フェイト・テスタロッサは自身に何が起きたのかを理解するのに少し時間がかかった。
バルディッシュ・アサルトを構えてシグナムに詰め寄ろうとした決意した直後に異変が起きた。
背中から胸へと何かに貫かれるような感触を感じ、本来ありえないところに出てきている物を両目で視認して初めて理解した。
自分は何者かに背後から貫かれているのだと。
(そ、そんな……いつの間に……)
全身から力が抜けていく感覚がハッキリとわかる。
それでも何とかして自分をこんな風にした者の顔を見ようとする。
顔を向けるという単純な行動でさえも重く感じる。
(この人は……)
仮面をつけた男だった。
必死に網膜に焼き付けようとするが、意識を手放そうとする速度が尋常ではない。
仮面の男が何かを発動させた。
「う、うわあああああああああああ!!」
血は出ていないが、貫かれたという恐怖と何かをされているという恐怖が加速度にフェイトに襲い掛かる。
「貴様ぁ!!」
シグナムが多分だが、仮面の男に対して怒号を上げているのだろう。
(やっぱりバチでも当たったのかな……。良太郎の事避けてたから……かな……。ごめんね……良太郎……)
そこでフェイトは完全に意識を手放した。
シグナムは自分とフェイトの戦いに水を差した仮面の戦士を睨みつけていたが、彼が手にしているものを見て思わず停まってしまった。
それは自分が今最も欲するもの---リンカーコアだった。
「さぁ、奪え」
と仮面をつけているのでどんな表情かはわからないが、恐らく自分を不快にさせてくれるものだろうと推測する。
リンカーコアは欲しい。だが、こんな形で手に入れることは望んではいない。
(くっ……)
歯を強く噛みしてしまう。ぎりりという音が出そうなくらいに。
右手に握られているレヴァンティンもカタカタと震えている。
自身の『誇り』と『目的』がせめぎあっていた。
その中、ざっざっざっと砂地を駆ける音が耳に入ってきた。
リンカーコアから視線を離すと、そこにはゴーグルを装着していた一人の男が左拳を振りかぶって仮面の戦士に向かっていた。
男は構えていた左拳を迷いも躊躇もなく振り下ろす。
飾り気のないただのストレートだが速度も威力も申し分ないものだ。
「がぁっ!」
仮面の戦士はそのような声を上げながら、左へと飛ばされていく。
その中で男は地に落ちようとするフェイトをしっかりと抱きとめていた。
シグナムには男が誰なのかわかった。
紛れもなく自分が知っている人物だ。
そして、ここ最近では自分の心の中に大幅に占めている人物だ。
だが、男の全身から噴き出ているモノは最も似つかわしくないものだった。
(怒っているというのか……。野上……)
仮面の戦士を殴り飛ばした男---野上良太郎が乱入してきた。
フェイトを仮面の戦士から奪い取った良太郎は抱きかかえて、仮面の戦士を一瞥する。
不意打ちといっても、さほどのダメージは受けていないようだ。
むしろ仮面を殴ったから、自分の左拳がズキズキとしている。
だが、苦悶の表情を浮かべるほどではない。
抱きかかえているフェイトを見る。
意識を完全に手放しているのか閉じた両目を開ける兆しはない。
「………」
ゆっくりとシグナムの元に歩み寄る。
「野上……」
シグナムは良太郎が放つモノに完全に圧されていた。
「シグナムさん。お願いがあります」
「……何だ?」
抱きかかえているフェイトをシグナムの前に出す。
「フェイトちゃんをお願いします」
「……私はお前からしたら敵だぞ?」
「今ここで信用できるのは貴女だけなんです。だから、お願いします」
比べる相手が他にいないのが残念だが仮面の戦士よりは信用できる。
二度、戦った上で得た結論だ。
「しかし……」
渋るシグナムと良太郎の目が合う。
それ以上は言わせない。相手に反論の機会を与えさせてはいけない。
「……わかった。その任、引き受けよう」
シグナムは首を縦に振って了承してくれた。
抱きかかえているフェイトをシグナムに渡すと、良太郎は軽く頭を下げてから背を向けて歩き出す。
右手にはパスが握られており、左手にはデンオウベルトが握られていた。
良太郎は歩きながらデンオウベルトを腰元に巻きつける。
カチリという音がして、固定された。
「変身」
パスをターミナルバックルにセタッチする。
歩きながら良太郎から銀と黒が目立つプラット電王へと変わっていく。
そのまま、変身者の意思を読み取ったかのようにケータロスが出現して、デンオウベルトに装着される。
ケータロスから金色のオーラレールが出現し、それは空へと向かっていく。
空の一部が歪んで、オーラレールの上を滑走していく一つの物体がある。
物体の滑走する速度は速いが、プラット電王は右手でぱしっと受け取る。
物体---デンカメンソードのパススロットルにパスを差し込む。
