……と、冗談じゃなくて本当です。
でもあくまでお手柔らかにということなので控えめですが。
とりあえず用事をちゃっちゃと済ませてしまいましょうねー。
ぱんぱかぱーん♪
あれ、何か違うですかー?
気のせいです気のせい。些細なことを気にしていたら、この先やっていけませんよー?
これから何が始まるのか……、お分かりですよね?
そう――。明石のオシオキタイムですよー。
あっ、でもでも大丈夫。依頼者である愛宕からも言われている通り、いつものオシオキは自重です。
残念ではありますけど、これも仕事なんですよねー。本当に社畜って大変ですー。
……えっ? 私は自営業と変わらないから社畜じゃないですかー?
細かいことは気にしないでって言ったのにー。
このフラストレーションはいつも通り作者を刺すことにすれば良いですけど……
「あ、あのー……」
やっぱりそれだけじゃあ物足りないですから、もう少し何か……
「えーっと……、どなたにお話しているんでしょうか……?」
………………。
「ひっ!? ご、ごめんなさいっ!」
無言の眼力の勝利ー。
――とまぁ、グチグチ五月蠅い明石を黙らせたんですが、状況説明はこのくらいにしてとっとと始めちゃいましょうかねー。
あっ、ちなみにここは例の如く地下室で、明石は簡易ベッドの上に寝転がっています。もちろん両手両足は拘束済みですけどねー。
佐世保鎮守府にもちゃんとこういった施設はあるんですねー。憲兵=サンありがとー。
「それじゃあ、まずは尋問から始めましょうかー」
「じ、尋問っ!?」
明石はその言葉を聞いて身体を大きく震わせましたが、拘束された状態で寝ているので自由には動けません。
まぁ、動けたとしても逃げられませんけど、ことを潤滑に進めるにはこれが一番ですよねー。
「それでは1つ目ですー。
明石は佐世保鎮守府内において、艦娘にあるまじき行動をしていたことを認めますかー?」
「え、ええっと、それってどういう……」
焦りながらも白けた表情で問いかけてくる明石に、私ニッコリと笑いながら口を開きます。
「ストレス発散をしたいがために、整体と称して激痛ツボを押しまくっていませんでしたかー?」
「ぎくぅっ!」
「ちっちゃい駆逐艦たちに無理矢理着せ替えをしていませんでしたかー?」
「さ、最近はやってないよっ!」
「つまり昔はやっていたってことですよねー?」
「ぎくぎくぅっ!」
「更にその動画をネット上に公開しようとしていませんでしたかー?」
「そ、それはしてないよっ!」
大きな声で反論する明石ですけど、額に浮かんでいる汗の量が半端じゃないですよねー。
「なるほど……。ネット上には公開していないけど、近いことはやっているみたいですねぇ」
私はそう言ってから、明石の机の引き出しに入っていた数枚のディスクを取り出します。
「……あっ!」
「おやおやー、どうしたんですかねー?」
「そ、そそそっ、それは……っ!」
「中身はどうやら動画データの用ですけど……、身に覚えはありますよねー?」
「ぎくぎくぎくぅっ!」
もちろん中身はチェック済み。ちっちゃい駆逐艦たちが半泣きになりながらも着替えを明石に強要されているシーンが収められていました。
しかも目の部分だけ黒線が入っているとか、完全に狙っていますよねー。
おそらくは裏のルートで流そうとしていた……と考えられますので、これはきっちりと回収させていただきます。
もちろん帰ってから存分に使わせて……げふんげふん。
今のは言葉のアヤです。気にしないよーに宜しくですよー。
「他にも色々あるみたいですけど、何より問題だったのは……先生が被害を被った件ですねー」
「え……、せ、先生って……幼稚園の……?」
「ええ、そうですよー。
先生が不能になったおかげで、私に仕事が舞い込んできたんですからー」
「そ、それじゃあヤン鯨……じゃなくて、大鯨さんが私にオシオキをするように依頼したのって先生なのっ!?」
「残念ですが違いますねー」
もちろん詳しいことを言うつもりはありませんが、依頼者である愛宕のことを考えて発言した方が良いみたいです。
そんなことを考えながらも、明石誘拐事件を捏造して先生を犯人扱いしちゃいましたけどねー。
まぁそこはもう1つの依頼であるお灸をすえるという意味に当てはまりますし、多分大丈夫でしょう。
「な、ならいったい誰が……」
「そこまで答える筋合いはないですけど、そんなことよりも自分の心配をしなくても良いんでしょうかー?」
「……ひぃっ!」
私の会心スマイルをしつつ、背中から湧き上がる黒いオーラをマックスで。
これで震えない相手はそうはいませんが、そんなに怖いんですかねぇ……?
鏡で見ると、とーっても可愛いのにー。
あっ、こんなことを言っちゃっていますけど、決してナルシストじゃないのであしからずですよー。
「ではそろそろ、オシオキを開始しちゃいましょうかー」
「や、やだやだっ! お願いだから許して下さいっ!」
「それは無理ですよー。
どう考えても悪いことをしまくっていましたし、私も依頼を受けている以上見逃すことはできません。
それに、溜まりまくったフラストレーションを解消するためにも、生贄になってもらわないとー」
「最後の勝手な理由ですよねっ!?
