第二十二話 「フェイト・テスタロッサの初恋」
月曜日の朝とは、清々しく活動する者もいれば陰鬱な表情で活動する者もいた。
バニングス邸で生活しているアリサ・バニングスは間違いなく前者だろう。
その証拠に自信に満ち溢れた表情と気品が彼女は常に纏っていた。
「おはようございます。お嬢様」
初老の男性が恭しく頭を下げて、頭を下げた。
「おはよう。鮫島」
聖祥学園の制服に着替えたアリサは鮫島と呼ばれた男性に挨拶を返す。
「本日の朝食は洋食となっております」
「そう」
アリサは鮫島に案内されながら、応接室へと入る。
来客がない場合、大抵アリサはここで食事をする。
「パパとママは?」
「旦那様と奥様は昨晩帰国して、現在お休みになっております」
バニングス夫妻は実業家であり、日々多忙な生活をしている。
以前ならば多少のワガママを言っていたが、事情を理解し始めた頃からは言わなくなった。
「そう。ゆっくりと休ませておいてね」
「かしこまりました」
アリサは朝食を終えると、自室に戻って支度をする。
カバンの中身をチェックする。
忘れ物はない。
「それじゃ、行ってくるわね」
アリサの一日が始まった。
*
ハラオウン家では既に朝食を終えていた。
野上良太郎、フェイト・テスタロッサ、アルフは食器の洗い物をしていた。
良太郎が洗い、フェイトが拭いて、アルフが棚にしまい込む。
「見慣れてはいるけど、相変わらず流れるような動きだね」
エイミィ・リミエッタは三人の無駄のない動きに感心していた。
「クロノ君もあんな感じで動いてくれればいいんだけどねぇ」
ささやかな望みを隣で新聞を読んでいるクロノ・ハラオウンに言ってみる。
「努力はしているだろ……」
クロノは小さくなった。
リンディ・ハラオウンはそんな後景を微笑ましく見ていた。
静かな空間にメロディーが流れ出した。
ケータロスの着信音である。
良太郎はポケットからケータロスを取り出す。
「もしもし……」
『私でーす。良太郎ちゃん、元気してますか~?』
ナオミだった。
「ナオミさん?どうしたの?」
『今オーナーに代わりますね~』
「?」
『良太郎君。私です』
渋みのある初老の男性の声に代わった。
「オーナー?どうしたんですか?」
『実はですねぇ。あれからこちらで調べてわかったことが幾つかありましたので、その報告をしようと思いましてねぇ。良太郎君、ご足労をかけますが本日の夕方にデンライナーで向かいます』
「わかりました。夕方ですね。ん?」
良太郎はケータロスを切ろうとしたが、リンディがケータロスを渡すように手を出していた。
「すいません。リンディさんに代わります」
そう言ってから、リンディに通話状態のケータロスを渡した。
「お久しぶりですね。オーナー」
リンディはケータロスを受け取ると、リビングを出て行った。
「ねぇねぇ。良太郎君」
エイミィが良太郎に歩み寄ってきた。
「なに?エイミィさん」
「艦長とオーナーさんって何かあるの?実はね、良太郎君達が来るまでの間にオーナーとはもう一度会いたいとか言ってたからさ」
良太郎は腕を組んで、艦長とオーナーの関係を考えてみる。
「オーナーと知り合ってから、リンディさんに変化はあった?」
「そういや、レティ提督が言ってたんだけどね。フェイトちゃんの嘱託試験の時にスプーンを色々捜していたらしいんだよ」
「スプーン?食べる時にスプーンだよね?」
「うん」
エイミィは首を縦に振る。
「そういえばアースラのコックに対して、あるメニューを打診していたな」
「それなら、わたしも見たよ」
「あたしもー」
クロノ、フェイト、アルフも会話に参加してきた。
様々な証言の中から有力な情報を良太郎は選出して整理する。
「スプーンを持ってて、あるメニューを打診していた、か……。それにオーナーが関連しているとなると……」
良太郎は考え込んでいたために伏せていた顔を上げた。
