俺がアイツと戦えないのはどう考えてもお前らが悪い 作:魔法使い候補
投稿頻度が下がった!
榊原小雪
川神学園2年S組所属
白髪色白の美少女。葵冬馬、井上準の幼馴染みでよく一緒に行動している。性格は天然というより電波寄り。Sクラスに所属しているだけあって成績は良く、身体能力も高い。マシュマロが好きでよく食べており、忍足あずみに餌付けされている。何を考えているか分からないタイプ。
最強の美少女や居眠りお姉ちゃんがいる為目立たないが、スタイルが良く巨乳。
ヽ(*´▽)ノ♪
2009年5月2日(土) 朝
島津寮玄関
「えっと…君が俺に用がある人で間違いないかな?」
「そーだよー。榊原小雪でーす」
(榊原…?たしか葵やハゲとよくツルんでるS組の奴。向こうもこっちの行動を監視する気か?決闘前日に襲撃に来たにしては数が少ない。何処かに連れ出して、待ち伏せてる奴等と囲む気か?)
「それで、小雪は俺にどんな用件があって来たんだ?」
「何かねー、トーマがゴールデンウィークは忙しいから大和君と遊んでもらいなさいって」
(やっぱり監視が目的か?今日は親不孝通りで"金剛"の練習をするつもりだったが…)
同伴を許可すれば"金剛"について報告されるだろう。先日の決闘で見せてしまったとはいえ、拳撃以外の方法は知らない筈。逆に言えば拳撃による"金剛"は当たらないように対策されている可能性が高い。これ以上情報を漏らしたくはないが…
(最近は親不孝通りで暴れ過ぎた。一人だと獲物が寄って来ないかもしれない…)
小雪の性格は知らないが、ルックスは良く男ウケするだろう。バカ共が絡んで来る確率は跳ね上がる。拳撃による"金剛"だけ練習していれば問題は無いか?
「………分かった。俺に付き合ってくれるなら遊んでやるよ」
「おー、やっさしぃー♪それで、何して遊ぼうか?」
「リアル狩りゲーをしようぜ」
2009年5月2日(土) 朝
●●●●ジム
ゴールデンウィーク明けに決闘を控えた冬馬と準は、ジムで大和の対策を練っていた。
「さて、今日から準には本格的に大和君対策を始めてもらいます。まずはこれまでに集めた情報から、ディフェンスの練習をしていきます」
「ディフェンス?バーリトゥードで多彩な攻撃が可能な試合なら、奇襲を仕掛けて短時間で勝負を決めた方が良くないか?寝技や蹴り技の対処は上手くないんだ」
「ディフェンスと言っても、絶対に喰らってはいけない技だけですよ。胸を狙った拳撃、いや心臓を狙った打撃は絶対に防いで下さい」
「心臓?」
「ええ、あの打撃は心臓を強打する事で失神させる事を狙った打撃だと思います。"血管迷走神経反射性失神"と"心臓性失神"の二種の失神系のダメージで成功率を上げ、一瞬で失神させる。何より恐ろしいのは、心臓震盪を起こす可能性があるという事です」
「容赦無さすぎだろ!!」
「まあ、戦闘による決闘は学長が立ち会いますから死んでしまう事は無いでしょう。それより、この技は準にも使えませんか?」
「……無理だろうな。技の存在を知っている奴に当てるには大振りだし、最悪殺してしまうと理解すると無意識に力を抑えそうだ。どうしても道徳心が邪魔になる」
「そうですか。………では、ディフェンスの練習と奇襲の練習に絞っていきます。まずはディフェンスの練習から始めましょう」
2009年5月2日(土) 昼
親不孝通り
大和は"金剛"の練習をする為、小雪を連れて親不孝通りに来ていた。
「ここらへんにモンスターが出るの?」
「そうだ。ボスっぽい奴は先日倒しちまったから出て来ないだろうけど、雑魚モンスターは腐る程出て来る。経験値稼ぎに付き合ってくれりゃ遊んでやるよ」
