俺がアイツと戦えないのはどう考えてもお前らが悪い   作:魔法使い候補

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お久しぶりです。( ̄▽ ̄;)
徐々に文字数は増えたんですが、比例して執筆速度が落ちていく不具合。
ネタが古いとか言わないでネ☆


最近の若者は(ry

黛由紀江

川神学園1年C組所属

北陸は加賀の出身。父親は国から帯刀を許可されている『剣聖』黛大成。良い尻をしている。人付き合いが苦手で表情が強張ったり、すぐにテンパるなど重症のレベル。尻のラインは素晴らしい。当時武道四天王の一人だった橘天衣を倒す程の実力者で、既に父親を凌ぐ実力を秘めている。揉みし抱きたい尻の持ち主。松風と名付けた馬のストラップを身に付けており、腹話術で話す時は色々ハジケている。あの尻に顔を埋めてみたい。エヘヘ(´ 3`)

 

2009年4月29日(水) 早朝

島津寮 庭

 

祝日の早朝、大和は先日頼んでいた組手を黛に付き合ってもらっていた。

 

(やっぱり強いですね。捌き方も上手ですし実戦を想定した戦いを得意としている筈)

 

黛はあくまでも剣術家、体術は万が一刀を使えない時の保険に修めているだけ。それでも、体術のみで勝ってきた大和の相手を出来るくらいには強く、何より性格が優しく怪我をしないように細心の注意を払ってくれる。組手の相手としてはこれ以上の逸材はいないと言える。

 

(打撃を中心に仕掛け、プロレス技や投げ技も使える。急所への攻撃も躊躇いが無く、体術だけなら2年生に勝てる人はいないのでは…?)

 

黛から見た大和の実力は、純粋な体術のみの勝負なら2年生でも敵無しという評価だった。3年には川神百代がいる為敵無しとは言えないが、少なくとも川神百代以外で勝てる人間は、教師のルー先生と学長の川神鉄心しか知らない。武器有りなら他にもいるだろうが、それでも充分強いと言えるレベルだ。

 

(これ程強い大和さんが怪我を負う相手が存在するなんて…)

 

昨日の決闘は、先日負傷したとは思えない素早い動きで秒殺している。長期戦では不利と理解しており、短時間で勝てるように仕掛けたから出来た事だが、黛はそれを知らないし知りようもない為、実力に差があったからと判断した。何よりも、その大和を負傷させる程の相手がいる事に戦慄した。

 

(自分もまだまだ精進せねば…)

 

若き天才剣士はより一層の精進を誓い、眼前の相手に意識を集中させた。

 

 

 

 

 

大和と黛の組手が一段落し、お互い呼吸を整えた頃を見計らって大和が切り出した。

 

「そういえばまゆっちさぁ、風間のグループ以外で友達出来たの?」

 

グサッと何かが刺さったように黛の動きが止まった。どうやら触れられたくない話題だったらしいが、大和は気にせず話を進める。

 

「まゆっちがこれからも組手に付き合ってくれるなら、仲良くしてほしい人がいるんだけど」

 

「……?」

 

黛としては、これからも組手に付き合う事に問題は無く、友人も欲しい為不都合は一つも無かったが、大和の言い方に違和感を感じた。

 

「昨日俺が決闘で倒した不死川さん。彼女にも組手を手伝ってもらう事になったからさ」

 

この台詞で黛は理解した。不死川という生徒は好意で手伝うのではなく、何か強制される理由がある事を。思い当たるのは、川神鉄心が言っていた命令権。自分に仲良くしてほしいのは、出来るだけ長く穏便に組手に付き合ってもらう為だと。何故なら…

 

「これからも組手の相手、お願い出来るかな?」

 

表情は笑っているが目は笑っておらず、有無を言わせない雰囲気を纏っていたから…

 

(『大和先輩超怖ぇーんだけど!?』)

 

2009年4月29日(水) 午前

川神院

 

(アイツ等大丈夫かな?)

