!』

 

 

 ファルシアは立ち上がると、コロニー外壁部を滑走した。両肩のアーマーを展開させ、残った花弁―――ビットに脳波を送る。相手のソードビットは二つ。いくら性能が高くても、物量で圧倒されてしまうはずだ。少なくとも、レイシャはそう思っていた。

 が、眼前にいるのは伝説のMS、ガンダムだ。

 そのようなものは、皮算用にしか過ぎない。レイシャは誤算をしたのではない、そう思い込んだだけなのだ。

「あのビットを駆逐しなきゃ! ソードビットッ!」

『ガンダムに乗り込んだぐらいで、調子に乗るなよぉおッ!』

 

 

 アナザークアンタの背部からソードビットが射出され、高速でファルシアのビットに追従する。激しく絡み合うGNソードビットとファルシアビットの軌跡。ファルシアビットからはビームが照射されるが、それをソードビットは華麗な動きで回避し、一つ一つ丁寧に、しかし速く、破壊していく。

 ビットの精度、速度、その差は歴然であった。真空すらも切り裂くGNソードビットに駆逐されたファルシアビットの破片が誘爆し、ファルシアとアナザークアンタの間に黒煙が舞い上がる。

『凌駕されている!?』

 

 

 アナザークアンタはコロニーの外壁部を蹴り飛ばして、跳躍。黒煙から飛び出し、両肩のビームサーベルを引き抜く。光の刃が即座に実体化。

「世界の歪みを打ち破れ―――そうよね、お母さん!」

 

 

 母の名前を知らない、顔も知らない、誰かも分からない。ただ、与えられた使命と、ぬくもりは覚えている。それだけで十分だった。

 二本の刃は豪快に振り上げられ、瞬く銀河の輝きのごとき一閃を繰り出す。ファルシアの胴部が十文字に斬られ、激しいスパークがほとばしる。アナザークアンタはコロニーに再び降り立つと、ビームサーベルを両肘に臨時格納する。

『あんた……』

「あなたは私を生かしてくれた。それと同じです」

 

 

 ファルシアの頭部は十文字斬りが炸裂する前に、ソードビットによって切り落とされて、爆風の届かない範囲にまで吹き飛ばしてあった。それをアナザークアンタは離脱する時に、両手に取ったのだ。

「生きるか死ぬかなら、生きているほうがいいです」

『……簡単に言うンでないよ』

 

 

 ファルシアの胴体は爆散。爆風が四散し、反応炉から吹き出した炎が天(コロニーを地とした場合の)に昇っていく。

「終わったんです、帰りましょう」

 

 

 胸に抱えたファルシアの頭部に向けて、セツナは囁く。相手のメインコンソールにハッキングし、直接語りかける。メインモニターに浮かんだのは、ヘルメットを被った老女であった。五十代後半の人間が、まだ戦場にいるなど、考えられないことだ。少なくとも脳に負担をかけるXラウンダー専用機に乗らせる、ということはないと思い込んでいた。

『ああ、終わったねぇ……終わった』

「なにをしているんですかッ!?」

 

 

 老女―――レイシャは重い動作でヘルメットを脱ぎ捨てると、拳銃を取り出した。その銃口を、そっと頭部に押し突きつける。銃口のセーフティーが作動していないということは、この拳銃は元々、自決用にあったものなのか。

「死ぬことなんて!」

 

 

 せっかく助けた命なのに、こんな終わり方はない。そうセツナは愚かにも感じた。若さゆえだろう。

『長く生き過ぎたんだよ……私たちは』

「罪を背負って死んだからといって、その罪は消え去りません!」

『別に消し去ろうとは思っていないよ。ただ、もう後戻りできない場所まできちまったわけさ。いいかい……小娘―――』

「やめてください! あなたが非戦闘員を殺していないのなら、まだ生きることだっ……」

『しっかり、聴くんだよ!』

 

 