(さっき葵に聞いた話じゃ自分の身を守れるくらいには強いらしいし、不発になった奴にトドメを刺してもらうか…)
あれから場所の指定も無かったし、監視ついでに遊びに付き合わせる気なのか?誰かに連絡している様子も無いから襲撃の可能性は低い。人を集められなかっただけかもしれないし、決闘の期日直前に襲わせるつもりの可能性もあるが、少なくとも今は襲われる事は無いと考えて良いだろう。
「くっそー、まだ体が痛むぜ。アイツら絶対に許さねぇ!!」
「あれだけ痛い目にあったのに、ケージ君マジパネぇ」
「取り敢えず板垣とかいう奴等も見なくなったし、ここら一帯のヤンキー共をシメて数を増やすぞ!!」
「俺達で一大チームを作るYO!!」
「ストリートファイトナラマカセトケ!」
(手頃そうなバカ共発見。まずはコイツ等から試していくか)
大和は小雪を手招きする。予め確認していた通りに腕を組み、寄り添いながらターゲットに近付いて行く。向こうもこっちに気付くと、ニヤニヤしながら近寄って来た。
「よぉ、ニーチャン。良い女連れてドコ行くんだい?ダメだよ~ここらは治安が悪いんだから」
「俺達と一緒に遊ぼうYO!もちろんネーチャンだけだYO!」
大和は無視して襲う順番を判断していく。
(DQNっぽいのが二人、気の弱そうな奴が一人にガタイが良い外人が一人か…)
外人は後回し、出来れば他の三人を片付けてから最後に相手したい。恐らくこの外人が連中の中で一番強い筈。先に外人を倒すと他の奴等が逃げる可能性が出て来る。背面でも打てない訳ではないが見せたくないし、時間も掛けたくない。
大和は順番を決めると、小雪を数歩下がらせ両手を上げながら歩を進める。
「なんだそりゃ?降参のつもりか?いいから財布置いて早く失せろ!!」
DQNの一人が大和に掴み掛かろうと左腕を伸ばしてくる。反撃は無いと思っているのか、酷く緩慢な動きだ。
(両手を上げただけで油断しやがった。こんな所に居るんだから腕に覚えがあるに決まってるだろ)
伸ばされた左腕は叩き落とされ
大和の右腕が心臓に突き刺さった
『心臓を叩いていくから、気絶していない奴にトドメを刺してくれ』
事前に確認した通りに下がった小雪は、大和が一人目の心臓を殴ったのを見ると一変する。直ぐに追撃を掛けられるように体勢を一瞬で変える。
(最初の人は気絶している…)
大和が一人目が倒れる前に二人目の心臓を殴り、次のターゲットに移行すると一瞬で気絶していないのを確認し、素早く頭部へ蹴りを放つ。鼻が潰れ出血しながら後方へ転がったのを確認し、大和が三人目のターゲットを気絶させたのを視界に納める。
(…あ、外人が殴り掛かった)
最後に残った外人は流石に先手を取れず、大振りの打撃を捌いてから指を使った"目打ち"で視界を潰し、"金剛"を打ち込んだ。外人が気絶したのを確認した小雪は、鼻を押さえて転がっているDQNの顔面を踏み潰した。
一人目の心臓を殴ってからたった6.13秒の攻防。その短い時間で正確に気絶しているか判断出来る超人的な動体視力と強力な蹴り技。態度にこそ出さないが、攻防を終えた大和は小雪の実力に動揺していた。
(おいおい……誰だよ自分の身を守れる程度には強いって言ってた奴は。滅茶苦茶強いじゃねえか)
一人しか失敗した奴がいなかったとはいえ、普通一瞬で気絶したかどうかなんて判断出来ねえだろーが。予想じゃもう少してこずると思っていたのに、蹴りを放つまでスムーズに動き周囲を見渡す余裕まである。
(こんな奴がまだ隠れていたのか…)
コイツは間違いなく葵の決闘での助っ人候補だった筈、今日俺の所に来させたという事は他の奴に助っ人を頼んだのか?その助っ人はコイツより強いのか?