どう考えても理不尽ですよねっ!?」
「でも最初のだけでもオシオキ確定ですよー?」
「うぐぅっ!」
どこぞの鯛焼き大好き少女ですか……と心の中で突っ込みながら、ベッドの上に居る明石の身体を無理矢理うつ伏せにしちゃいます。
「な、なななっ、何をするつもりなんですかーーーっ!?」
「さっきも言った通り、オシオキですよー?」
「どう考えても嫌な予感しかしないんですけど、私はどちらかと言えばタチ……ふぎゃあっ!?」」
「いったい何を考えているのやらって感じですけど、私が今やろうとしているのはツボ押しですよー?」
「そ、それはこの痛みで……ひぎぃっ!」
まずは背中にある沢山のツボの中から、とびっきり痛いところを押しまくります。
「痛い痛い痛いっ!」
「そりゃあ痛くなかったらオシオキじゃないですよねー」
「半端じゃないほど痛いからっ! どう考えても耐えられないからぁっ!」
叫びまくる明石ですが、知ったこっちゃないですねー。
先生を庇うつもりはありませんが、不能になったツボの流れはおおよそ予想がつきますし、同じくらい痛かったと思うんですよねー。
まぁこの辺りは依頼主である愛宕の怒りってことで、暫くは我慢してもらわないといけませんねー。
「きぃぃぃやぁぁぁっ!」
「うーん。良い声で鳴きますねぇー」
背中から坐骨神経まで下り、更には膝裏の疲労を狙ってツボ押しです。
ぶっちゃけて終わった後は揉み返しがきますけど、その後は楽になるんだから結果オーライじゃないですかねー。
もちろんそれ相当の痛みは伴いますけど、そこはまぁオシオキなんで。
むしろ楽になる方がおまけですからねー。
「それじゃあそろそろ本番に行きましょうかー」
「ひぎぃ……って、まだ本番じゃなかったのっ!?」
「今のは普通の指圧による疲労抜きコースですよー?」
「め、滅茶苦茶痛かったんですけどっ! あんなの今まで感じたことなかったんですけどっ!?」
「それじゃあ今から押すツボだと、発狂しちゃうかもしれませんねー」
「いやあぁぁぁっ! 止めてぇぇぇぇぇっ!」
言葉だけ聞くとエロいですねー。
明石の口から、ハァハァと息が上がりまくりですし。
私のテンションも、ちょっとずつ上がってきましたよー。
「ではでは続けて足裏いきますよー」
「お願いぃぃぃ……ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「まずは踵にある坐骨神経ー。更に尾骨と膝&お尻を両側サンドですねー」
「踵が痛いぃぃぃぃぃっ!」
「ふむふむー。それじゃあこっちの小腸はどうですー?」
「ぴぎゃあぁぁぁぁぁっ!」
うーん。本当に良い声ですねー。
あまりに良過ぎるので、ついつい力が入っちゃいますよー。
「グリグリするのが痛あぁぁぁいぃぃぃっ!」
「オシオキですからねぇ」
「お願いだから止めてぇぇぇっ!」
「オシオキですからねぇ」
「何でもするから助けてぇぇぇっ!」
「今なんでもするって……ごほん。オシオキですからねぇ」
「ふぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」
思わず乗りそうになってしまったのを誤魔化すように、明石の両足の人差し指と中指の第一関節裏をゴリゴリと押しちゃいました。
ここは主に目のツボなんですけど、半端じゃないほど痛がっているって……あれ?
「ぶくぶくぶく……」
「ありゃー。泡を吹いちゃっていますねぇ……」
この程度の痛みなんかで気絶するなんて、根性がないですよねー。
仕方ないので、明石の両肩を担いで上半身を逸らせます。
「まだまだ許しはしないですけどねー……っと」
ゴキュッ
「ぴにゃあぁぁぁぁぁっ!?」
「はいはい、気付け完了ですねー。
それじゃあ続けて前側を逝っちゃいましょうかー」
「漢字が既にヤバいんですけどっ!?」
「突っ込みを入れられるようなら大丈夫ですよねー」
「大丈夫じゃないですぅぅぅっ!」
「それじゃあ景気つけに胸部中央のアバラ部分を……」
「それ殺し屋でも泣き叫ぶレベルの場所じゃ……~~~~~~~っ!」
「はいはいー。ぐりぐりー、ぐりぐりー」
「ぎぃ…………っっっっっ!」
「おやおやー。声も出ませんかー?」
「あが……ぎ……ぃぃぃ……っ!」
「それじゃあこっちはどうですかねー?」
「も、もう止め……てぇ……っ!」
うふふー。良いですよ良いですよー。
私ったら興奮しまくってきちゃいましたー。
私が満足するまでの間、明石には頑張ってもらうということで。
もちろん後遺症は残らない程度に。
精神的にはまいっちゃうかもしれませんけど、その辺りは上手く調整していきます。
それじゃあ思いつく限りのツボを、どんどんやっちゃいましょうかねー。
あははははー♪
次回予告
明石のオシオキを終えた後は、まだやらなければいけないことが残っています。
……ということで、やってきましたとある部屋。
顔見知りである者に会い、次の手へと移ることに……。
艦娘幼稚園 第二部 スピンオフシリーズ
~ヤン鯨編~ その7「答え:実はヤン鯨(前章15話のサブタイトル)」
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