横島inハイスクールD×D   作:雪夏

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原作一巻終了。投稿遅れて申し訳ありません。


横島inハイスクールD×D その17

 

 

 

 

 

 教会での出来事があってから四日。それは同時に一誠がレイナーレと会えなかった日数でもある。

 

「今日も、夕麻ちゃん……というか、レイナーレとは話せねーのかな? もう四日だぜ? レイナーレたちは横島の屋敷にいるし、横島や部長は毎日会ってんだぜ?」

 

「まぁ、忠夫さんや部長は今回の責任者になる訳だしね。それに、そこに住んでいる訳だから会う機会があるのは仕方ないよ」

 

 放課後の人のいない旧校舎を歩きながら、一誠は木場にレイナーレに会えないことについて不満を漏らしていた。

 

「オレが会って話してもいいじゃないかよ……会って話さないと、オレがどうしたいのか分からないじゃないか」

 

「一誠君……」

 

 俯き加減で呟く一誠に、木場はかける言葉が見つからない。あの日、レイナーレを救出しに教会に向かった日。早々に堕天使を捕縛した黒歌が眺める中、木場は十数名の神父たち相手に、大立ち回りを繰り広げていた。特に窮地に陥ることもなく全員の捕縛が終了した頃、一誠たちが地下から戻ってきたので一誠の激昂を直接見た訳ではない。

 木場や教会に行かなかったリアスたちは、横島や白音、アーシアにその時の一誠の様子を聞かされただけ。それでも、一誠が神滅具「赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)」に覚醒した時の状況を聞かされれば、レイナーレに対する一誠の想いが何に起因するの検討はついた。しかし、当の本人は赤龍帝の籠手を発動した時のことをよく覚えておらず、未だ自分の感情を整理出来ていないのである。

 

 そんな感じでこの四日間を普段より大人しく過ごしていた一誠であったが、クラスメイトや両親からは病気かと疑われたり、横島に話しかけては落ち込み、木場に慰められるという場面が多く目撃されていたことで、ある噂が立ったりしたがそれも次第に消えていくことになる。

 

 何故なら、この日以降一誠の傍にある転校生の姿が見られるからである。

 

 

 

 

 

「部長っ! 横島っ!」

 

 オカルト研究部の扉を勢い良く開け放った一誠が中に入ると、白音、朱乃とリアスの眷属たちの姿はあったが、主であるリアスや横島と彼の眷属である黒歌の姿はない。その代わりではないが、ここ数日よく顔を合わせる少女の姿があった。

 

「あ、イッセーさん。祐斗さんも」

 

「やぁ、アーシアさん。新しい生活にはなれたかい?」

 

「はい。皆さん優しくて、楽しいです。ただ、お祈りには気を使いますが」

 

 木場の問い掛けに笑みと共に答えるアーシア。彼女は現在リアスと暮らしており、悪魔である一誠たちの前でお祈りをしないように気をつけているのだと一誠は思っている。

 

「部長と横島が何処にいるか知らないか? 今日は部室に顔出すって言ってたんだけどさ。というか、授業サボりすぎじゃないか? アイツ」

 

「ああ、それならそろそろ来る頃かと。リアスから連絡が来ましたし」

 

「部長から?」

 

「ええ。今日は忠夫さんと一緒に行動していますから。全く、女王である私を連れて行かないなんて酷い王様だと思いませんか?」

 

 そう言って一誠に笑いかける朱乃。瞳の奥が笑っていないと感じた一誠は、朱乃から視線をそらし同意だけしてソファーに座り込む。そんな一誠の前に木場が紅茶を差し出す。受け取った一誠が述べた感謝の言葉に、微笑みを返す様は決まっており、イケメンめと内心で湧き上がってくる恨み言を紅茶と共に飲み込む。

 一誠がそんなことを思っているとは知らない木場は、微笑みから真剣な表情になると朱乃に尋ねる。

 

「女王である先輩を連れずに、部長が忠夫さんと行動しているということは……」

 

「ええ。処分が決定したので、その処理ですね。堕天使たちの処分については早々に決まっていたのですが……神父たちの方が時間がかかって。先程、全て終わったと」

 

