しかし、その情報に不審な点を感じた主人公は、青葉を問い詰めようとするのだが……
なんでこんな展開になったのか!
しかしこの行動が、後の主人公に大きな災いとなる……のかもしれない!
「あぁ、そう言えばですね、先生」
青葉との交渉を済ませた俺は、ドックから出る為に扉の鍵を開け様とした時、後ろから声をかけられた。
「ん、他にまだ何かあったかな?」
「いえ、ちょっとしたサービス――と言うか、気になったことがありまして」
「気になったこと?」
「ええ。さっき、先生の写真の注文が急に増えたって話、しましたよね」
「あぁ、うん。結局理由は分からないけど、何か思いつくこととかあったのかな?」
「青葉、いくつか予想できるんですけど、そのうちのひとつにちょっと気になる艦娘が1人、先生の写真を購入したんですよねー」
「……そう言う人にまで、君は写真を売るんだね」
「あー、あはは……。まぁ、断れない理由がありまして……」
「で、その艦娘って?」
「秋雲って言う艦娘です」
そう言った青葉の視線が、ほんの少し俺からそれていく。
……明らかに怪し過ぎる。
つーか、青葉って基本的に嘘をつけない性格なんじゃないだろうか?
「教えてくれてありがとね。だけどさ……」
俺はそう言いながら、青葉の方へと歩み寄った。
「は、はい? ど、どうしたんですか、先生……?」
「んー、なんでかなー。どうして今、視線をそらしたのかなー?」
「えっ、えええっ!? 青葉、し、視線なんかっ、そらしてないですよっ!」
慌てふためく青葉だけれど、今の時点で思いっきり視線そらしてるやんと突っ込みたい。
うーむ、てんぱっちゃうと、結構可愛いんだよなぁ、青葉って。
「そうなの? 今とか全然視線合わしてくれないよ?」
「だ、だって、先生の顔近過ぎですよねっ!」
「えー、近いって言ったら……これくらいだよね」
俺はそう言って、青葉と鼻の先同士が触れる位に近づき、両手を壁に突きつけて逃げられないようにする。
「ひっ、ひゃあぁぁぁぁ……っ」
顔一面を真っ赤にさせた青葉が、俺の方を見ないようにと横向きになって頬を壁に押しつけた。
「もう一度聞くね。どうして視線をそらしたのかな?」
「そ、それは……その……っ」
「ほら、こっち向いて喋んなきゃ……ね」
壁に突きつけていた右手で青葉の顎に触れ、くいっと俺の方へと向かせる。
「……っ!?」
「さぁ、教えてくれるよね。青葉ちゃん」
「あ、ぁ、う……あぁ……っ」
「それとも、教えてくれないのかな?」
「そっ、その、あ、あお、青葉は……っ!」
俺に問い詰められた青葉は、眼をきょろきょろと忙しなく動かした後、ギュッとまぶたを閉じて、ゆっくりと口を開いた。
「は、初めて……なの……で、や、優しく……して……ください……」
「………………」
「あ……あぅ……」
潤んだ瞳をはんぶん開き、耳まで真っ赤に染めた青葉は、身体を小刻みに震わせたまま俺の動きを待っていた。
「………………はい?」
いやいやいやっ! 何を勘違いしちゃってるんだよ青葉はっ!
え、なにこれ、可愛い――とか言い出さないよ俺っ!
いや、正直抱き締めてえっ! ってくらい、可愛く見えてきちゃってるんですけどねっ!
「あー、あの……さ、青葉……さん?」
「……は、はい」
「思いっきり勘違いしちゃってるようなんでアレなんだけど」
「……え?」
「今、俺が聞きたいのは、そう言うことじゃなくてですね」
「……はぁ」
「なんで、目線をそらしたのってことなんですけど……」
「………………」
目が点になった青葉は、じっと俺の方を見つめたまま固まっている。
その気持ち、分からなくもないんだけれどね。
「え、えっと……さっきのって、青葉に告白とか……そういうのじゃ……?」
「あー、ごめん。勘違いさせたなら、本当にごめん」
「あ……あぅ……あぅぅぅ……」
泣き出しそうに再度瞳を潤ませながら、ワナワナと震え出す青葉。
うーん、これは本当に悪いことをしてしまったのかもしれない。
「だ、だって、先生ったら壁ドンしたじゃないですかぁっ! そんなことされたら青葉、告白されたって思っちゃいますよぉっ!」
壁ドンて……少女漫画じゃないんだからさ。
でも勘違いさせたのは本当に悪いと思ってるし、素直に謝っておくことにする。
「そ、そんな簡単に頭を下げないでくださいよっ! 余計に青葉が惨めになっちゃじゃないですかっ!」
「いやしかし……勘違いさせたのは事実だし……」
「じゃ、じゃあ責任取って下さい!」
「……は?」
いきなり何を言い出すのかと、今度は俺が目が点になる。
責任を取れと言われても、一体何をすればいいのだろう。
「え、えっと……責任を取れと言われても、何をすれば……?」
「あ、青葉と……そ、その……」
急にもじもじと身体をくねらせた青葉に一抹の不安を覚えつつ、耳を澄ませる。
「い、一緒に……」
「一緒に……?」
心臓が高鳴りを上げ、ごくりと唾を飲み込む音が頭に響く。
「ドックの掃除をして下さい」
真顔でそう言われた時、俺は完璧な芸人の滑り芸を披露することが出来た。
次回予告
結局青葉とドックの掃除をすることになった主人公。
その際に青葉から得た秋雲の情報に驚愕する主人公は、なんとかしなくてはと出かけるのであった。
タイトルから分かっていたよね!
そう、秋雲の影がここにあり。だけど影だけマジですかー!?
艦娘幼稚園 番外編? ~青葉と俺と写真と絵師と~ その5
乞うご期待っ!
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