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艦娘幼稚園 第二部 第二章 ~明石という名の艦娘~
踏んだり蹴ったりなのはいつものこと。
それでもがんばる主人公。だけどそろそろ心が持たない!?
ならば、ここは矯正するべきだ……と、佐世保鎮守府幼稚園の改革に乗り出すことに。
しかし、そんな主人公の頑張りをあざ笑うかのように、暴走した艦娘たちは……
その1「一歩間違えば完全アウト」
佐世保鎮守府にある幼稚園に転勤してから、1週間が過ぎた。
その間、俺は幼稚園の責任者であるビスマルクを上司とし、プリンツ、レーベ、マックス、ユーたちをスクスクと成長させるために試行錯誤……しているつもりなのだが、いかんせん要領が掴めない。
まず何が問題なのかというと、ビスマルクの責任感がオブラート並みなのだ。
子供たちと接する場面に関してはそれほど問題視するようなことはない。祖国が一緒ということもあって、ビスマルクの言葉に子供たちは大体従っているし、それなりの信頼もあるようだ。特にプリンツに至ってはご執心とも呼べるような状態ではあるが、それについてはひとまず置いておこう。
俺が気にしているのは、ビスマルクが先生としてどうなのか……である。
以前にも話したと思うが、授業時間をまったく気にすることなく急におやつの時間を始めたり、気分がのらないと言って休みだしたりと、先生としての責任感が全く感じられないのだ。
子供たちは後々艦娘として艦隊に配属される身であり、今のビスマルクを習ってしまっては非常にマズイ。そうなってしまったら最後、幼稚園の存在意義が問われることになってしまうかもしれない。
身体的成長に関しては問題ないだろうが、精神的には……問題がありまくりだ。
――とまぁ、こういった感じで考えをまとめたのだが、俺のやるべきはいったい何なのだろう。
舞鶴からわざわざ佐世保に呼ばれて先生として働くことになったのは、こういった面の修正も含まれているのではないのだろうか。
ビスマルク本人の意図ではないのだろうが、安西提督はそんなことを考えている気がする。
これが俺の深読みだったら、非常に無駄な考えかもしれない。しかし、現状を放置できる程、俺はぐうたらしていくつもりもないのだ。
経験者として。そして、ビスマルク本人のためにも……である。
――と、いうことで、俺は佐世保鎮守府幼稚園の改革に乗り出すことにした。
もちろん、表立って言うつもりはないんだけどね。
そうじゃないと、ビスマルクがまた面倒なことを言いそうだし。
例えばこんな感じに……
「あら、私を調教するなんて、あなたも偉くなったモノね。
でも、それをするのは私。立場の違いをしっかりと教えてあげるわ」
確実にドMコースまっしぐらである。
全く興味がない……とは言わないけれど、気を許してしまったら最後、確実に元には戻れそうにない。
しかし、こんな風に考えられるようになったのは、やっぱり毒されているんだろうなぁ……。
◆ ◆ ◆
厄介な誘惑を振り切り、今後の計画を頭の中で立てながら自室から出た俺は、佐世保鎮守府内でお気に入りの食堂で朝食を取っていた。
さすがに1週間も経てば艦娘や作業員達から向けられる視線も少なくなっていたが、それでもまだ全くなくなった訳ではない。むしろ見方というか、種類が変わってきたように思えてくる。
なんとなくだが、尊敬の眼差しや可哀想な人を見るような感じが入り混じっているんだけれど、やっぱりこれってビスマルクが関連しているのだろうか?
まぁ、色んな意味で分からなくもないんだけどさ……。
俺を調教するとか軽々と言えちゃうんだよ?
