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ビスマルクの前から逃走した主人公。
やっと安息の時間は訪れる……と、思いきや、またもや惨事が舞い降りる?
更には追加で、やっぱりこうなっちゃうって感じです。
もうね……、ラノベの主人公ってレベルじゃないんスよ……。
「全然問題ないよー」
「ふぅ……、そうですか。良かったです」
医務室に居た女性医師にことを説明して検査を受け、レーベたちが言っていたような心配がないと分かった俺は、大きくため息を吐きながら肩の力を抜いた。
「しかし、プリンツちゃんの踏みつけを食らって鼻血程度とはねー。正直に言って、先生は人間じゃないと思うんだけど」
「いやいや、いくらなんでもそれはないですって。それに、プリンツも手加減してくれたんでしょう」
「まぁ、そうだろうね。小さいとはいえ本気で踏まれていたら、大型ダンプに轢かれたくらいの衝撃だろうからさー」
「……そ、そうなんですか?」
「それはもう、頭蓋骨は粉砕確定。運が悪けりゃ頭部全体が木端微塵って感じだろうさー。あっはっはー」
医師は軽く笑いながら俺の肩をパシパシと叩いてから、カルテに向かってボールペンを走らせた。
いやいや、そうとは思っていたけれど、やっぱり洒落になってないですって。
想像するだけで吐き気がしちゃうんで、考えないようにしておこう。
「しかし、どうしてまた先生はプリンツちゃんに踏まれちゃったりしたのかな? もしかして、ロリコン的なセクハラでもしちゃったの?」
「そ、そんなことはしませんってばっ!」
「だよねぇー。噂では、ビスマルクの彼氏だって聞いたから……」
「根も葉もない噂に振り回されないで下さいっ!」
「あれれ……、そうなの?」
「そうなんですっ!」
俺はハッキリと言いきってから肩を落とすと、女性医師は呆れたような顔を浮かべながらため息を吐いていた。
「そっかそっかー。それならそれで、良いんだけどねぇー」
「………………はい?」
「いやいや、こっちの話。別に気にしなくて良いよー」
「は、はぁ……」
パタパタと手を横に振った女性医師は、再びカルテに向かってボールペンを走らせる。もしかすると、今の俺の反応を見て病状などのチェックをしていたのだろうか?
そう考えれば、この女性医師は優秀なのかもしれない。ちょっぴり言葉が軽すぎる気がするけれど、フレンドリーなのは別に悪いことではないからね。
そりゃまぁ、鎮守府内という場所柄を考えればそういう訳にもいかないかもしれないが、わざとしているようにも見えないんだよなぁ。
つまり、女性医師の言動は素なんだろう。
むしろ、これで猫を被っていたら本心が滅茶苦茶怖いんだけどさ。
「んーっと、これで良いかな」
言って、女性医師はカルテを机に置いてから俺の方を見る。
「それじゃあ、最終チェックだねー」
姿勢を正して真剣な表情を浮かべた女性医師は、なぜか俺にゆっくりと顔を近づかせながら、視線を絡ませるかのように……って、なんだこれ?
「フフ……、どうしたのかな、先生?」
「え、あ……い、いや……」
気づけば唇が触れてしまいそうな距離になっちゃっているんだけど、身体は全く動いてくれないぞっ!?
なんだこれ……。もしかして、金縛りかっ!?
いくらなんでも有り得なさ過ぎる。寝起きならともかく、今さっきまで普通にしていた俺がこんな状態になるなんて、愛宕=サンを前にした青葉じゃないんだぞっ!?
「へぇ……。意外にも落ち着いているように見えるけど、内心はドッキドキ状態だよねぇ?」
おっしゃる通りです……とは、口に出せる状態じゃない。
つーか、急変しすぎて頭がおっついてないだけなんですけどねっ!
「このまま私が先生を押し倒しちゃったら、どうなっちゃうと思う?」
「そ、そんなこと……」
「しないと……思うのかな?」
「そ、そう思いますけど……。い、いや……、それ以前に、どうしてこんなことを……?」
冷静に喋っているように見えるかもしれないが、心臓は今すぐ破裂して、身体中から血液を噴水のように吹き出しそうな感じになっている。
だがしかし、俺には愛宕という女性が……っ!
「……なるほどね」
俺は目を瞑って「ぱんぱかぱーん」と、言いながら笑っている愛宕の顔を思い浮かべたとき、女性医師が呆れたような声をあげた。
「……え?」
目を開けた先には女性医師の顔はなく、机に向かってカルテにボールペンを走らせている。
……ど、どういうことなんだ?