『ライナーフォーム』
デンカメンソードが発し、それでもプラット電王は停まることなく仮面の戦士の下へと歩く。
プラット電王の後ろからデンライナーが出現して、プラット電王へと向かって走っていく。
その度に砂煙はぶわっと舞う。
デンライナーはオーラライナーとなりながら、プラット電王を透過していく。
黒と銀から赤と白が目立つプラット電王になっていきながら、キングライナーを髣髴させるオーラアーマーとデンライナーがモデルとなっている電仮面が装着されていき、ライナー電王へと変身した。
仮面の戦士は既に起き上がっていた。
「貴様は『闇の書』の完成の際に最も邪魔な存在だと認識している。殺しはしない。ただ、しばらく前線には立てないようにしてやる」
「………」
仮面の戦士の言葉にライナー電王は何も返さない。
デンカメンソードを構えて、ただ進むのみ。
「「!!」」
砂漠世界の空で、戦っていたアルフとザフィーラは互いの顔面を狙っていた拳を寸前の所で停めた。
「な、何だい!?この背筋からゾクッとするようなとんでもない殺気は……」
アルフが知る限りでこのような殺気を放っている人間は知らない。
本能が訴えているのだ。
『関わるな』と、『近寄るな』と。
「シグナムではない。無論、お前の主でもないのだろう」
ザフィーラは消去法で身の毛もよだつ殺気を放っている者を割り出していた。
「野上良太郎か……」
ザフィーラが静かに呟いた。
「何だってぇ!?」
自分やザフィーラは対象外、フェイトやシグナムではないとなると残りは一人しかいないのだからその答えが一番正解に近い。
(ありえないでしょ!?いくら何でも、あの良太郎だよ……)
アルフにしてみればこれだけの殺気を放っている主があの良太郎というのがピンと来ない。
そもそも良太郎に『怒り』とか『憎しみ』という感情が似合うとは思えない。
温厚な良太郎がここまで怒る原因となれば数え切れるほどしかない。
(まさか……)
アルフにしてみれば最も起こってほしくない事を想像した。
フェイトに何か起こった事を。
ライナー電王がデンカメンソードを上段に振り上げて、仮面の戦士に向けて振り下ろす。
ボスンという音を鳴らしながら、砂地を抉るがそこには仮面の戦士の姿はなかった。
「はあっ!」
背後に回った仮面の戦士は左足を軸足にして、右上段回し蹴りをライナー電王の頭部に狙いをつけて繰り出すが、ぶぉんという風を切る音のみだった。
ライナー電王はしゃがんで避けていた。
デンカメンソードのデルタレバーを引っ張る。
『ウラロッド』
電仮面ソードから電仮面ロッドへと切り替わる。
立ち上がりながらも、左足を軸足にして右後ろ回し蹴りを繰り出す。
「はあああっ!!」
モモソード時よりも速く鋭い蹴りが、風を切り裂く音を鳴らしながら背後にいる仮面の戦士を捕らえる。
踵が仮面の戦士の右こめかみを捕らえて、左へと吹き飛ばす。
「りゃああああ!!」
この機会を逃がすことなく蹴り足となっていた右足が砂地を踏みしめると同時に、軸足となっていた左足を更に蹴り足にして、左上段回し蹴りを繰り出す。
「がはああっ!!」
ザフゥという音を立てながら、砂地に身体を伏してしまう仮面の戦士。
同じ場所を二度も食らい、仮面の戦士は立ち上がりながらも右こめかみを押さえながらその場でグラつく。
「………」
仮面の戦士を睨みながら、ライナー電王はデルタレバーを引っ張る。
『キンアックス』
電仮面ロッドから電仮面アックスへと切り替わる。
構えている仮面の戦士へとゆっくりと歩み寄っていくライナー電王。
その歩み方は相手にそして、第三者に恐怖心を煽るには十分なものだった。
「私と戦った時と明らかに違う……」
シグナムは過去に二度の戦闘を思い出しながら、ライナー電王の戦闘を見ていた。
二度戦った時、共通するのならば『意思』のような物が感じられた。
それは厭戦的な野上良太郎ならではのものだろう。
『苦しみ』や『戦いの業』といったものだ。
命を懸けたやり取りの中に身を投じたからといって、慣れるわけではないのだろう。
自分は強者と出逢う事や戦う事に至上の喜びを感じるが、目の前で戦闘を繰り広げている人物はそのように感じる事はないのだ。
むしろ、出来る限りなら戦いたくないという気持ちが優先される。
だが、彼はそれで通じる相手ばかりではないという事も知っているのだろう。
だから、彼は広げた手を拳にして戦いを決意する。
戦いの快楽に酔いしれる事もなく、最も辛い茨の道を歩み続けているのだろう。
自分にはない『強さ』を持った青年だ。
だが、今の彼からはそのような『意思』がない。
ただ相手を屠る事のみを優先して己が力を振り上げている。
もし、自分が感じた『意思』が野上良太郎の潜在的な能力を抑えている枷になっているのならば今、この時だけは開放されているのだろう。