「……先輩。神父たちはどんな処分を?」

 

 堕天使の処分について先に聞きたかった一誠だったが、木場の言葉とその瞳を見てタイミングを逃してしまう。木場の瞳の奥に、普段は感じない暗い何かを見たからである。

 そんな一誠に構わず、朱乃は木場の問いに答える。

 

「先に言っておきますが、処分を決めたのは忠夫さんです。グレモリーは眷属の貸与と言う形で間接的に関与しましたが、契約を結んだのが忠夫さんであり、彼らの拘束は契約遂行上の行為だからです。当然、契約の過程で起こったことなので決定権は忠夫さん、または契約相手であるアーシアさんにあります。何より、リアスが堕天使と神父の処分に関わるのは避けなければならない。その理由を木場君は分かっていますね?」

 

 頷く木場に、どういうことかと視線で尋ねる一誠。そんな彼に、木場が説明する。

 

「部長は悪魔の中では所謂上流階級……貴族なんだよ。そんな家の令嬢が、敵対関係にある組織の一員を処分する。ね? 問題ありそうだろ? 忠夫さんなら全く問題ないって訳じゃないけど、契約中のことだからである程度は黙らせることが出来るんだよ」

 

「まぁ、今回はこの町に堕天使がいるということで事前に根回しはしてありましたので、堕天使だけならリアスが関わっても問題になる可能性は低かったんですが。神父たちが少し面倒でしたね。そのせいで処分まで時間が掛かりましたし。それで、処分なのですが……」

 

 そこで言葉を切ると、今一度木場に忠夫が決めたことだと前置きする朱乃。それに木場が頷くのを確認してから、続きを話す。

 

「結論から言うと、堕天使たちは私たちの元で”労働刑”です。そして神父たちですが……忠夫さんの”むさ苦しいおっさんなんていらん、解放”の言葉で、解放となりました。先程、リアスとグレイフィアさんが転移魔方陣で転移させたそうです」

 

 

 

 

 

「さて、木場君も兵藤君も白音ちゃんの華麗なツッコミで落ち着いたことですし、もう少し詳しく話をするとして……アーシアちゃん、白音ちゃんと忠夫さんを迎えに行って貰えますか? 場所は屋敷の地下ですので。兵藤君お待ちかねのレイナーレさんも一緒にいますので、連れてきてください」

 

「それは構いませんが……屋敷でしたら、私一人でも行けますよ?」

 

「私が一緒は嫌ですか?」

 

「そ、そんなことありません! 一緒に行きましょう!!」

 

 そう言って、白音の手を握って部室を後にするアーシアを微笑ましそうに見送っていた朱乃だったが、白音のツッコミという名の拳を受け呻いている一誠たちに向き直ると苦笑しながら話し出す。

 

「これ以上のことは、アーシアちゃんや白音ちゃんは聞かなくていいことですから。さて、私は先程神父たちが少し面倒だったといいましたね?」

 

「はい、確かに言ってました」

 

「堕天使は兵藤君のおかげで、事前に存在を確認していましたので、根回しが出来ていました。駒王町で堕天使と何があっても、堕天使の上層部は関与しないという内容で。つまり、今回の捕縛も堕天使との全面戦争のきっかけになる可能性はゼロだったわけです」

 

 ここまでは理解できましたかと、一誠に尋ねる朱乃。一誠と木場が頷くと、朱乃は話を続ける。

 

「ですが、捕縛した神父たちが問題でした。事前に意識を取り戻していたレイナーレさんや、一緒に捕縛した堕天使のミッテルトさんが言うには、彼らは教会を追放された神父たち。非正規の悪魔祓いと異端審問官の集まりだそうです。しかし、堕天使たちがそう思っているだけで、実際は違うという可能性もあります。本当に追放された神父なのか。それを確認するのに、これまで時間が掛かりました」

 

「確認って、何でそんなこと確認するんですか?」

 