何かが閃いたのだ。
「クロノ。リンディさんが打診していたメニューってチャーハンじゃない?」
「そういえば、細かく刻まれた野菜や肉が米と一緒になって小さい山のような形をしていた料理だったような……」
クロノは思い出しながら語りだす。
「あ、そういえばわたしがリンディていと……、リンディさんがチャーハンを食べているのを見た時って、お仕事をしている時くらい怖い顔をしてたよ」
「あたしも見たよ。頭の上に刺さっている旗を落とさないようにしてたねぇ」
フェイトとアルフも思い出してきたようだ。
「それでわかったよ。オーナーとリンディさんの関係……」
良太郎の一言に全員が視線を向けてきた。
「あの二人はね、チャーハン対決でのライバルだと思うよ」
良太郎の告白に四人の目が点になった。
言った良太郎でさえ、どこか複雑な表情をしていたくらいだ。
「マジなの?良太郎君」
エイミィは確認するかのように訊ねるが、良太郎は首を縦に振るだけだ。
「冗談ではないよな?」
「冗談じゃないよ」
クロノの言葉を良太郎は否定するだけだ。
エイミィとクロノはどこかショックを受けていた。
「何か二人ともショック受けてるみたいだよ。良太郎」
「あの二人はフェイトちゃんやアルフさんより、リンディさんと付き合いが長いから仕方がないんじゃない?」
良太郎としてもどうしたらいいかわからなかった。
立ち直るのを本人任せにして、良太郎は壁にかかっている時計を見てからフェイトに言う。
「それよりも、そろそろ学校でしょ?」
「あ!そうだった。じゃあ、良太郎、アルフ。行ってくるね」
フェイトはカバンを持ってそそくさと出て行った。
「「行ってらっしゃーい」」
良太郎とアルフはフェイトの背中を見送った。
リンディが良太郎にケータロスを返したのはそれから五分後の事だった。
*
午前から午後に変わろうとしている海鳴の空。
聖祥学園では四時間目となっており、体育だった。
男女共に体操着に着替えて外に出て、ドッジボールをしていた。
クラスの人数を半分にして、AチームとBチームに分かれていた。
アリサとすずかがAチームでフェイトとなのははBチームとなっていた。
ボールはAチーム側となって、リーダーであるアリサが左腕をぐるぐる回してから、大きく振りかぶって右手にあるボールを投げた。
Bチーム側のコートの一人に当たった。
てんてんと転がるボールをフェイトは手に取って、振りかぶる。
(アリサやすずかを狙うには障害が多い。なら!)
フェイトは壁役となっている男女二組に狙いを定めて崩す事にした。
壁役に当たって、外野へと出ていく。
「フェイトちゃん、すごい!」
運動能力が決して高くないなのはにとってフェイトのプレーは魅了するには十分だった。
「やるわね。フェイト」
「わたし達が勝つには一番の障害になるね」
Aチームのアリサとすずかはフェイトのプレーに分析し、一番の強敵と認定した。
ゲームはそれからも続く。
AチームもBチームも内野の人数が減りつつあった。
壁役となってくれる面々も外野になっている。
「えい!」
フェイトはボールを手にして、アリサに狙いをつける。
「きゃあ!」
アリサの頭部に当たって、すずかが受けようとしたが失敗となってアウトになった。
フェイトは小さく右手でガッツポーズを取る。
「アリサちゃんの敵はとるからね!」
すずかがボールを手にして、Bチームの内野の中で一番のお荷物となるなのはに狙いをつけた。
「ふえええぇ!!」
なのはは悲鳴を上げて、縮こまった姿勢を取ってしまう。とてもではないがボールをキャッチする事はできない。
すずかが投げたボールはなのはに当たり、そのままボールは宙に浮いている。
地面にボールがつけばアウトとなる。
「させない!」
フェイトは全力で宙に浮いているボールを追いかける。
(角度と速度と風向き、この軌道ならジャンプで何とかなるはず!)