「先生ってさー。押しにめっぽう弱いよねー」
「は、はぁ……」
どう答えれば良いのか分からないのだが、肯定しても否定しても負けのような気がする。
「つまり、鎮守府内で流行っている噂も、元を正せばそういうことなんじゃないのかな?」
俺の顔を全く見ずに、興味がなさそうな感じで喋る女性医師。
しかしその言葉は的を射ており、俺の胸にグサリと刺さっていた。
「どれだけ私や他の人に噂は嘘だと言ってもさ、本丸を攻略しなきゃ意味がないんだよねー」
「……そ、それだと、別の意味になっちゃわないですか?」
「あれ、そうだっけ?」
「聞き方よっては、俺がビスマルクを落とすことになっちゃうんですけど……」
「それって、嫌なの?」
「い、嫌……では、ないですが……」
本心は愛宕と良い関係になりたい。
だけど俺の心のどこかに、ビスマルクに惹かれている部分があるのかもしれないと思っていたりもする。
多分それが、ハッキリとビスマルクを拒絶できない要因なのだろうが、どっちつかずというのは非常に具合が悪い。
ばれなければ大丈夫とか、そういうのではなく、
一歩踏み間違えば、元帥の二の舞になるのでは……と、思っていたりするのだ。
もちろん、ばれたときに命があるとも思えないけれど。
愛宕はともかく、ビスマルクは確実に俺を調教してしまうだろう。
この間は浮気がどうこうと言っていたが、次は無理だと思うのだ。
つーか、そういう間柄でもないのに……だ。
そしてその後の俺が、どうなるかなんて想像はしたくない。
もしかすると幸せになる可能性もないとはいえないが……、まぁ無理だろう。
「決めるのは先生本人だからねー。私にはそれ以上何も言えないよー」
「そう……ですね。ありがとうござます」
俺は女性医師に向かって頭を下げて礼を言う。
何だかんだといって、俺がやるべきことをちゃんと教えてくれたんだよな……。
身体だけではなく、心まで見る女性医師。
……なんだか変な風に捉えてしまいそうかもしれないが、そういう意味ではないのであしからず。
「もう少ししっかりと考えてから、行動してみますね」
「まぁ、あんまり深く考え過ぎるのもダメだけどねー。
先生もまだ若いんだから、後悔しない程度に色々やってみなよー」
女性医師はそう言って、ニッコリと笑いながら手をパタパタと振っていた。
俺とあんまり歳は違わないと思うんだけど、やけに重みがある気がするんだが……。
さっきの行動とか……、もしかして経験豊富過ぎちゃったりするのだろうか?
………………ごくり。
あっ、いやいや、今のは別に深い意味なんかないからねっ!
ほ、本当だよ……?
――と、いうことで、幼稚園に戻った俺は昼食を取り、午後からの授業をしっかりとこなすことにした。
レーベとマックスを予定通り担当し、ホワイトボードにマーカーを走らせながら勉学を教えていく。基本的に2人とも頭は良く、理解も早くて非常に教えがいがあった。時折祖国の言葉が出たりもするが、それはビスマルクも同じことなので問題ないだろう。
「先生、ちょっと良いかな?」
「ん、どうしたんだ、レーベ?」
「実はここのとこなんだけど……」
そう言って、レーベは手に持った本に書かれている文章を指差した。
ふむ、どうやら漢字の読みが苦手のようだ。
俺は分かり易く読みと意味を説明し、どういうときに使うのかも付け加えておいた。
「なるほどね……。うん、良く分かったよ。ありがとう、先生」
「いやいや、気になったことは聞いてくれれば答えるから、気軽に言ってくれよ」
ニッコリと笑いかけてからレーベの頭を優しく撫でると、一瞬驚くような表情を浮かべるも、嬉しそうに微笑んでいた。
「……ふうん。それってどんなことでも良いの?」
すると、そんな俺たちを見ていたマックスが無表情のまま問い掛けてくる。
「ま、まぁ、俺が分かる範囲でなら……だけど……」
「ふうん……」
マックスは声色を変えずに呟いていたが、なんだか非常にヤバい気がして、思わず後ずさりそうになる。
一瞬だけど、目が光ったような気がするんだけれど……気のせいだよな?
残念ながら予感は見事に的中……と、言わんばかりに、とんでもない質問が飛びこんできた。
「じゃあ……先生に質問。ぶっちゃけた話、ビスマルクのことをどう思っているの?」
「唐突過ぎるにも程があるんですけどっ!?」
「分かる範囲なら構わないでしょう?」
「そうとは言ったけどさぁっ!」
剛速球のど真ん中ストレートを顔面に食らってしまったような気分になった俺は、どう答えて良いものかと考える。しかし、よく考えてみれば、小さな艦娘であるレーベやマックスに恋愛話をするなんて、罰ゲームとしか思えないのだが……。
小さくても色恋沙汰に興味があるのは、どこも同じなんだろうか。
レーベは興味ありげな顔を俺に向けて、目をキラキラさせている。
マックスは無表情……だけど、目だけは同じようにキラキラしている。
うむ、これは完全に追い詰められちゃっているよね。
でもまぁ、舞鶴の食堂で千歳たちに囲まれるよりはマシかもしれないけど。
もしくは青葉だが、アレの怖いところはねつ造される部分だけだからね。
人のことは言えないけれど、青葉は押しに弱いところがあるから、少し強気に喋れば何とかなったりするのである。
……やり過ぎると、後々怖いけどね。
「それで、実際のところの話を教えてくれないかしら?」
「……いや、それ以前にちょっと質問。2人は俺のことをどう思っているんだ?」
ビスマルクが流したであろう噂に振りまわされているのは分かっている。しかし、俺がここに来て1週間が経つのだから、そろそろ本当のことが分かっても良いと思うのだ。
ビスマルクの行動を見る限り、俺を調教……ではなく、彼氏にしようとしているのは誰が見ても分かるだろう。
だがしかし、俺は全て反抗し、反論しまくっている訳で。
そういうプレイだと言われたらどうしようもないが、そんなつもりは毛頭ない。少しばかり頭が回るのならば、噂とは違うのだと理解できるはずなのだが……。
「「……え?」」
なぜか2人は、呆気に取られた顔を浮かべていた。
……あれ?
