活動報告にて詳細を書いてありますので、まだの方は宜しくお願い致します。
巻雲を勘違いさせてしまったかもしれない主人公に元帥はちょっぴりねたんでしまう。
変な冗談を言ったところに突っ込みを入れた主人公の言葉を聞いた2人の艦娘によって、最悪の事態に発展しそうになるのだが……
指令室から出た俺と元帥は、似た者同士のように天井を見上げて大きなため息を吐いた。
「いやー、あれで巻雲ちゃんは落ちたと思ったんだけど、まさか先生があの手で来るとは夢にも思わなかったよー」
「えっ、何がですか?」
いきなり喋り出した元帥だけれど、何を言っているのか俺にはさっぱり分からない。
あの手というのは、いったい何を指すのだろう。
「先生も巻雲ちゃんを落としにかかったんでしょ? あのタイミングでやられちゃうと、上手く流れを掴んだと思っていても、ころっと持っていかれちゃうんだよねー」
「あははー」と朗らかに笑っている元帥だが、俺を見つめる目が何となく怖い気がする。
俺としては、あの状況で巻雲を落としにかかった元帥に呆れているだけで、落とそうなどとはひと匙ほども思っていないのだけれど……
「いや、別に俺は巻雲の事を何とも思ってませんけど。それに、なんと言うか……好みじゃないんで」
「ありゃ、そうなの? ダメだよー、より好みなんかしちゃあ」
あんたの方は無節操に手をつけ過ぎなんだよ!
――と、さすがに大きな声を上げられる訳もなく、俺はもう一度大きなため息を吐いた。
「まぁ……とりあえず、今は青葉の所に行くのが先決ですよね」
「そうだねー。さすがにあの本はちょっとやり過ぎだからねー」
そう言う割には、まったく困ってもいなさそうなんだよなぁ……元帥って。
案外、嫌じゃなかったりするのだろうか。
それだと、このまま一緒に行動したら、俺の身が危ない気もするのだが……
「んーっと、先生。何やら変な事を考えてない?」
「えっ、いや、別に何も考えてませんよ」
「そう? なんだか僕の事を見る目がいやらしい気がするんだよねー」
それは元帥の気のせいです。
むしろ、そんな目で見られるんじゃないかと心配しているのはこっちなんですけどねっ!
「ん、そっか。それじゃあとりあえず、青葉の所に急ごうよ」
「はい。青葉はたぶん、ドックの方に居ると思います」
「あー、そうだね。真面目に掃除をしているしていると――って先生、なんで知ってるの?」
「つい先ほど、一度会いに行ってたんですよ」
「へぇ……もしかして、先生は青葉ちゃんを落としに?」
「いやいやいや、元帥じゃないんですから……」
「んー、なんだかその言い方に不満はあるんだけど……」
「分かっているなら、もう少し節操を持った方が良いと思いますよ。じゃないと、高雄さんにまた怒られちゃいません?」
「うっ、それは……そうだね。この前のはちょっとキツかったしなー」
「何をされたかは知りませんけど……元帥が居なくなったら大変なんですから」
「おろっ? もしかして先生ったら、僕の事を心配してくれてるの?」
「……まぁ、色々とお世話になってますし」
「んー、そっかー。なるほどねー」
元帥はそう言いながら腕組みをして何度か頷いて――
「それじゃあ今晩辺り、僕の部屋に来ちゃう?」
「今すぐぶっ刺すぞ、この野郎」
やっぱりこの人、その気があるじゃねえかああああっ!
「あははー、冗談冗談。そんなに怒らなくても良いじゃない」
「今の状況において一番言ってはいけない冗談でしょうがっ! こんな所を他の誰かに聞かれた……ら……」
俺はそう言いながら、ふと元帥の後ろから向けられる視線に気づいて身体をずらす。少し先にある曲がり角に、家政婦のように半身を出してこちらを窺うように立っているのは、先ほどまで俺を爆撃していた飛龍と、俺の写真を購入したであろう蒼龍の姿があった。
……もしかして、聞かれちゃったりする……かな……?
「きゃああああっ! 聞いたっ!? 聞いたよね、蒼龍っ!!」
「うんっ、ばっちり聞いたっ! 何だかんだ言っても、先生ったら元帥の事を思いっきり愛しているのねっ!」
「階級が天と地の差の2人が禁じられた愛……なんて素敵なのっ!」
「しかも、今すぐぶっ刺すだなんて……こんな時間から……きゃああああっ!」
何かとんでもない勘違いをなさってらっしゃるんですけどおおおおっ!
違うからっ! 刺す位置も意味合いも全部違うんだからああああっ!
「私、元帥に憧れてましたけど……おふたりの愛の前には敵いそうにないですっ!」
「私も末永く、2人の事を見守っていますっ!」
「ちょっ! 勘違いもそこまでにしてくれないと――」
「こうしちゃいられないっ! みんなにこの事を知らせないとっ!」
「そうよねっ! 早速彩雲を飛ばさなきゃっ!」
「ちょっと待ってえぇぇぇぇっ!」
マジで洒落にならないからっ!
そんな噂が流れた日には、俺はもうこの鎮守府にいられなくなるじゃないかっ!
「あー、うん。ちょっと待ってくれないかな、飛龍、蒼龍」
盛り上がる飛龍と蒼龍に声をかける元帥だが、2人はまったく気づかない様子で、彩雲を発艦させようとしている。
「彩雲、今すぐこの情報をみんなの元にっ!」
「……飛龍、蒼龍」
「しっかり伝えてくださいねっ!」
もう一度呼びかける元帥だが、やはり2人は気づかない。
いやもう無理だって。
完全に我を忘れちゃって、半狂乱状態だし。
「……気をつけぇっ!」
「「ひゃいっ!?」」
元帥の大きな声に驚いた飛龍と蒼龍は、身体を震わせながら直立不動になる。
「2人とも、僕の声が聞こえないのかな?」
にっこりと微笑む元帥の声は、いつもと同じ間延びした感じだったのにも関わらず、有無を言わさないような雰囲気に俺はごくりと唾を飲み込んだ。
※出して欲しい艦娘のリクエスト募集は明日で締め切らさせていただきます。
活動報告にて詳細を書いてありますので、まだの方は宜しくお願い致します。
今回少し短いです……ごめんなさい。
ちょっと更新量のバランスが上手くとれませんが、残り話数はもう少し。
全16話予定でお送りいたします。
余談ですが、今話のタイトルの続きを「コギャルと乳繰り合っていた太郎君」と出てきた人はガッチリ握手できます(ぇ
次回予告
一括した元帥によって動きを止めた蒼龍と飛龍。
そんなふたりに、初めてと言えるくらいの元帥らしさを見せたのであったのたが……
艦娘幼稚園 番外編? ~青葉と俺と写真と絵師と~ その13
もう少し続きます!
乞うご期待っ!
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