ぶっちゃけてありえないと思うんだけど、ビスマルクはアレで普通にしているからなぁ。
もちろん、幼稚園や俺の前以外では猫を被っている可能性もあるかもしれないと考えたんだけれど、そうだったらこの視線の謎は解けない。
つまり、ビスマルクは幼稚園の先生をする前から、今のような感じだったのではないだろうか。
安西提督がサポートをしてくれって言ったのも、こういうことなんだろうなぁ……。
うう……。俺なんかでどうにかなるようなモノなんだろうか。
だがしかし、ここでめげてはいけない。前向きに考えなければ、できることもできなくなってしまう。
俺は朝食を終えて周りの視線を気にすることなく立ち上がり、食堂を出て幼稚園へと向かった。
午前中の授業が始まって1時間程が過ぎた頃。
俺はビスマルクと一緒に、4人の子供たちに勉学を教えていた……のだが、
「おーなーかー、へーったー」
毎度のこと如く、ビスマルクがぐずりだしたのだ。
もう、完全におっきい暁である。
ちょっとは可愛い……なんて思ったりもしなくもないが、俺には舞鶴に残してきた愛宕という存在のおかげで、何とか冷静さを保つことができている。
さすがは愛宕。そろそろ御神体として、自室にフィギュアを飾っておくべきかもしれない。
名付けて愛宕教……。いや、ぱんぱか教でも良いかもしれない。
挨拶は「ぱんぱかぱーん」。入信者は全て、胸を強調するポーズを取るように。
野郎は間違いなく、腰を少し引かなければならないが。
………………。
いやいや、俺は何を考えているんだろう。
そんなことより、今はビスマルクを説得しなければならない。
「……まだ昼食までは時間があるから、もう少し我慢して下さい」
「ザワークラウト、食ーべーたーいー」
「可愛らしく言ってもダメですから……」
俺はビスマルクを見ながら呆れながらため息を吐き、どうしようかと考えていると、
「ふぁいやぁーっ!」
ドムッ!
「ごげふりゃっ!?」
お約束とばかりに地面へともんどり打つ俺。
分かっているなら避けるくらいのことはしろよと思った君!
ちっちゃくても艦娘なプリンツをなめてはいけない。俺はフェイントを加えた回避行動を取ったつもりだが、見事に避け切れなかったのだ。
フェイントの方向へ逃げていたら、避けられていたかもしれないけどね。
……ちくしょう。
「プリンツッ!」
「は、はひっ!?」
そして予想通りビスマルクは憤怒し、プリンツに激高した顔を向けていた。
「下腹部には攻撃してはいけないと何度も言ったわよね!?」
「す、すみませんっ!」
「もし先生のモノが使い物にならなくなったら、どうするのかしらっ!?」
「そ、そのときは、私がビスマルク姉さまを満足させますっ!」
「……良いわね。その意気は認めてあげるわ」
不敵な笑みを浮かべるビスマルク……って、ちょっと待て。
これはもう、お約束というレベルじゃないでしょうがーーーっ!
完全に情操教育は崩壊しちゃってるよっ! 下ネタレベルなんてとんでもねぇっ!
それに、俺のが使い物にならなくなったら……ガチで泣いちゃうからねーーーっ!
はぁ……はぁ……。
心の中の突っ込みでここまで疲れたのは……久しぶりだぜ……。
「……ビスマルク姉さま。先生が床に寝そべりながら、呼吸を荒くしているんですが」
そう言ったプリンツの目が、完全に俺を蔑んだ目で……って、それはさすがに酷くないですかね……?
まぁ、いつものことですけど……と、半泣きになりながら思っていたところ、なぜかビスマルクがほんのりと頬を染めながら口を開いた。
「ええ。アレは先生の隠れた才能よ。本人は気づいていないかもしれないけれど、心の奥底ではドMの獣を飼っているの」
……おいおい、さすがにそれは言い過ぎだ。
「ま、まさか……そんなことが……」
そして真に受け過ぎだってプリンツ。
「狂気が凝り固まって顕在化した闇の獣……。それを調教することができれば私は……っ!」
だからちょっと待てーーーっ!
俺の首筋に烙印もないし、ドラゴンを斬れるでっかい大剣も持ってないし、左腕に大砲も仕込んでないよっ!?
「先生がそんなレベルの変態だったなんて……。ますますビスマルク姉様に近づけさせる訳にはいきませんっ!」
プリンツはへこみまくっている俺をまるで虫でも見るかのように睨みつけながら、大声で叫ぶ。
酷い……。これは酷すぎる……っ!