フェイトは速度を殺さぬまま、タイミングよく膝を曲げて跳躍した。
その場にいる誰もがフェイトのジャンプに眼を奪われていた。
ボールをキャッチする。
(狙いはBチームのエース、すずか!)
「ショット!」
フェイトは宙に浮き、ゆっくりと下がっていく中でボールをすずかに向けて投げた。
ボールは照準の狂いなく、すずかへと向かっていく。
「うそ……」
外野にいるアリサは眼を大きく開き、口をぽかんと開けていた。
「さすがフェイトちゃん、わたしだって!」
すずかは怯むことなく迎え撃つようだ。
後方に少しだけ下がりながら、ジャンプする。
キャッチしてから、手にしたボールを掴んだ右腕を後ろ回転させて勢いをつける。
「えいっ!」
すずかの放ったボールはそのままフェイトに向かっていく。
「え?」
フェイトもまさかカウンターで返してくるとは予想もしなかったのだろう。思わず間抜けな声を上げてしまう。
ボールはそのままフェイトに当たった。
「あう!」
「フェイトちゃん!」
「フェイト!」
なのは、アリサ、すずかが地面に落ちて、眼を回しているフェイトに歩み寄る。
「ご、ごめんフェイトちゃん……。つい……」
「だ、大丈夫。大丈夫」
すずかが謝罪し、フェイトは不安にさせないように精一杯強がっていた。
結果としてAチームが勝利となった。
「今度は一対一でも負けないよ!フェイト!」
「えーっと、お手柔らかに」
アリサはフェイトに次の試合に向けての宣戦布告をしてきたが、フェイトは苦笑いを浮かべるしかなかった。
聞いていたなのはとすずかも苦笑いを浮かべるしかなかった。
昼休みとなり、仲良し四人組は屋上でお弁当を食べていた。
しばらくは昨日の海鳴スパラクーアの事やリュウタロスが参加したサッカーの試合の事や、昨日見たテレビのことなど色々と談話して盛り上がっていた。
盛り上がった中で食べる事に少し集中していた中で、アリサが口を開いた。
「ねぇフェイト」
「なに?アリサ」
フェイトは右手に握っているフォークの手を止めて、アリサに顔を向ける。
「実はさ、わたし気になることがあるんだけど、聞いていい?」
「なにを?」
「どうしたの?アリサちゃん」
「ちょっと怖いよ。アリサちゃん」
フェイトに何かを訊ねようとするアリサを見て、怪訝な表情をするなのはとアリサの雰囲気に呑まれそうになっているすずか。
「単刀直入に聞くけど、良太郎さんってフェイトにとって何?」
「え?わたしにとっての良太郎?」
フェイトは思わず聞き返した。
「そ。一週間、ずっと気になってたんだけどアンタって良太郎さんの話をする時ってすごく嬉しそうな顔してるじゃない?それに、わたしとすずかが初めて良太郎さんと会った時に会話してた時も、わたし達とは何か違う感じがしていたのよね」
「そ、そうかな……」
フェイトは自分の恥部が指摘されたような感じがしてどこか居心地はよくない。
「で、どうなの?」
「え、ええと……。わたしにとって良太郎は……」
フェイトは自分にとって野上良太郎は何なのかを考える。
別世界から来た人。
最も頼れる存在で、優しい時もあれば厳しい時もある人。
自分が持つ常識を簡単に壊してくれる人。
一緒にいると、とても安らぎを与えてくれる人。
可能ならずっと一緒にいたい人。
(え?)
