※青葉編が次話で終了し、暫く艦娘幼稚園の更新はストップ致します。
ですが、艦これ二次小説「深海感染」の更新を引き続き行いますので、そちらの方を宜しくお願い致します!
また、艦娘幼稚園の更新再開は深海感染の前書き&後書きにて告知すると思いますので、宜しければチェック並びにお閲覧をお願い致します。
愛宕裏番……もとい、先生はいったい何者なんですかっ!
そんな青葉の心とは裏腹に、ついに那珂の身体を元に戻す方法が判明する。
そして……那珂ちゃんパワーアップ!?
愛宕が本を読み始めて10分程が過ぎた頃。
呟くような声を上げた愛宕が、パタンと本を閉じました。
「ふむ~……」
「な、何か分かりましたかっ!?」
「ええ、子供化した身体を治す方法はありましたよ~」
「ほ、本当ですかっ!」
「試した事が無いので絶対大丈夫とは言い切れませんけど、多分問題無いかと~」
「そ、それじゃあすぐに教えて下さいっ!」
「せっかちですね~」
少し呆れたような表情を浮かべた愛宕でしたが、人差し指を立てながらうんちくを話す司会者の様に口を開き始めました。
「この方法は錬金術を使用するんですが、必要な材料を大窯に入れてグルグルかき混ぜれば薬ができますよ~」
「……え、か、かき混ぜる……ですか?」
「そうですよ~。ちなみに材料ですけど、湿地帯のキノコにオオスズメバチの毒針、酸化鋼材の粉末に高純度のボーキサイトが少々。後は深海棲艦の涙が数滴必要ですね~」
「……はい?」
い、いやいや、酸化鋼材とボーキは何とかなっても、他の材料ってその辺で買ってこれるモノじゃないですよねっ!?
それに、どうして深海棲艦の涙が必要なんですかっ!? 明らかに怪しさ満点じゃないですかっ!
「あ、ちょっと待って下さいね~。これは人間用だから、艦娘に効く薬の場合……材料を追加しないといけませんねぇ~」
ちょっ、更に何か増えるんですかっ!?
「えーっと、追加の材料は……ガンガルのプラモがあれば大丈夫ですね~」
「なぜそうなるのか意味が分かりませんっ!」
「何を言っているんですか~。アレがあれば、空を飛ぶ事ができるバイクを修理する事すら可能なんですよ~?」
「だからどうしてそれが艦娘用として必要になっちゃうんですかーーーっ!?」
治療するのは那珂ですっ! 艦娘なんですっ!
ベスパを直すなんて一言も言ってないんですよっ!
「取り敢えず、それらがあれば那珂ちゃんを修理する事ができると思いますよ~」
「そ……そうですか……」
ニッコリと笑った愛宕を見て、ガックリと肩を落とします。
今聞いた材料を全部集めるなんて……とてもじゃないけど簡単にいきませんよね……
つまりは那珂をすぐに戻すのは無理……そう言う事なんでしょうか……
「あらあら? いきなり落ち込んじゃって、どうしたんですか~?」
「どう考えたって、今聞いた材料は簡単に集められるような物じゃないですよね……」
「んー……そんな事は無いと思いますけど……」
口元に人差し指を当てながら考え込む仕草をしている愛宕ですが、やっぱりどう考えても簡単にいくようには思えません。
特に最後のはレアモノ過ぎます。どこを探せば良いのか、全然分からないです。
「今の在庫リストはどうだったかしら~?」
「在……庫……?」
何やら気になる言葉を呟いた愛宕ですが、胸ポケットにごそごそと手を突っ込んだ後、取り出したメモに目を通しながら口を開きました。
「うんうん。多分ですけど、私の部屋にあるストックで何とかなりますよ~?」
「えっ、本当ですかっ!?」
「那珂ちゃんの為ですし、ついでに調合もしちゃいましょうか~」
「あ、ありがとうございますっ!」
膝におでこがつきそうになるくらいに頭を下げて愛宕にお礼を言いました――が、青葉の頭の中では色んなモノが渦巻いていました。
まず、なんでそれらの材料がストックされているんだという点が一つ。
そして、調合するという事は錬金術を行うという訳で……そんな施設まで持っているのかとツッコミまくりたいです。
もちろん、命が惜しいですから黙ってはおきますけどね。
あと、ついでに気になるのは……
錬金術で大窯……グルグルかき混ぜるって……ヒラヒラの服装を着ながらって事ですかね?