仮面の戦士が左ジャブを繰り出してからの右ストレートをライナー電王への胸部へと繰り出す。
それでライナー電王が吹っ飛ぶかとも思われたが、微動だにしていない。
右手に握られているデンカメンソードを左手に持ち替えて、右手を拳から開手へと変更していた。
中腰となって、足を踏ん張って右腕を一直線に仮面の戦士の腹部へと狙いをつけて、突っ張りを放つ。
「ごほぉ」
呻き声を上げながら、後方へと吹っ飛ばされる。
ズザァァァという砂地を鳴らしている。
中腰からまた直立へと姿勢を切り替えて、左手に握られたデンカメンソードを右手へと戻した。
「ここまで一方的とはな……」
シグナムは抱きかかえているフェイトを見る。
瞳はまだ硬く閉じたままだった。
フェイトから目を離してから以前にデネブが言っていた事を思い出した。
「野上を怒らせてはならない」
と。
それは冗談なんかではなかった。良太郎の逆鱗に触れると今、自分の目の前で繰り広げられているような出来事になる事を肝に銘じておくことにした。
「がはっ……ごほっ……」
仮面の戦士は突っ張りを食らった腹部を右手で押さえながらゆっくりと立ち上がる。
服装の至るところに砂が付着していた。
(甘かった……)
今になって自分の認識の甘さを後悔した。
眼前の敵---ライナー電王を睨む。
死なない程度に痛めつけて終わらせるつもりがとんだ誤算だった。
今まで少々腕のある魔導師の鼻っ柱をへし折った感覚で挑んだ事が間違いだった。
右こめかみと腹部のダメージが消える気配は一向にない。
だが、これで確信した。
間違いなく『闇の書』の蒐集の最大の障害となる。
だからこそ、ここからは『本気』で戦わなければならない。
懐から一枚のカードを取り出して、ライナー電王へと向けて投げつける。
青色の魔力で構築された鎖---バインドがライナー電王に巻きつかれる。
(これで少しは時間稼ぎが出来るは……ず……)
だが、現実は甘くなかった。
ライナー電王が力任せに身体に纏わりついているバインドを引きちぎっていた。
走ることなくゆっくりとこちらに詰め寄ってくる。
確実に仕留めるには魔力を練り上げて威力のある攻撃魔法を放たなければならない。
だが、そんな暇は与えてくれそうにはない。
クロスレンジではどうあがいても分が悪い。
なら距離を置いてミドルレンジから攻撃を仕掛けてみるしかない。
威力の高い射撃魔法は出来ないが、手数を多くする高速射撃で勝負するしかない。
幾分か下がってから掌をかざして青色の魔力球を三個出現させる。
「行けっ!」
短く告げると同時に発射した。
青い魔力弾が三個、ライナー電王に向かってきている。
「………」
それに対して、動じる様子もなくデルタレバーを引く。
『リュウガン』
電仮面アックスから電仮面ガンへと切り替わる。
デンカメンソードを狙撃銃のようにして構える。
左手で支えるようにして、刃を掌に乗せる。
こちらに向かってくる青い魔力弾に対して照準をつける。
照準器はない。ただ、自分の中に存在していると思われる野生の勘で勝負するのみ。
全身にあるエネルギーをデンカメンソードの切先へと向けていく。
バチバチバチとフリーエネルギーが切先に充填されていくのがわかる。
「ふぅぅぅぅぅぅ」
ライナー電王が息を吐くと同時に、デンカメンソードから紫色のフリーエネルギーの弾丸が発射される。
ダダダンと三発一斉発射する。
フリーエネルギーの弾丸と魔力弾がぶつかりあって相殺される。
バンバンバンと爆発音を鳴らしながら爆発が起きて、爆煙が生じた。
構えていたデンカメンソードを下ろす。
爆煙が晴れることを待つ事なく、ライナー電王はダンスをするかのようなステップで飛び込んで行った。
シグナムは呆然としていた。
クロスレンジであそこまで善戦しておいて、ミドルレンジでも決して引けを取ることなく戦っている。
今のライナー電王に死角がないように思えて仕方がない。
自分が今、仮面の戦士の立場ならどうだろうかと想像する。
クロスレンジで圧し負けて、起死回生としてミドルレンジかロングレンジで仕掛けても返される可能性は十分にありうる。
(今、仮面の戦士をあそこまで追い詰めている野上はいつもの野上ではない。その引き金となったのは間違いなく、テスタロッサ)
抱きかかえているフェイトを見る。
「テスタロッサ。私はお前が羨ましいぞ。お前のために真剣に怒り、戦ってくれる人間がいるのだからな」
シグナムはライナー電王の背中を通して、良太郎の背中が見えた。
(もし、私がテスタロッサと同じ目に遭えば野上は怒って戦ってくれるだろうか……)
シグナムの胸中にふとそんな考えが過ぎった。
はっとして、首を横にぶんぶんと振る。
(な、何を考えているのだ!?私は!!不謹慎な!!)