今回俺はビスマルクを止めただけなのに、なぜここまでの仕打ちを受けなければならいなのか。そして、そもそも理由を考えれば俺は全く悪くないはずなのに……だ。
つまりは、ビスマルクを止めるためにはプリンツも一緒に説得しなければならない。そうじゃないと、俺の精神がズタボロになってしまう。
いやまぁ、すでに瀕死の重症だけどね。
「ダメよ、プリンツ。ドMの先生に対して罵倒をしても、ただ単に喜ばせるだけってことを知りなさい」
「はっ……、確かにっ!」
ビスマルクは、何が何でも俺をドMにしたいのかなぁっ!?
しかし、俺もさすがに黙ってはいられない。ここで言い返さなければ、認めてしまうことになるからなっ!
「ちょっと待ってくれ2人とも。俺はドMでもなければ、斬り込み隊長でもない。そもそも、昼食の時間にはまだ早いというのに……」
「あら、まさか先生は……私に説教をするつもりなのかしら?」
そう言ったビスマルクの瞳が、キラリと光る。
むぐっ……。かなり怖いが、ここで引く訳にはいかない。
「説教以前の問題です。ルールを守るというのは、子供達を指導する先生として……」
「プリンツ……Gehen sie!」
「ふぁいやぁーーーっ!」
「ちょっ、おまっ!」
ビスマルクの掛け声に素早く反応したプリンツが俺にタックルをかまそうとするが、床を素早く転がってなんとか避けることができた。
「避けられたっ!?」
「そう何度も同じ手を食らう俺ではないっ!」
俺はそう言って立ち上がり、プリンツに向かって決め顔を浮かべた瞬間……
「Feuer!」
「ぐへえぇぇぇっ!?」
真後ろから襲い掛かってきたビスマルクによって、再び床に転がされた。
「これで終わりと……思わないでっ!」
「ふぁっ!?」
更に追撃してくるビスマルクを避けようと、俺は床の上で身体を動かそうとするが、
「ぐっ……!」
ビスマルクの身体でガッチリと押さえつけられた俺は身動きができなくなり、
「フフフ……。これでもう、逃がさないわよ?」
「な、な、な……っ!?」
見事なまでに、マウントポジションを取られてしまっていた。見方によっては騎乗……って、まだそんなことを言って良い時間でも場所でもありませんからーーーっ!
「この体勢なら完全に私の支配下……。フフ……ククク……ハーッハッハッハーッ!」
「ちょっ、完全にキャラ変わってないっ!?」
その笑い方だと、特徴的な髪の毛で闇の炎とか出しちゃって、しかも暴走するやつになっちゃうじゃないですかやだーっ!
そうしたら、見事に喰われる……って、あながち間違ってないですよねっ!?
「あああっ! このままだとビスマルク姉様が餌食にっ!」
「完全に立場は逆だけどねっ!」
「あら、こんな状態でも突っ込めるなんて、先生はまだまだ余裕ってことかしら?」
「むしろ突っ込みを入れることしかできないんですけどねっ!」
「今から突っ込む側に回るというのに?」
「時間と場所と色々弁えてから喋らないと、ワンランク上の規制がかかっちゃいますからーーーっ!」
「な、何だか分からないですけど、早く離れて下さいっ!」
プリンツはそう言いながら、明らかに体勢が優位なビスマルクではなく、俺の顔の近くに来た。
少し視線を動かせば、プリンツのパンツが見え……じゃなくてだなっ!
「ちょっ、ちょっと待てプリンツ! この状態は嫌な予感しかしないっ!」
「問答無用です……っ、ふぁいやぁーーーっ!」
言って、プリンツは大きく足を振り上げて……
ズドムッ!
「ぶべらっ!」
踵を俺の顔面に叩き落とした。
「……っ!」
ビスマルクの息を飲む声が聞こえると同時に、俺の意識は闇の底へと引きずり落ち、
完全に落ちてしまったのだった。
……下手したら、死んじゃってね?
※6月21日、インテックス大阪で開催される我、夜戦に突入す!3【獄炎】の4号館B37aにて、時雨のスピンオフ同人誌を新刊を頒布予定でありますっ!
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次回予告
死なない先生はただの変態だ。
いえ、冗談です。
プリンツに踏まれるもなんとか助かった主人公。
なんだかんだで手加減してくれたんだろうと思っていると、やっぱりビス子が大暴れ?
艦娘幼稚園 第二部 第二章
~明石という名の艦娘~ その2「自己判断は危険の元?」
乞うご期待!
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