………………
上手く忍び込んで写真撮れないでしょうか。
マニアに高く売れそうな予感がするんですけど……やっぱり危険ですかねぇ……
「それじゃあ、3時間位経った後に幼稚園に来て下さい~」
「え……?」
「取材じゃないなら入っても問題無いですからね~」
「わ、分かりました……」
もう一度愛宕に頭を下げた青葉は、聞こえないように小さくため息を吐きました。
もちろん、幼稚園に入って良いという事になったからではありません。
今さっき愛宕が言った事を考えれば、恐ろしさがこみ上げてくるんです。
だって……幼稚園の中に錬金術ができるスペースと、材料が保管されているって事ですよね?
それって、大丈夫なんでしょうか……
それから愛宕は幼稚園へと帰っていきました。
約束の時間までやる事が無くなった青葉は、鳳翔さんの食堂で千代田とお喋りをしながら待つ事にしました。
「本当に愛宕さんって、色々できちゃうんだねー」
「いやいや、色々できるにも程があると思うんですけど……」
そもそも黒魔術や錬金術を触っている時点でおかしさ満点です。いえ、おかしいと言うか怪しいです。
「でも、さっきの材料って本当に凄いわよね」
「ですねー。よくもまぁ、あんなのを持っているって話ですよー」
「うんうん。それもそうだけど……」
そう言った千代田は少しだけ顔をしかめて頬を掻きました。
「……何か、気になる事でも?」
「いや……ね。持っているって事は、使うつもりだったっのかなぁと……」
「た、確かに……」
千代田の言う事はごもっともですが、それを問い詰める気も調べる気もありません。そんな事をしたら、命がいくつあっても足りませんから……ね。
「でも普通に考えたら、黒魔術とか錬金術って……実際にできると思う?」
「う、うーん……それは……どうですかね……」
ぶっちゃけちゃうと、正直無理だと思います。
ですが、青葉が頼れるのはこの方法しかないですし、後はなるようになるしかありません。
「取り敢えずは……薬ができてからですかねー」
「そうよね……。もちろん飲みたいとは思わないけれど……」
苦笑いを浮かべながら呟いた千代田に無言で頷いた青葉は、カレーパンと一緒に持ってきてもらったお茶をズズズ……と、啜りました。
まさかとは思いますが……飲んじゃった後でコロリと逝っちゃわないですよね……?
指定された時間になったので幼稚園へと向かった青葉は、入口で待ち構えていた様に立っていた愛宕から小さな瓶を受け取って、那珂が待つ寮へと向かいました。
ちなみに薬の飲む量を間違えないようにと念を押されましたけど、守らなかった場合どうなっちゃうんでしょうか……
子供化したのを治すんですから、もしかすると大きくなり過ぎたり歳を取り過ぎたり……そう言う事なんですかね?
その場合、一部の艦娘が欲しがりそうな気がしますけど、あまり口外しない方が良さそうです。
最初はこの薬でひと儲け……何て事を考えていましたけれど、材料を聞いた途端にその気は完全に消えちゃいました。
ただ、瓶に入った薬は完全に液体の様なんですが、例のプラモは一体どういう使われ方をしたんでしょうね……
青葉、気になります――けど、聞く勇気はありません。とにかく今は、那珂の身体が元に戻るかが一番大切ですからねっ。
そして寮へと入り、川内や那珂が居る部屋へと向かいます。時間は夕食より少し前で、通路には任務を終えて帰っていた艦娘等と挨拶をしながらすれ違いました。
「ふぅ……やっと着きましたね……」
思い返せば、佐世保に行って戻ってくる最中に深海棲艦の島に行き、最後には大鯨が住む島へと、短期間で移動しまくりだった青葉の身体は疲労困憊です。もちろん体力だけじゃなく、精神的にもへとへとなんですよね。
この件が終わったら少しお休みしたいところですが、折角色んな所へと動きまわったんですからレポート的なモノをまとめておきたいですね。
もちろん、最終的には青葉新聞として売り出すつもりですが……それくらいは大目に見てくれるでしょう。
コンコン……
扉をノックすると、少し間を置いて返事が聞こえてきました。
「どなたでしょう……?」
「お待たせしました、青葉ですっ。何とか目的のモノを手に入れたのですが……」
「……っ、すぐに開けますっ!」
その言葉とほぼ同時に扉が開き、満面の笑みで神通が迎えてくれました。
