ぼっちアートオンライン(凍結)   作:凪沙双海

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少し前倒しですが、結構な要望もあってリアル側のお話です。
とはいえ、後半のALO編への伏線ややはり八幡が不在のせいか短めですが、どうぞ。


Episode6,part9(☆)

――小町 side――

 

 

「やっはろー、小町ちゃん!」

 

 

「こんにちは、小町さん」

 

 

「やっはろーです、結衣さん、雪乃さん」

 

 

秋に差し掛かった頃、小町ことわたくし、比企谷 小町はサイゼの一角に陣取る結衣さんと雪乃さんに会いに来ていた。

一時期先輩だった二人は今華の大学生! 結衣さんは髪の毛の色はそのままに伸ばし気味で雪乃さんより少し短いくらいまで。露出のあった肩はすっかり服で覆われて、すっごい大人っぽくなってる。小町にはいろいろ絶対にできない雰囲気で、とっても素敵です。

雪乃さんも、高校の時からさほど変わってないけど、前より少し背が伸びたそうで、前髪もちょっと長くていわゆる深窓の令嬢ってやつだった。あいや、ほんとにお嬢様なんだけどね!

結衣さんに比べると雪乃さんは変化が少ないけど、雪乃さんは元々が超絶美少女なので仕方ないのかも。

結衣さんも小町的には超絶美少女なんですけどね! 服とかで雰囲気すっごく変わるし、何着ても似合うし!

 

 

「小町ちゃん、テストは大丈夫そう?」

 

 

「はい! ちゃんと勉強してますから!」

 

 

そろそろ中間テストなので、小町はちゃんと勉強してたりします。

"最近始めたこと"はそれでもやるけど、勉強もちゃんとやってるよ。

お兄ちゃんが帰って来たときにちゃんと小町が勉強してるってこと、見せないとだからね!

 

 

「なら良かった。小町さんも彼に似て文系の様だし、理数もちゃんとやるのよ?」

 

 

「もっちろんです! 小町、お兄ちゃんほど文系できないけどお兄ちゃんほど理数がダメでもないですから!」

 

 

「ふふ、それもそうね」

 

 

雪乃さんは、小町達の前では凄く笑うようになった。

本音で話せるから、らしい。お兄ちゃんという人が欠けてから、みんな自分を見つめ返す時間ができたから、それぞれ素直になれたのかも。もちろん小町もね。

お兄ちゃん、戻って来たら小町達の仲の良さに嫉妬するかもね?

……どちらかと言うと、お兄ちゃんはお兄ちゃんらしく一歩離れて見守っててくれそうだけど。

 

 

「そう言えば、ケットシー領はどう?」

 

 

「順調です。こっちには小町、シルフには雪乃さんと結衣さんがいて、お互いいい地位にいるおかげか円滑に進んでますしね」

 

 

「だよねー。サクヤさんもやる気だし。ってか、小町ちゃんリーファちゃんとも仲良いんだね」

 

 

「そうなのです! リアルでも会ったことありますよ!」

 

 

「おおー」

 

 

そう、小町達も今VRMMOのアルヴヘイム・オンラインをやっていたりするのです。

きっかけは雪乃さんのお姉さんである陽乃さんからで、いろいろ悩んだ末に小町はお兄ちゃんの見てる世界が見たくてやってみることにした。

……すっごく面白くてはまってしまったのは秘密。

小町、ケットシーって種族で結構偉いんだよ!

雪乃さんや結衣さんもお兄ちゃんの見てる景色が見たくて始めたら、二人ともゲームでも人気者でシルフ領では欠かせない人たちになってたり。

リーファちゃんってのは私の友達で、シルフの女の子。リアルでも遊ぶくらい仲が良くて、お互いお兄ちゃんがSAOに囚われてる被害者同士でもあったりする。

リーファちゃんのお兄ちゃんもまだご存命で、もしかしたらお兄ちゃん同士も一緒にいたりして。なんて笑ったけどうちのお兄ちゃんはどうだろうなぁ……

 

 

「ヒッキーも一緒にやるって言ってくれるかな」

 

 

「小町がお願いすれば即答ですよ」

 

 

「かもしれないわね。種族は……まぁ、シルフかケットシーね」

 

 

雪乃さん、それは暗にお兄ちゃんを手元に置いておきたいってことでしょうか……

小町が入学した年から、お二人がお兄ちゃんを好きすぎてびっくり。電話越しとは言えあのお兄ちゃんの本音に少し触れて、それからあんなことがあって……お兄ちゃんを欠けた二人がお兄ちゃんを欲するのは当たり前なのかもしれない。

でも、お兄ちゃんが帰ってきたらしばらくは小町にお付き合い願うのです。ほんとならもうお兄ちゃんを卒業しなきゃだけど、うちのお兄ちゃんはもう二年もいろいろ遅刻してるので卒業はしばらくお預け。戻って来たら当分は小町だけのお兄ちゃんでいてもらいます。

……だから、早く帰って来てね、お兄ちゃん。

 

 

「そういえば小町ちゃん、また告白されたんだって?」

 

 

「はい。即答ですよ即答。無理ですって」

 

 

……入学していきなり、お兄ちゃんを話題に話しかけてきた男子がいて。それ以来、小町は男子が苦手になってしまった。

よりによって、なんでお兄ちゃんの話題なの? そんなので仲良くなれると思ってるの?

 

 

「あんまりしつこかったらサイゼ奢らせて終わりにしますからね」

 

 

「……小町ちゃん、たまにヒッキーかいろはちゃんが移るよね」

 

 

「口だけですけどね」

 

 

そう、小町はお兄ちゃんと同じ。お兄ちゃんも口では酷いこというけど、ほんとに実行する時は誰かの為だから。

あの捻デレお兄ちゃんは、そうやってなんだかんだ誰かのためにやる。

きっとゲームの中でもそうなんだろうなぁ。お兄ちゃん、心も傷ついてないといいな……

どうか、無事でいてね。お兄ちゃん。




ちょっと短めな番外編でした。今回は小町のターンです。
何が難しいって小町のモノローグ。キャラが意外と定まらなくて凄く困りました。
短くなったのもそれがあったり……
ALO編ではゆきのん達の視点もあるし、リアルもあるから……あれ、アインクラッド編より全然長くなりそう……?

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