どくんどくんとフェイトの心臓が高鳴る。
途端に身体中の温度が上昇するような感じがした。
思わずフェイトは両手で頬を触ってしまう。
「なるほどね。フェイトのその態度を見て、わたし確信したわ!」
アリサは名探偵のように頷いてギラリと目を光らせる。
「な、なにが?アリサ……」
フェイトはアリサの迫力に呑まれつつある。
なのはとすずかは完全に呑まれているため、一言も発せずにいる。
ちなみに二人とも、アリサの言葉を待ち望んでいたりする。
「恋よ!フェイト。アンタは良太郎さんに恋してるのよ!」
「「恋ぃ!?」」
なのはとすずかは思わず大きな声を上げてしまう。
自分と同年代の人間が、しかも友達が知らない間に異性に心奪われていたことに驚いてたのだろう。
「なのは。アンタ、わたし達より良太郎さんやフェイトと付き合いがあるのに気付かなかったの?」
「なのはちゃん?」
なのはにとっては衝撃的な出来事なのだろう。思考回路が吹っ飛んで、目が点となって口をぽかんと開けていた。
もちろん、アリサとすずかの声も聞こえていない。
「しっかりしなさい。なのは!」
アリサはそう言いながら、なのはの両頬を引っ張っている。
「いひゃいひょ。あひぃひゃひゃん(痛いよ。アリサちゃん)」
「よし!正気に戻ったわね」
「アリサちゃん。強引すぎるよ……」
現実から意識を離したなのはをもう一度引き戻させるアリサの方法はかなり強引ですずかは、なのはに同情した。
「恋。特定の異性に強くひかれること。また、切ないまでに深く思いを寄せること……」
フェイトはブツブツと言っていた。
「ああもう!アンタもなの!?」
アリサは先程と同じ方法でフェイトも現実へと意識を強引に戻した。
「ひゃひぃひゅひゅひょ?ひゃひぃひゃ(何するの?アリサ)」
「よし!これで話を進めることはできるわね。なのは。アンタ、わたし達より良太郎さんやフェイトの付き合いが長いのに気付かなかったの?」
「う、うん……」
なのはは引っ張れた頬を擦りながら答えた。
「まぁ、なのはじゃしょうがないけど……」
「何気にひどい事言ってるよ。アリサちゃん」
「気にしちゃ駄目よ」
ツッコミを入れるすずかに、アリサはしれっと返す。
「あの、アリサ」
「何かしら?フェイト」
「ど、どうして……その、わたしが良太郎に恋してるって言えるの?」
フェイトの推理ドラマで言うなら「どうして、わたしが犯人だと言い切れるのかしら?」的な一言はアリサは予想の範囲内らしく動じる様子はない。
むしろ、「待ってたわ。このシチュエーション」といわんばかりの表情をしていた。
「恋してないってなら、アンタ即答したんじゃないかしら?でも、アンタどう答えたらいいか悩んだじゃない。それって良太郎さんを強く意識してるって事でしょ?」
「うっ……、そう言われると……」
アリサの尤もな説にフェイトは言い返せない。心を見透かされたような感じがして、反撃の言葉が出なくなってしまったのだ。
「フェイト。言っておくけど証拠はないわよ」
これが殺人事件なら犯人側はアリサの推論に対して、体のいい言い訳を作って逃げおおせる事が可能だろう。
だが、これは殺人事件ではない。アリサの推論はフェイトにとっては十分すぎるほどの効果を持っている。
「……初めてなんだ」
フェイトはぽつりと言った。
興奮のあまりに立っていたアリサも座り、二人のやり取りを見ていたなのはとすずかもフェイトの言葉を洩らさないように、耳を傾けていた。
「良太郎のことを考えると、凄くドキドキするんだ。良太郎と話をしたり、遊んだりしている時って凄く幸せだなって思っちゃうんだ。いつまでも続けばいいのにって思うときもあるんだよ」
フェイトの言葉を三人は凄く真面目に聞いている。
「でも、良太郎が急にいなくなったらって思うと、胸が締め付けられて苦しくなるんだ。寂しくて不安で怖くて、何か変になっちゃいそうになるんだよ……」
語るフェイトの横顔に三人は魅了されていた。