必死に否定するが、彼女はまだ気付いてはいなかった。
自分がフェイトに羨望と嫉妬を抱いていた事に。
爆煙を突き抜けながら、ライナー電王は独特の足運びで仮面の戦士と間合いを詰めていた。
仮面の戦士も狙いが同じなのか、爆煙が晴れる前に間合いを詰めてきた。
右ストレートを繰り出してくるが、こめかみと腹部にダメージを負っている状態なので最初に繰り出してきたと違い、速度は遅く顔を傾けるだけで問題なく避ける。
追撃として繰り出される左フックを最小限の行動でかわしながら、デンカメンソードのデルタレバーを引く。
『モモソード』
電仮面ガンから電仮面ソードへと切り替わる。
背中は避けるために後方へ少し反った状態になり、体勢を戻す際に生じる反動を利用して仮面の戦士に向けて頭突きを繰り出す。
「がっ……」
頭部を押さえながら、後ろへよろめく仮面の戦士。
ライナー電王はデンカメンソードを握ったまま、振りかぶる。
その構えはまさに『斬り付ける』ではなく『ぶん殴る』という表れだ。
ザザァという音を立てながら左足を前に出して腰を捻り、デンカメンソードのターンテーブルを仮面の戦士の顔面に狙いをつけて、放った。
それは速く、そして凄まじく重い一撃だ。
声を出すことなく、仮面の戦士は後方へと派手に吹っ飛んだ。
ザザザァという音が両耳に入ってきた。
「はあ……はあはあはあ……はあ……」
急に全身から疲労感が襲い掛かってきた。
それはまるで錘をつけられたかのように。
デンカメンソードを砂地に落とし、四つんばいの姿勢になる。
「戻ろう……」
しばらくしてからライナー電王は立ち上がって、背を向けてフェイトとシグナムのいる場所まで戻ることにした。
アルフはザフィーラとの空中での戦闘を中断して、主であるフェイトの元へと向かっていた。
ザフィーラも連れてだ。
目的はシグナムとの合流であり、帰還だろう。
自分もフェイトとの合流が目的であるため、目的地は同じだ。
「気付かないか?」
今まで口を開かなかったザフィーラが開いた。
「何をさ?」
「先程まで感じていた強力な殺気が急に消えている……」
「言われみれば確かに……」
ザフィーラに指摘されるまで気付かなかった。
先程まで全身に嫌な悪寒を走らせていた殺気は消えている。
あれが良太郎が放ったのならば打ちのめされたか、放つ必要性がなくなったのどちらかだと推測できる。
「あれ、シグナムじゃないのかい?」
アルフがシグナムらしき人物がいる場所を指差す。
「間違いない。シグナムだ」
ザフィーラは飛行速度を落として、シグナムの元へと着陸しようとする。
「あ、待ちなって!」
アルフも少し遅れて着陸態勢を取る事にした。
着陸したアルフが見たものは気を失っていると思われるフェイトとそれを抱きかかえているシグナムだった。
「フェイト!アンタぁ、フェイトに何したのさ!?」
両目が鋭くなってシグナムに詰め寄ろうとするが、ザフィーラに左肩を掴まれて停まる。
「テスタロッサに伝えてほしい。言い訳は出来ないがすまない、と」
「アンタ、フェイトのリンカーコアを取ったのかい!?」
「……結果的にはな」
「……結果的にはだって?」
シグナムの言葉に引っ掛かりを感じてしまうアルフ。
「シグナム。ここで何が起きた?」
アルフの左肩を掴みながらもザフィーラはシグナムに訊ねる。
「私とテスタロッサの戦闘の最中に、あの仮面の男が現れてテスタロッサのリンカーコアを摘出した。それを野上が目撃して乱入した、というわけだ」
「じゃあ、あの殺気を放っていたのは……」
「野上だ」
「そうかい……」
アルフは良太郎が何故、あのような殺気を放ったのかという理由は自分の予想通りだと知っても安堵の息を漏らせなかった。
ザッザッザと砂地を踏む音が近づいてきた。
「あれは……」
ザフィーラは自分の後方から聞こえる足音のする方向に顔を向ける。
「良太郎!」
「野上か」
アルフとシグナムもザフィーラと同じ方角に顔を向ける。
そこにはデンカメンソードを右手に持ったライナー電王がこちらに向かって歩いてきていた。
次回予告
第四十二話 「進む出来事と元通り」