様々な疑問が頭に浮かぶが、解く為の判断材料が無いのに解ける訳もない。
(………ゴールデンウィーク明けの決闘、予想より苦戦しそうだな)
2009年5月2日(土) 午後
川神院
板垣辰子との戦闘でダメージを負った鉄心は、川神院で大人しく修行僧達の訓練を見ていた。ルー師範代と釈迦堂、そして板垣姉妹はゴールデンウィークの間は山籠り。孫の百代と一子も明日から旅行に出かける為、準備をしていて院には居ない。
(板垣姉妹と釈迦堂が川神院に来てから、百代の機嫌が良い日が続いておる。相変わらず戦う事しか考えていないようじゃ)
百代の考えている事は分かりやすい。大方釈迦堂の怪我が癒えるのを待ちつつ、板垣辰子の成長に期待しているといったところか。あの様子じゃ釈迦堂が回復した途端に勝負を挑みそうじゃな。
(…そして、最近急に動き出した直江大和。ルールの無い喧嘩で釈迦堂相手に
釈迦堂から聞いた話では、板垣竜兵の件も直江が仕組んだ可能性があるという。確証を得る事こそ出来なかったようじゃが、そう思わせる相手だという事はワシも感じた。駆け引き、策略等に長け、周到に準備しておく事で格上の相手とも渡り合う。何より窮地を脱する術に長けていると釈迦堂は言っておった。最近になって動き出したのも何か理由がある筈。
(………近いうちにまた四天王が交代するかも知れんのう)
2009年5月2日(土) 夜
歓楽街
DQN四人組を撃退した後、更に複数のグループの不良達を撃退した大和は、小雪を家の近くまで送ってから歓楽街に来ていた。
(ボコッた奴等の携帯で俺の写メを撮っておいたから、早ければ今夜にでも人数を集めて仕返しに来る筈だ)
本番はこれから、昼間の狩りは獲物を大量に誘き寄せる為の準備運動に過ぎない。最近はよくこの辺りを
「!?おい、アイツじゃねえか!?」
「写メに写ってる奴だ!!俺達を舐めた事を後悔させてやれ!!!!」
(声がでけえよ。不意討ちを警戒してた俺が馬鹿みたいじゃねえか)
数はざっと数えて二十人くらいか。アイツなら遊びで撃退出来るのだろう。岳人も何だかんだで倒せそうだよな。
(こういう対抗心は策を講じるときは邪魔になるが、モチベーションを上げるにはもってこいだな)
大和が練習しようとしているのは
"
(今日から"
2009年5月2日(土) 夜
榊原家
『そうですか。やっぱり大和君は心臓を打つ技を会得していましたか』
「うん♪最初の方は失敗する事もあって僕も攻撃出来たけど、最後の方はみーんな気絶しちゃうから暇だったな~」
『それは残念でしたね、ユキ。それより、大和君はどうでした?私や準以外の人と遊ぶ事は滅多にないですし、これを機に友達を増やしてみてはどうですか?』
「ん~?良い人だとは思うけどトーマと準だけでいいかな?優しいけど、ちょっと怖く感じるときがあるし」
『そうですか。ユキが大和君と親しくなったら大和君とデートに行こうと思っていたのですが、残念です』
「(@ ̄□ ̄@;)!!」
2009年5月2日(土) 深夜
歓楽街
二十人程居た不良も、一人を残して皆倒れ伏している。大和の"金剛"で失神し倒れている不良達は、戦場で息絶えた兵士のようにピクリとも動かない。
「な、何なんだよお前。板垣とかいう奴等が居なくなって、やっと好き放題出来ると思ったのに」
「何言ってんだ?此処等で顔役やってたのは俺が先だ。数年来なかったくらいで忘れるような頭だから駄目なんだよ、お前等。それともモグリだから知らないわけ?」
「…?意味がわからねえ。てめえが誰かなんて知る訳ねえだろーが!?」
「"悪餓鬼"大和君を知らないとか、お前絶対モグリだろ」
「………ぁ、いや、でも髪の色も違うし、そっくりさんの可能性も…」
「イメチェンだ、そのくらい理解しろボケ!!」
大和は叫びながら不良に向かって駆け出す。対する不良は右手でナイフを取り出し、利き手であるだろう右手を大和に向けて突き出す!!
(好都合だ、わざわざ右の脇腹を空けてくれるとは)
大和が一人だけ敵を残していた理由は、"金剛"以外の技を試したかったから。その技は一対一を想定した技の為、一対多の喧嘩では使えない。
大和は突き出されたナイフが左肩の上を通るように避けながら踏み込み、左腕で空いた脇腹を狙った。
(肝臓を狙った鉤突きから繋げる!!)
その技の名は
"
大和の"金剛"が決まる確率が跳ね上がった!
大和は"煉獄"を繰り出した!