「彼らの中に、非正規の悪魔祓い集団を取り締まる為、堕天使の組織に潜入している本物の神父がいる可能性がゼロとは言えなかったからです。実際、彼らの中にはこっそり正規の神父で、潜入していたと告げる者が数人いましたから。敵対組織に潜入する場合、捕まればどうなるか分かりません。ですので、色々と覚悟をしている筈です。そんな彼らが自ら進んで正体を明かすことは、普通有り得ないのですが……。今回は捕まえたのが悪魔であり、潜入していたのが悪魔にとっても敵対する組織ですからね。身分を明かし一時的に協力体制を取ることは不可能ではないと判断したと言われれば、まず間違いなく嘘だと思っても、万が一を考えて確認しない訳には行きません。時間は掛かりますが、確認せずに駒王町で正規の神父を処分するリスクの方が高いですからね。まぁ、結果的に全員追放さていたのですが……」

 

「確かに、オレでも嘘じゃないかって疑いますね。しかし、何でそんなことを」

 

「通常、悪魔が教会に問い合わせても、すぐに確認が取れる可能性は低いですからね。様々なやり取りを間に挟むことになるので、窓口に問い合わせた後、回答まで一週間で済めば短い方です。その間は処分を進めるわけにもいきませんし、捕虜として扱う必要がありますから、不当な扱いは出来ません。それと、兵藤君たちが教会に侵入する前に逃げた堕天使と神父がいましたよね? 彼らが助けに来ることも期待してたようです」

 

 人間同士でも違う国でのことを確認するのに時間がかかるのと一緒かと、テレビで見た内容を思い出し納得する一誠。しかし、朱乃の言葉に引っかりを覚え、問い掛ける。

 

「でも、一週間も経っていませんよ? 最低でも一週間じゃなかったんですか? それとも拷問で聞き出したとか?」

 

「通常のルートで問い合わせる場合は……です。一応、問い合わせ以外の手段で確認する方法もありますが、それを記憶を探るという方法です。拷問なんて、滅多に出来ることではありませんから。はぐれ悪魔なら、楽しく拷問出来るのですが……。因みに記憶を防ぐ術なんかもありますし、過去には対抗術を掛けた者以外が解除しようとすると、脳が破壊される術式が組み込まれている例もあったので、記憶を探る方法も今回は取れません。今回、回答が早かったのは忠夫さんが、特殊な外交ルートを使ったからですよ」

 

 横島の使った特殊な外交ルートとは、各教会が設けている問い合わせ窓口ではなく魔王から天界という直通ルートである。横島はよりによって魔王の一柱であり主に外交を担当しているセラフォルー・レヴィアタンに直接天界に問い合わせてくれと頼んだのである。そこで、セラフォルーが部下に任せれば問題なかったのに、横島の頼みならと魔王自ら問い合わせてしまったのである。

 当然、魔王からの直接連絡なので相手もそれなりの地位についている者であり、雲の上と言ってもいい者から尋ねられた神父たちはたまったものではなかっただろうと同情してしまうと同時に、今回の一件は駒王町で起こったことである為、領主であるリアス・グレモリーの名にどのような影響があるのかを考えると、頭が痛くなる朱乃であった。

 

 また、朱乃は知らないことだが、セラフォルーがついでとばかりにアシュタロス家の頼みだと話した為、冥界では未だ新興の家の一つとしか認識されていないアシュタロス家が、いきなり天界で魔王と懇意であり慎重に扱うべき家として衝撃のデビューを果たしていたりする。

 

 

 

「と言う訳で要らぬ面倒を掛けてくれた癖に、結局追放されていたというオチを付けてくれた神父たちですが……。追放された経緯がアーシアちゃんとは違います」

 

「経緯が……ですか? アーシアは確か……悪魔を治療したことで魔女とされたんですよね?」

 

 節々に神父たちに対する恨みを滲ませる朱乃に、少々ビクつきながら聞き返す一誠。

 

「そうです。アーシアちゃんは敬虔なシスターでありながら、神器で悪魔を治癒しました。悪魔を治癒する精神、治癒した事実。これらが教会の信仰に反する為に、略式の異端審問で即刻異端だと糾弾され魔女と呼ばれることになりました。堕ちた聖女として追放されましたが、教会の関係者も彼女の人格が善良であることは否定しないでしょうね」

 

 その言葉に頷く一誠と木場。接して時間は短いが、彼女が善良であることを疑ったことはない。

 