 気づけば、セツナの瞳には涙が浮かんでいた。悲しすぎる軍人の言葉を聞いて、涙一つ流せない人間はいないだろう。いたとすれば、それは〝賢すぎる生物〟だ。

『凝り固まった考えと、復讐心は、自分を殺すんだよ。私は道を誤った……引き返せないところまできてしまった。気づいた時には、ガンダムにやられていた。気づいたからには、自分を殺さなければ、納得できなくなるんだ』

「そんなことって……あんまりですよ」

『私やエドガーのような大人にならないで……。世界の歪みに、ならないで……』

 

 

 レイシャの瞳は虚ろになっている。死ぬ間際の人の顔だ。

『今も地球は綺麗ねぇ。人がどれほど愚かになろうとも、あの蒼色に惹かれてしまう。一つだけ、お願いしてもいい?』

「はい……」

『私たちのエデンを……守り続けて。あなたたち、純粋な子供の手で』

 

 

 四十年間止まったままだったレイシャの時間が、再び動き出した。水の星に想いを馳せながら、〝少女〟は死んでいった。飛び散った脳漿が、宇宙の光を反射して赤々と輝く。

 憎しみの連鎖は断ち切られた。

 しかし、その結末はあまりにも残酷なものであった。

 こうすることでしか、断ち切れないものなのだろうか。

 そのためにガンダムという兵器は存在するのか。

 ならば、悲しすぎるではないか。

 

 

 結局のところ、人の魂が浄化できようとも、ガンダムとて人殺しの兵器であったのかもしれない。

「こんなに優しい人が、世界の歪みだっていうの。絶対おかしいよ……なんで、なんで優しい人が死ななきゃならないのよ!」

 

 

 レイシャとて、道を間違えていなければ、アリサのように全てを包み込める優しい女性になれていたのかもしれない。人の本質は運命によって捻じ曲げられるものだとは知っていても、感情はそんなことで納得できるほど馬鹿じゃない。

 敵影は見当たらない。コロニー内の敵の掃討も完了したらしい。

 

 

 かくして、コロニートルディアを舞台とした、ヴェイガン残党らによる大規模テロ―――いや戦争は、連邦軍の勝利に終わった。

 そこには多くの犠牲かあり、悲しみばかりが撒き散らされるだけだった。戦争というものは、そういうものだ。しかしそうと割り切れるのは軍人だけであって、少なくとも二人の少女の心は、そうすることはできなかった。

 歪んだ戦争に、武力による介入を行なった機体、アナザークアンタとて、悲しみを撒き散らす要因の一つになったのかもしれない。

 だとしても、一人の〝少女〟の魂を浄化できた、という事実は揺るがない。

「アリサ……あなたの感じていた悲しみは、こういうことなのね」

 

 

 大粒の涙が、無重力のコックピットに浮かぶ。

 それは人が人である所以でもあった。

 人間性を捨ててまで、賢くなりたいとは、誰も思わないだろう。

 

 

 

 

 

 

 有機的な金属の壁に囲まれた部屋。

 そこに〝人の形をした何か〟はいた。人工的な緑色の髪の毛をしており、見たところ十代後半の青年に見える。

「……時間だね」

 

 

 金属の部屋に次々と浮かび上がる人影。皆、無機質な表情を浮かべている。

「人は再び高度な次元の生物へと進化せねばならない……。そのための僕たち【LA‐plus(ラプラス)】だ」

 

 

 完全な知性、それを追い求める存在。

「地球にはまだ〝繭〟がある。あれさえ手に入れば、人をどうにでもできるさ。始めようか、侵略という名の〝進化〟を」




【次回予告】
 一つの争いが終わる。
 疲弊したセツナたちに容赦なく襲いかかる、侵略者。
 銀色の花弁から撒き散らされるのは、たくさんの〝死〟であった。
 次回、機動戦士ガンダム00AGE、第五話。

―――絶望の花々―――

 刮目せよ。

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