ハンター世界での生活   作:トンテキーフ

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※捏造設定、能力クロスオーバー要素があります。


水見式と能力開発

「あ、水見式忘れてた。」

「ぐ?」

 

ある日の夜。いつものように焚き火を囲み、魚を食べていたとき。唐突に思い出した。念の修行、何か足りないと思っていたのだが、一番大切なことを忘れていた。四大行の発、つまり必殺技の修行。思わず声が出てしまい、隣で肉にかじりついていたポチが不審そうに顔をあげる。今では体長も3mを超え、立派過ぎるほど巨大に成長しているポチだが、毎日肉ばかり食べている。前に肉より魚の方がうまいのにと呟いたら喧嘩になった。言葉は分からないはずなのだが、どうも俺の感情を何となく察したらしい。和解は出来たが、絶対に肉より魚の方がうまい、という思いは変わらない。だが、お互いに相手の気持ちは考えようと思い、口に出して言うことはやめた。

思考がわき道に逸れた。そんなことよりも水見式だ。忘れないうちにやってしまおう。

 

念の能力は主に六つに分かれている。モノの働きや力を強化する強化系、オーラの性質を変える変化系、オーラを物質に変化させる具現化系、オーラを飛ばす放出系、物や生物を操る操作系、以上五つの能力に分類出来ない特質系。どの能力も極めれば相当に強い。ただ、修行方法が分からないからできれば特質系以外の能力が欲しいところだ。

早速水見式を実践する。コップはないので手で湖の水をくみ、拾ってきた葉っぱを乗せる。胸の高まりを感じながら、手の平を中心に練をしてみた。

葉っぱを中心に、黒水晶のような結晶がボゴンと現れた。隣で見ていたポチと共にびくりと肩を震わす。これほと急に変化が現れるとは思っていなかった。とまれ、”水の中に不純物が現れた”ので、俺は具現化系に属することが分かった。

ちなみにポチも真似をして水見式をしたところ、俺の手から噴水のように水が湧き上がってきたので顔がべしゃべしゃになってしまった。ポチは申し訳なさげだったが、ヒラヒラと手を振って怒ってないよと告げる。ポチは強化系のようだった。

 

これでお互いに念の系統が分かったわけだ。それにより、自分の系統別修行をおこなえるし、必殺技の開発もできる。ただ、俺は一刻も早く発を開発しなければならなくなった。それというのも、ポチが強化系であることが分かってしまったからだ。強化系は纏と練をしておけば自然と強くなって行くのに対し、具現化系は発あってこその能力であるためだ。ここ最近組手で負けが混んでいるのも強化系と具現化系の差から来ているのかも知れない。肉体の強度がほぼ互角になり、力で押し負けることが多くなって来たのだ。とにかく早く発を使えるようにならないと、どんどんポチに先をこされてしまう。

しかしいざ能力を作ろうとしたところで、どんな能力にするかでこけてしまった。原作で具現化系といえばクラピカの鎖やゴレイヌのゴリラなどがある。両者とも具現化した物に特殊能力を与えていたが、自分が能力を作るとなると中々思いつかない。

唸っているとポチが遊ぼうと誘うように元気に声をかけて来た。そういえばこいつを観察してから修行の効率がとぼんやり考え。

ピンと来た。

 

次の日から、俺は具現化するモノのイメージトレーニングをしていた。ポチは俺が構ってやれないのが分かっているのか1匹で修行するか昼寝をしている。

肝心のイメージだが、予想通りなかなか上手くいかなかった。それもそのはず、俺がイメージしようとしているのは前の世界で見ただけで触ったこともないものであるため、質感を想像しにくかったからだ。それでも必死にイメージし続けおよそ1ヶ月半。

「出来たぁ!」

まるで小さな子供のような、歓喜の声が飛び出ていた。今俺の顔を見れば、濃い隈に荒んだ目、凄惨な笑みを浮かべる口と中々ひどいことになっていただろう。だが今はそんな己を省みる余裕はなかった。何せやっと自分の念が形になったのだ。嬉しくないはずがない。

喜ぶ俺の手の中で、黒い玉に浮かんだ眼がじっとこちらを見つめていた。

 

さて、俺の能力は、この目玉念獣な訳だが、普段は黒玉から出た日本の紐が俺の首に絡まりふよふよと浮いた状態になっている。この状態の時、目玉は俺と同じものを見るようにしている。

そして肝心要の能力は、『凝』の強化と視界の共有だ。目玉自体が精度の高い凝をし、更に視界が共有されるため俺に思考の余裕ができるというもの。相手をよく見て思考する、観察特化な能力にした。他の具現化系能力者と比べると弱いかも知れないが、突飛な制約、誓約なしなら十分な能力だろう。使い続けることで更に強くなる可能性もあるし。

余談だが、念を使い続けて、天空闘技場でヒソカの言っていた容量(メモリ)について考えたことがある。カストロはメモリのムダ使いにより負けたということだが、そもそもメモリとは何なのか。

考え抜いた挙句、俺はこうではないか、というあたりをつけた。

 

メモリ=修行期間×修行効率×才能

 

すなわちどれだけ長いこと修行を続けたか、どれだけ効率の良い修行をしたか、そして最も大切なこと、自分が目指す能力に対して自分がどれだけ才能を持っているかが重要なのだ。カストロは対ヒソカに燃え、二年間密度の高い修行をして過ごしたのかも知れない。しかし、ダブルという能力に対してカストロは才能がなかったのだ。幾ら修行期間、修行効率が凄くても、才能はどうしよもない。

また、制約、誓約はリスクを負うことで大きな力を得るものだが、これは修行の期間を誤魔化すために使うものだと思う。非常に強い念能力を考えてもその訓練に数十年単位で時間がががっていてはたまらないだろう。俺は復讐のような目標もないため、あまり考えなくてもいいだろう。

 

そんなこんなで発を開発してからの始めての実戦だ。ポチは見慣れない目玉を不審そうに目を向けていたが、放つオーラは俺のものなのですぐに警戒を解いてくれた。そしてそのまま組手を始めたところ。

いやぁ、勝利って気持ちのいいものですね。というか久しぶりにポチ相手に勝ち星を挙げられて気分がいい。

相手のオーラの濃淡がはっきりわかり、かつ思考する余裕があるのだ。どうすれば攻撃を避けられるか、どこを攻撃すれば致命的かがよく分かる。前足の攻撃を払い、牙をよけ、突進を躱して横っ腹に一撃を当てることが出来た。観察って案外バカにならないな、と再認識した戦闘だった。

その後もポチが悔しそうに吠えて来たので、その日は延々と組手をし続けたのだった。




能力は東方projectの古明地さとりから。

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