横島inハイスクールD×D   作:雪夏

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ガールズトーク回。

今年も宜しくお願いします。



横島inハイスクールD×D その18

 

 

 

 一誠とレイナーレの対面から数日後。横島たちが暮らす屋敷のリビングに、横島とメイドたちを除いた同居する面々と、普段はいないグレイフィアとが揃っていた。

 一同は、複数のお菓子をテーブルいっぱいに広げ、それぞれ手に飲み物を持ち号令を待っている。

 

「では、明日からのレイナーレさんと兵藤君の同棲を記念して」

 

 

 

「「「「カンパーイ!!」」」」

 

 

 

 

 

「っと、一緒になって乾杯までしておいて何なのですが……同棲ではなく居候では? ご両親もいることですし」

 

「確かにそうね。ノリで乾杯したけれど、本来はイッセーの家で頑張ってねって話だったわよね?」

 

 朱乃の号令に疑問を抱いたソーナとリアスの二人であったが、当の朱乃はアーシアと一緒になってレイナーレに絡んでおり、黒歌と白音はそれを眺めている。グレイフィアは未だメイドモードな為、飲み物やお菓子の補充をしており気にする素振りも見せない。

 そんな彼女たちを見ながらリアスは、以前一誠の不在時にレイナーレを連れて挨拶した時のことを思い出す。

 

「まぁ、イッセーの両親も嬉しそうだから良かったわ。一応、軽く暗示で思考誘導はしたけど、娘が出来たと大喜びだったもの」

 

 イッセーの両親にはレイナーレを、親戚の家に下宿し駒王学園に転入する予定が、親戚の急な転勤で不可能になり、寮も既に満室状態であり下宿先を探していた所をイッセーに冗談めかして誘われたと説明していた。冗談だとは分かっていたが他に当てがなく、ダメ元で相談に来たのだと。

 当初は冗談で誘う息子に怒っていた二人だが、レイナーレが一誠について一生懸命フォローする様を見て落ち着き、娘が出来たと喜んで受け入れることになる。小声で嫁とか呟いていたので、一誠のフォローをするレイナーレを見て彼女の気持ちを悟ったのかもしれないとリアスは考えている。

 

「あのご両親なら、レイナーレとも上手くやるでしょうね。いい人たちだったし。イッセーにドラゴンが宿っている以上、親族をガードする意味でも、二人の仲を応援する意味でも同居は望ましいものね」

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)……ですか。レイナーレさんも大変かもしれませんね。うちの匙もそうですが、龍は宿す者は異性を引き付けるところがありますからね。神器の覚醒を機に、そちらの方に影響が出るかもしれませんよ?」

 

「そこが心配なのよね。イッセーはハーレム志望だし……幸い、レイナーレは元堕天使だから、本心はどうあれハーレムについての理解はあるってことかしら。殺傷沙汰にならないなら、私は別にイッセーがハーレム作っても構わないのだけど……忠夫がねぇ」

 

 リアスの言葉に、今頃イッセーの部屋でお泊り会を実施している男の姿を思い浮かべるソーナ。相思相愛の男女――カップルや夫婦――には寛容になったと言っていた彼は、きっとイッセーのことも応援しているだろう。しかし、モテ男は別である。

 かつて、パーティー会場で女を侍らせ自慢するかのように振舞った男が急に倒れたことがあった。その時、彼は仏罰が下ったのだろうと悪魔にあるまじき発言をしていたが、それ以降横島がパーティーに出席しなくなった為、横島が原因なのだとソーナは理解している。つまり、一誠や匙が横島の目の前で女性に囲まれるようなことがあれば……

 

「……匙……ではなく、彼女たちに注意しておきましょう。兵藤君の方は……」

 

「まだ異性を引き付けると確定した訳ではないわ。互いに引き付けあう運命のかの龍を始めに、力あるモノばかり引き付けるかもしれないし。まぁ、私もレイナーレに忠告しておくわ」

 

 もしそうなれば、横島は間違いなく()()。二人はそう確信していた。

 

 

 

 

「そういえば……皆さんはどうやってタダオさんと知り合ったのですか? 私とレイナーレさんは、あの時でしたが皆さんは知り合ってから長いんですよね?」

 