「ほ、本当に那珂ちゃんを元に戻す方法が分かったんですかっ!?」
「ええ、もちろんですよー。既にその薬も完成していますので、中に入っても宜しいです?」
「はいっ!」
腕を掴んだ神通は、有無を言わさない勢いで青葉を部屋の中へと連れ込みました。
う、嬉しいのは分かるんですけど、力加減をしてくれないと……痛たたたっ……
でもまぁ、その思いは分からなくもないですから、黙っておきましょうかね。
「那珂ちゃん! 元の身体に戻る為の薬を青葉さんが持ってきてくれましたよっ!」
「ほ、本当っ!?」
この間に来た時と同様に布団に包まっていた那珂が歓喜の声を上げると、素早い動きで這い出て青葉の前に立ちました。
「本当に本当に、那珂ちゃんの身体が元に戻るのっ!?」
「完璧に大丈夫とは言えませんけど、この薬で元に戻る筈だと聞いています」
そう言って、那珂と神通に見えるように薬の瓶を差し出しました。
「こ、この薬は……いったい誰が……?」
「話せば長くなるんですが、とある本に書かれていた内容を元に愛宕さんが作ってくれました」
「危険では……無いんですよね?」
「正しい容量さえ守れば――と、聞いています」
「わ、分かりました……」
頷いた神通に瓶を渡し、愛宕から聞いていた容量を伝えます。神通は部屋の隅にある戸棚からコップを取り出し、瓶から容量分を注ぎました。
「那珂ちゃん、これを……」
「う、うんっ!」
少し不安げな表情を浮かべてはいるものの、元の身体に戻りたいという一心で薬を飲もうとする那珂でしたが……
「う”っ……す、凄い……臭いが……」
「な、那珂ちゃん……頑張って……っ!」
「な、那珂ちゃんはアイドルなんだもんっ! バラエティに出たら、これくらいの事はしなくちゃダメなんだもんねっ!」
大きく目を閉じた那珂は、プルプルと小刻みに揺れる手でコップを口元に持っていき、勢いよく中身を飲み干しました。
「に、苦い……けど、那珂ちゃん……頑張ったよっ!」
「うんうん、偉いわ那珂ちゃんっ!」
半泣きになった那珂を励ますように神通が頭を撫で……って、何ですかこのノリは。
ちょっと写真撮っちゃいます? 何気に高値で売れそうな……あれ?
「な、那珂ちゃんっ!?」
「ふえっ?」
急に那珂の身体の周りにオーラの様なモノが発生したと思った途端、部屋中がまぶしくなる程の光の量が発生し、目を開けていられなくなりました。
「わわわっ!?」
「な、なななっ、何なのこれーーーっ!?」
ビックリした青葉と那珂の声が響き渡り、部屋中が白に包まれました。
「な、何も見えないよーーーっ!」
「な、那珂ちゃんっ、だ、大丈夫……っ!?」
「うーん……なにこれ……凄く眩しいんだけど……」
布団に包まって寝ていた川内が無理矢理起こされて不機嫌そうな声を上げると、少しずつ光が収まってきました。
そして、目を開けていられるくらいになった部屋には、元の身体の大きさになった那珂が……
素っ裸で立っていました。
「な、な、な、那珂ちゃん……っ!」
「………………」
互いに見つめ合ってから真っ赤に頬を染める神通と那珂。
寝ぼけ眼で二人を見る川内。
そして、青葉はと言いますと……
パシャリッ
「……っ!?」
「ふむふむ……これはナイスな写真が……」
「だだだだだっ、ダメーーーっ! こんな恰好の那珂ちゃんを撮っちゃダメーーーっ!」
「あ、青葉さんっ! 今すぐそのカメラを渡して下さいっ!」
「あー、やっぱりダメですかねー」
「「当たり前ですっ!」」
見事にハモった激怒の声を受けた青葉は、泣く泣くフィルムを二人に渡さなければなりませんでした。
うむむ……折角良い写真が取れたと思ったのに、残念ですねー。
※青葉編が次回で終了し、同人誌用の執筆のために暫く艦娘幼稚園の更新はストップ致します。
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次回予告
那珂の身体を元に戻すことができました。
写真の方はちょっと残念でしたけど、新聞は発行できそうなので良かったと思っていたんですが……
まさかまさかのオチの嵐が、青葉を襲っちゃてますっ!?
艦娘幼稚園 スピンオフシリーズ『青葉の取材遠征日記』
その11「オチの嵐」(完)
乞うご期待!
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