艦娘幼稚園   作:リュウ@立月己田

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 今回からスピンオフが発動っ!

 遂にメインを張っちゃいますっ!
呼ばれて飛び出てぱんぱかぱーん!
誰がメインか分かるよねっ!?

 恐怖の艦娘、見参しますっ!



 あっ、余談ですけど次のイベント参加が決まりました。
ある程度まとまり次第追って連絡しますので宜しくお願い致します。


スピンオフ ~ヤン鯨編~(明石誘拐事件解明編)
その1「初っ端から黒幕発覚」


 はいはーい。今回はこっちにメインでお邪魔しちゃった大鯨ですよー。

 

 えっ? 以前に登場しただけじゃ飽き足らず、今度はメインを張っちゃうなんて厚かましい……ですか?

 

 うーん。そんなことを言う人はサックリ刺したいところなんですが、こちらにも事情ってモノがあるんですよねー。

 

 それに、例の件について詳しく聞きたい人も居られるかもしれませんし……。

 

 まぁ私はどちらでも良いので、ダメな方はスルーして下さればー。

 

 あっ、ちなみにですけど、今回はそこまで酷いことにはならない……と思いますよー?

 

 あくまで予定ではあるんですけどねー。

 

 

 

 ――ということで、私は再び舞鶴鎮守府にやってきちゃいましたー。

 

 ここの秘書艦である高雄からこの間の件で目をつけられちゃったのでもうお呼ばれはないと思っていたんですが、結構早めに声がかかりましたよねー。

 

 でもまぁ、私に仕事を持ってきたのは違う方らしいですし、関係がないからかもしれません。それでも秘書艦の影響はあると思うんですけどねー。

 

 もしかするとやむ負えない事情なんてモノがあったりするのかもしれませんけど、私を呼び出してまでの事情となると興味がわいてきます。

 

 私気になります……って感じでぶらぶらーっと立ち寄って、現在通された部屋で待機中なんですよー。

 

 ふかふかのソファーに座りながらテーブルに置かれたお茶を啜っていますけど、まさか睡眠薬とかが入っている訳じゃないでしょうし……。

 

 もしそうだったら全力で仕返ししますけど、以前にも捕まったことがあるだけに要警戒というところでしょうか。

 

 まぁ、生半可な罠だったら軽々と脱出しちゃいますけどねー。

 

 

 

 コンコン……

 

 

 

 ノックされる音が鳴ってから少しだけ間が空き、ゆっくりと扉が開きました。

 

 そして部屋に入ってきた方は……

 

「お待たせしてすみません~。ちょっと幼稚園が立て込んでいまして~」

 

 ゆるふわな口調で喋りながら長い金色の髪をふわりと舞わせ、私の前にあるソファーに座ってニッコリと笑う。

 

 私よりも大きな胸部装甲をたゆたゆと揺らし、青い制服に身を包んだ彼女は高雄秘書艦と同型の艦娘――

 

 

 

 愛宕だったんですよねー。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「それじゃあ早速ですけど、お話を始めさせてもらっても宜しいでしょうか~?」

 

「ええ、もちろんですよー。

 その為に舞鶴にやってきたんですから、変な気遣い等は無用ですー」

 

 私はそう言ってからお茶を一飲み。さっきも口をつけましたけど、結構良いのを使っている感じです。毒や変な薬も入っていなさそうなので、気にせずグビグビ飲んじゃいますよー。

 

 すると愛宕は私を見ながらニッコリと笑って、仕事の話を喋り始めました。

 

「今回大鯨さんにお願いしたいのは、佐世保に居る明石という艦娘を少しばかり懲らしめて欲しいんですよ~」

 

「懲らしめる……ですか?」

 

「はい、そうです。

 大鯨さんが『いつも』行っている仕事とは少し違っちゃいますけど、大丈夫でしょうか~?」

 

「ふむ……。

 まぁ、内容にもよりますけどねー」

 

 私は言葉を濁らせつつ考え込む仕草をして様子を伺いましたが、愛宕は全く顔色を変えずに話を続けました。

 

「明石は佐世保の提督筋に信頼されているらしく、ある程度の権力を持っているのか色々とやりたい放題をしているようなんです。

 その結果、舞鶴の幼稚園から派遣した先生が明石の手にかかり、少々厄介なことになってしまったんですよ~」

 

「先生というと……普通より少し背が高めで、前髪で目が隠れている男性です?」

 

「んー、確かにそんな感じですけど、それだけでは何とも……」

 

「カッターシャツにスラックスの服装でエプロンをつけていて、頼りがいがなさそうな雰囲気を醸し出しているのにもかかわらず放ってはおけないオーラがムンムンとしている男性ですよね?」

 

「間違いなく先生ですねぇ~」

 

 両手をパンと叩いた愛宕はコクコクと頭を縦に振って答えました。

 

 なるほどなるほど。

 

 この前にここに来たときに食堂で出会った、あの男性で間違いないですねぇ。

 

 結構話があったりしたんで覚えていましたけど、今は佐世保に居るんですかー。

 

「……あれ、どうしてその先生が佐世保に派遣されたんですか?