「ですが、彼らは違います。悪魔と契約した人間を家族全員惨殺する。悪魔を殺すことを愉しむ。生き物を傷つけることを好む。暴力的な言動が目立つ。このような行き過ぎた行為や、神父として外れた振る舞いを教会の警告を無視し繰り返し行っていた為に、教会から追放されたエクソシストたち。それが彼らです。彼らの中には、異端狩りと称して、異端と認定された人たちを襲っていた者さえいました。神の名を免罪符に自身の行為を肯定する彼らは、解放すると告げた忠夫さんに自慢するようにこれらの行為を言ったそうです」

 

「そんな奴を追放するだけで野放しにするなんて。これだから、教会は……」

 

 吐き捨てる木場に、黙り込む一誠。そんな二人に構わず、朱乃は続ける。

 

「アーシアちゃんは、彼らがそういう人たちだと知りませんでした。レイナーレさんが彼らをコントロールしていたから、アーシアちゃんがレイナーレさんの所に来た時には、彼らは命令以外で誰かを襲ったりはしていなかったらしいわ。レイナーレさんとミッテルトさんが知る限り……ですが」

 

「アーシアを遠ざける理由が分かりましたよ。そんな奴らと一緒にいたなんて、知らない方がいいですよね。でも、横島も何でそんな奴らを解放なんて……」

 

「アーシアちゃんに頼まれたからです。彼らを解放して欲しいと。彼女に対する行いは未遂ですし、自身にされたことで誰かを恨み処罰を望む娘ではありませんから。ですから、忠夫さんは解放するとアーシアちゃんに言いました」

 

「それがアーシアを遠ざけた本当の理由ですか。自分の願いで、そんな奴らを野放しにするなんて知ったら……」

 

 知ればアーシアが悲しむだろうと俯く一誠に、一誠より横島を知る木場が朱乃に尋ねる。

 

「忠夫さんは確かに女の人に弱いけど……頼まれたからと、そんな奴らをただ解放するとは思えないんですが」

 

「解放はしますよ? ただ、彼らが追放された後に所属していた堕天使の組織は既に存在しません。レイナーレさんともう一人はこちらにいますからね。レイナーレさんを裏切った堕天使は、彼らを不要と連れて行かなかったようですから合流しないでしょうし。そんな彼らを解放したところで、彼らだけで集まって迷惑な集団になることは目に見えています。ですので、そのまま町の外なんて近いところに解放することはしません。その為の、転移魔方陣での転移です」

 

「それって、適当に遠いとこに放り出したってことですか?」

 

 尋ねる一誠に、朱乃は黙って上を指差す。その仕草に釣られ上を向く一誠と木場に、朱乃は淡々と告げる。

 

「最初、ゴミの棄て場所に困っていた忠夫さんに下はどうかってリアスが提案したんですけどね? 冥界や地球に棄てると、ゴミから変な成分が出て困るかもしれないでしょう? そう言ったら、忠夫さんが折角なら未知との遭遇を目指して貰おうと言い出して。本当、子供みたいな人ですよね? リアスとグレイフィアさんと忠夫さんと四人で、一生懸命転移魔方陣を作ったんですよ。ゴミは上に、神父はヒマラヤの何処かに転移するように。それなのに、リアスは私にその成果を見せてくれなかったんですよ。二日もかけたというのに」

 

「せ、先輩? そのゴミって……神父たちのことですか? それに、ヒマラヤって」

 

「神父は解放しましたよ、少し自然環境が厳しいかもしれませんが。ただ、一緒にゴミを地球外に棄てただけです。何がゴミかは教えませんが」

 

 あ、ここでした話はアーシアちゃんと白音ちゃんには内緒ですよ? と告げる朱乃に、頷く一誠と木場の二人であった。

 

 

 

 

 

「でさ、神器の方なんだけどさ。赤龍帝の籠手って名前と能力を教えてもらったんだけど、元の能力を倍加していくってことで体力強化しろって言われたんだけど……」

 

「ああ、いいよ。僕に付き合えってことだね?」

 

「付き合えって言うか、色々教えてくれないかって思ってさ」

 

「うん、いいよ」

 

