横島inハイスクールD×D   作:雪夏

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もうタイトルはこのままでいいかな。

2015/09/21 ちょこちょこ修正


横島inハイスクールD×D その3

 

 

 

 

 

「あ、朱乃? 何で私は正座をしているのかしら……?」

 

 リアスの衝撃の発言から数分後、朱乃に正座をさせられたリアスの発言である。最初は抗議していたリアスも、にこやかに笑いながら告げてくる朱乃には逆らえず大人しく正座をしている。

 もう一人の当事者である横島は、黒歌たちに詰め寄られていたが、横島もリアスの発言に混乱している様子を見せたことから早々に解放されている。

 

「それは、アナタがいきなり忠夫さんに旦那様なんてふざけたことを言ったからよ」

 

「別にふざけてないわ。お兄様が忠夫とパートナーになって、一緒に暮らすようにって……。これって、妻となってサポートしろってことでしょう?」

 

 そのリアスの発言に、リアスに向けられていた視線は一気に横島へと集中する。目は口程に物を言うとはよく言ったもので、横島に向けられた視線のどれもが、どういうことなのか説明しろと雄弁に語っていた。

 そんな視線に晒された横島は、思い当たる節を必死に探るが、何も思い当たらないようで、その旨を正直に一同に伝える。

 

「いや、オレは知らんぞ? 大体、リアスちゃんを溺愛しとるあのシスコン野郎が、オレなんかをリアスちゃんの婿にするなんて冗談でも言うとは思えんのだが。いや、マジで」

 

 横島の発言に、サーゼクスの普段の姿を知る一同は確かにと納得する。そうなると、自然に視線は再びリアスへと向くことになる。その視線は、リアスの言葉を疑っていると雄弁に語っていた。

 その視線を向けられたリアスは、うろたえながらも言葉を紡ぐ。

 

「う、嘘じゃないわよ!? 大体、私はグレイフィアに聞いたのよ?」

 

「私がどうかしましたか? リアス様」

 

「グレイフィア!?」

 

 突如、部屋の入り口からかけられた声に驚いた一同が振り向くと、そこにはメイド服に身を包んだグレイフィアの姿があった。

 

 

 

 

 

 いきなりの登場に驚いた一同であったが、真相を知るであろう人物が登場したことでリアスへの詰問は一時中断となる。

 グレイフィアを迎えた一同は、早速真相を究明しようと質問をし始める。

 

「まず、確認させて頂戴。忠夫が人間界に来たのは、お兄様の差金なのよね? それで、私と一緒に住むことになった。これは間違いないわよね?」

 

「? ええ。その通りですが?」

 

 そうグレイフィアが肯定すると、リアスは喜び、他の面々が肩を落とす。そんな一同を疑問に思いながら、グレイフィアは来訪した目的を果たす為に言葉を紡ぐ。

 

「ちょうど皆様お揃いのようですので、改めて此度のことについて説明させて頂きます」

 

「あ、あのシトリー家の私がいても問題ないのでしょうか?」

 

「構いません。と言うより、ソーナ様も関係者ですから」

 

「私も?」

 

 ソーナが首を傾げるが、それを無視して淡々とグレイフィアは説明する。

 

 

「順を追って説明しますと、まずタダオ様が人間界に来たのはサーゼクス様の頼みを果たす為です。その際の生活拠点をこの駒王町と定め、彼と生活を共にし公私共にサポートする人材としてリアス様とソーナ様が候補として上がりました」

 

「ソーナも?」

 

「ええ。ソーナ様も候補でした。しかし、タダオ様はリアス様を選ばれました。その為、まずリアス様に此処までを説明し、この場所に関係者を集めて頂きました」

 

 横島に選ばれたとの言葉で喜ぶリアスと、選ばれなかったことで落ち込むソーナ。そんな両極端な二人を見た横島は、軽い気持ちで選んだことが自身の思っていたより大事になっていることに驚くと同時に、いつ同居という話になったのかを考えていた。

 

「ここからは、皆様全員に関係することであり、タダオ様も知らないことです。まず、ソーナ様ですが……」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「お声に元気がありませんが、具合でも悪いのですか?」

 

「いえ、大丈夫ですので続けてください」

 

「そうですか……では、続けます。ソーナ様に関しては、セラフォルー様の“リアスちゃんだけずるい”との一言でソーナ様もタダオ様たちと同居と言うことになりました」

 

 その言葉に驚く一同。グレイフィアに問いただそうとリアスが口を開くが、グレイフィアに制される。

 

「質問は全て説明した後でお願い致します。続けますが、それならいっそのこと眷属にも希望を聞き、希望者全員で一緒に暮らせばよいとサーゼクス様が提案し、セラフォルー様も了承されました。そのような訳で、お二人はどうされますか?」

 

