詳しくは「艦娘幼稚園 遠足日和と亡霊の罠(サンプル)」の方をお読みくださいませ!
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昼寝後の子供たちの準備にと、主人公はサッカーの用意をしていた。
しかし比叡は引き続きガン見を続け、さすがにいたたまれなくなった主人公は腰を据えて話そうとする。
それから暫くスタッフルームで休憩をした後、子供達が昼寝から目覚める時間に合わせて次の準備を行うことにした。
「午後は広場でサッカーでもするかなぁ」
今日の午後のスケジュールは広場を使用できる事になっている。洗濯日和の今日のお天気ならば、子供達もはしゃいでくれる事だろう。
倉庫からサッカーボールと折り畳んであるミニゴールを広場に持って、俺は歩幅で長さを計りながらコートを作っていた。そんな様子を少し離れたところからジッと見つめる視線に、微妙にやり辛さを感じてしまう。
もちろん視線を送っているのは比叡であり、物陰から隠れて眺めているのではなく、地面に座りながら露骨にガン見状態だった。スタッフルームの時もそうだったけれど、これがずっと続くのはマジで勘弁して欲しいのだけれど……
「比叡ー、そこでぼけーっと座ってないで、どうせなら身体を動かしたらどうだ?」
「お断りします。私はあくまで先生を監視しているだけですから!」
「そうは言うけど、その監視って金剛と関係がある時だけじゃないの?」
「それはそうですけど、お姉様がいない時に変な事を仕込もうとしているかもしれませんっ!」
一体何を仕込むのだと言うのだろう……
サッカーのコートを作っているだけで、落とし穴を掘っている訳でもなく、ワイヤートラップを仕掛ける気も無い。そもそもそんなモノを幼稚園の中に仕掛けるのはありえない事なのだが、バトルの時だけはそれもありになるんだよなぁ。
いやいや、今はバトルと関係ないし、子供達が遊ぶ為の準備をしているのだ。そんな様子を監視したところでやましい事は一つも無いから、別に気にしなければ良いだけの事である。
「じーーーーー」
とはいえ、やはりジッと見られているのはどうにも気分が悪い。
俺は一通りの準備を終えてから、比叡の元へと歩み寄った。
「あ、あのさ……」
「なんでしょうか、先生」
「ジッと見つめられるのって結構堪えるから、できれば……もう少し加減して欲しいんだけど……」
「ですが、宣言した通り監視するとは伝えましたよね?」
「それはそうなんだけどさ……」
モノには限度があると言いたいのだけれど、あまりごねると機嫌を悪くしかねて、俺が担当するのを断ると言い出すかもしれない。愛宕が説得したのだから大丈夫とは思うのだけれど、俺の方からも何かしら対策を取った方が良さそうだ。
「それじゃあ、ちょっと話し合わないか? 何だかんだで腰を据えて話した事は無いんだしさ」
「……確かにそうですけど、何やら変な事を考えているんじゃないでしょうね?」
「変な事って……一体何?」
俺はそう言いながら比叡の隣に座り込んだ。
「そ、それは……先生がロリコンですから、金剛お姉様だけでなく私までも毒牙にかけようとするとか……」
「何が何でも俺をロリコン扱いしたい訳ね……」
がっくりと肩を落とした俺はふと考える。愛宕に説得されたはずなのに、俺はロリコン扱いされたままだ。そうではないという事を説明されて納得した――と思っていたのだけれど、それでは話の筋が通らない。一体愛宕は比叡にどんな説明と説得をしたのだろうかと考えてみるが、それを比叡に聞いたところで素直に話してくれるだろうか?
頭を捻りながら考えてみるが、簡単に答えは出そうにない。ならば、ここは素直に聞いてみるのが良いだろう。
「あのさ……さっきスタッフルームで、愛宕先生から何を説明されたのかな?」
「そ、それは……」
言って、比叡は顔を伏せて身体をガタガタと震わせていた。
あ、愛宕は比叡に一体何をやったんだろう……?
確実にトラウマになっちゃってないか……これ……
「と、とりあえず、先生の事が気に入らないなら、まずはどんな人物なのか自分で見極めなさいって言われました」
「……なるほどね。だから、俺を監視するって言ってたのか」
「そう……です。まぁ、他にも理由が……ごにょごにょ……」
「ん、今何か言った?」
「い、いえっ、何にもありませんよっ!」
「そ、そう……?」
慌てて比叡が顔の前でバタバタと両手を振ったのだが、明らかに怪しさ満点の動作が気になって仕方がない。
「でもあれだよな。比叡は金剛の事が本当に好きなんだよな」
「そ、それはそうですっ! 愛する金剛お姉様の為なら、たとえ火の中水の中っスカートの中っ!」
「ははは……って、最後のは止めといた方が良いぞ。それに、元気が良いのは構わないけれど、無茶だけはしないようにな」
そう言って、俺はいつものように撫でようと、比叡の頭に手を置いた。
「……っ!?」
「好きな事は精一杯やれば良い。ただし、できるだけ他の人に迷惑をかけないようにしないとな。そうじゃないと、いつの間にか一人ぼっちになっちゃうかもしれないんだぞ?」
「あ……あうぅ……っ」
「やっと姉妹みんなが出会えたんだから、嬉しくなるのは当たり前だ。だけど、あの時ぶつかりかけたのは本当に危なかっただろ?」
「は、はい……」
「失敗するのは仕方ないし、子供の時はそれが当たり前だけど……って、そういや比叡は元々子供じゃなかったし、なんだかややこしいな……」
「あ、あの……先生……」
「ん、どうしたんだ比叡?」
「ど、どうしてそんなに頭を撫でるんですかっ!?」
「あ、あぁ……ゴメンゴメン。どうにも癖みたいで、つい撫でちゃうんだよなぁ……」
言って、俺は比叡に謝りながら撫でていた手を下ろそうとしたのだが、
「あ、その……い、嫌ではないんですがっ!」
「あれ、そうなの?」
「な、なんだかとっても気持ち良くなるって言うか……って、何を言ってるんだろ、私っ!」
先ほど以上に手をばたつかせた比叡は、急に立ち上がって俺から少し離れるように距離を取った。
「い、今のは気の迷いですっ! 忘れてくださいっ!」
そう叫んだ比叡は、ダッシュで建物の中へと走って行く。
……な、なんであんなに慌ててたんだろ。
頭を撫でられて気持ち良くなるのって……当たり前だよな?
それとも、大人から子供になった影響とかが出てるのだろうか?
もしそうだったのなら、愛宕に一度話しておいた方が良いのかもしれないんだけど……ちょっぴりトラウマになっちゃってる感じだしなぁ。
まぁ、比叡の担当は俺なんだし、少しずつ様子を見ながら考えていけば良いだろう。
「さて、準備も済んだし……時間もそろそろだから子供達を起こしに行こうかな」
俺はそう言いながら立ち上がり、比叡の後を追うように建物へと入って行った。
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次回予告
サッカー開始っ!
だけどもちろん比叡の視線は止まらない。
そして更には別のものまで飛んできて……
艦娘幼稚園 ~金剛4姉妹の恋~ その4「混乱魔法」
乞うご期待!
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