 そこで会話が途切れると、立ち上がったり座ったりを繰り返す一誠。朱乃の説明が終わった後から、次第にそわそわし始め、木場と会話しては繰り返すこと四度目だったりする。

 

「落ち着きなよ。もうすぐ戻ってくるって」

 

「でも、何か緊張してきたっていうか。まともに会話するの久しぶりだし」

 

「まぁ、刺された日から今日までですから、十日くらいですか? 教会ではすぐにレイナーレさんが気を失ったから、まともに話をしていないんですよね。レイナーレさんも、合わせる顔がないとか、昨夜からうだうだとやってましたね」

 

 紅茶を飲みながら告げる朱乃に、中々部室にやってこないのはレイナーレが嫌がっているからではと、考え込む一誠。そんな一誠に声をかけようとした木場の耳に、話し声が聞こえてくる。

 

「来たみたいだよ、一誠君。ほら、声が聞こえるだろ?」

 

「お、おう」

 

 その言葉に扉に意識を集中する一誠。あまりにも集中し過ぎて、彼の背後に現れた人物に気づくことはなかった。

 

「よう、一誠」

 

「ほわっ!?」

 

 それは一人窓から入ってきた横島であった。一誠の反応が満足行くものだったようで、深く頷いている。

 

「いいリアクションだ。さて、緊張はほぐれたか? 女の前では、余裕を見せないと行かんぞ? 緊張でガチガチの男は敬遠されるからな。ま、それが可愛いと受ける場合もあるんだが……」

 

「いや、唐突に語られても……」

 

「おお、悪い。さて、大丈夫みたいだし、さっさと御対面と行くか。まず、家で働いてもらうことになった……」

 

 一誠の顔を見て大丈夫そうだと判断した横島は、扉の前に立ち勢いよく開け放つ。

 

「堕天使のミッテルトちゃんだっ!」

 

「誰だー!!」

 

 レイナーレのことにしか頭になかった一誠が、大声で突っ込む。それに気を悪くしたミッテルトが、横島に顔を向けて文句を言う。 

 

「ご主人、アイツ失礼っす」

 

「まぁまぁ、一誠はレイナーレのことで頭がいっぱいなんだ。許してやれ」

 

「はぁ。アレが赤龍帝……ね。レイナーレ様も何処がいいのやら。ミッテルトっす。ご主人の家で雇われメイドすることになったので、よろしくお願いするっす」

 

 メイドにしては荒い口調で告げるミッテルトに、木場が挨拶する。一誠も自己紹介をするが、ミッテルトよりもリアスの後ろにいる彼女を気にしているのが丸分かりである。

 そんな一誠の態度に、焦らされたせいで会いたい気持ちが高まっているのだろうと横島は苦笑する。結局、事前にあれこれ考えたって仕方ないのだと。

 

「それで……こっちが」

 

「私の眷属として働いてもらうことになったレイナーレよ」

 

 リアスが横に退くと、彼女の全体像が露になる。その姿は、かつて一誠がデートした少女――天野夕麻であった。何故か以前の他校の制服ではなく、駒王学園の制服を着ていることを微かに疑問に思ったが、それらを無視して彼女に集中する一誠。

 そんな一誠の視線に微かに頬を染めたレイナーレが口を開く。

 

 

「……レイナーレです。グレモリー眷属、『僧侶』です。よろしくお願いします」

 

「兵藤一誠。グレモリー眷属、『兵士』。……会いたかったよ、夕麻ちゃ……いや、レイナーレ」

 

「イッセーくん……」

 

 

 

 

 

 

 

「感動の再会みたいな雰囲気を出してるとこに悪いけど、レイナーレは明日から天野夕麻って名前で一誠のクラスに転入するから」

 

「ええーー!!」

 

 

 




あとがき
 一巻相当が終了しました。次話から二巻相当の内容になる筈です。あと、呼称表が欲しい今日このごろ。一誠から誰かへの呼び方は大体覚えていますが、その他が曖昧です。間違っていたら、指摘頂けると幸いです。
 また、アーシア関係の話は意図的に薄くしております。その辺りは、次話以降に入れる予定です。

 
 教会問い合わせ窓口。異端審問及び異端狩り。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【HY】と記載します。
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