 

大和に敗れ、川神院に身柄を拘束された釈迦堂は自身の弟子達を案じていた。先程、川神鉄心とルー師範代が板垣姉妹を更正させる為、親不孝通りに向かったからだ。

 

(まず間違いなく抵抗するだろ、勝てないだろうけど…)

 

自分の師である川神鉄心は勿論、同期のルー師範代にも勝つ事は出来まい。それが釈迦堂の出した結論だった。

 

(俺が加勢に行っても、怪我が癒えていないこの身体では足手まといになるだけだ)

 

 あの坊主、直江大和と戦った時の傷がまだ癒えていない。仮に万全の状態で戦えたとしても、あの二人相手に勝てるとは思えない。何より…

 

(百代の奴が残っている、川神院を抜け出す事が出来ない)

 

 好戦的な百代の事だ。俺が抜け出せば必ず力尽くで止めるか、尾行して来るだろう。結局分が悪くなるだけで戦局は好転しない。大人しく休養しているのが俺にとってはベストな選択か…

 

(師弟揃って川神院で更正か。……一人で更正させられるよりマシだな)

 

釈迦堂は早々に現実を受け入れた。

 

2009年4月29日(水) 午後

親不孝通り

 

「クソッ!?出鱈目に強いじゃないか」

 

「ウチのゴルフクラブが壊れたぁ!?」

 

板垣姉妹の亜巳と天使はルー師範代と戦っていたが、実力差が埋められず徐々に押され始めていた。

 

「もう諦めて大人しくしなさイ。釈迦堂も既に負けている。君達の報復は失敗したんだヨ」

 

釈迦堂が姿を見せなくなって既に3日目。認めたくなかった師匠の敗北という事実を悟るには充分な時間。ルーに言われずとも、板垣姉妹は薄々感じていた。

 

自分達は喧嘩に負けたのだと

 

「君達は川神院が引き取って更正させル。その力をこれ以上悪用されては困るからね」

 

だが、素直に負けを認める程潔ければ最初から抵抗しない。勝ち目がどれだけ薄くても、意識がある限り抗いどんな手を使ってでも勝ちに行く。

 

「そういう台詞は勝ってから言うんだね」

 

「ウチら相手に勝てると思うなぁ!!」

 

何故なら彼女達は

 

清々しい程に悪人だから

 

 

 

 

 

一方、川神鉄心は板垣姉妹の一人、板垣辰子と交戦していた。

 

「ぅぅぁあああああっ!!」

 

バス停を軽々と振り回し、鈍器として扱う異常な怪力を含めた非常に高い身体能力を武器に、辰子は鉄心に突撃していく。

 

(釈迦堂が武術を教えたくなった理由が分かるわい。逸材じゃ、力だけなら百代を凌いでおる)

 

鉄心は辰子の攻撃を避けながら、何故釈迦堂が掟を破ってまで武術を教えたのかを理解した。才能溢れる若者との出会いは、自分の信念を否定され打ち負かされ破門された釈迦堂には、宝のように見えただろう。

 

(直江大和といい、強い若者がどんどん出てきておる。これならば百代の奴も…)

 

近い将来負けるかもしれん

 

 

 

 

 

「あたたたたたたたた!!!!!!」

 

ルーの猛攻を亜巳が棒術のリーチを活かしながら捌いている。距離を詰められそうになると、死角に入った天使が奇襲を仕掛け、ルーの前進を止めに来る。ゴルフクラブを破壊され丸腰にはなったが、ちまちました奇襲でルーの意識を散らしている。

 

(よし。やっと奴の攻撃に対応出来て余裕が生まれた。これで反撃が出来る)

 

 天は元々防御にゴルフクラブを使っていた。素手であの男の攻撃を捌き切れるとは思えない。それなら私が受けに回って、天に攻撃を邪魔させる方がマシ。受けは性に合わないが、勝つ為にはこの戦法しか無い。

 

(アミ姉も慣れてきた。そろそろ仕掛けられる)

 

 あのオッサンをアミ姉が上手く牽制し、ウチが死角からの奇襲で意識を散らす。後はタイミングを合わせて挟撃を仕掛ける。

 

分かっていても対処が難しい挟撃。実力で劣る姉妹は連携でルーの意識を散らし、集中力が切れるのを辛抱して待つ。

 

((集中力が切れた時が勝負!!))

