艦娘幼稚園   作:リュウ@立月己田

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写真をばらまいていた青葉を捕まえた主人公。
上手く逃れようとする青葉の口向上に惑わされないようにしようとするのだが、
あまりにも魅力的な提案に……?

 まだまだ何が起こるか分からない舞鶴鎮守府!
青葉の写真屋さんから始まる恐ろしき状況に、はたして主人公はどうなるのかっ!?


その3「青葉の写真屋さん」

 

「ふえぇ……青葉の耳……だいじょうぶですかぁ……?」

 

「あー、うん。さすがに取れるまで引っ張る気はないから」

 

「そうですか……。それでも痛かったですよぉ……」

 

「悪いとは思うけど、自業自得だからね?」

 

「うぅぅ……」

 

 がっくしと肩を落として膝をついた青葉は、うるうると瞳を潤ませて、俺を見上げながら口を開いた。

 

「じ、実は……青葉も写真のことを調べてここにたどり着いたんですけど……」

 

「いや、明らかに首謀者チックに独り言を言ってたよね」

 

「ぎくっ!」

 

「天龍にも風呂上がりと寝姿の写真を渡したよね」

 

「ぎくぎくっ!」

 

「加賀と蒼龍にさっき通路ですれちがったんだけど、蒼龍から、腹筋のことを言われたんだけど」

 

「ぎくぎくぎくっ!」

 

「その前にも、お宝が……って言ってたし、間違いなく渡してるよね」

 

「ぎぎぎぎぎくぅっ!」

 

「あと、完璧に言い切れるのは……」

 

「(ガタガタブルブル)」

 

「コラ写真を龍田から預かって、配ったのか売ったのか知らないけど、完全にアウトだからね」

 

「ほとんどばれてますぅっ!」

 

 大声で叫び声を上げた青葉は、『ぷしゅうー』と口から煙を上げるように開けたまま、天井を見上げて固まった。

 

「と言うことで、持っている写真及びネガ、その他関係するものを全部出しなさい」

 

「は……はい……」

 

 もはや抵抗する気力もないのか、青葉は俺に言われた通りポケットから写真が入った封筒とカメラのフィルムを取り出して、俺の手の上に置いた。

 

 

 

 

「……封筒分厚くない?」

 

 札束が入っているんじゃないかというような分厚さに、俺は額に汗をかきながら青葉に問う。

 

「あー……そのですね……。初めは売れ行きもそこそこだったんですけど……ここ数日前から急に火がついたように注文が殺到しまして……急遽増やしたんですよ……」

 

「間一髪ってところだったのか……」

 

 これだけの枚数が出回っていたらと思うと、冷や汗を通り越して、極寒の地に裸で放り出された気分だった。

 

 しかし、ここ数日前から火がついたように注文が殺到って……何か原因になるようなことがあったのだろうか。コードEに関しては今日のことだから、たぶん関係はしていないと思うし、そうなると、俺の予想の範囲では無さそうである。

 

「あ、あの……」

 

「ふむ……何故急に注文が殺到したのか……」

 

「このことって……高雄さんとかに言っちゃい……ますよね、やっぱり……」

 

「誰かが噂を流して火がついたとか……いやしかし、それにしては急と言うのが気になるよな……」

 

「うわあぁぁんっ! 青葉、無視されちゃってますぅっ!」

 

「あ、いや、ごめん。聞いてなかった」

 

「存在自体全否定っ!? 青葉ったらいらない子っ!?」

 

「んー、そうだね。このまま写真ばら撒くようなら、解体しちゃうけど?」

 

「ひぃぃぃぃっ! 可愛い顔して言うことが怖すぎですよ先生っ!」

 

 そんな権限は持ってないんだけど、心を鬼にして少々脅かしておいた方が今後の為にもなるだろう。

 

 本来は、優しいお兄さんなんだけどねー。

 

「ま、これに懲りて、あまり変なことはしないようにって約束するなら……」

 

「くすん……分かりました……。青葉の写真屋さんは結構評判良いのでもったいないですけど……」

 

 ぽろぽろと涙をこぼしながらそう言う青葉。

 

 うーん、ちょっと言い過ぎちゃったかもしれない。

 

「提督さん向けの写真もいっぱい仕入れておいたのが無駄になっちゃいました……。ちょっとした小遣い稼ぎになるんですけど……残念です」

 

「……ちょい待ち」

 

「……はい?」

 

「今言った、提督向けって写真って……なに?」

 

「そりゃあもちろん……こういう写真ですけど」

 

 そう言って、青葉は別のポケットから取り出した封筒から1枚の写真を俺に見えるように手に持った。

 

 

 

 

「なっ、なん――だとぉっ!?」

 

 俺の眼に映ったのは、ドックの湯船に浸かりながらリラックスしている愛宕の写真だった。肝心なトコロは湯気で上手いこと見えないようになっているが、これはこれで、素晴らしい1枚である。

 

「ふっふっふー。やっぱり先生も好きモノですかー。いやー、この手の写真は男性の方々に人気がありますからねぇ~。ただ、かなり入手難度が高いので、簡単に販売したりすることは出来ないんですよねぇ~」

 

 にやり……と不敵な笑みを浮かべた青葉は、俺に向かってそう言った。

 

「ごく――り。なるほど、そう言うことね。そうやって、今まで修羅場をくぐって来たって訳か。そりゃあ、色々とやってけたりするもんだよなぁ」

 

「いえいえ、青葉なんてまだまだそんな……。でも、これがあるからこそ、この間の時も解体されるのを免れて、ドックの掃除で勘弁してもらった訳ですし……」

 

 なるほど。

 

 つまり、元帥もお得意様ってことか。

 

「そこで提案です、先生。青葉のことを見逃してくれるなら――そうですね、秘蔵の写真、5枚セットを無料でお譲りしますよ?」

 

「そ、それは魅力的過ぎるけど、こちらからいくつか要求がある」

 

「なんでしょう?」

 

「まず1つ、コラった俺の写真……これは全て破棄すること。2つ目に、幼稚園に通っている子どもたちに、少々過激な写真は渡さないように。それくらいかな」

 

「……なるほど。それくらいなら、青葉も納得しちゃいましょう」

 

「あー、あと1つ良いかな?」

 

「まだ何か?」

 

「俺も、お得意様ってことで、今後も利用できたりする……かな?」

 

「ふっふっふー。交渉成立って事で、お返事しちゃいましょう~」

 

「おっけー。それじゃあ、交渉成立ってことで」

 

 がっちりと青葉と握手を交わし、コラ写真以外の写真とネガを返す。青葉は封筒の中身を確認後、

 

「それじゃあ、秘蔵の5枚――存分にお楽しみください~♪」

 

「うむ。部屋に帰ってから、楽しまさせてもらうとしよう」

 

 もう一度がっちりと握手をし、お互いに頷いた。

 




次回予告

 青葉との交渉が済んだ主人公に、青葉から一つの情報が寄せられる。
その情報に不審な点を感じた主人公は、青葉を問い詰めようとするのだが……

 完全勘違いの大暴走っ!?
今回は、こんな感じがどっさり? あるかもよっ!


艦娘幼稚園 番外編? ~青葉と俺と写真と絵師と~ その4


 乞うご期待っ!


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