その反応は、ちょっと予想してなかったかも。
2人の頭は賢い部類に入ると思うし、マックスの質問は噂の信憑性を確かめるという意味も含まれているかもしれないと思ったんだが……。
いや、それなら目をキラキラさせる必要はないか。
つまりは、俺の思い違い。相手は子供なのだから、もう少しストレートに考えなければいけないのだ。
「ま、マックス……。今の先生の言葉って、どういう意味なのかな……?」
「そ、それは……、そのままだと……思ったけれど……」
2人は向かい合いながらそう言って、ほんのりと頬を赤らめていたんだけれど……って、ちょっと待て。
なぜここで、そんな反応をするんだろう。
俺は別に、変なことを言ったつもりは……
「せ、先生……」
「な、何かな、レーベ……?」
俯き気味に話しかけてきたレーベは、恥ずかしそうにしながら俺の方を見る。それは、身長差が有り得ることで発生する、ある意味究極奥義と言われる技。
――そう。つまり、上目遣いである。
何これっっっ! 滅茶苦茶可愛いんですけどぉぉぉっ!
やっべぇぇぇっ! 今から脇に抱えて自室にお持ち帰りして、ベッドの上で抱きながらゴロゴロしても大丈夫ってことでファイナルアンサーッ!?
――と、ここで暴走しては非常に危険なので自重しようとしていると、レーベそのまま口を開いた。
「さ、さっきの質問って……、そ、そういうこと……なのかな?」
「そ、そういう……こと……?」
俺は意味が分からずに首を傾げながら問い返すと、マックスが横から口を挟んできた。
「つまり、私やレーベが……その、先生のことを……どう思っているかと聞いているのよね?」
「……へ?」
2人に聞いたのは、俺がビスマルクに対して恋愛関係を持っていないことは見ていて分かるだろう……と、いうことなんだけれど。
「え、えっと……その……、僕は……せ、先生のこと、嫌いじゃ……ないけど……」
そう言って、頬から耳まで真っ赤に染まっているレーベ。
「ふ、ふうん……。そ、そう……。レーベも、そう……なの……」
無表情だった顔が崩れまくり、恥ずかしげに俺から眼を逸らすマックス。
………………。
……え、何これ?
なんだかどこかで見たことがあるような……って、冷静になっている場合じゃないよっ!?
「そうか……、そうだよね……。先生がビスマルクに抵抗していたのって、そういう意味だったんだ……」
「ふうん……。レーベの言うこと……、分かった気がするわ」
「……え、えっと……、それって……ど、どういう……こと……かな……?」
聞きたくはない。
だがしかし、聞かない訳にもいかない。
答えのおおよそは分かっているけれど、ここで無視ができるほど俺は大それた人間ではないのだ。
「つまり先生は……」
「小さい私たちが……好きなのよね……?」
「やっぱりこうなっちゃったーーーーーーーっ!」
こうして、俺は佐世保でも間違った認識をされてしまったのであった。
もちろん即座に説得し、勘違いをさせてしまったことを謝りながら説明したんだけど……
「だ、大丈夫だよ、先生。僕たちは別に、口が軽い訳じゃないから……」
「そう……よ。それに私もレーベも、心が広いから……」
「だから違ーーーうっ!」
全く伝わってない気がMAXなんですけどーーーっ!?
それどころか、好感度がいつの間に上昇していたんだってくらいに進んじゃっているんですがっ!
このままハーレムルートに突入しちゃうんじゃないですか……って、完全にヤバいからねっ!
誰か助けてお願いぷりぃぃぃずっ!
こうして、久しぶりの心の叫びを大声で発した俺であった。
しくしくしく……
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次回予告
モテモテな主人公は滅べばばいいのです。
遂にレーベとマックスまで落としてしまった主人公。
本人にはそんな気がなくても、そろそろオシオキ確定--と、思いきや、まさかの事態に陥っちゃう!?
まぁ、踏んだり蹴ったりはいつものことなんですけどね。
艦娘幼稚園 第二部 第二章
~明石という名の艦娘~ その4「号泣したのは誰でしょう?」
乞うご期待!
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