 

 

 

 

 

辰子が攻撃を始めて数分後、回避に徹していた鉄心がついに仕掛ける。

 

「顕現の壱・摩利支天!!」

 

「!?」

 

鉄心の身体から熱が放出され、大気の温度を変化させる。温度変化により体積が変わった大気は密度も変わり、直進する筈だった光を屈折させた。

 

陽炎による視界の撹乱

 

辰子の目には鉄心が歪んで見え、正確な距離感を奪っていく。辰子が警戒して動きを止めたが、それを待っていたかのように今度は鉄心が攻勢に出た。

 

「ちょい」

 

一瞬で辰子の側面に回り込み、頸椎を狙った手刀を放つ。喰らえば問答無用で意識を刈り取るであろう一撃。陽炎により視界が不安定な辰子は一瞬反応が遅れる。だが…

 

「チィッ!?」

 

避ける事は叶わなかったが、頸椎を肩で守り直撃は逃れた。体勢が僅かに崩れたが、強引にバス停を振り切る。

 

「ヌン!!」

 

鉄心は後退せず、手刀でバス停を叩き斬った。辰子は意に介さず、斬られたバス停を突き立てる。

 

「顕現の参・毘沙門天!!」

 

切断され鋭利に変化したバス停。それが突き刺さる前に、鉄心の闘気で具現化した毘沙門天がバス停諸共辰子を叩き潰した。

 

 

 

 

 

「むぅ!?」

 

ルーの猛攻を長いリーチで潰しつつ、死角からの奇襲で前進を止める姉妹の戦法は上手くハマっていた。一人ずつ確実に仕留めるつもりだったルーだが、姉妹が上手く連携を取り出した為、攻撃があと一歩届かない状態が続く。

 

(防御を優先シ、長期戦を覚悟しての耐久作戦に変えたか。こちらの集中力が切れるのを待っているネ)

 

攻撃を喰らわない事を最優先にした作戦。ルーは直ぐに見破り、状況の打破を試みる。

 

(一人ずつ仕留めるのではなく、敢えて隙を作って誘い二人同時に仕留めル)

 

三人のダメージと疲労を考えても、先に体力が尽きるのは姉妹の方だとルーは思っている。だが姉妹の体力が尽きるまでこの状況が続くとは限らない。時間を掛ければそれだけ自分の体力も消耗する。体力を消費するという事は、余裕が無くなるという事。判断力が鈍り、攻撃を喰らう確率が上がるという事。

 

(悪いけど長期戦には付き合わないヨ)

 

天使の奇襲が決まり、亜巳と天使は勝負に出た。

 

 

 

 

 

渾身の奥義を当てた鉄心は息を吐く。怪力を誇る辰子の攻撃を喰らわないように、神経を磨り減らしながらの攻防。久方ぶりの緊迫した戦いに、流石の鉄心も張っていた気を緩めた。

 

勝負は決まったと勝手に判断し、残心を怠ってしまった。

 

「ぁああああ!!!!!!」

 

毘沙門天を模した闘気に潰され、既に瀕死の状態を迎えている身体を無理矢理動かす。辰子の両手が鉄心の胴着を掴み、背後に回り込む。両手を鉄心の腹部の辺りでロックし、一発逆転を狙った投げを仕掛ける!!

 

(まだ動けるのか!?)

 

勝負は終わったと思っていた鉄心の反応が遅れる。だが、辰子の投げは速く力強く抵抗を許さない。後方へ頭から叩き付ける、ジャーマン・スープレックスを決めた!!

 

ドオン!!!!

 

「ぐぅ!?」

 

ジャーマン・スープレックスには、いくつかの派生技が存在する。

 

投げる途中でロックした両手を離し、空中に投げ出す"投げっ放し"

 

高さではなく、速度を求めてスライドするように投げる"高速式"

 

より高い位置から投げ落とす事で威力を上げる"高角度式"

 

受け身を取らせないよう、相手の両手を取って投げる"ダルマ式"

 

様々なレスラーが、技の完成を目指して改良してきた。そして、辰子が選んだのは一撃型ではなく連続型。ローリングジャーマン等と呼ばれる…

 

"ローリング式"

 

鉄心を頭から投げ落とした辰子は、その勢いを利用して回転する。両手をロックしたまま…

 

(もう一度投げる気か!?)

 

確実に仕留めるべく、もう一度ジャーマン・スープレックスを仕掛けた!!

 

「せぁああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

大和は組手で経験値を獲得した!

ルーは作戦"避ける理由が無いから"を選んだ!

鉄心の顕現の参・毘沙門天が当たった!

辰子は怯まずローリングジャーマンを繰り出した!




まだ4月すら終わっていませんが、完結目指して頑張ります!!

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