 既に他のグレモリー眷属は辞退したことも告げるグレイフィア。問いかけられた二人――朱乃と白音――は、考える素振りもみせず了承する。

 

「ふふふ、これでリアスのアドバンテージも消えましたわ。どうやら、サポートと言うのも“妻”としてサポートという訳ではなさそうですし」

 

「これで私も忠夫さんと暮らせる。これまで何度姉さまを羨んだことか……早速、準備を……」

 

「わ、私と忠夫だけの生活が……」

 

 

 

 それぞれ思うところがあるようであるが、そのようなこと関係ないとばかりにグレイフィアは淡々と説明続けていく。

 

「シトリー眷属については、ソーナ様から希望者を確認してください。返答は、明日リアス様にお伝えください」

 

「分かりました。ですが、私の眷属は忠夫とは面識がありませんので、おそらく希望する者はいないかと」

 

「そうですか。では、希望される方がいましたらご連絡ください。いない場合は、結構です。では、次にサーゼクス様とセラフォルー様からリアス様とソーナ様に伝言が……」

 

 グレイフィアから伝言の内容を聞いていくリアスとソーナ。二人とも時折、頭を抱え込んでいることから、いつも通りはっちゃけた内容なのであろう。

 

 そんなやり取りを見ながら、複数の美少女と同棲(同居)することになった横島は、膝の上に白音、頭上に猫の姿の黒歌、隣りには腕を抱き込むように座る朱乃と言う体勢に頬をだらしなく緩ませながら、彼女たちと会話していた。

 

「何か、瞬く間に同居者が増えてくな~。ま、全員美少女だからオレはいいけどさ」

 

「私も美少女ですか?」

 

「当然! 白音ちゃんが美少女じゃなかったら、世界に美少女はいなくなるって。な、黒歌?」

 

「その通りにゃ!」

 

「ありがとうございます……にゃん♪」

 

「私は?」

 

「朱乃ちゃんも綺麗だよ。それに柔らか……んんっ、スタイルもいいし」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 伝言が終わると、横島の体勢を見たリアスが文句を言ってきたが、朱乃とは横島を挟んで反対側に座るとすぐさま腕を抱き込むことで機嫌を直していた。

 

「で、オレは結局どこに住めば?」

 

「新居がまだ建築途中ですので、タダオ様には当分ホテルに滞在していただきます。ああ、内部空間の調整だけですので、あと二日と言ったところでしょうか。荷物の搬送は私がしておきます」

 

「で、その後はサーゼクスの言ったとおりにすりゃいいのか?」

 

「そうなります。サーゼクス様の希望としては、二ヶ月後に一度経過を見たいそうです」

 

「二ヶ月か~。ちょっと短くない? 焦ってやるもんでもないだろうに」

 

「その通りです。サーゼクス様も急がせるつもりはありません。ただ、二ヶ月に一度は冥界に戻ってきて欲しいそうです。それくらいが限度だろうからと」

 

「あ~、何となく理由は分かりました」

 

 横島の脳裏には、人間界に行く前に寄った二人の魔王がサーゼクスに文句を言っている姿が浮かんでいた。

 

(あ~、アジュカのヤツはオレの駒に興味あったみたいだし、セラたんは……セラたんだしなぁ。あと、ミリキャスとも遊ぶ約束してるし)

 

 ミリキャスとの約束を思い出した所でグレイフィアの様子を伺うと、目が会った瞬間に微笑みを向けられる。普段なら、その微笑みに安心するのだが、今の横島には裏を感じさせるものであった。

 

 横島がグレイフィアの微笑みに怯えているとは知らないリアスは、グレイフィアに横島が頼まれたことが何なのかを尋ねる。サポートするにしても、何をサポートすれば分からないのだから当然である。

 

「リアス様とソーナ様には学校生活のサポートをお願い致します。これから、タダオ様は駒王学園(ここ)に生徒として通うことになりますので。あとは、その時々で必要だと思うことをしてください。本当は私がお世話出来ればよかったのですが、サーゼクス様とミリキャス様のお世話がありますので」

 

 あっさりと告げられた言葉に驚愕するリアスたち。何故横島が生徒になる必要があるのかと理由を問うと、これまたあっさりとグレイフィアは答える。

 

「リアス様たちと学園内で接触しやすくする為です。教師では自由になる時間が少ないですし、何よりタダオ様に教師をさせるのは一般の生徒たちが可哀想ですから。それに、下手に空き時間を作るとすぐに覗きをしようとしますからね」

 

 その言葉に、それなら仕方がないと納得する一同。今度は、どの学年に転入するかをグレイフィアに確認している。

 そんな中、横島はゆっくりと自身を指差しポツリと呟くのであった。

 

 

「え、オレ学生やんの?」

 

 

 




 続きました。
 取り敢えず、横島が羨ましいことに。必然的に、原作一誠の羨ましい展開はなくなります。


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