 もしかして何か問題でも起こしちゃったとか……」

 

 もしそうならオシオキは確定です。前に会ったときに怪しい匂いがしていたんですけど、やっぱり見逃すんじゃなかったですかねー。

 

「いえいえ、そういう訳じゃないんですよ~。

 実は佐世保鎮守府にも幼稚園ができたので、経験がある先生を是非貸して欲しいと頼まれたんですよね~」

 

「なるほど……。そういうことでしたかー」

 

 うーむ。残念ですねぇ。

 

 折角のオシオキの機会がなくなっちゃいました。

 

 あの男性なら、さぞ良い声で鳴いてくれると思ったんですけどねぇ。

 

「……それで、その先生が明石によって厄介なことに巻き込まれた……と?」

 

「ええ、そうなんです。

 うちの鎮守府に所属する艦娘が得てきた情報によると、明石のツボ押しによってあっちの方が不能になっちゃったようで……」

 

「そりゃまた難儀なことですねぇ……」

 

 私にとっては問題を起こす確率が減っただけマシだと思うんですが、当の本人はたまったもんじゃないでしょう。

 

 使えなくなったらぶった切れば良いと思いますし、別の道で生きていけば問題ナッシング。あの顔つきですから、意外に良い線いっちゃうかもしれません。

 

 線は細めですし、バランスも整っていますし……。

 

 ここをこうして、アイラインを引いて、リップも……ふむふむ……。

 

 ………………。

 

 あれ、結構好みかも……?

 

「なるほど。つまり先生のアレをスッパリ切って、性転換してくれば良いんですねー?」

 

「……どうしてそうなっちゃったんでしょうか~?」

 

 さすがの愛宕も笑みを崩して焦った表情を浮かべていましたが、やる気になった私を止められるとは……

 

「そんなことをしたら、地の果てまで追いかけて抹殺しちゃいますよ~?」

 

「……あらら、あなたの口からそんな言葉が出てくるとは思っていなかったですねぇ」

 

「これでも元は第一線を張っていましたからね~」

 

 ニッコリと笑いながらそう言った愛宕の背には、虎のようなオーラが見えた気がしました。

 

 ほほう……。これはまた、面白いじゃないですかー。

 

 あまり正面からぶつかるのは得意じゃないですけど、久しぶりに良いかもしれませんねぇー。

 

「ですが、私の目的は今この場で大鯨さんと戦うことじゃありません。

 あくまでも明石を懲らしめて欲しいということと、もう1つ……」

 

「先生も同じように懲らしめろ……でしょうかー?」

 

 愛宕の言葉を遮るように私が被せると、一瞬だけ眼を見開いた後に口元を少しだけ吊り上げました。

 

「懲らしめろというよりかは、お灸をすえる……が、良いかもしれませんね~」

 

「なるほどー。つまりそれは、直接的ではない方が良いと?」

 

「既に不能というお仕置きを受けていますから、それ以上は可哀想ですし~」

 

「甘いとは思いますけど……、まぁ良いでしょうかねー」

 

 私はそう言ってお茶をグビリと飲み干して、ソファーから立ち上がりました。

 

「了解しました。

 佐世保に居る明石を懲らしめること。

 先生にお灸をすえること。

 その2点をお受けいたしましょうー」

 

「ついでにもう1つ宜しいですか~?」

 

「なんでしょう?」

 

「先生の不能について、治療方法があれば明石に伝えて下さると嬉しいですね~」

 

「……ふむー。それも懲らしめるという一環に値するかもしれませんし、構わないですよー」

 

「ありがとうございます~。

 あっ、それとこれは別件なんですけど……」

 

 そう言った愛宕は、大きな胸部装甲の間から見覚えのある四角いモノを取り出しました。

 

 これは……、青葉に貸した私の本じゃないですか。

 

 いったいどうして愛宕がこれを……?

 

「大鯨さんから借りたと青葉から聞いていたんですが、あの子ではこの本を読むことができなかったので私が預かっていたんですよ~」

 

「ああ、なるほど。そういうことでしたかー」

 

 確かにこの本は特殊な言語で書いてありますけど、愛宕が読めたとは思わなかったですねぇ……。

 

 ちなみに、それじゃあどうして青葉に渡したのかって突っ込みは不要です。読める、読めないは考慮していなかっただけですからねー。

 

「それと、佐世保には青葉が潜伏していますので色々と役に立つはずですよ~」

 

「ふむふむ、了解です。

 あっちに着いたら青葉に連絡を取れば良いってことですね」

 

「ええ、それで青葉の携帯番号ですが……」

 

「それは大丈夫ですよー。

 既に入手済みですからー」

 

 私は愛宕に向かって携帯電話を見せながら言うと、驚くどころか笑みを浮かべて口を開けました。

 

「さすがは大鯨さん。仕事が早いですね~」

 

 うむむ。どうにもやり難い相手……ですねぇ。

 

 高雄は正面からビシバシとやる感じでしたが、愛宕は色んな方面から攻めてきそうな感じがします。

 

 まぁ、それもどうでも良いことなんですけどねー。

 

 私は受けた仕事をちゃんとこなしつつ、オシオキを楽しむだけですからー。

 

「それじゃあ吉報をお待ち下さいー……と言いたいところですが、1つだけ確認を良いですかー?」

 

「なんでしょうか~?」

 

「明石の懲らしめと先生のお灸……。どちらも私の一存で良いんですよね?」

 

「………………」

 

 私の言葉に愛宕は少しだけ迷うような仕草をしてから、コクリと頭を下げました。

 

「ええ。ただし、後遺症が残らないようにお願い致しますね~」

 

「了解しましたー。

 それじゃあ、大鯨出発しまーす」

 

「抜錨じゃないんですね~」

 

 愛宕のゆるふわな突っ込みは置いといて、私は佐世保へと向かいます。

 

 頭の中で、色んなオシオキの方法を考えながら……。

 




次回予告

 とんでもない艦娘が抜錨してしまった……。
いやまぁ、おそらくは予想できていたことなんですが。

 ということで、佐世保へ向かったヤン鯨ちゃん……と思いきや、まずは根回しを行います?
まさかの対面があんな所とは……恐るべしっ!?


 艦娘幼稚園 第二部 スピンオフシリーズ
 ~ヤン鯨編~ その2「個室での交渉」


 乞うご期待!

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