なんとか? 時雨を見つけるも、とんでもない方法で隠れていた事を聞かされ驚愕する2人。
更に追い打ちをかける金剛の一言に、主人公は落ち込みまくって……
コードEのコの字も消えちゃった!
さぁ、どうなる艦娘幼稚園っ!
スタッフルームから出た俺は、扉を閉めて金剛の顔を見る。俺のシャツがそんなに嬉しいのか、見上げてくる金剛の笑顔がキラキラと高揚しているように見えた。
これほど嬉しそうにされると、あげた方も嫌な気にはならないんだけど……やっぱりなんだか怖い気がしなくもない。
だが、今更返せとは言えないので、ため息を一つ吐いた俺は、皆の元へ戻ろうと歩き出した。
「それじゃあ先生、戻りながら声をかけるデース!」
「あぁ、そうだな」
俺は頷いて、肺に息を吸い込んだ。
「おーい時雨ー。かくれんぼは俺の負けだから、出てきてくれないかー」
金剛と一緒に通路を歩きながら両手を口元に当てた俺は、大きな声を張り上げて時雨を呼んだ。通路に俺の声が響き渡り、やがて聞こえなくなった瞬間だった。
「あれ、もう終わりなのかな?」
「ふえっ!?」
「うおっ!?」
いきなり後ろから聞こえた声に、俺と金剛は驚いた声を上げながら慌てて振り向くと、きょとんとした表情を浮かべた時雨が通路の真ん中に立っていた。
「どうしたのかな、そんなに驚いた顔をして」
「あ、いや……いきなり声をかけられるとは思わなかったからさ……」
「び、びっくりしたデース……」
「別に脅かすつもりはなかったんだけどね」
少し申し訳なさそうな表情を浮かべた時雨に、俺は気になったことを聞こうと口を開く。
「ところで、時雨はいったいどこに隠れてたんだ? 幼稚園の中にある部屋は一通り調べたし、通路にある隠れれそうなポイントもしっかり調べたから、見逃すことは無いと思ったんだけど……」
「えっとね……僕は、どこにも隠れてなかったよ」
「「えっ?」」
時雨の言葉に驚いた俺と金剛の声が被り、ハモリのように二重奏を奏でた――というのは言い過ぎかもしれないけれど、それくらい同じタイミングで驚きの声を上げた。
「そ、それってどういうことデスか?」
「あ、あぁ、俺も気になるぞ……」
「別に、たいしたことじゃないんだ。鬼になって僕たちを探している先生の後ろを、見つからないように着いていっただけだよ?」
「いやいやいや、それって無茶苦茶難しくないか?」
「アリエマセーン! それは、米軍基地に忍び込む中国拳法家のやることデース!」
いや、その例えもどうかと思うのだが、ここで突っ込みを入れると収拾がつかなくなったりして色々と面倒なことになりそうなので、金剛の言葉はスルーしておこうと思ったのだが、
「うん、その例えはレベルが違うね。あれはすぐ後ろにくっつくようにして同じ動きをしないといけないから、僕と先生の身長差なら間違いなく無理だと思うんだ」
うん、その答え方もおかしいよ。
つまり、身長が同じくらいだったら出来るって言ってるようなものだからさ。
つーか、あれは人間業じゃないしね。
「まさか、時雨がそんな特技を持っているとは……驚きデース……」
そして、時雨を過大評価する金剛。
うん、そろそろ先生も収拾がつかなくなってきそうだよ?
「ま、まぁとりあえず――だ。これで全員揃ったわけだし、みんなが待っている部屋に戻るとしよう」
「そうだね。待っているみんなも暇を持て余してるかもしれないし……」
「それは大丈夫だと思いマース! なんだかんだで、先生がいなくても楽しくやって……ハッ!」
「あー、そうだよねー。俺なんかいなくてもみんな楽しくやってけるよねー」
死んだ魚のような目をしながら、棒読みで答える俺の姿がここにあった。
ひどいよ……金剛……(しくしく)
「いっ、今のはちょっと言い過ぎたデース! 先生がいないと、私たちとっても寂しいデース!」
「うん、それは僕もそう思うよ。だから、落ち込まなくても大丈夫だよ、先生」
小さな2人の子に慰められる大人の図。
それが、今の俺の姿だった。
「そっ、それに――もしダメだったとしても、私が養ってあげマース!」
「うん、金剛ちゃん。それは完全に追い打ちをしていると思うんだ」
「えっ、そうなのデスか?」
「ほら、先生の姿を見てみなよ……」
「ホワイ……ヒエーーッ!?」
金剛の一言で轟沈した俺は、壁に向かって呟きながら床に指で落書きをするように、グリグリと動かしていた。
まさに、落ちぶれたNTって感じである。
あ、もちろん、ニュータイプとは読まないのであしからず。
「あー……金剛の驚く声って、妹っぽかったよねー」
「先生の突っ込みまでやる気が無くなってるね。どうやらしばらくは無理みたいだよ……」
「せ、先生を貶める気は全く無かったのデスが……」
「あははー、龍田は可愛いなぁー」
「しっ、しっかりするデス! 心にもないことを言ってはいけまセーン!」
うん、何気に金剛もひどいよね――と思うけど、突っ込む気力すら沸いてこなかった俺は、人差し指と親指を同時に動かして、芋虫のように壁を這わしていく。
「げ、元気になってくだサーイ! センセーイッ!」
「とりあえず、先生をこのままの状態で引っ張るのは難しそうだから、背中を押していこうよ」
「そ、そうデスね……。テリャーッ、デース!」
ぐいぐいと俺の背中を押す2人だが、動く気がない大人を簡単に押し進めれるほどの力は無かったようだった。
「うーん……や、やっぱり僕たちだけじゃ……きついかな……」
「お、応援を呼ぶデース!」
「そうだね。僕がみんなのところに行って、呼んでくるよ」
「お願いシマース!」
金剛の声を聞いて頷いた時雨は、みんなが待つ部屋に向かって走り出した。
「先生っ! 正気になるデース!」
「うんー、そだねー。おっぱいだけが全てじゃないよねー」
「こ、これは重傷デースッ!」
やっぱりそういう風に見られていたんだなぁと心の片隅で突っ込みながらも、精神が憔悴しきった俺は身動き出来ずに、ごろんと床に寝そべった。
「し、しっかりしてクダサーイッ!」
金剛の叫ぶ声が幼稚園内に響き渡り、暫くすると遠くから足音が聞こえてきた。
その後、時雨が呼んできた子どもたちに何度も励まされ、立ち直ることができたのは、それから30分くらいたった後だった。
ちなみに、そのとき一番効いたのは、この言葉だった。
「あら~、先生ったら、愛宕先生から預かった懐中電灯で何をしてたのかしらね~?」
なにを知ってるんだよ龍田あぁぁぁっ!
と、大声で叫んだ俺は、逃げる龍田を追いかけながら幼稚園内を走り回った。
べ、別に何もしてない……よ?
次回予告
龍田を追いかけるので疲れ切った主人公。
そんなところに、時雨が思い出した事を聞かせてくれる。
やっと出てきたコードE!
しかし、なんだか雰囲気が違わない……?
ちょっぴりシリアスな感じでお届けしますっ!
艦娘幼稚園 ~かくれんぼ(コードE)大作戦!?~ その6
乞うご期待っ!
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