 カップを手に小首を傾げながら問うアーシア。レイナーレも気になるらしく、菓子に伸ばした手が途中で止まっている。

 

「まぁ、アーシアと比べれば長いけど……私とソーナが忠夫に初めて会ったのは生まれた時になる訳だし。でも、グレイフィアに比べたらかなり短いわよ?」

 

「そうですね。私とリアスの次に長いのは……」

 

 ソーナの言葉を遮るように、朱乃が続く。

 

「私ですね。グレモリー家に行く前に、忠夫さんとは少しの間暮らしていましたので、お二人よりトータルの時間は長いかもしれませんが」

 

 横島と暮らしていたことを強調して告げる朱乃に、多少ムッとするリアスたち。親元から離れるしかなかった朱乃の境遇を思えば嫉妬することではないと分かっているが、そう簡単に割り切れないのが乙女心である。

 そんなリアスとソーナの心を、白音の言葉がさらに刺激する。

 

「私と姉さまも、グレモリーに預けられる前は忠夫さんにお世話になりました」

 

「まぁ、出逢ってからの時間なんてグレイフィアに比べれば大したことないにゃ。それに、付き合いの長さなんて気にしても意味がないにゃ。眷属である私たちは、これからずっと忠夫と一緒なんだから」

 

 その黒歌の言葉に、自身の胸に手をあてるアーシア。確かに感じる横島との繋がりに、暫く笑みを浮かべるアーシアだったが、そうではないと言葉を紡ぐ。

 

「あの、付き合いの長さを気にしている訳では……。私はただ、どのような出逢いだったのか気になっただけで……。あと、私の知らない忠夫さんを知りたいなぁって……」

 

「でしたら、順番に話をしていくのは如何ですか? よくよく考えれば、リアス様とソーナ様はご幼少の頃から知っていますが、朱乃様と黒歌、白音様がどう出逢ったのか詳しくは知りませんから」

 

「にゃ? 忠夫から聞いてないのにゃ?」

 

「聞きましたが、大雑把な説明くらいでした。まぁ、大筋は分かりましたから詳しく聞かなくても問題はなかったのですが、この機会に聞くのもアリかと。リアス様とソーナ様の場合は……そうですね、男として意識したきっかけを話すということで」

 

 グレイフィアの言葉に飲んでいた紅茶を噴き出すリアスとソーナ。そんな二人の様子に、不思議そうに首を傾げるグレイフィア。

 

「何をそんなに動揺しているのですか? お二人がタダオ様に好意を抱いているのは、皆様ご存知だというのに」

 

「確かに隠していた訳じゃないけど……いきなりだったから。ね? ソーナ?」

 

「……ええ、まぁ」

 

 頬が真っ赤に染めたリアスの言葉に、同じく頬を染めたソーナが言葉少なく同意する。そんな二人をにこやかに見つめていたアーシアに、グレイフィアが話しかける。

 

「アーシア様は何を話しますか? やはり、ここは”悪魔の駒”で転生することを選んだ経緯でしょうか? レイナーレ様は他に選択肢がほぼない状況でしたが、アーシア様は別の対価にする選択肢もあったのですから」

 

「えっと、それは……」

 

 全員の視線を受けたアーシアは、空のカップを口元に運んだりと落ち着きが無い。口を開いては閉じを繰り返すこと数度。意を決し、彼女は答えを口にする。

 

「そ、それは……その……生きたいなぁって」

 

「生きたいから……ですか。まぁ、時間はたっぷりありますし、最初はアーシア様のお話を聞くとしましょう。その後は、その場のノリで」

 

 グレイフィアの提案に、アーシアを除く全員が頷く。話を聞かせてもらう立場から、話をする立場に変わったアーシアは予期せぬ展開に動揺しながらも、少しずつ話を始めるのであった。

 

 

 




あとがき
 今年も宜しくお願いします。
 さて、ガールズトーク導入回です。以後、アーシア⇒ソーナ、リアス⇒黒歌、白音⇒朱乃⇒グレイフィアの順で話を進める予定です。まぁ、アーシア以外の順番は予定なので、前後することもありますが。

 朱乃、白音がリアスに初めてあった時期。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【HY】と記載します。
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