「アリサ」
「な、なに?フェイト」
この場の空気を支配しているのは間違いなくフェイトだ。アリサは完全にその空気に呑まれていた。
「これって恋、なのかな……」
そこにいる誰もがその言葉に即答する事はできなかった。
何故なら、三人とも『恋』をしたことがないからだ。
フェイトは三人が何も言わない事から肯定と解釈した。
(わたし、良太郎に恋してるんだ……)
自覚した事で自身に起こることを彼女はまだ知らない。
*
翠屋でのアルバイトが終わって、空を見上げると夕方ではあるがデンライナーがまだ来ていないので良太郎はハラオウン家へと戻る事にしていた。
ケータロスが鳴り出した。
ズボンのポケットから取り出す。
「もしもし……」
『良太郎君ですか?私です』
珍しい着信者だ。
「オーナー?どうしたんですか?」
『実は本日の打ち合わせの件ですが、申し訳ありませんが明日の夕方で構いませんでしょうか?』
「それは構いませんけど……」
『そうですか。では明日、デンライナーで迎えに行きますので。あとモモタロス君達にはハナ君経由でで伝わっていますので安心してください』
「わかりました」
良太郎はオーナーの予定変更を了承した。その直後、通話は切れた。
ケータロスをしまいこむと、ハラオウン家へと向かうエレベーターに乗り込んだ。
「ただいま戻りました」
良太郎はドアを開き、靴を脱いでスリッパを履いて入っていく。
「おかえりなさい。良太郎さん」
砂糖とミルクを淹れた緑茶---リンディスペシャル(命名者:良太郎)を飲んでいたリンディが笑顔で迎えてくれた。
「おかえり。良太郎君」
冷蔵庫の中を漁っていたエイミィが顔をこちらに向けていた。
「おかえりー」
アルフはテレビを見ながら返してくれた。
「お、帰ってたのか。良太郎」
アルフの隣で新聞を読んでいたクロノが良太郎に目を向けていた。
良太郎は何かが足りないと感じた。
この時間帯なら、帰ってきているはずだから自分の声がすれば必ずと言っていいほど現れる人物がここにはいない。
「あれ?フェイトちゃんは?」
「帰ってきているのは確かだが……、部屋で宿題でもしてるんじゃないか?」
クロノもフェイトの姿を探すが、リビングにはいない。
「そうなんだ……」
良太郎は納得して、テーブル席に着く。
エイミィがコーヒーを持ってきてくれた。
「ありがとう。エイミィさん」
エイミィの淹れてくれたコーヒーは美味しい。正直、姉の野上愛理に匹敵するレベルだと思っている。
ぱたぱたとスリッパの音が良太郎の耳に入った。
音を立てて入ってきたのはフェイトだった。
良太郎とフェイトの目が合う。
「お、おかえり。良太郎」
フェイトは目が合った瞬間、頬を赤く染めてそそくさとリビングから背を向けた。
「え?」
良太郎はフェイトの今までとは違う行動に目をパチパチとさせていた。
そして、妙に突き刺さる視線を辿ってみると笑みを浮かべているリンディ、エイミィ、アルフだった。
「何で三人とも笑顔なんですか?」
良太郎は何故か笑っている三人に訊ねる。
「え~」
リンディは手で口元を押さえているが、やっぱり笑みを浮かべている。しかも答える気はないようだ。
「ね~」
エイミィも笑みを浮かべている。そして、やっぱり答える気はないらしい。
「アンタも罪な男だねぇ」
アルフも笑みを浮かべていた。そして、何度か良太郎にとっては聞きなれた台詞を言う。
「良太郎、フェイトに何かしたのか?」
「今日の朝のやり取り、見てたでしょ?何もしてないよ」
「学校に行っている間に心境に変化があったのかもしれないな」
良太郎の言うとおり、朝でフェイトは先程のような態度は取らなかった。今までどおりの態度だった。
フェイトに変化があったとしたら、クロノの言うとおり学校に行っている間ということになる。
「一体、何があったんだろ……」
その日、良太郎とフェイトが会話をすることはなかった。
次回予告
第二十三話 「再戦の幕は開かれる」